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第7章 天下分け目の大決戦編
15.国米の戦い(7)
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国米の戦いも中盤に差し掛かった頃、大きな動きが見られた。
それは、大月長包の突然の裏切りである。
幕府軍へと寝返った長包の軍勢は、一斉に祐藤のいる軍勢に向けて矢の雨を浴びせていた。
★現在の戦況
志太・口羽連合軍(総兵数 8,000人)
志太軍
計 4,000人
口羽軍
計 4,000人
堀内・幕府・鳥居・大月連合軍(総兵数 14,000人)
堀内軍
堀内家総大将「堀内 為永」
計 3,000人
幕府軍
三浦幕府総大将「三浦 継晴」
三浦幕府武将「黒松 義成」
計 4,500人
鳥居軍
鳥居家総大将「鳥居 景綱」
計 4,500人
大月軍
大月家総大将「大月 長包」
計 2,000人
開戦時は優勢であった志太連合軍は、幕府による援軍や鳥居景綱による参戦、そして大月長包の寝返りによって一気に不利な状況に陥っていた。
兵数では志太連合軍の半分にも満たない堀内軍がわずか数刻で強大な軍勢へと変化を遂げた瞬間である。
祐藤
「お前たちよ、慌てるでない!我ら志太家は天下を統べる為にここまで来たのじゃ。こんな所で負けるわけにはいかぬ!」
祐藤は、長包の攻撃を受けた事で混乱しつつある軍勢を鼓舞すべく大声でそう叫んだ。
その一方で長包は、祐藤に対して冷静な口調で言った。
長包
「流石の祐藤殿もこれほどの軍勢に囲まれては手も足も出ぬでしょう。さぁ、早う降参されよ。」
長包は余裕そうな表情をしていた。
その様子を見た崇数は、顔を真っ赤にして長包を睨みつけた。
崇数
「幕府の犬に成り下がった愚か者めが何を申すか!貴様、見損なったぞ!」
崇数は長包に痛烈な罵声を浴びせていた。
長包
「ふっ、弱き者の言葉など心には響きませぬな。まぁ、せいぜい吠えておくが良いわ。」
長包はそう言うと志太連合軍に対して静かに抜いた刀を向けた。
長包
「我が大月軍に告ぐ!直ちに志太祐藤及び口羽崇数、志太祐宗の首を取るのじゃ!さすれば我らは副将軍家としての輝かしい栄光を手にすることができようぞ!」
声が枯れるほどの叫びが長包から発せられた。
すると、大月軍は志太連合軍に対して一斉に突撃し始めた。
地位や名誉に目がくらんだ時、人は鬼の如く強き力を発揮すると言う。
今の大月軍がまさにその通りと言っても良いであろう。
長包の号令で勢いを増した大月軍の猛攻は、最早誰にも止められなかった。
この攻撃により志太連合軍は一人、また一人と次々に倒されていった。
やがて志太連合軍の軍勢の士気は著しく低下し、開戦時の覇気は完全に失いつつあった。
次の攻撃が来れば本陣は間違い無く陥落するであろう。
そう悟った祐藤は静かに口を開いた。
祐藤
「最早これまでか…どうやら儂は天下を取れぬようじゃったな…」
祐藤は覚悟を決めた様子であった。
崇数
「祐藤様、何を弱気なことを申されますか!かような軍勢など蹴散らしてしまいましょうぞ!」
崇数は弱気な祐藤に対して声を張り上げて言った。
祐藤
「もうよい、どうあがいても我が軍の負けじゃ…儂が天下を統べた後には祐宗、お前に将軍になってもらうつもりじゃったが、それももう叶わぬ…」
祐宗
「父上…」
祐宗の目には涙がこぼれようとしていた。
一方、大月軍の軍勢では長包自身が志太軍の本陣へ出撃する支度をしていた。
長包
「さて、そろそろ大詰めじゃな。どれ、三人の最期の顔でも拝みに参らせてもらおうかの。」
長包は、祐藤らの最期に付き添う事で彼らや過去の自分との決別を行おうと考えていた。
主君に対して刃を向けた不忠者が見せるせめてもの償いのつもりであろうか。
長包は志太軍の本陣へと馬を進めた。
その時である。
突然、長包の軍勢を目掛けて大量の火矢が降り注いだ。
辺りはたちまち火の海と化し、大月軍は混乱し始めた。
火矢が射られた方角を見ると大量の軍勢がいた。
さらにその中には、大馬に跨る一際目立った大柄の男が構えているのが分かった。
男は軍勢に向けて言った。
「仮にも幕府の将軍様ともあろうお方がよってたかっていじめを仕掛けるなど言語道断にござる!」
男は、今回の幕府による戦のやり方に対して不満がある事を口にしていた。
そして続いて男は、祐藤の方を向いて言った。
「祐藤殿よ、お主はかような場所で死すべき者ではござらぬぞ!」
男は涼しげな顔をしていた。
それは、大月長包の突然の裏切りである。
幕府軍へと寝返った長包の軍勢は、一斉に祐藤のいる軍勢に向けて矢の雨を浴びせていた。
★現在の戦況
志太・口羽連合軍(総兵数 8,000人)
志太軍
計 4,000人
口羽軍
計 4,000人
堀内・幕府・鳥居・大月連合軍(総兵数 14,000人)
堀内軍
堀内家総大将「堀内 為永」
計 3,000人
幕府軍
三浦幕府総大将「三浦 継晴」
三浦幕府武将「黒松 義成」
計 4,500人
鳥居軍
鳥居家総大将「鳥居 景綱」
計 4,500人
大月軍
大月家総大将「大月 長包」
計 2,000人
開戦時は優勢であった志太連合軍は、幕府による援軍や鳥居景綱による参戦、そして大月長包の寝返りによって一気に不利な状況に陥っていた。
兵数では志太連合軍の半分にも満たない堀内軍がわずか数刻で強大な軍勢へと変化を遂げた瞬間である。
祐藤
「お前たちよ、慌てるでない!我ら志太家は天下を統べる為にここまで来たのじゃ。こんな所で負けるわけにはいかぬ!」
祐藤は、長包の攻撃を受けた事で混乱しつつある軍勢を鼓舞すべく大声でそう叫んだ。
その一方で長包は、祐藤に対して冷静な口調で言った。
長包
「流石の祐藤殿もこれほどの軍勢に囲まれては手も足も出ぬでしょう。さぁ、早う降参されよ。」
長包は余裕そうな表情をしていた。
その様子を見た崇数は、顔を真っ赤にして長包を睨みつけた。
崇数
「幕府の犬に成り下がった愚か者めが何を申すか!貴様、見損なったぞ!」
崇数は長包に痛烈な罵声を浴びせていた。
長包
「ふっ、弱き者の言葉など心には響きませぬな。まぁ、せいぜい吠えておくが良いわ。」
長包はそう言うと志太連合軍に対して静かに抜いた刀を向けた。
長包
「我が大月軍に告ぐ!直ちに志太祐藤及び口羽崇数、志太祐宗の首を取るのじゃ!さすれば我らは副将軍家としての輝かしい栄光を手にすることができようぞ!」
声が枯れるほどの叫びが長包から発せられた。
すると、大月軍は志太連合軍に対して一斉に突撃し始めた。
地位や名誉に目がくらんだ時、人は鬼の如く強き力を発揮すると言う。
今の大月軍がまさにその通りと言っても良いであろう。
長包の号令で勢いを増した大月軍の猛攻は、最早誰にも止められなかった。
この攻撃により志太連合軍は一人、また一人と次々に倒されていった。
やがて志太連合軍の軍勢の士気は著しく低下し、開戦時の覇気は完全に失いつつあった。
次の攻撃が来れば本陣は間違い無く陥落するであろう。
そう悟った祐藤は静かに口を開いた。
祐藤
「最早これまでか…どうやら儂は天下を取れぬようじゃったな…」
祐藤は覚悟を決めた様子であった。
崇数
「祐藤様、何を弱気なことを申されますか!かような軍勢など蹴散らしてしまいましょうぞ!」
崇数は弱気な祐藤に対して声を張り上げて言った。
祐藤
「もうよい、どうあがいても我が軍の負けじゃ…儂が天下を統べた後には祐宗、お前に将軍になってもらうつもりじゃったが、それももう叶わぬ…」
祐宗
「父上…」
祐宗の目には涙がこぼれようとしていた。
一方、大月軍の軍勢では長包自身が志太軍の本陣へ出撃する支度をしていた。
長包
「さて、そろそろ大詰めじゃな。どれ、三人の最期の顔でも拝みに参らせてもらおうかの。」
長包は、祐藤らの最期に付き添う事で彼らや過去の自分との決別を行おうと考えていた。
主君に対して刃を向けた不忠者が見せるせめてもの償いのつもりであろうか。
長包は志太軍の本陣へと馬を進めた。
その時である。
突然、長包の軍勢を目掛けて大量の火矢が降り注いだ。
辺りはたちまち火の海と化し、大月軍は混乱し始めた。
火矢が射られた方角を見ると大量の軍勢がいた。
さらにその中には、大馬に跨る一際目立った大柄の男が構えているのが分かった。
男は軍勢に向けて言った。
「仮にも幕府の将軍様ともあろうお方がよってたかっていじめを仕掛けるなど言語道断にござる!」
男は、今回の幕府による戦のやり方に対して不満がある事を口にしていた。
そして続いて男は、祐藤の方を向いて言った。
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男は涼しげな顔をしていた。
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