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第7章 天下分け目の大決戦編
69.三浦宮御所の戦い(22)
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教晴の手により、御所内に囚われていた人質を解放。
全ての人質が牢獄から脱出した事を確認した教晴が一息ついた後に口を開く。
教晴
「よし、ではこの場で狼煙を上げて義久らに伝えるのじゃ。こたびの策は成功したとな。」
そう言うと教晴は火を付けて狼煙を上げた。
鮮やかな黄色い煙が御所からもくもくと立ち上り始める。
やがてその狼煙に気付いた義久が呟く。
義久
「むむっ、これは教晴様の狼煙…どうやら無事に策がなされたようにござるな。」
義久は兵たちに向けて声を上げる。
義久
「皆の者よ、よく聞け!直ちに志太軍への攻撃を止めるのじゃ!志太軍と戦ってはならぬ!」
志太軍と応戦していた兵たちは手を止めた。
そして続けて義久が言う。
義久
「これより戦うべき相手は志太軍にあらず。攻めるは三浦幕府将軍…継晴の軍勢にあるぞ!」
義久の言葉に兵たちは皆が耳を疑っていた。
主君である継晴に対して攻撃を仕掛けろと言うのであるから、無理は無いであろう。
兵
「しかし、義久様…かようなことをすれば…」
兵たちは皆、困惑した様子で言葉を詰まらせていた。
それもそのはず、義久ら直属の兵たちは家族が人質として囚えられているからである。
もし、主君である継晴に対して刃を向けるような事があれば間違いなく人質を見せしめとして処刑するであろう。
そんな兵たちが抱く不安を一蹴するかのように義久が言う。
義久
「御所内において人質として囚えられておった者たちは、今しがた教晴様によって解放された。それ故、何も案ずることはござらん!」
義久のその言葉を聞いた兵たちは、信じられないような表情をしていた。
兵
「義久様、それは…真のことにございますか…?」
兵たちは義久に対して思わずそう口にした。
すると義久は首を大きく縦に振り、真剣な眼差しを兵たちに向けて言う。
義久
「教晴様は、三浦幕府をここで終わらせて民たちを悪政から解放させようとしてくださっている。」
継晴による悪政が敷かれるようになってから、領民たちへの理不尽極まりない負担がかかっていた。
これが他の地方大名家の元であれば、領民たちが団結し合って一揆などを起こす事も難しくは無いであろう。
しかし、相手は天下を束ねる将軍だ。
それ故に不満の声すら上げる事はご法度とされ、領民たちはただひたすらに耐えるしか無かったのである。
そこで、将軍の世継である教晴が領民たちを救うべく立ち上がった。
先刻の人質の解放は、幕府を倒す為の一つの手段と言えよう。
兵たちは、義久のその言葉に嘘偽りが無い事を確信した様子である。
そして義久が改めて兵たちに対して言う。
義久
「良いか、皆の者よ!これよりは志太軍に味方し、幕府軍を倒してこの三浦宮の地の悪政を断つのじゃ!」
兵たちは大声を上げ、幕府軍に対して攻撃を始めた。
やがて、御所内の継晴がその異変に気付きかけている様子を見せた。
継晴
「何じゃ何じゃ、またしても騒々しいではないか。今度は一体何があったというのじゃ。」
すると、継晴直属の兵たちが慌てた様子で継晴の元へと駆け寄って来た。
兵
「継晴様!継晴様!申し上げます!義久様の軍勢が我らに対して攻撃を開始した模様にございます!」
その内容は、家臣である義久が突如として幕府軍に対して反旗を翻したと言うものである。
継晴
「な、何じゃと?!義久が志太軍に寝返ったというのか?!」
継晴は驚いた様子で目を見開きながら何度も兵たちに確認の言葉をかけていた。
兵
「はい…どうやらそのようにございます…」
兵たちは、義久が志太軍に寝返ったという事実を継晴に伝えるしか無かった。
継晴
「えぇい!どいつもこいつも余が与えし恩を仇で返すような真似をしおってからに!許さぬぞ!」
継晴は鬼のような形相で義久のいる方角を睨みつけて声を荒らげていた。
しばらくすると継晴が思い出したかのように口を開く。
継晴
「そうじゃ!あやつら軍勢の家族を人質に取っておろう。こうなれば、見せしめに人質どもを一人ずつ処刑するのじゃ!」
継晴は人質を盾にして脅しを効かし、義久の兵たちを鎮めさせようと考えていた。
しかし、兵たちは苦い表情をしながら継晴に対して口を開く。
兵
「そ、それが…牢獄は既にもぬけの殻となっているようにございますが…」
継晴
「な…なんじゃと…」
継晴は更に驚きの表情を見せていた。
全ての人質が牢獄から脱出した事を確認した教晴が一息ついた後に口を開く。
教晴
「よし、ではこの場で狼煙を上げて義久らに伝えるのじゃ。こたびの策は成功したとな。」
そう言うと教晴は火を付けて狼煙を上げた。
鮮やかな黄色い煙が御所からもくもくと立ち上り始める。
やがてその狼煙に気付いた義久が呟く。
義久
「むむっ、これは教晴様の狼煙…どうやら無事に策がなされたようにござるな。」
義久は兵たちに向けて声を上げる。
義久
「皆の者よ、よく聞け!直ちに志太軍への攻撃を止めるのじゃ!志太軍と戦ってはならぬ!」
志太軍と応戦していた兵たちは手を止めた。
そして続けて義久が言う。
義久
「これより戦うべき相手は志太軍にあらず。攻めるは三浦幕府将軍…継晴の軍勢にあるぞ!」
義久の言葉に兵たちは皆が耳を疑っていた。
主君である継晴に対して攻撃を仕掛けろと言うのであるから、無理は無いであろう。
兵
「しかし、義久様…かようなことをすれば…」
兵たちは皆、困惑した様子で言葉を詰まらせていた。
それもそのはず、義久ら直属の兵たちは家族が人質として囚えられているからである。
もし、主君である継晴に対して刃を向けるような事があれば間違いなく人質を見せしめとして処刑するであろう。
そんな兵たちが抱く不安を一蹴するかのように義久が言う。
義久
「御所内において人質として囚えられておった者たちは、今しがた教晴様によって解放された。それ故、何も案ずることはござらん!」
義久のその言葉を聞いた兵たちは、信じられないような表情をしていた。
兵
「義久様、それは…真のことにございますか…?」
兵たちは義久に対して思わずそう口にした。
すると義久は首を大きく縦に振り、真剣な眼差しを兵たちに向けて言う。
義久
「教晴様は、三浦幕府をここで終わらせて民たちを悪政から解放させようとしてくださっている。」
継晴による悪政が敷かれるようになってから、領民たちへの理不尽極まりない負担がかかっていた。
これが他の地方大名家の元であれば、領民たちが団結し合って一揆などを起こす事も難しくは無いであろう。
しかし、相手は天下を束ねる将軍だ。
それ故に不満の声すら上げる事はご法度とされ、領民たちはただひたすらに耐えるしか無かったのである。
そこで、将軍の世継である教晴が領民たちを救うべく立ち上がった。
先刻の人質の解放は、幕府を倒す為の一つの手段と言えよう。
兵たちは、義久のその言葉に嘘偽りが無い事を確信した様子である。
そして義久が改めて兵たちに対して言う。
義久
「良いか、皆の者よ!これよりは志太軍に味方し、幕府軍を倒してこの三浦宮の地の悪政を断つのじゃ!」
兵たちは大声を上げ、幕府軍に対して攻撃を始めた。
やがて、御所内の継晴がその異変に気付きかけている様子を見せた。
継晴
「何じゃ何じゃ、またしても騒々しいではないか。今度は一体何があったというのじゃ。」
すると、継晴直属の兵たちが慌てた様子で継晴の元へと駆け寄って来た。
兵
「継晴様!継晴様!申し上げます!義久様の軍勢が我らに対して攻撃を開始した模様にございます!」
その内容は、家臣である義久が突如として幕府軍に対して反旗を翻したと言うものである。
継晴
「な、何じゃと?!義久が志太軍に寝返ったというのか?!」
継晴は驚いた様子で目を見開きながら何度も兵たちに確認の言葉をかけていた。
兵
「はい…どうやらそのようにございます…」
兵たちは、義久が志太軍に寝返ったという事実を継晴に伝えるしか無かった。
継晴
「えぇい!どいつもこいつも余が与えし恩を仇で返すような真似をしおってからに!許さぬぞ!」
継晴は鬼のような形相で義久のいる方角を睨みつけて声を荒らげていた。
しばらくすると継晴が思い出したかのように口を開く。
継晴
「そうじゃ!あやつら軍勢の家族を人質に取っておろう。こうなれば、見せしめに人質どもを一人ずつ処刑するのじゃ!」
継晴は人質を盾にして脅しを効かし、義久の兵たちを鎮めさせようと考えていた。
しかし、兵たちは苦い表情をしながら継晴に対して口を開く。
兵
「そ、それが…牢獄は既にもぬけの殻となっているようにございますが…」
継晴
「な…なんじゃと…」
継晴は更に驚きの表情を見せていた。
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