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王子様は策略中
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カレンが城へ来て一週間がすぎた夜のことだった。
リチャードとともに食事を取り、湯あみを終えてベッドに横になっていると、コンコンと内扉を叩く音がしてカレンは目を開けた。
夜着の上にショールを羽織って、鍵をあけて扉を開けば、予想はしていたがリチャードが立っている。
「すまない、寝ていたか?」
「いえ、まだ横になっていただけで眠ってはいませんでしたけど。殿下、どうなさったんですか?」
「今夜星が降るんだ」
「え? 星?」
「そうだ。だから一緒に見ないかと思ったんだが」
カレンは首をひねる。星が降るとはどういうことだろう。よくわからないでいると、カレンの手首をつかんだリチャードに「見たらわかる」と手を引かれた。
リチャードに導かれるまま彼の部屋のバルコニーに出ると、そこにはソファとテーブルとワインが用意されている。
使いかけのグラスが一つだけということは、リチャードは一人で空をながめていたのだろう。
「毎年一人で見るんだが、今年は君がいるんだったと思い出したんだ。ワインは飲むか?」
「じゃあ少しだけ」
頷けば、リチャードがグラスを持ってきてくれる。そして、ショールの上から腕をこすっていると、リチャードはブランケットも持って来た。
「夜は冷えるからな」
そう言って、大きなブランケットでカレンと自分の体をすっぽり覆ってしまった。
まさか同じブランケットで包まれる羽目になるとは思わなかったカレンは硬直したが、いつも「スキンシップ」と言ってリチャードが抱きついてくるので、近すぎる距離に慣れてしまったのか、緊張したのは最初だけだった。
リチャードはワイングラスを片手に空を見上げる。
カレンも赤ワインが半分ほど入っているワイングラスを持って、リチャードに習って夜空を見上げた。
高く澄んだ空にはたくさんの星が瞬いている。
(星が落ちるって、なにかしら……?)
文字通り空の星が落ちてくるのだとしたらとても怖いが、ここでのんきに空を見上げているリチャードの様子からそうではないと推測できる。
リチャードは毎年ここで星が落ちてくるのを見ていたと言っていた。つまり、毎年「星が落ちる」現象があったということだが、残念ながらカレンはその現象を知らない。朝が早いせいか、夜は早く寝る習慣がついていたので、夜に空を見上げることはほとんどなかった。
「今日はよく晴れているから、よく見えるだろう」
満足そうなリチャードの横顔を見て、カレンはもう一度空を見上げた。そして、リチャードと他愛ない話をしていた、そのとき。
スーッと目の前を一筋、光の線が横切って行ってカレンは目を見開く。しばらくすると、また一つ、また一つと光の線が流れて行き――
「はじまったようだな」
まるで、光の雨が降り注ぐかのような光景に、カレンは行きも忘れて夜空に見入った。
「す、ごい……」
「そうだろう? 毎年この時期になると流星群が見られるんだ。今年は晴れているから特にはっきりと見えるな」
「りゅうせい、ぐん……?」
こんなすごいものが、毎年はるか上空で起こっていたのか。
(今まで知らなかったなんて、もったいなかったかも……)
リチャードは星を眺めながらワイングラスを傾ける。
「毎年、一人で見るのは少し味気なく思っていたんだが、これからは君がいる」
「殿下……」
「また来年も一緒に見よう」
一年後、カレンがまだ城にいるかどうかもわからないのに、「約束だ」と言うリチャードにカレンは苦笑する。けれど。
「……はい。そうですね」
そう答えたい、気分だった。
リチャードとともに食事を取り、湯あみを終えてベッドに横になっていると、コンコンと内扉を叩く音がしてカレンは目を開けた。
夜着の上にショールを羽織って、鍵をあけて扉を開けば、予想はしていたがリチャードが立っている。
「すまない、寝ていたか?」
「いえ、まだ横になっていただけで眠ってはいませんでしたけど。殿下、どうなさったんですか?」
「今夜星が降るんだ」
「え? 星?」
「そうだ。だから一緒に見ないかと思ったんだが」
カレンは首をひねる。星が降るとはどういうことだろう。よくわからないでいると、カレンの手首をつかんだリチャードに「見たらわかる」と手を引かれた。
リチャードに導かれるまま彼の部屋のバルコニーに出ると、そこにはソファとテーブルとワインが用意されている。
使いかけのグラスが一つだけということは、リチャードは一人で空をながめていたのだろう。
「毎年一人で見るんだが、今年は君がいるんだったと思い出したんだ。ワインは飲むか?」
「じゃあ少しだけ」
頷けば、リチャードがグラスを持ってきてくれる。そして、ショールの上から腕をこすっていると、リチャードはブランケットも持って来た。
「夜は冷えるからな」
そう言って、大きなブランケットでカレンと自分の体をすっぽり覆ってしまった。
まさか同じブランケットで包まれる羽目になるとは思わなかったカレンは硬直したが、いつも「スキンシップ」と言ってリチャードが抱きついてくるので、近すぎる距離に慣れてしまったのか、緊張したのは最初だけだった。
リチャードはワイングラスを片手に空を見上げる。
カレンも赤ワインが半分ほど入っているワイングラスを持って、リチャードに習って夜空を見上げた。
高く澄んだ空にはたくさんの星が瞬いている。
(星が落ちるって、なにかしら……?)
文字通り空の星が落ちてくるのだとしたらとても怖いが、ここでのんきに空を見上げているリチャードの様子からそうではないと推測できる。
リチャードは毎年ここで星が落ちてくるのを見ていたと言っていた。つまり、毎年「星が落ちる」現象があったということだが、残念ながらカレンはその現象を知らない。朝が早いせいか、夜は早く寝る習慣がついていたので、夜に空を見上げることはほとんどなかった。
「今日はよく晴れているから、よく見えるだろう」
満足そうなリチャードの横顔を見て、カレンはもう一度空を見上げた。そして、リチャードと他愛ない話をしていた、そのとき。
スーッと目の前を一筋、光の線が横切って行ってカレンは目を見開く。しばらくすると、また一つ、また一つと光の線が流れて行き――
「はじまったようだな」
まるで、光の雨が降り注ぐかのような光景に、カレンは行きも忘れて夜空に見入った。
「す、ごい……」
「そうだろう? 毎年この時期になると流星群が見られるんだ。今年は晴れているから特にはっきりと見えるな」
「りゅうせい、ぐん……?」
こんなすごいものが、毎年はるか上空で起こっていたのか。
(今まで知らなかったなんて、もったいなかったかも……)
リチャードは星を眺めながらワイングラスを傾ける。
「毎年、一人で見るのは少し味気なく思っていたんだが、これからは君がいる」
「殿下……」
「また来年も一緒に見よう」
一年後、カレンがまだ城にいるかどうかもわからないのに、「約束だ」と言うリチャードにカレンは苦笑する。けれど。
「……はい。そうですね」
そう答えたい、気分だった。
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