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第8章 将軍への道程編
57.義継との交渉
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頼隆と宗重が十部国を目指し、険しい山道を超えるなどして三日ほどの日数が経った。
道中では外河家による襲撃を危惧していたが、何事も無く二人は十部国の領土に足を踏み入れた。
忍である宗重が同行していたという事もあってか、そうした危機を極限まで回避できたようである。
そうして頼隆らは十部城へ向かい、義継との面会を果たした。
頼隆
「義継殿、真にお久しゅうございます。外河頼隆、参りました。」
宗重
「お初にお目にかかります。拙者、志太家家臣 宮本宗重にございます。」
頼隆と宗重は義継に対して開口一番に挨拶の言葉を発した。
二人の挨拶に義継も言葉を返す。
義継
「これはこれは頼隆殿に宗重殿よ、よくぞ参られた。して、志太家の者が我ら十部家に対して何用にござるかな?」
すると宗重が答え始めた。
宗重
「こたびは、我ら志太家として義継殿にお頼み申したいことがございまして八光御所より参りました。」
志太家がわざわざ使者を差し出してまでしてこの十部国へと訪れている。
その理由が理解できない義継は、首をかしげながら言う。
義継
「ほう、頼みたきことと申すか。して、それはどのようなものにござるかな?」
頼隆
「はっ、それでは申し上げます…」
頼隆は真剣な眼差しを義継に向けて口を開き始める。
頼隆
「義継殿よ、我が志太家と手を組む気はございませぬか?」
義継
「なっ…何じゃと?頼隆殿よ、今何と申された?」
頼隆の言葉に義継は驚いた表情を見せ、もう一度聞き返そうとしていた。
すると再び頼隆が言う。
頼隆
「では、もう一度申します。我ら志太家は、十部家と同盟を結びたく存じます。義継殿、いかがにございますか?」
十部家と志太家が手を組む、すなわち同盟締結の提案だ。
今度は確かに頼隆がそう言っているという事を義継はようやく理解したようである。
これに対して義継はなおも驚いた様子で言葉を返す。
義継
「頼隆殿よ…自分が一体何を申されているかお分かりか?頼む相手を間違えているのではござらぬか?そうであろう?」
頼隆
「いいえ、先程に申したことに間違いはございませぬ。我ら志太家と十部家とで同盟を結びたいと確かに申しました。志太家と十部家で共に天下統一に向けてですな…」
頼隆のその言葉の途中を遮って義継が答える。
義継
「今や我ら十部家の者たちは外河家の人間ぞ。故にお主ら志太家とは敵同士にござる。こたびはそれを承知の上での頼みと申しておるのじゃな?」
現在の十部家は外河家の軍門に降り、事実上は外河家の家臣となっている。
にも関わらず、あろう事か敵国であり険悪な関係の志太家が手を結びたいと義継に申し出て来たのである。
これには頼隆は困惑した様子を見せ始める。
頼隆はそれに構わず平然とした態度で返答する。
頼隆
「無論にございます。外河家とは手を切り、今後は志太家の味方をしていただきたく存じます。」
義継
「つまりは、我らは外河家から離脱して志太家へ寝返れと申しておるというのか。う、うぅむ…何たる大胆な者たちじゃ…」
そう義継が言った後、皆が暫く沈黙状態となった。
やがて義継がため息をつきながら口を開く。
義継
「ふぅ…まぁ良い、わざわざ遠き所をはるばると訪ねに参られたことじゃろうし、話だけでも聞いてやろうではないか。詳しく申してみよ。」
義継は呆れた表情を見せていた。
道中では外河家による襲撃を危惧していたが、何事も無く二人は十部国の領土に足を踏み入れた。
忍である宗重が同行していたという事もあってか、そうした危機を極限まで回避できたようである。
そうして頼隆らは十部城へ向かい、義継との面会を果たした。
頼隆
「義継殿、真にお久しゅうございます。外河頼隆、参りました。」
宗重
「お初にお目にかかります。拙者、志太家家臣 宮本宗重にございます。」
頼隆と宗重は義継に対して開口一番に挨拶の言葉を発した。
二人の挨拶に義継も言葉を返す。
義継
「これはこれは頼隆殿に宗重殿よ、よくぞ参られた。して、志太家の者が我ら十部家に対して何用にござるかな?」
すると宗重が答え始めた。
宗重
「こたびは、我ら志太家として義継殿にお頼み申したいことがございまして八光御所より参りました。」
志太家がわざわざ使者を差し出してまでしてこの十部国へと訪れている。
その理由が理解できない義継は、首をかしげながら言う。
義継
「ほう、頼みたきことと申すか。して、それはどのようなものにござるかな?」
頼隆
「はっ、それでは申し上げます…」
頼隆は真剣な眼差しを義継に向けて口を開き始める。
頼隆
「義継殿よ、我が志太家と手を組む気はございませぬか?」
義継
「なっ…何じゃと?頼隆殿よ、今何と申された?」
頼隆の言葉に義継は驚いた表情を見せ、もう一度聞き返そうとしていた。
すると再び頼隆が言う。
頼隆
「では、もう一度申します。我ら志太家は、十部家と同盟を結びたく存じます。義継殿、いかがにございますか?」
十部家と志太家が手を組む、すなわち同盟締結の提案だ。
今度は確かに頼隆がそう言っているという事を義継はようやく理解したようである。
これに対して義継はなおも驚いた様子で言葉を返す。
義継
「頼隆殿よ…自分が一体何を申されているかお分かりか?頼む相手を間違えているのではござらぬか?そうであろう?」
頼隆
「いいえ、先程に申したことに間違いはございませぬ。我ら志太家と十部家とで同盟を結びたいと確かに申しました。志太家と十部家で共に天下統一に向けてですな…」
頼隆のその言葉の途中を遮って義継が答える。
義継
「今や我ら十部家の者たちは外河家の人間ぞ。故にお主ら志太家とは敵同士にござる。こたびはそれを承知の上での頼みと申しておるのじゃな?」
現在の十部家は外河家の軍門に降り、事実上は外河家の家臣となっている。
にも関わらず、あろう事か敵国であり険悪な関係の志太家が手を結びたいと義継に申し出て来たのである。
これには頼隆は困惑した様子を見せ始める。
頼隆はそれに構わず平然とした態度で返答する。
頼隆
「無論にございます。外河家とは手を切り、今後は志太家の味方をしていただきたく存じます。」
義継
「つまりは、我らは外河家から離脱して志太家へ寝返れと申しておるというのか。う、うぅむ…何たる大胆な者たちじゃ…」
そう義継が言った後、皆が暫く沈黙状態となった。
やがて義継がため息をつきながら口を開く。
義継
「ふぅ…まぁ良い、わざわざ遠き所をはるばると訪ねに参られたことじゃろうし、話だけでも聞いてやろうではないか。詳しく申してみよ。」
義継は呆れた表情を見せていた。
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