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第7章 天下分け目の大決戦編
67.三浦宮御所の戦い(20)
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志太連合軍に政豊率いる木内軍が加わった事により、兵の勢いは更に増した。
そして次々と幕府軍の兵たちを倒していき、ついには御所付近にまで兵を進めるにまで至った。
祐永
「それにしても、先刻までは敵として戦っておった者に案内されるとはな…戦とは、真に思いもよらぬことが起きるものよのぅ…」
祐永は政豊と共に行動する事を不思議に思っていた。
すると、祐宗が祐永に対して言う。
祐宗
「どうやら父上が上手く政豊殿を説得されたようじゃな。いずれにせよ我が軍は持ち直したわい…」
祐宗は、自軍壊滅の危機を祐藤の政豊に対する説得で回避出来た事に安堵の表情を浮かべていた。
同時に父である祐藤の逆境に立ち向かう姿勢に改めて感服させられていた。
幕府軍の兵たちは志太連合軍の猛攻を受けた事により、士気は著しく低下していた。
そうして戦意も次第に喪失しつつある幕府軍を見ながら政豊が言う。
政豊
「幕府の者どもは我らの兵を見て怖気づいたようじゃな。では、このまま御所に突っ込んで継晴の首を取りに行くとするかね。」
政豊は活き活きとした表情であった。
しかし、祐宗は顔をしかめて政豊を制止しながら言う。
祐宗
「継晴はいくら暗愚とは言えど、国を束ねし歴代将軍の血を引く者にござる。それ故、油断されると足元をすくわれる恐れも十分に有り得ますぞ。」
三浦家は、数百年も続く幕府の頂点に立つ将軍家である。
代を重ねる毎にその権威は薄れつつあるのが今日の現状ではあるが、それでも幕府を開くという偉業を成し遂げた始祖の血が流れている事は紛れもない事実。
継晴も今この場で祖先より受け継がれし能力が覚醒されてもおかしくは無いのだ。
祐宗のその言葉を聞いた政豊は笑い飛ばした後に言う。
政豊
「なぁに、心配は無かろう。今や幕府に味方する者はほとんどおらぬではないか。かような状態で一体何が出来ようというのじゃ。」
確かに現在の三浦幕府の味方は、縁戚や譜代など古くより幕府に縁のある者などしか居ない状況である。
しかし、そういった境遇であっても幕府から離れていく者たちも少なくは無かったという。
まさに四面楚歌の状態と言っても良いであろう。
祐永
「人望無き将は恐るるに足らず、と申したいようじゃな。しかし、かような将にはなりたく無いものよな…」
祐永はそう呟いていた。
志太家による脅威を感じた事によって降伏せざるを得ないと判断した結果の離反も原因の一つだ。
しかし、それ以上に将軍である継晴に人望が無かった事が決定的な原因と言っても良いであろう。
継晴と言う一人の将軍の失態によって幕府は滅亡寸前にまで追い込まれている…
一方、御所内では幕府軍の兵たちの士気低下によって全軍壊滅の危機に瀕している事を悟った義久が口を開く。
義久
「継晴様!このままでは我らの兵が志太軍にやられてしまいますぞ!」
継晴
「む…志太軍どもに恐れをなして固まっておるというのか…真に情けない奴らよ…」
継晴は戦意が喪失しつつある幕府軍の兵たちに対して不満の声を述べていた。
すると、その場にいた教晴が継晴に対して声を上げる。
教晴
「父上!ここは拙者が人質の監視を行い、兵たちの逃亡を防ごうかと思いまする。どうか拙者にその役をお申し付けくださいませ!」
教晴は御所内に囚われている人質の監視役を自身に任せてくれと懇願した。
これは今回の戦の前において義久と密談していた通り、最終的には継晴を追い詰める策を実行する為の準備である。
あくまでも本来の目的は幕府軍の兵たちの寝返りの助長であって、逃亡の阻止では無いのだ。
継晴はそんな教晴の腹の中などつゆ知らず嬉しそうな表情をして言う。
継晴
「おぉ!流石は余の息子じゃ。兵を逃さぬ策じゃな。真に良き策である。よし、それでは人質の監視を教晴に申し付ける!頼んだぞ!」
人質を上手く利用する事で兵の統率を図る。
継晴は、この非人道的とも言える卑劣な策を口にした教晴を褒めていた。
そしてその事に気分を良くしたのか、すぐさまに教晴へ主命を言い渡していた。
この事が後の幕府の運命を大きく分ける事になろうとは継晴は知る良しも無かった…
教晴
「ははっ!それでは早急にことを進めさせていただきますぞ!」
教晴は急いだ様子を見せてその場を立ち去ろうとしていた。
すると、義久が弱々しい表情で教晴に対して小さな声を上げる。
義久
「教晴様…よろしくお願いいたします…」
教晴は義久に近寄ると、小声で義久に対して耳打ちをした。
教晴
「義久、もう少しの辛抱ぞ。必ずや余が人質を全員救出いたす。人質の安全が保証されたその時が父上の…継晴の最期ぞ。」
教晴は真剣な目つきをしていた。
そして次々と幕府軍の兵たちを倒していき、ついには御所付近にまで兵を進めるにまで至った。
祐永
「それにしても、先刻までは敵として戦っておった者に案内されるとはな…戦とは、真に思いもよらぬことが起きるものよのぅ…」
祐永は政豊と共に行動する事を不思議に思っていた。
すると、祐宗が祐永に対して言う。
祐宗
「どうやら父上が上手く政豊殿を説得されたようじゃな。いずれにせよ我が軍は持ち直したわい…」
祐宗は、自軍壊滅の危機を祐藤の政豊に対する説得で回避出来た事に安堵の表情を浮かべていた。
同時に父である祐藤の逆境に立ち向かう姿勢に改めて感服させられていた。
幕府軍の兵たちは志太連合軍の猛攻を受けた事により、士気は著しく低下していた。
そうして戦意も次第に喪失しつつある幕府軍を見ながら政豊が言う。
政豊
「幕府の者どもは我らの兵を見て怖気づいたようじゃな。では、このまま御所に突っ込んで継晴の首を取りに行くとするかね。」
政豊は活き活きとした表情であった。
しかし、祐宗は顔をしかめて政豊を制止しながら言う。
祐宗
「継晴はいくら暗愚とは言えど、国を束ねし歴代将軍の血を引く者にござる。それ故、油断されると足元をすくわれる恐れも十分に有り得ますぞ。」
三浦家は、数百年も続く幕府の頂点に立つ将軍家である。
代を重ねる毎にその権威は薄れつつあるのが今日の現状ではあるが、それでも幕府を開くという偉業を成し遂げた始祖の血が流れている事は紛れもない事実。
継晴も今この場で祖先より受け継がれし能力が覚醒されてもおかしくは無いのだ。
祐宗のその言葉を聞いた政豊は笑い飛ばした後に言う。
政豊
「なぁに、心配は無かろう。今や幕府に味方する者はほとんどおらぬではないか。かような状態で一体何が出来ようというのじゃ。」
確かに現在の三浦幕府の味方は、縁戚や譜代など古くより幕府に縁のある者などしか居ない状況である。
しかし、そういった境遇であっても幕府から離れていく者たちも少なくは無かったという。
まさに四面楚歌の状態と言っても良いであろう。
祐永
「人望無き将は恐るるに足らず、と申したいようじゃな。しかし、かような将にはなりたく無いものよな…」
祐永はそう呟いていた。
志太家による脅威を感じた事によって降伏せざるを得ないと判断した結果の離反も原因の一つだ。
しかし、それ以上に将軍である継晴に人望が無かった事が決定的な原因と言っても良いであろう。
継晴と言う一人の将軍の失態によって幕府は滅亡寸前にまで追い込まれている…
一方、御所内では幕府軍の兵たちの士気低下によって全軍壊滅の危機に瀕している事を悟った義久が口を開く。
義久
「継晴様!このままでは我らの兵が志太軍にやられてしまいますぞ!」
継晴
「む…志太軍どもに恐れをなして固まっておるというのか…真に情けない奴らよ…」
継晴は戦意が喪失しつつある幕府軍の兵たちに対して不満の声を述べていた。
すると、その場にいた教晴が継晴に対して声を上げる。
教晴
「父上!ここは拙者が人質の監視を行い、兵たちの逃亡を防ごうかと思いまする。どうか拙者にその役をお申し付けくださいませ!」
教晴は御所内に囚われている人質の監視役を自身に任せてくれと懇願した。
これは今回の戦の前において義久と密談していた通り、最終的には継晴を追い詰める策を実行する為の準備である。
あくまでも本来の目的は幕府軍の兵たちの寝返りの助長であって、逃亡の阻止では無いのだ。
継晴はそんな教晴の腹の中などつゆ知らず嬉しそうな表情をして言う。
継晴
「おぉ!流石は余の息子じゃ。兵を逃さぬ策じゃな。真に良き策である。よし、それでは人質の監視を教晴に申し付ける!頼んだぞ!」
人質を上手く利用する事で兵の統率を図る。
継晴は、この非人道的とも言える卑劣な策を口にした教晴を褒めていた。
そしてその事に気分を良くしたのか、すぐさまに教晴へ主命を言い渡していた。
この事が後の幕府の運命を大きく分ける事になろうとは継晴は知る良しも無かった…
教晴
「ははっ!それでは早急にことを進めさせていただきますぞ!」
教晴は急いだ様子を見せてその場を立ち去ろうとしていた。
すると、義久が弱々しい表情で教晴に対して小さな声を上げる。
義久
「教晴様…よろしくお願いいたします…」
教晴は義久に近寄ると、小声で義久に対して耳打ちをした。
教晴
「義久、もう少しの辛抱ぞ。必ずや余が人質を全員救出いたす。人質の安全が保証されたその時が父上の…継晴の最期ぞ。」
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