ライバル令嬢は当て馬キャラを幸せにしたい!

粉砂糖

文字の大きさ
5 / 5

5.クラス発表

しおりを挟む
市立君春高校は平均より偏差値が高めの民間人が通える公立学校。

本来であればわたくしの様な家柄よし!容姿よし!学力よしのパーフェクト令嬢たるわたくしとは無縁の地。それでも地元では学生の人気を集める有名校だという事もありお父様のOKサインが出た。

制服も可愛いし、最近建て替えが済んだ新校舎はとてもデザインが美しくかつ機能的。
受験希望者も殺到し一日で終わるはずの試験が二日にわたり行われたのはニュースにも取り上げられていた。
わたくしもこの新校舎もとっても気に入りましたわ。

それと君春高校の購買に卸している菓子パンがとっても美味しいと(食べ○グで)評判で、
あまり大きく店も構えておらず手に入れることが難しいらしいのです。
これはぜひとも食べてみたいと前世の血が騒ぎましたわ。

取り寄せればいいのにとセリにも呆れられました。
でもその場で買って欲望全開で食べた時のおいしさを分かっておりませんわね。今度試して差し上げましょう

わたくしだって結局のところ前世は庶民なわけで思考もこれに染められてる訳でして。
感覚が庶民的によるのはこの15年間令嬢らしく生きていても薄れることがありませんでしたわ。

スナック菓子もインスタント食品も大好き。
さりげなくコンビニでは新作スイーツをチェックしている。
勿論コンビニに入るのは一苦労なんだけど、セリには内緒にしてくれるように頼んでいるわ。

多分お父様には報告されてるだろうけど咎められてないので許容範囲なのね。
お母様にばれたら大目玉を喰らうに違いないけど。

最近のお気に入りはカラアゲサンよ。


どうでもいい話に思いを馳せてしまっていましたが、つい憧れの購買のパンに心惹かれすぎてしまっていたわ。
だってもう目の前なんだもの。はしゃいでしまうのも無理はないわよね。
切り替えようと小さく嘆息しクラスの振り分け表で自分と知り合いの名前を探した。

わたくしのクラスは1-7。慎一は名前の通り1組、優二は3組になった。2組じゃないのね。

七草のメンバー、セリはわたくしと同じ七組、護衛役の体格のいい黒髪短髪無口青年な御形は1組、
あとは他に3人いてそれぞれ3組、5組と分かれて潜入してくれているらしい。
潜入ってと思われるがわたくしの令嬢としてのライバルさんが潜んでないとは言い切れませんからね。
共に入学した皆様をお守りするにはそうせざるを得なかったのですわ。

そしてヒロインの名前を探す。確か原作では優二と同じクラスだったはず。
慎一とは図書室で出会って、兄さん大好き人間優二はその話を聞いてようやくヒロインに目をかけるようになるんだった…わよね。

…慎一様図書室に用事はあるのかしら?と思ってしまったのは無理はない。

現在の慎一は優二が思ったよりもてはやし過ぎてしまったが為に妙な自信家に育ってしまい、
放課後に経営学の本を読む、などという勤勉の姿勢がまるで無いのだ。

多分この人わたくしとの婚約も忘れてるんだと思うわ。
幼馴染としてずっと一緒に遊んでましたし、彼は御曹司でも無いから社交界に顔を出すことも無かったのよね。

ここは誤算だったわ。双海商事自体がまさかの起業されていなかったのだから!

原作では慎一は双海商事という大きな商会の御曹司という金持ちヒーローだったわけだが、
今は東鳳音家の参列会社でそこそこいい位置にいるという一般庶民のちょっと頭に乗り過ぎたヒーローだ。

最近思うのだけれど、これにヒロイン惚れるかしら……?
いや彼の本質はお金持ち御曹司ではないにしても些か性格が残念というか子供っぽい気もするのよね。それを持ち味にするのかしら?

御曹司独特の悩みとか何もないしそれならこのバカな兄をもてはやしている優二の方がストレスフルだと思うのよ。
だから、慎一さまよりも優二の方が彼女と結ばれる可能性が高いんじゃないかとも思っている。

……あら?

もう一度、とクラス表を見直していたわたくしの目が思わず点になる。

一組は無い、と思って実はすっ飛ばしていたのですが、名前が見当たらないと思ったらここにあったか~~~~~~!

ヒロインは、慎一と同じクラスでしたわ………

原作と違う。あれ、なんで?まさか異世界小説あるある転生者の登場による軌道改変かしら?
ヒーローのチェンジがホントに起こり得るかもしれないですわ。
優二なら図書室に行くことも多いでしょう。
彼は影の努力家ですもの、原作では慎一がよく図書室を使っていたから仕方なく空き教室とかで勉強していたけど
これなら図書室での出会いもクリアできそうだわ。

う~~んと眉を詰めて唸っているとクラス発表を見終えたセリがわたくしの所へ戻る姿が見えた。

「どうしたんですか、お嬢。そんな梅干しみたいな顔して」
「誰がシワシワの梅干しよ!!!!」

きょとんとしながらさも当然かの様に言ったセリに取り繕うのも忘れてツッコんだ。

花も恥じらう16歳のパーフェクト美少女たるわたくしにあろうことか梅干しですって!?
見た目だけは王子様っぽい癖に甘い褒め言葉の一つも出ないの?!この場で言うのもどうかとは思うけど!

というかそれ以前に従者のくせにその物言いはどうなのよ!!
気さく通り越して生意気だわ!後でどっさり仕事を明け渡してわたくしは優雅にお茶でも啜ってやるわ!

フンフン憤るわたくしにセリは反省しないと言わんばかりににからから笑う。
彼の年頃らしい朗らかな笑顔に周りの女子生徒がぽっと頬を赤らめているのも気に食わないわ。

「ホラホラクラス毎で集まるらしいですよ麗香様。行きましょ行きましょ」
「こんな時だけ調子に乗って麗香様呼びしてんじゃないですわ!許すわ!」

セリの甘い声に名前を呼んでもらうのは悪い気はしないわ。
許すと豪語したわたくしにセリはまたこらえきれない、という様にふはっと声を漏らして笑った。
彼に背中を押されながらも7組の生徒が待機する列に組み込んでもらった。

セリはこの学校では勅使河原てしがわら芹と名乗る様になり、出席番号はわたくしの一つ前だ。
お父様の過保護がここで伺えた気がした。

「お嬢こっちですよ~は~い俺の後ろ。大人しくしててくださいね」
「わたくしは子どもか!!言われなくても大人しくしてますわよ!!」
「そう言ってすぐ抜け出して迷子になる方はどなたですかねえ?」

刺されるような言葉にグゥッと声が詰まった。はい。わたくしです。
ショコラ店を立ち上げるに至りフランスや諸外国に行った時も物珍しい風景に
好奇心のまま歩き回り、結果迷子となり戻れなくなってしまって大騒ぎになったことがある。

周囲の生徒からもクスクスと小さく笑う声が聞こえて恥をさらしてしまったセリをキッと睨む。

「ねえねえお嬢、って言われてたけど本物のお嬢様なの?」

笑いを隠しきれない様子の女子生徒の質問に縦ロールの髪をばさりとなびかせながら、ええそうですわ!と高々に答えると、彼女はさらに笑い声をあげた。
それにつられてクラスメイト達からも噴き出す声が聞こえたり。

「あははは!でもお嬢様全然えばったりしないね」
「当然ですわ。凄いのはお父様であってわたくしはただの小娘ですのよ?」

まあ私も事業の立ち上げはしてますが?パーフェクト令嬢は驕らないのですわ。
花の様に淑やかに、けれど己を卑下にはせず。美しく凛と咲き誇るのです。

「ですから私の事は普通に接してくださいませ。今はただの一生徒ですもの。」
「そうそう、お嬢頭はいいけどアホだからすぐに仲良くなれますよ」

ちょっとセリさん!?!?
ひょっこりと顔を覗かせ会話に参戦したセリの言葉に女子生徒は目を丸める。

「セリはわたくしの事をこき下ろし過ぎですわ!!!今日の夕飯のデザート抜いてやりますわよ!?」

そう言い返すとその場がドッと笑いに包まれてしまったのは言うまでもない。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

二十年以上無視してきた夫が、今さら文通を申し込んできました

小豆缶
恋愛
「お願いです。文通から始めてもらえませんか?」 二十年以上会話もなかった夫――この国の王が、ある日突然そう言ってきた。 第一王妃マリアは、公爵家出身の正妃。だが夫はかつて、寵愛する第三王妃の話のみを信じ、彼女を殴ったことがある。その事件が原因で、マリアは男性恐怖症が悪化して、夫と二人きりでは会話すらできなくなっていた。 それから二十年。 第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。 なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。 不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。 これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。 ※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!

山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」 夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

婚約破棄したので、元の自分に戻ります

しあ
恋愛
この国の王子の誕生日パーティで、私の婚約者であるショーン=ブリガルドは見知らぬ女の子をパートナーにしていた。 そして、ショーンはこう言った。 「可愛げのないお前が悪いんだから!お前みたいな地味で不細工なやつと結婚なんて悪夢だ!今すぐ婚約を破棄してくれ!」 王子の誕生日パーティで何してるんだ…。と呆れるけど、こんな大勢の前で婚約破棄を要求してくれてありがとうございます。 今すぐ婚約破棄して本来の自分の姿に戻ります!

処理中です...