TSメイク

女の子の声！？

コンビニから帰ってきた拓也は、どっと疲れたようにソファへ座り込んだ。  

「はぁ……心臓に悪い……」  

「ふふっ、でも楽しかったでしょ？」  

愛は楽しそうに笑いながら、拓也の隣にちょこんと座った。  

「いや、楽しいとかじゃなくて……ナンパされるとか聞いてないし！」  

「でも、それだけ拓也の女の子メイクが完璧ってことだよ♪」  

「それはそれで複雑だ……」  

ため息をつく拓也の前に、愛が小さなキャンディーのようなものを差し出した。  

「はい、これ舐めてみて！」  

「え？ 何これ？」  

「いいから、ほら♪」  

「……変なもんじゃないよな？」  

「失礼な！ これは、私が特別に用意した“とっておき”だよ！」  

拓也は半信半疑でそれを舐めてみた。  

甘い。  

ミントとフルーツの風味が広がる、不思議な味のするタブレットだった。  

「……で？ これが何？」  

「ふふっ、それはね――」  

愛がニヤリと笑った瞬間、拓也の喉の奥がムズムズとした感覚に襲われた。  

「んっ……！？」  

突然、違和感が走る。喉がキュッと締まるような感覚。  

「ねえっ、声を出してみて！」  

「え？ ちょっ……な、なんだこれ！？」  

拓也の口から発せられたのは――まるで女の子のような、透き通った高い声だった。  

「ええええええっ！？ な、なんで俺の声がこんな！？」  

驚いて何度も声を出してみるが、どうやっても可愛らしい少女の声しか出ない。  

「えへへ♪ 成功！」  

愛が満足げに拍手をした。  

「お前……何飲ませたんだよ！？」  

「企業秘密♡ でも、これで完璧でしょ？ 見た目も女の子、声も女の子！」  

「いやいやいやいや！！ これどうやったら戻るんだよ！？」  

拓也が必死に詰め寄るが、愛はただニコニコと微笑んでいるだけだった――。