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第7章 天下分け目の大決戦編
16.国米の戦い(8)
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大月長包による突如の寝返りにより、志太連合軍は大混乱に陥った。
形勢は一気に堀内連合軍が有利となり、志太連合軍は壊滅寸前の状態に追い込まれていた。
だがその時、長包の軍勢に向けて大量の火矢が放たれた。
不意の攻撃を受けた大月軍は混乱し始めていた。
そこには、大柄な一人の男が大軍を率いて攻撃を仕掛ける姿があった。
祐藤
「何じゃ、一体何が起きたというのじゃ。」
この突然の事態に祐藤は状況が良く飲み込めていなかった。
すると、大軍を率いた一人の男が祐藤に対して言った。
「お主らの助太刀に参った。安心いたせ。」
男はそう言うと自らの顔を祐藤たちに向けて晒した。
崇冬
「ま、まさか…いや、そんなはずは…そなたは確か…」
崇冬は言葉を詰まらせていた。
「そのまさかじゃ。崇冬殿、お久しゅうございますな。この木内政豊、地獄より舞い戻った!」
男は、先の柳城攻めにおいて崇冬と壮絶な戦いを繰り広げた木内政豊であった。
崇冬
「政豊殿、そなたは拙者の攻撃を受けて亡くなったのではござらぬか…」
崇冬は信じられぬ様子である。
まさか、自身の手によって殺めた政豊は成仏できずに亡霊としてこの場に現れたのであろうか。
崇冬は、もののけや妖怪の類いの存在に関して否定的であったが、この時ばかりはその存在を信じずにはいられなかった。
政豊
「うむ、まぁその後に色々ござってな。」
政豊は真剣な表情をしていた。
政豊は、柊軍との戦いで柳城下の監獄において秋庭軍に奇襲を仕掛けた。
そこで野戦に秀でた才能を存分に発揮し、秋庭軍を壊滅寸前までに追い込んだ。
だが、後に崇冬の援軍によって形勢は逆転する。
最終的に政豊は崇冬の反撃を受けた事によって致命傷を負い、討死した。
その後、崇冬の計らいによって遺体は部下たちに引き取らさせて手厚く葬る事を提案し、それに従う。
そうして、部下たちと共に政豊の遺体が木内家の館に到着したその時である。
何と、死んだと思われていた政豊が息を吹き返したのである。
これには部下たちはたいそう驚き、また政豊の復活を心より喜んだ。
その後、政豊は自らの身分を偽って木内家に復帰した。
これは、政豊が復活したという情報が志太家に知られた事でさらなる追討ちをかけられるのではないか、という危惧があったからと言われている。
それ故に、木内家はこの十数年間に目立った活動を行わずに身を潜めるように過ごしていた。
やがて時は流れ、幕府が志太家を討伐対象とするという情報が政豊の耳にも入ってきた。
かつては刀を交えて戦ったという縁からか、祐藤は志太家に対して特別な気持ちを持つようになる。
そして、強大な勢力である事に鼻をかけて各国に横柄な態度を取るという幕府の姿勢にも疑問を抱いているようであった。
政豊はこれらの想いから、志太家に助太刀する事をこの時に決意したという。
そうした経緯があり、木内軍としてこの国米の地に現れたのである。
祐藤
「そなたが木内政豊殿にござるか。話は崇冬から色々と聞いておったが、まさか会えるとは思わなんだわい。」
祐藤は驚きながらも嬉しい気持ちであった。
すると政豊は、そんな祐藤の言葉を遮って言った。
政豊
「祐藤殿、今はかような下らぬ話をすべきではござらん。いかにしてこの危機を乗り越えるかのみを考えられよ。」
政豊は祐藤に対して戒めの言葉を発していた。
さらに政豊が続けて言った。
政豊
「これより、志太軍の殿は儂が務めさせていただく。祐藤殿らはその隙に退却せよ。良いな。」
何と、政豊率いる木内軍の軍勢が殿を務めるというのだ。
・殿(しんがり)
一番後ろ。最後。
「―に控える」。本来は、軍が退く時、最後尾にあって、追って来る敵を防ぐこと。またその部隊。
(google検索より)
殿は、戦において退却するうえで非常に重要な役割を果たしていたという。
それ故に敵軍の攻撃を集中して受ける事となり、任務を遂行するには多大な危険が伴う。
今回、政豊はその危険な役を自ら買って出たのである。
祐藤
「承知した。政豊殿よ、感謝いたす。では、また後ほどお互いに生きて会おうではないか。それまでは死ぬでないぞ。」
祐藤は政豊に対して感謝の言葉を述べた。
政豊自身の身も案じてからか、不安気な表情を浮かべている。
崇冬
「政豊殿、この恩は必ずやお返しいたしますぞ。」
崇冬は政豊に深々と頭を下げてそう言った。
同時に、かつて敵であった者に救われるなどという事態に少し戸惑っている様子が見られた。
政豊
「それよりもお主らの命を大切にいたせ。儂は地獄から戻った身。そう簡単には死なぬわ!」
政豊の笑い声は、国米の地に大きく響き渡っていた。
形勢は一気に堀内連合軍が有利となり、志太連合軍は壊滅寸前の状態に追い込まれていた。
だがその時、長包の軍勢に向けて大量の火矢が放たれた。
不意の攻撃を受けた大月軍は混乱し始めていた。
そこには、大柄な一人の男が大軍を率いて攻撃を仕掛ける姿があった。
祐藤
「何じゃ、一体何が起きたというのじゃ。」
この突然の事態に祐藤は状況が良く飲み込めていなかった。
すると、大軍を率いた一人の男が祐藤に対して言った。
「お主らの助太刀に参った。安心いたせ。」
男はそう言うと自らの顔を祐藤たちに向けて晒した。
崇冬
「ま、まさか…いや、そんなはずは…そなたは確か…」
崇冬は言葉を詰まらせていた。
「そのまさかじゃ。崇冬殿、お久しゅうございますな。この木内政豊、地獄より舞い戻った!」
男は、先の柳城攻めにおいて崇冬と壮絶な戦いを繰り広げた木内政豊であった。
崇冬
「政豊殿、そなたは拙者の攻撃を受けて亡くなったのではござらぬか…」
崇冬は信じられぬ様子である。
まさか、自身の手によって殺めた政豊は成仏できずに亡霊としてこの場に現れたのであろうか。
崇冬は、もののけや妖怪の類いの存在に関して否定的であったが、この時ばかりはその存在を信じずにはいられなかった。
政豊
「うむ、まぁその後に色々ござってな。」
政豊は真剣な表情をしていた。
政豊は、柊軍との戦いで柳城下の監獄において秋庭軍に奇襲を仕掛けた。
そこで野戦に秀でた才能を存分に発揮し、秋庭軍を壊滅寸前までに追い込んだ。
だが、後に崇冬の援軍によって形勢は逆転する。
最終的に政豊は崇冬の反撃を受けた事によって致命傷を負い、討死した。
その後、崇冬の計らいによって遺体は部下たちに引き取らさせて手厚く葬る事を提案し、それに従う。
そうして、部下たちと共に政豊の遺体が木内家の館に到着したその時である。
何と、死んだと思われていた政豊が息を吹き返したのである。
これには部下たちはたいそう驚き、また政豊の復活を心より喜んだ。
その後、政豊は自らの身分を偽って木内家に復帰した。
これは、政豊が復活したという情報が志太家に知られた事でさらなる追討ちをかけられるのではないか、という危惧があったからと言われている。
それ故に、木内家はこの十数年間に目立った活動を行わずに身を潜めるように過ごしていた。
やがて時は流れ、幕府が志太家を討伐対象とするという情報が政豊の耳にも入ってきた。
かつては刀を交えて戦ったという縁からか、祐藤は志太家に対して特別な気持ちを持つようになる。
そして、強大な勢力である事に鼻をかけて各国に横柄な態度を取るという幕府の姿勢にも疑問を抱いているようであった。
政豊はこれらの想いから、志太家に助太刀する事をこの時に決意したという。
そうした経緯があり、木内軍としてこの国米の地に現れたのである。
祐藤
「そなたが木内政豊殿にござるか。話は崇冬から色々と聞いておったが、まさか会えるとは思わなんだわい。」
祐藤は驚きながらも嬉しい気持ちであった。
すると政豊は、そんな祐藤の言葉を遮って言った。
政豊
「祐藤殿、今はかような下らぬ話をすべきではござらん。いかにしてこの危機を乗り越えるかのみを考えられよ。」
政豊は祐藤に対して戒めの言葉を発していた。
さらに政豊が続けて言った。
政豊
「これより、志太軍の殿は儂が務めさせていただく。祐藤殿らはその隙に退却せよ。良いな。」
何と、政豊率いる木内軍の軍勢が殿を務めるというのだ。
・殿(しんがり)
一番後ろ。最後。
「―に控える」。本来は、軍が退く時、最後尾にあって、追って来る敵を防ぐこと。またその部隊。
(google検索より)
殿は、戦において退却するうえで非常に重要な役割を果たしていたという。
それ故に敵軍の攻撃を集中して受ける事となり、任務を遂行するには多大な危険が伴う。
今回、政豊はその危険な役を自ら買って出たのである。
祐藤
「承知した。政豊殿よ、感謝いたす。では、また後ほどお互いに生きて会おうではないか。それまでは死ぬでないぞ。」
祐藤は政豊に対して感謝の言葉を述べた。
政豊自身の身も案じてからか、不安気な表情を浮かべている。
崇冬
「政豊殿、この恩は必ずやお返しいたしますぞ。」
崇冬は政豊に深々と頭を下げてそう言った。
同時に、かつて敵であった者に救われるなどという事態に少し戸惑っている様子が見られた。
政豊
「それよりもお主らの命を大切にいたせ。儂は地獄から戻った身。そう簡単には死なぬわ!」
政豊の笑い声は、国米の地に大きく響き渡っていた。
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