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第7章 天下分け目の大決戦編
04.志太家の決断
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さらに数日後、祐藤は三浦宮御所を訪れていた。
幕府の家臣たちによって謁見の間に通された祐藤は堂々たる態度であった。
やがて継晴が現れると、祐藤は畏まった様子で継晴に対して頭を下げた。
祐藤
「将軍守護職志太家 志太祐藤、只今参りました。」
非常に通った声ではっきりとそう祐藤が言う。
すると、継晴がすぐさまに祐藤に対して声をかけた。
継晴
「祐藤殿よ、よくぞ参られた。して、此度の書状の件はご決断なされましたかな?」
継晴は威圧感のある声で祐藤にそう言っていた。
これに対し祐藤は、少し間を置いた後に静かに口を開いた。
祐藤
「ははっ、我ら志太家及び配下の大名は皆、幕府の直轄地となる気は毛頭ございませぬ。」
志太家やそれに関連する大名家は、幕府の直轄地となる事を拒否するというのだ。
この意向を聞いた継晴は、少し眉をひそめた様子である。
継晴
「ほう、すると幕府への上納を続けられると申すか?」
高い上納金を納めるという選択肢を選んでまでしても幕府には従いたく無い、という志太家の意地の強さを継晴は感じているようであった。
すると、祐藤が続けて言った。
祐藤
「いえ、今後は上納も致しませぬ故にその旨を伝えるべく本日は参りました。」
どうやら祐藤は幕府から命ぜられた上納にも従わず、独自の道を歩むという意向のようである。
この祐藤による思いがけない返答に継晴は非常に驚いた。
そしてみるみるうちに険しい表情へと変わっていった。
継晴
「なんと、それは幕府に対して刃を向けるということを意味すると考えてよろしいのじゃな?」
継晴は強い口調でそう言った。
祐藤
「そう思われるのであらば是非に及ばず。」
祐藤は冷静な様子でその一言だけ答えた。
継晴
「あくまでも我が幕府に従うつもりは無いと申すか…」
継晴は残念そうな様子であった。
すると祐藤は、堂々たる態度で継晴に対して吐き捨てるように言った。
祐藤
「お言葉ですが、今の幕府のままであらば戦の無き泰平の世が訪れることはございませぬ。従って、かような幕府は無用の長物かと存じます。」
祐藤は、三浦幕府による天下では戦乱の世を終わらせる事は出来ないという率直な意見を包む事無く継晴に対してぶつけていた。
それは、三浦家が存在している限りは泰平の世が来ないという事を暗に示しているかのような言い回しであった。
継晴
「何じゃと?我が幕府と余を侮辱するつもりか!この無礼者め!」
継晴は激昂した様子で祐藤に対して怒鳴っていた。
刀があれば今にも祐藤を斬り捨てんばかりの表情であった。
しかし、そのような状態であろうとも祐藤は動じずどっしりと構えていた。
祐藤
「本当のことを申したまでにございます。」
終始冷静な表情で祐藤は継晴に対してそう言った。
継晴
「そうか、良く分かったわい。今後はお主らを幕府の討伐対象と致す故、覚悟しておくが良い。」
継晴もまた、祐藤に対して吐き捨てるようにそう言った。
その言葉には、幕府として武力行使も辞さないという覚悟が見られる。
祐藤
「では、拙者はこれにて失礼致します。次は戦場でお会いすることとなりましょうぞ。」
祐藤はそう言うと継晴に対して軽く礼をした後に謁見の間を後にした。
継晴や家臣たちは皆、強張った表情で祐藤を見送っていた。
義政
「どうやら拙者が睨んだ通り、志太家は最初から我が幕府を滅ぼすつもりでござったようですな…」
予感が見事に的中していた義政は、やはりな…といった表情を見せた。
同時に、かつては将軍守護職を与えられるなどして幕府からの信頼を得ていたが、それも上辺だけであったという事実に義政は複雑な心境であった。
継晴
「謀叛者に最早容赦は不要。こうなれば志太家を滅ぼしてくれようぞ。」
継晴は興奮した様子であった。
幕府の家臣たちによって謁見の間に通された祐藤は堂々たる態度であった。
やがて継晴が現れると、祐藤は畏まった様子で継晴に対して頭を下げた。
祐藤
「将軍守護職志太家 志太祐藤、只今参りました。」
非常に通った声ではっきりとそう祐藤が言う。
すると、継晴がすぐさまに祐藤に対して声をかけた。
継晴
「祐藤殿よ、よくぞ参られた。して、此度の書状の件はご決断なされましたかな?」
継晴は威圧感のある声で祐藤にそう言っていた。
これに対し祐藤は、少し間を置いた後に静かに口を開いた。
祐藤
「ははっ、我ら志太家及び配下の大名は皆、幕府の直轄地となる気は毛頭ございませぬ。」
志太家やそれに関連する大名家は、幕府の直轄地となる事を拒否するというのだ。
この意向を聞いた継晴は、少し眉をひそめた様子である。
継晴
「ほう、すると幕府への上納を続けられると申すか?」
高い上納金を納めるという選択肢を選んでまでしても幕府には従いたく無い、という志太家の意地の強さを継晴は感じているようであった。
すると、祐藤が続けて言った。
祐藤
「いえ、今後は上納も致しませぬ故にその旨を伝えるべく本日は参りました。」
どうやら祐藤は幕府から命ぜられた上納にも従わず、独自の道を歩むという意向のようである。
この祐藤による思いがけない返答に継晴は非常に驚いた。
そしてみるみるうちに険しい表情へと変わっていった。
継晴
「なんと、それは幕府に対して刃を向けるということを意味すると考えてよろしいのじゃな?」
継晴は強い口調でそう言った。
祐藤
「そう思われるのであらば是非に及ばず。」
祐藤は冷静な様子でその一言だけ答えた。
継晴
「あくまでも我が幕府に従うつもりは無いと申すか…」
継晴は残念そうな様子であった。
すると祐藤は、堂々たる態度で継晴に対して吐き捨てるように言った。
祐藤
「お言葉ですが、今の幕府のままであらば戦の無き泰平の世が訪れることはございませぬ。従って、かような幕府は無用の長物かと存じます。」
祐藤は、三浦幕府による天下では戦乱の世を終わらせる事は出来ないという率直な意見を包む事無く継晴に対してぶつけていた。
それは、三浦家が存在している限りは泰平の世が来ないという事を暗に示しているかのような言い回しであった。
継晴
「何じゃと?我が幕府と余を侮辱するつもりか!この無礼者め!」
継晴は激昂した様子で祐藤に対して怒鳴っていた。
刀があれば今にも祐藤を斬り捨てんばかりの表情であった。
しかし、そのような状態であろうとも祐藤は動じずどっしりと構えていた。
祐藤
「本当のことを申したまでにございます。」
終始冷静な表情で祐藤は継晴に対してそう言った。
継晴
「そうか、良く分かったわい。今後はお主らを幕府の討伐対象と致す故、覚悟しておくが良い。」
継晴もまた、祐藤に対して吐き捨てるようにそう言った。
その言葉には、幕府として武力行使も辞さないという覚悟が見られる。
祐藤
「では、拙者はこれにて失礼致します。次は戦場でお会いすることとなりましょうぞ。」
祐藤はそう言うと継晴に対して軽く礼をした後に謁見の間を後にした。
継晴や家臣たちは皆、強張った表情で祐藤を見送っていた。
義政
「どうやら拙者が睨んだ通り、志太家は最初から我が幕府を滅ぼすつもりでござったようですな…」
予感が見事に的中していた義政は、やはりな…といった表情を見せた。
同時に、かつては将軍守護職を与えられるなどして幕府からの信頼を得ていたが、それも上辺だけであったという事実に義政は複雑な心境であった。
継晴
「謀叛者に最早容赦は不要。こうなれば志太家を滅ぼしてくれようぞ。」
継晴は興奮した様子であった。
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