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第6章 風雲志太家編
41.幸盛への工作
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宗重は柳城への潜入に成功。
直後、大名である柳幸盛に発見されて戦闘状態に陥るかに思われた。
しかし、宗重が事前に家春より渡された柳華と呼ばれる脇差を幸盛に見せると幸盛は落ち着きを取り戻していた。
幸盛
「さぁ、早く申してみよ。何故に儂を訪ねに参られたのじゃ。」
宗重
「はっ、それでは申し上げます。」
宗重は次のような内容を幸盛に伝えた。
秋庭家は柳家からの主命である立天野城の占領に成功したが、その後すぐに志太家からのお触れによって身動きが取れなくなっていたが故に柳家への報告が遅れた事のお詫び。
近いうちに秋庭家として全軍出撃を行い、志太家を徹底的に叩きのめす作戦を練っている事。
それによって志太家が混乱している隙を突いて柳家が参戦し、共に志太家を滅ぼす為に協力を願いたい事。
など、事が進めば柳家に対しては好機とも言える内容であった。
幸盛
「ほう、家春殿がそう申しておるとな。しかし、貴様のような胡散臭き忍びの言葉だけではどうも信用ならぬ。」
幸盛は再び刀に手をかけてそう言った。
宗重をこの場で斬り捨てようとしているような様子であった。
この様子に宗重は、間髪入れずに次なる行動へと移した。
宗重
「そう申されるのも無理はござらぬと思いまして、家春様からの書状もお預かりしております。幸盛殿は非常に用心深き御方であらせられる故、信じて頂けますようにこの書状をお書きになられたとの事にございます。」
そう言うと宗重は懐から一通の書状を取り出し、幸盛に渡した。
書状の内容は先程に宗重が伝えた内容が書かれており、家春直筆の署名もされていた。
この書状は、宗重が工作活動を開始する直前に家春自身が筆を取って書き記したものである。
幸盛
「うむ、この筆跡といい署名といい家春殿の物に間違いござらぬな。どうやら貴様の申す事は真であるようじゃな。」
幸盛は、その書状が家春によって書かれた物である事を理解すると刀にかけていた手を解き、真剣な目つきをした。
宗重
「幸盛殿、これでお分かりいただけましたでしょうか。家春様は打倒志太家に向けて動こうと準備をされております故、今しばらくお待ち頂きたく存じます。」
宗重は、納得しつつあった幸盛に対して言葉をかけていた。
幸盛
「それにしても家春殿は儂が怖いようじゃな。その怖さから逃れる為にわざわざ忍びにかような書状を持たせたのじゃからな。のう与五郎殿よ。」
幸盛は意地悪そうな顔をして宗重にそう言った。
主家である柳家に対して家春が必死に弁解を行っている様子が余りにも惨めで滑稽な物だと幸盛は感じていたようである。
宗重
「家春様は、主家である柳家に対する忠誠の心がございます故に此度の行動を起こされました事をお分かり頂きたく存じます。」
宗重は少し力強い口調で食い下がるように幸盛に言った。
幸盛
「ふん、口先だけでは何とでも言えるわ。まぁ家春殿の必死さに免じて此度の件は了承致そうかのう。ただし、失敗は許されぬという事を家春殿には重々伝えられよ。分かったか。」
幸盛は厳しい口調ではあったが、今回の件に関しては承諾をしているようであった。
宗重
「ははっ、ご了承を頂きました事を感謝致します。これで拙者も家春様に良き返事ができまする。それでは、失礼致します。」
幸盛の言葉に対して宗重は、深々と頭を下げて感謝の意を表していた。
そして宗重は、早々に消えるように天守を飛び出して行った。
幸盛
「ふふふ、どいつもこいつも馬鹿な奴らめ。秋庭家が志太家を再び攻撃した時が家春の最期ぞ。儂は秋庭家と共に心中するなどまっぴら御免じゃ。」
幸盛は不気味な笑み浮かべて一人呟いていた。
直後、大名である柳幸盛に発見されて戦闘状態に陥るかに思われた。
しかし、宗重が事前に家春より渡された柳華と呼ばれる脇差を幸盛に見せると幸盛は落ち着きを取り戻していた。
幸盛
「さぁ、早く申してみよ。何故に儂を訪ねに参られたのじゃ。」
宗重
「はっ、それでは申し上げます。」
宗重は次のような内容を幸盛に伝えた。
秋庭家は柳家からの主命である立天野城の占領に成功したが、その後すぐに志太家からのお触れによって身動きが取れなくなっていたが故に柳家への報告が遅れた事のお詫び。
近いうちに秋庭家として全軍出撃を行い、志太家を徹底的に叩きのめす作戦を練っている事。
それによって志太家が混乱している隙を突いて柳家が参戦し、共に志太家を滅ぼす為に協力を願いたい事。
など、事が進めば柳家に対しては好機とも言える内容であった。
幸盛
「ほう、家春殿がそう申しておるとな。しかし、貴様のような胡散臭き忍びの言葉だけではどうも信用ならぬ。」
幸盛は再び刀に手をかけてそう言った。
宗重をこの場で斬り捨てようとしているような様子であった。
この様子に宗重は、間髪入れずに次なる行動へと移した。
宗重
「そう申されるのも無理はござらぬと思いまして、家春様からの書状もお預かりしております。幸盛殿は非常に用心深き御方であらせられる故、信じて頂けますようにこの書状をお書きになられたとの事にございます。」
そう言うと宗重は懐から一通の書状を取り出し、幸盛に渡した。
書状の内容は先程に宗重が伝えた内容が書かれており、家春直筆の署名もされていた。
この書状は、宗重が工作活動を開始する直前に家春自身が筆を取って書き記したものである。
幸盛
「うむ、この筆跡といい署名といい家春殿の物に間違いござらぬな。どうやら貴様の申す事は真であるようじゃな。」
幸盛は、その書状が家春によって書かれた物である事を理解すると刀にかけていた手を解き、真剣な目つきをした。
宗重
「幸盛殿、これでお分かりいただけましたでしょうか。家春様は打倒志太家に向けて動こうと準備をされております故、今しばらくお待ち頂きたく存じます。」
宗重は、納得しつつあった幸盛に対して言葉をかけていた。
幸盛
「それにしても家春殿は儂が怖いようじゃな。その怖さから逃れる為にわざわざ忍びにかような書状を持たせたのじゃからな。のう与五郎殿よ。」
幸盛は意地悪そうな顔をして宗重にそう言った。
主家である柳家に対して家春が必死に弁解を行っている様子が余りにも惨めで滑稽な物だと幸盛は感じていたようである。
宗重
「家春様は、主家である柳家に対する忠誠の心がございます故に此度の行動を起こされました事をお分かり頂きたく存じます。」
宗重は少し力強い口調で食い下がるように幸盛に言った。
幸盛
「ふん、口先だけでは何とでも言えるわ。まぁ家春殿の必死さに免じて此度の件は了承致そうかのう。ただし、失敗は許されぬという事を家春殿には重々伝えられよ。分かったか。」
幸盛は厳しい口調ではあったが、今回の件に関しては承諾をしているようであった。
宗重
「ははっ、ご了承を頂きました事を感謝致します。これで拙者も家春様に良き返事ができまする。それでは、失礼致します。」
幸盛の言葉に対して宗重は、深々と頭を下げて感謝の意を表していた。
そして宗重は、早々に消えるように天守を飛び出して行った。
幸盛
「ふふふ、どいつもこいつも馬鹿な奴らめ。秋庭家が志太家を再び攻撃した時が家春の最期ぞ。儂は秋庭家と共に心中するなどまっぴら御免じゃ。」
幸盛は不気味な笑み浮かべて一人呟いていた。
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