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濫觴の四月[April of Beginning]
Mission6 姉との再会
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「司令部……?」
「ああ。海上に巨大人工浮島が浮かんでいるのは君も見ただろう。それと同時に巨大な建物も」
「確かにいくつか浮いてる島の中に一つ大きなものがあった様な気がしたけど……あれが?」
「そうだ。紙越町奪還作戦司令部として造られた学園だ。私たちはそこの学生なんだ」
だから制服を着ているのか。
──2020年以降、対テロ戦闘員を養成する学校も随分と増えた。
今では対テロ戦闘員兼学生は“学生戦闘員”と呼ばれ、武器の所有・使用が認められているなど超法規的な公務員として扱われている。
「テロによって紙越町の小中高の学校が完全に消えてしまってな。故に普通の学校としての役割も兼ねて対テロ戦闘員養成校として設立された」
「じゃあ、俺もそこに通うことに?」
「そうだ。武器を手に前線で戦う“科”もあれば赤城君や私の様に支援を担当する“科”もある。君も“戦闘”か“支援”……どちらを選んでも構わないんだが……先ほどの君を見ればどちらに所属した方がいいのかは言うまでもないな」
刀を持つ少女が今後使うことになると言っていたのはそういうことか。
俺は膝の上に置いていた脇差に手を置いた。
「今後君も学園の発する“任務”を遂行することになる。さて、着いたな。降りるぞ」
白衣の少女がそう促すので俺は降りた。
降りたところはメガフロートの一角だ。正方形をした床の中心に丸に囲まれたHの字が描かれている。
どうやらここはヘリポートの様だ。微かな潮風が肌を撫でて去っていく。
「とりあえず肩から血が出てるみたいだし……保健室で見てもらおう」
「そうだな。怪我の程度は軽い様だが放っておくのは賢明ではない。案内しよう」
白衣の少女はヘリから降りるや否やノートパソコンを小脇に抱えて先へと歩いて行った。
その後ろを刀を持つ少女が「あ、待って」と右脚を引きずる様にして歩く。
「大丈夫か?千秋チャンはどうもせっかちだからなぁ。痛む様だったらゆっくり行こうぜ」
「いや、大丈夫。早く行こう」
少し遠くで白衣の少女──千秋というらしい──と刀を持つ少女が足を止めて待っている。
俺と直巳、そしてミナミの3人は若干早歩きで2人に追いついた。
「すまない、速かったか?」
「大丈夫。少し話してただけ」
千秋は「そうか」とだけ言うと再び歩き始める。
それに続いて俺たちも歩を進める。
「……そう言えば2人は脚と腕以外に怪我は?」
「怪我?」
「さっきの……ほら、スサノオだっけ。あれにそれなりの高さから叩きつけられたのにそれ以外怪我していない様に見えるから」
「ああ、それなら大丈夫。この制服、衝撃吸収素材でできてるから」
ミナミがそう答えた。
「衝撃吸収素材?」
「ああ。アームズメイカーの最先端技術の結晶だ。他社の製品よりも頑丈で衝撃を通さない。銃弾もナイフもこの素材の前では無意味だ。……その分高額ではあるが」
「一着大体いくら?」
「120万だ」
「120万!?」
本当に制服なのだろうか。
120万円あれば普通の学校の制服を何着購入できるのだろう。
「色々と機能を備えている分、普通の制服よりも値が張る。故にイージスが購入したものを生徒に支給している」
「……まぁ、そうだろうね。流石に各自で買うのはね……」
「さて、着いた。失礼します」
千秋は保健室のドアをノックせずに開けた。
……どうやら遠慮のない性格らしい。
しかし誰もいない様だ。室内にはアルコールの独特な匂いが漂っている。
「……あれ、いない?」
「あら、怪我したのー?」
誰もいないのか、と思っていると間仕切りカーテンをかき分けて白衣をまとった女性が現れる。
黒と赤のチェック柄のポロシャツに黒いマイクロミニスカート、純白の白衣をまとった黒い長髪と藍色の双眸をした女性だ。
「…………!」
俺は彼女の姿を見た瞬間に固まった。
そしてそれは彼女も同様だった。
「……大和?」
「姉さん……!」
白衣の女性は俺の姉──東条仙だった。
彼女は目の前にいる人物が俺であると理解するとすぐに抱きついてきた。
「3年ぶりね……よかった、元気そうで」
「ああ。ホントによかった……生きてたんだ……!」
彼女は両目の端に微かに涙を浮かべながら服越しでも彼女の体温が判るほどに俺を抱きしめている。
「……まさか姉弟だったとはな」
「あっ、そうだ。ここに来たってことはなにか用事があるの?」
「ああそうだった。怪我してさ、俺と後ろの2人がね」
姉さんは抱きつく力を緩めて、俺の右肩へと視線を落とした。
そして黒いステンカラーコートを赤黒く濡らしているものを見て「あらあら」とシャツの内側に手を入れた。
「ちょっ……姉さん……ッ!?」
「脱がせるわよ」
俺たち姉弟以外にもこの場に4人いるというのに姉さんは遠慮なくコートを脱がせた。
更にその下のシャツも脱がせようとしたので流石に抵抗した。
「ま、待てって!流石に自分で脱げるって……!」
「あら、そうね。どうしても小さい頃の癖が抜けないわね……」
姉さんはそう言った。
……この人は昔からこうだ。
俺が生まれて姉になれたことが嬉しいらしく昔からかなりの世話焼きだった。
しばらく逢っていない間に少しはマシになっているかと思ったが……なっていなかった。
「2人も治療するからそこに座って」
姉さんはそう言ってソファを指差した。
俺と2人は言われた通りに座った。
合皮でできたソファは疲れ切った身体を優しく包んでくれた。
ここが家ならばこのまま寝てしまいたいくらいだ。
「保健室の先生に留守を頼まれたの。消毒して止血しないと。さ、服を脱いで」
「……まさか再会した直後に怪我の手当てをしてもらうことになるなんてね」
「見た感じ擦過銃創ね。GRの連中にでも撃たれたのね」
彼女の手には救急箱がある。
言われた通り服を脱ぐと彼女は消毒液を染み込ませた脱脂綿で傷口を軽く叩いた。
「ッ……沁みるな……」
「我慢なさい。撃たれただけで済んだのなら安いものよ」
「とは言ってもね……アイタタタ……ッ」
痛いものは痛い。
彼女はある程度脱脂綿で俺の傷口を叩き終えると「よし」と言って清潔な包帯を巻いた。
「見た感じ銃弾は皮膚を掠っただけみたいだからね。こんなもんで大丈夫でしょ。さ、森さんとアシュリーさんも」
「ああ、お願いします」
姉さんは俺の手当てを終えると次にミナミの手当てを始めた。
「ちょっと服を脱がせるわね」
「……ああ、それじゃあ俺たちは外に出てるね」
「ええ。そうして頂戴」
流石に男子が部屋にいるのに服を脱がされるのはいい気持ちはしないだろう。
俺と直巳は廊下に出ると近くの壁に寄りかかった。
「……見た感じ腕を痛めただけみたいね。特に骨折はしてない様だから安静に。湿布を貼っておくわ。安静にね」
「……ありがとうございます」
「さて、アシュリーさんは……脚を挫いたのね、とりあえず患部を冷やすために冷却シートを貼っておくわ。2人とももう一度言う様だけど安静にね」
そんなやりとりが聴こえてきた。
そしてしばらくすると2人とも手当てを終えて「入っていいよ」と俺たちに声をかけた。
俺たちは再び部屋に入る。
「……ところでなんで怪我を?」
「ああ。それについては私が話そう」
千秋は姉さんに直截簡明に説明を始めた。
「……なるほどね。大和はGRの戦闘員に、2人は神機“スサノオ”に……」
「ああ。だが、今2人が生きているのは彼のおかげだ。彼があの巨人の剣を折らなければ今頃死んでいた」
「……で、スサノオの剣を折った……というか斬ったのはその脇差なの?」
姉さんは俺の持つ脇差を指した。
「ああ。アシュリーさん……だっけ、彼女から貰った」
「いいの?」
「はい、こう言っちゃなんですけど……あまり使ってなかったですし。だったら彼に使って貰った方が武器も喜ぶと思って」
確かにあの時腰に脇差は帯びていたものの刀しか使っていなかった。
「ええそうね。大和も戦闘員になるのね。なら……それをあたしに預けてくれない?」
「いいけど……なにかするつもり?」
「まぁね。2、3日経ったら返すわ。期待して待ってなさい」
「……?」
俺は疑問を抱きつつも姉さんに脇差を手渡した。
よくは判らないが悪いことにはならないだろう。
「さて、それじゃあ各自解散していいわよ。お疲れ様」
「判りました。それじゃあ」
千秋とミナミ、刀を持つ少女──確か姉さんはアシュリーと呼んでいた──はそのまま同じ方向へと歩いていった。
「じゃあ、帰るわよ」
「帰るって……どこに?」
「どこに?もちろん我が家よ」
姉さんの口から出てきた我が家という言葉に俺は一つのことを思い出した。
「あっ、そうだ!父さんと母さんは?」
──そう、それは家族の安否だ。
「ああ。海上に巨大人工浮島が浮かんでいるのは君も見ただろう。それと同時に巨大な建物も」
「確かにいくつか浮いてる島の中に一つ大きなものがあった様な気がしたけど……あれが?」
「そうだ。紙越町奪還作戦司令部として造られた学園だ。私たちはそこの学生なんだ」
だから制服を着ているのか。
──2020年以降、対テロ戦闘員を養成する学校も随分と増えた。
今では対テロ戦闘員兼学生は“学生戦闘員”と呼ばれ、武器の所有・使用が認められているなど超法規的な公務員として扱われている。
「テロによって紙越町の小中高の学校が完全に消えてしまってな。故に普通の学校としての役割も兼ねて対テロ戦闘員養成校として設立された」
「じゃあ、俺もそこに通うことに?」
「そうだ。武器を手に前線で戦う“科”もあれば赤城君や私の様に支援を担当する“科”もある。君も“戦闘”か“支援”……どちらを選んでも構わないんだが……先ほどの君を見ればどちらに所属した方がいいのかは言うまでもないな」
刀を持つ少女が今後使うことになると言っていたのはそういうことか。
俺は膝の上に置いていた脇差に手を置いた。
「今後君も学園の発する“任務”を遂行することになる。さて、着いたな。降りるぞ」
白衣の少女がそう促すので俺は降りた。
降りたところはメガフロートの一角だ。正方形をした床の中心に丸に囲まれたHの字が描かれている。
どうやらここはヘリポートの様だ。微かな潮風が肌を撫でて去っていく。
「とりあえず肩から血が出てるみたいだし……保健室で見てもらおう」
「そうだな。怪我の程度は軽い様だが放っておくのは賢明ではない。案内しよう」
白衣の少女はヘリから降りるや否やノートパソコンを小脇に抱えて先へと歩いて行った。
その後ろを刀を持つ少女が「あ、待って」と右脚を引きずる様にして歩く。
「大丈夫か?千秋チャンはどうもせっかちだからなぁ。痛む様だったらゆっくり行こうぜ」
「いや、大丈夫。早く行こう」
少し遠くで白衣の少女──千秋というらしい──と刀を持つ少女が足を止めて待っている。
俺と直巳、そしてミナミの3人は若干早歩きで2人に追いついた。
「すまない、速かったか?」
「大丈夫。少し話してただけ」
千秋は「そうか」とだけ言うと再び歩き始める。
それに続いて俺たちも歩を進める。
「……そう言えば2人は脚と腕以外に怪我は?」
「怪我?」
「さっきの……ほら、スサノオだっけ。あれにそれなりの高さから叩きつけられたのにそれ以外怪我していない様に見えるから」
「ああ、それなら大丈夫。この制服、衝撃吸収素材でできてるから」
ミナミがそう答えた。
「衝撃吸収素材?」
「ああ。アームズメイカーの最先端技術の結晶だ。他社の製品よりも頑丈で衝撃を通さない。銃弾もナイフもこの素材の前では無意味だ。……その分高額ではあるが」
「一着大体いくら?」
「120万だ」
「120万!?」
本当に制服なのだろうか。
120万円あれば普通の学校の制服を何着購入できるのだろう。
「色々と機能を備えている分、普通の制服よりも値が張る。故にイージスが購入したものを生徒に支給している」
「……まぁ、そうだろうね。流石に各自で買うのはね……」
「さて、着いた。失礼します」
千秋は保健室のドアをノックせずに開けた。
……どうやら遠慮のない性格らしい。
しかし誰もいない様だ。室内にはアルコールの独特な匂いが漂っている。
「……あれ、いない?」
「あら、怪我したのー?」
誰もいないのか、と思っていると間仕切りカーテンをかき分けて白衣をまとった女性が現れる。
黒と赤のチェック柄のポロシャツに黒いマイクロミニスカート、純白の白衣をまとった黒い長髪と藍色の双眸をした女性だ。
「…………!」
俺は彼女の姿を見た瞬間に固まった。
そしてそれは彼女も同様だった。
「……大和?」
「姉さん……!」
白衣の女性は俺の姉──東条仙だった。
彼女は目の前にいる人物が俺であると理解するとすぐに抱きついてきた。
「3年ぶりね……よかった、元気そうで」
「ああ。ホントによかった……生きてたんだ……!」
彼女は両目の端に微かに涙を浮かべながら服越しでも彼女の体温が判るほどに俺を抱きしめている。
「……まさか姉弟だったとはな」
「あっ、そうだ。ここに来たってことはなにか用事があるの?」
「ああそうだった。怪我してさ、俺と後ろの2人がね」
姉さんは抱きつく力を緩めて、俺の右肩へと視線を落とした。
そして黒いステンカラーコートを赤黒く濡らしているものを見て「あらあら」とシャツの内側に手を入れた。
「ちょっ……姉さん……ッ!?」
「脱がせるわよ」
俺たち姉弟以外にもこの場に4人いるというのに姉さんは遠慮なくコートを脱がせた。
更にその下のシャツも脱がせようとしたので流石に抵抗した。
「ま、待てって!流石に自分で脱げるって……!」
「あら、そうね。どうしても小さい頃の癖が抜けないわね……」
姉さんはそう言った。
……この人は昔からこうだ。
俺が生まれて姉になれたことが嬉しいらしく昔からかなりの世話焼きだった。
しばらく逢っていない間に少しはマシになっているかと思ったが……なっていなかった。
「2人も治療するからそこに座って」
姉さんはそう言ってソファを指差した。
俺と2人は言われた通りに座った。
合皮でできたソファは疲れ切った身体を優しく包んでくれた。
ここが家ならばこのまま寝てしまいたいくらいだ。
「保健室の先生に留守を頼まれたの。消毒して止血しないと。さ、服を脱いで」
「……まさか再会した直後に怪我の手当てをしてもらうことになるなんてね」
「見た感じ擦過銃創ね。GRの連中にでも撃たれたのね」
彼女の手には救急箱がある。
言われた通り服を脱ぐと彼女は消毒液を染み込ませた脱脂綿で傷口を軽く叩いた。
「ッ……沁みるな……」
「我慢なさい。撃たれただけで済んだのなら安いものよ」
「とは言ってもね……アイタタタ……ッ」
痛いものは痛い。
彼女はある程度脱脂綿で俺の傷口を叩き終えると「よし」と言って清潔な包帯を巻いた。
「見た感じ銃弾は皮膚を掠っただけみたいだからね。こんなもんで大丈夫でしょ。さ、森さんとアシュリーさんも」
「ああ、お願いします」
姉さんは俺の手当てを終えると次にミナミの手当てを始めた。
「ちょっと服を脱がせるわね」
「……ああ、それじゃあ俺たちは外に出てるね」
「ええ。そうして頂戴」
流石に男子が部屋にいるのに服を脱がされるのはいい気持ちはしないだろう。
俺と直巳は廊下に出ると近くの壁に寄りかかった。
「……見た感じ腕を痛めただけみたいね。特に骨折はしてない様だから安静に。湿布を貼っておくわ。安静にね」
「……ありがとうございます」
「さて、アシュリーさんは……脚を挫いたのね、とりあえず患部を冷やすために冷却シートを貼っておくわ。2人とももう一度言う様だけど安静にね」
そんなやりとりが聴こえてきた。
そしてしばらくすると2人とも手当てを終えて「入っていいよ」と俺たちに声をかけた。
俺たちは再び部屋に入る。
「……ところでなんで怪我を?」
「ああ。それについては私が話そう」
千秋は姉さんに直截簡明に説明を始めた。
「……なるほどね。大和はGRの戦闘員に、2人は神機“スサノオ”に……」
「ああ。だが、今2人が生きているのは彼のおかげだ。彼があの巨人の剣を折らなければ今頃死んでいた」
「……で、スサノオの剣を折った……というか斬ったのはその脇差なの?」
姉さんは俺の持つ脇差を指した。
「ああ。アシュリーさん……だっけ、彼女から貰った」
「いいの?」
「はい、こう言っちゃなんですけど……あまり使ってなかったですし。だったら彼に使って貰った方が武器も喜ぶと思って」
確かにあの時腰に脇差は帯びていたものの刀しか使っていなかった。
「ええそうね。大和も戦闘員になるのね。なら……それをあたしに預けてくれない?」
「いいけど……なにかするつもり?」
「まぁね。2、3日経ったら返すわ。期待して待ってなさい」
「……?」
俺は疑問を抱きつつも姉さんに脇差を手渡した。
よくは判らないが悪いことにはならないだろう。
「さて、それじゃあ各自解散していいわよ。お疲れ様」
「判りました。それじゃあ」
千秋とミナミ、刀を持つ少女──確か姉さんはアシュリーと呼んでいた──はそのまま同じ方向へと歩いていった。
「じゃあ、帰るわよ」
「帰るって……どこに?」
「どこに?もちろん我が家よ」
姉さんの口から出てきた我が家という言葉に俺は一つのことを思い出した。
「あっ、そうだ!父さんと母さんは?」
──そう、それは家族の安否だ。
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