パラサイト 中学生の結衣編

廣瀬純七

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三人の決断

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メイド倶楽部は、「メイドユーハッピー」の大ヒットに続き、全国ツアーやテレビ出演、CM契約など活躍の場を広げ、国民的な人気を誇るアイドルグループとなった。しかし、その華やかな日々の裏で、メンバーの三人は誰にも言えない秘密と向き合い続けていた。

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### 不安の影

ある夜、結衣は事務所の控室で一人、鏡を見つめていた。ステージ用の華やかな衣装を身にまとい、完璧なメイクを施された自分の姿を見ながら、ふとため息をついた。

「…もし、明日突然男に戻ったら、どうなるんだろう。」

その声を聞きつけた真梨香が、コーヒーを持って近づいてきた。  
「またそのこと考えてるの?私も同じだよ。朝起きたら元の身体に戻ってる夢、最近よく見る。」

真央もソファから顔を上げて言った。  
「私もそう。せっかくここまで来たのに、全部壊れるんじゃないかって不安になる。」

三人は顔を見合わせ、しばらく黙ったままだった。華やかなスポットライトの下で輝いている自分たちの姿と、突然訪れた性別の変化による日常の喪失。その狭間で揺れる心は、誰にも理解されない孤独を抱えていた。

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### 決断の時

その週末、三人は結衣の部屋に集まった。練習や仕事の合間を縫って集まるのは久しぶりのことだった。

「私たち、これからどうするべきなんだろう。」  
結衣がソファに座りながら切り出す。

真梨香が静かに頷きながら答えた。  
「正直、このまま続けられるか自信がない。いつか元の性別に戻ったら…それが怖くて、毎日心から楽しめない。」

真央も口を開いた。  
「私もそう。今の自分たちをみんなに愛してもらえてるのはわかる。でも、その愛が消える日が来るかもしれないって考えると…。」

結衣は一度目を閉じて深呼吸をした。そして、静かに決意を口にした。  
「そうだね…。やっぱり私たち、このままずっとメイド倶楽部を続けるのは難しいのかもしれない。」

その言葉に、真梨香と真央は驚きつつも、どこか納得している様子だった。

「解散…ってこと?」  
真梨香が尋ねると、結衣は力強く頷いた。

「うん。でも、ただ辞めるんじゃなくて、ちゃんとファンのみんなに感謝を伝えて、最高の形で締めくくろう。半年後のツアーファイナルをラストステージにしよう。」

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### 解散発表

事務所の会議室で、三人は解散の意志を伝えた。プロデューサーの佐藤は驚きを隠せない様子だったが、三人の決意が揺るぎないものだと理解し、受け入れることにした。

「ファンの皆さんには、できるだけ早く発表しましょう。でも、その日まで全力でサポートするわ。」

その言葉に、三人は深く感謝の意を示した。

公式サイトでの解散発表は瞬く間に話題となり、ネット上では悲しみや応援の声が飛び交った。  
「なんで解散するの?もっと続けてほしい!」  
「メイド倶楽部を応援できたこと、一生の思い出です!」

三人はその声に胸を痛めながらも、残りの半年間を全力で駆け抜けることを決めた。

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### ラストステージ

半年後、メイド倶楽部のラストステージが東京ドームで開催された。会場には満員のファンが詰めかけ、涙ながらにペンライトを振っていた。

「みんな、今日は本当にありがとう!」  
結衣の声が会場に響く。

「私たちは、いろんな理由で解散を決めました。でも、この時間は私たちにとって一生の宝物です!」  
真梨香が感極まって涙を流しながら言う。

「みんなの笑顔があったから、ここまで来られました。本当にありがとう!」  
真央も涙声で感謝を伝えた。

ラストシングルの「メイドインヘブン」が流れると、会場全体が一体となり、メンバーもファンも笑顔と涙で溢れた。

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### 解散後の新たな道

ラストステージが終わり、三人はそれぞれ新たな道を歩み始めた。結衣はモデルとして、真梨香は料理研究家として、真央は作家として。それぞれが自分らしさを見つけながら、前に進んでいく。

時折、ファンから送られる手紙やメッセージが、彼女たちの背中を押していた。  
「メイド倶楽部は永遠に私たちの心の中にあります。」  
「あなたたちのおかげで、たくさんの勇気をもらいました。」

三人は、解散という選択が正しかったと確信しながらも、いつかまた別の形で一緒に何かを作り上げる日を夢見ていた。

そして、どこかで誰かが彼女たちの曲を聴き、笑顔になっていることを願いながら、彼女たちはそれぞれの人生を歩み続けていった。

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