架空戦国伝

佐村孫千(サムラ マゴセン)

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第7章 天下分け目の大決戦編

68.三浦宮御所の戦い(21)

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志太連合軍の猛攻を受けた事により幕府軍の士気は著しく低下。
その結果、多くの兵たちの戦意が喪失されつつあった。

その様子を見た教晴は、御所内の人質の監視を強化する事を提案。
人質には多くの兵たちの家族が囚われている為、脅しを効かせて志太連合軍と戦わせる策とした。
しかしこの策は継晴に対しての表向きの目的であり、真の目的は人質を解放させて兵たちの寝返りを促す事にあった。

ほどなくして教晴は人質の捕えられている牢獄に到着。
辺りは継晴直属の兵たちが監獄の周りを警備していた。

教晴は兵たちに対して声をかける。

教晴
「お前たちよ、ご苦労であるな。」


「ははっ!これは教晴様!何か…御用にございますか?」

将軍の跡継ぎである教晴がこのような場所にわざわざ足を踏み入れに来た事に対して兵たちは非常に驚いた様子であった。
そして教晴が兵たちに対して説明を始めた。

教晴
「父上より御所内の人質を監視せよとの命により、今より余がこの場を守ることになった。」

教晴は、将軍である継晴の主命であることを強調していた。
そして続けて教晴が言う。

教晴
「我が幕府軍は志太軍に押されておる故、お前たちは父上の元へと急ぎ、志太軍との戦いに専念するのじゃ。良いな?」

教晴は神妙な表情をしていた。
その表情からは、少しでも多くの兵が志太軍と戦わなければ幕府軍は壊滅すると言った切羽詰まった状態である事を伝えているようである。


「それは…真にございますか?」

教晴の急な言葉に兵たちは困惑し始めた。
兵たちの数は、多く見積もってもせいぜい百あるかどうかである。
この場にいる兵たちが志太軍との戦いの前線に出たところで果たして勝機はあるのか。
など、少し腑に落ちない様子であった。

すると教晴は苛立った表情を見せて強い口調で兵たちに言った。

教晴
「えぇい!何をぐずぐずしておるか!余の申すことが分からぬのか?このままでは我が軍は壊滅してしまうというのじゃぞ!さぁ、急ぐのじゃ!」

普段は温厚で怒りの表情を見せない教晴が、この時ばかりは鬼のような形相をして声を荒らげていた。
その様子を見た兵たち皆が慌て出した。


「ははっ!大変失礼いたしました!それでは拙者たちは早急に継晴様の元へ参らせていただきます!」

そう言うと兵たちは移動を開始した。
牢獄の周りを囲っていた群れが一つの方角を目指して進んで行く。

やがて全ての兵たちが牢獄を去った事を確認した教晴が人質の方を向いて言う。

教晴
「さてと…そろそろ始めるとするか。」

教晴の声を聞いた人質たちは、恐怖に満ちた表情で体を震わせながら言う。

人質
「の、教晴様…私たちは殺されてしまうのでございましょうか?」

人質たちは、教晴のような将軍家の中でも身分の高い人間が直々にこの牢獄に赴くには何か意味があるのでは、と考えていた。
もしや、継晴が教晴に対して処刑を命じられてこの場に来たのでは無いか。
そう考えた人質たちは、絶望に満ちた表情をしていた。

すると、今まで神妙な顔つきをしていた教晴が突如笑顔を見せて人質たちに言う。

教晴
「安心いたせ、余はお前たちを殺めに参ったのではござらん。皆の者よ、この者たちの縄をほどいてあげよ!」

教晴直属の兵たちは牢獄の扉を開け、人質たちを縛っていた縄をほどき始めた。

人質
「教晴様?これは一体…どういうことにございますか?」

人質たちはきょとんとした顔で教晴にそう言った。

教晴
「余はお前たちを解放する機会を伺っておった。その機会が今、訪れたのじゃ。これでお前たちも家族の元へと帰られるぞ、喜ぶが良い!」

教晴は人質たちに対して笑顔を向けていた。
その瞬間、人質たちは先程と一転して希望の表情を見せ始める。

人質
「教晴様…ありがとうございます!ありがとうございます!」

人質たちは何度も何度も教晴に深々と頭を下げ、感謝の言葉を口にしていた。

教晴
「感謝するならば志太家の者たちにするが良い。今後はお前たちの良き領主様となってくれるであろう。志太将軍殿としてな…」

教晴は人質たちに対してそう言っていた。
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