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過去と未来へ
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1970――とペンを走らせた瞬間、優人の視界は真っ白な光に包まれた。何かに吸い込まれるような感覚、体が宙に浮いているような感覚。目を閉じる間もなく、光が収まり、突然、冷たい風が頬をなでた。
目を開けると、そこには見慣れない光景が広がっていた。車はクラシックなデザインばかりで、道路沿いには昔の広告看板が立ち並んでいる。「三丁目の夕日」のような風景が、目の前に現実として存在していた。
「なんだ、これ……?」
優人は思わず自分の手元を見た。ノートはしっかりと握られていた。先ほど書いた「1970」という文字はもう消えている。しかし、代わりに次のページに新たな文字が現れていた。
> 「書いた先は現実となる」
混乱する頭で周囲を見回していると、近くの喫茶店から古い音楽が流れてきた。昭和のヒット曲――まるで映画のセットの中に紛れ込んだような感覚だ。
「これは夢か?」
そう思って頬をつねるが、痛みが走る。どうやらこれは夢ではなさそうだ。
歩き始めると、道行く人々は皆、昭和の時代そのものの服装をしていた。誰一人としてスマートフォンを持っていない。公衆電話の列、新聞を読むサラリーマン、遊ぶ子供たち……すべてが1970年に生きている証拠だった。
ふと気づいた。ポケットの中に現代のスマホが入っている。「これ、見せたらどうなるんだろう……?」と一瞬考えたが、そんなことをすれば大騒ぎになるに違いない。優人はノートを見つめ、思った。
「これ、本当にどの時代にも行けるのか?」
少し怖かったが、試さずにはいられなかった。優人は再びノートを開き、今度は西暦の代わりに少しだけ違う言葉を書き込んでみた。
> 「未来――2120」
すると、再び光が視界を覆った。
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目を開けると、そこには見慣れない光景が広がっていた。車はクラシックなデザインばかりで、道路沿いには昔の広告看板が立ち並んでいる。「三丁目の夕日」のような風景が、目の前に現実として存在していた。
「なんだ、これ……?」
優人は思わず自分の手元を見た。ノートはしっかりと握られていた。先ほど書いた「1970」という文字はもう消えている。しかし、代わりに次のページに新たな文字が現れていた。
> 「書いた先は現実となる」
混乱する頭で周囲を見回していると、近くの喫茶店から古い音楽が流れてきた。昭和のヒット曲――まるで映画のセットの中に紛れ込んだような感覚だ。
「これは夢か?」
そう思って頬をつねるが、痛みが走る。どうやらこれは夢ではなさそうだ。
歩き始めると、道行く人々は皆、昭和の時代そのものの服装をしていた。誰一人としてスマートフォンを持っていない。公衆電話の列、新聞を読むサラリーマン、遊ぶ子供たち……すべてが1970年に生きている証拠だった。
ふと気づいた。ポケットの中に現代のスマホが入っている。「これ、見せたらどうなるんだろう……?」と一瞬考えたが、そんなことをすれば大騒ぎになるに違いない。優人はノートを見つめ、思った。
「これ、本当にどの時代にも行けるのか?」
少し怖かったが、試さずにはいられなかった。優人は再びノートを開き、今度は西暦の代わりに少しだけ違う言葉を書き込んでみた。
> 「未来――2120」
すると、再び光が視界を覆った。
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