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第5章 祐藤の野望編

05.挙兵

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数日後に祐信は政景を屋敷に呼び出した。

祐信
「祐藤が先日居城を移したようじゃな。謀反を起こすは今夜ぞ。兵を集めて一斉に夜襲をかけるのじゃ。」

そう言うと祐信と政景は挙兵の準備に取り掛かった。

夜更けの中、祐信と政景の呼びかけにより、3,000名ほどの兵が集まった。
いずれも祐信らに従事している兵たちであり、攻める相手が祐藤であることは伏せられていた。

祐信
「よう集まってくれた。これより我らの兵は侵攻を開始する。侵攻先は志天城、すなわち志太家当主である祐藤を討ち取る。」

祐信の言葉を聞いて兵たちは耳を疑い、同時に戸惑いの色を隠せない表情を見せた。


「祐藤…様でございますか。それはまことのことですか、祐信様。何かの間違いではございませぬか。」

祐信
「間違いではない。儂は祐藤を討つと申したのじゃ。祐藤の志天城を奪って儂が志太家の当主となるのじゃ。これは命令であるぞ。よいな。」

兵たちは納得のいかない表情を見せる者も多かったが、祐信の命令ということもあり従うしかなかったのである。
祐信はしばしば直属の兵たちに無茶な命令を下しており、背いた者は厳しく罰するなど暴君の限りを尽くしていたという。
今回の謀反に関しても祐信は事前に兵たちの家族を人質に差し出させており、逃げ出すことを許さない状態を作っていた。
全くもって悪知恵のはたらく念の入れようである。

政景
「皆の者、ご苦労であるな。なに、祐信様が当主になられたらお前たちのことは悪いようにはせぬ。まあ、せいぜい励めよ。」

政景は意地悪な表情を見せて兵たちの前で言った。

祐信
「さて、それではそろそろ志天城を頂きに参ろうかのう。祐藤よ、首を洗って待っておるが良い。儂が当主の座にふさわしいことを思い知らせてやるわ。」

うっすらと映る月明かりに照らされながら祐信らの兵は、志天城を向けて進み出した。
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