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濫觴の四月[April of Beginning]
Mission33 VSタケミカヅチ
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タケミカヅチは雷の剣を俺たちへと振り下ろす。
「避けてっ!」
藍川先輩がそう叫ぶのと同時に俺たちは左右へと転がる様にしてそれを避ける。
俺たちの立っていた場所へ剣が近付けられていくと同時にアスファルトがバキバキと音を立てて砕けていく。
〈地面に剣を近付けただけでアスファルトが……その剣をまともに喰らったら危険だ。回避しつつ隙をついて攻撃するんだ〉
「了解」
耳につけているイヤホン型無線機を介して神崎さんがそうアドバイスをする。
彼女は実際に戦っているわけではないのだからいくらでも無茶なことを言える。
けれど最初からできないならば今こうやって俺たちにアドバイトなんてしていないだろう。
神機を撃破できると思っているからアドバイスをくれるのだ。
「さて、神機相手なら……遠慮が要らないからありがたいわ」
ルーチェさんは自身の腰の後ろから細長いものを取り出す。
それは柄のない刃だった。しかも2本も。
彼女はそれを取り出すとブーツの脛部に近付ける。
するとそれはブーツへとぴたりとくっつく。
「それは?」
「ああこれ?このレガース付きブーツにナイフを取り付けたの。そして──」
彼女はそのままタケミカヅチへと向かっていく。
雷神の両肩に取り付けられた機銃が彼女の接近を拒もうとするがルーチェさんは自身へと飛来する銃弾を避ける。まるで踊るかの様に。
そのままタケミカヅチの足元へと接近すると彼女はタケミカヅチの右脚へと自身の持つ銃を放つ。
そして脚の一部を凍らせて作った足場に跳躍して乗ると今度は左脚の一部を凍らせて足場を作って跳び乗った。
そのままそれを繰り返してタケミカヅチの頭部まで跳んでいくと回し蹴りを喰らわせた。
「──こんな感じに使うの」
彼女の蹴りを喰らってタケミカヅチの頭部の一部には切れた跡が刻まれる。
なるほど、その為の刃か。
ミサイルが効かない装甲に擦り傷とはいえ、跡を刻んだのだからその威力は凄まじい。
人相手にナイフを取り付けたレガースでの蹴りは十二分な威力を発揮するだろう。
人相手にナイフ付きの状態で攻撃しないのは彼女の優しさであると理解した。
「へぇ……面白い武器だね」
「武器って最近まで銃とかナイフだけしかないものだと思ってたけど……色々あるんだね」
俺たちは強敵との戦いだというのにそんな風に緊張感のない会話を交わしていた。
緊張のし過ぎも良くはないが俺たちは緊張のしなさ過ぎではないだろうか。
「さて、ワタシたちも行かせてもらいましょう」
渚はそう言うと腰から拳銃を取り出す。
そしてそれを近くの家の屋根へと向けると銃口からワイヤーが放たれる。
屋根の上に立つと狙撃銃を構え、タケミカヅチへと銃弾を放つ。
けれど左腕に取り付けられた盾によってそれは弾かれる。
「はぁっ!」
タケミカヅチの右肩に立っているレイは頭部へと刃を叩き込む。
火花を散らし、一筋の刀傷が刻まれる。
いくら高周波ブレードというものでも装甲自体を切り裂けるほどの威力はないのだろう。
「ホントに硬いね……」
自身に刃を叩き込む存在を排除しようと雷神は左手を右肩へと伸ばす。
けれどレイと藍川先輩はタケミカヅチによって掴まれる前に跳躍して左手へと刃を叩き込む。
するとまるで痛みを感じたの様にタケミカヅチは手を引いた。
「東条くん、行こう」
「ああ」
森さんは拳銃を二挺手に、そう言った。
俺も右手の脇差を握り直すと彼女と共にタケミカヅチへと駆けて行った。
そんな時だった。雷神はその剣を俺たちへと振り下ろした。
「……させない」
1発の銃弾がタケミカヅチの右手へと飛んでいく。
それを喰らって俺たちへ雷の剣を振り下ろした神機はぴたりと手を止めた。
銃弾の飛んできた方向を見てみると近くのビルの屋上で湖城先輩が狙撃銃を構えていた。
その双眸はまるで鷹の様に鋭く、タケミカヅチのみを捉えていた。
「ありがとうございます!」
「……どういたしまして」
彼女はそう言うと狙撃銃を構え直し、再び標的を捉える。
「はあっ!」
タケミカヅチの足元へと接近するとその右脚へと脇差を振るった。
その装甲は確かに堅牢だった。擦り傷程度しかできていない。
けれど俺は何度も同じ箇所を切りつけた。
刀よりも振りやすい脇差は何回も切ることに適していた。
「っ!」
しばらく同じ箇所を切っていると突然その装甲にヒビが入る。
刀傷からだ。何度も切りつけたことで頑丈な装甲が脆くなったのだろうか。
〈ヒビが入った……そこの装甲は元々脆い様だな〉
「っ、危ないっ!」
森さんは俺に対し、そう叫ぶ様に言った。
タケミカヅチが俺に対して剣を振るったのだ。
俺は装甲を切ることで夢中でそれに気が付かなかった。
「させない……!」
森さんは両手の拳銃を構えると銃口をタケミカヅチへと向ける。
そしてそれを連射するとタケミカヅチが突然俺へと剣を振るう動作をぴたりと止めた。
俺はその隙に雷神から離れる。
「森さん……なにを?」
「右腕の関節部分を撃ったの。関節って弱そうだったから」
「関節部分……ね。なるほど……」
渚はそう納得した様に言った。
タケミカヅチは剣を振るいかけた手を戻す。
〈確かにこの手の兵器は関節への攻撃が有効だ。どうしても鎧うことはできないからな〉
「じゃあ、みんなでそこを叩こう」
藍川先輩がそう言う。
弱点の判った俺たちの形勢は有利になり始める──はずだった。
◇
戦い始めて30分は経過しただろうか。
「はぁ……はぁ……」
「つ、強過ぎる……!」
俺たちの目の前に立つ雷神の名を持つ兵器は俺たちへと剣を振り続ける。
俺たちは関節部が弱点だということを知ったもののそれは俺たちの形勢を有利にしてはくれなかった。
それほどまでにタケミカヅチが強いからだ。
(まさかここまで強いなんて……)
神と呼ばれるわけだ。
その圧倒的強さ……人間では到底敵わない。
兵器故に人間とは違って疲弊しない。
しかし俺たちは戦えているのが不思議なレベルの困憊状態だった。
〈っ!まただ……!〉
タケミカヅチの持つ雷の剣がその輝きを増していく。
きっと大きな一撃が来るだろう。
しかし今の俺たちはそれを防げるほどの体力はなかった。
「まず──」
剣が勢いよく地面に叩きつけられる。
その瞬間に地面のアスファルトがめくれていき、割れたアスファルトの間を紫電が走る。
辺りにある建物はその紫電によって破壊されていき、崩れていく。
俺たちもその雷を受ける。
「うわあああっ!」
瞬間、全身に鋭い痛みが走る。
それを喰らった俺たちはその場に倒れる。
〈大和ッ!〉
「う……っ」
一瞬のうちに全滅した俺たちへとタケミカヅチは歩み寄る。
その手は剣が握られたままだ。
(俺は……町を奪還できずに終わるのか……!?)
──奪還。それは俺が対テロ戦闘員として戦場で戦う行動原理。
けれど俺は初の任務でその理由を神の名を持つ兵器によって否定されることになる。
(こんな兵器に……邪魔されて終わるのかよ……っ)
俺は倒れている自身の身体を動かそうとする。
けれど自身の思っている以上に疲弊しているらしい身体は動いてくれなかった。
「死んで……たまるかよ……ッ」
紙越町を取り戻すという目的を達成できずにこれから命を落としてしまうことに俺は切歯した。
タケミカヅチが足を止め、俺たちの前に立つとその剣を振り上げる。
剣が振り下ろされれば俺たちは終わりだ。
(なにか……この逆境を否定するものはないのか……!?)
俺たちに死をもたらす一振りが振り上げられたというのに俺は諦めることができずにいた。
自分でいうのもなんだが俺はこの町を愛しているらしい。
そう簡単に奪還することを諦められない。
──そんな時だった。
「ッ!」
力の入らない右手で包み込む様に持っていた脇差、その刃が淡く藍色に発光する。
視線をやると光だけでなく、バチバチという音と共にプラズマを放っていた。
「避けてっ!」
藍川先輩がそう叫ぶのと同時に俺たちは左右へと転がる様にしてそれを避ける。
俺たちの立っていた場所へ剣が近付けられていくと同時にアスファルトがバキバキと音を立てて砕けていく。
〈地面に剣を近付けただけでアスファルトが……その剣をまともに喰らったら危険だ。回避しつつ隙をついて攻撃するんだ〉
「了解」
耳につけているイヤホン型無線機を介して神崎さんがそうアドバイスをする。
彼女は実際に戦っているわけではないのだからいくらでも無茶なことを言える。
けれど最初からできないならば今こうやって俺たちにアドバイトなんてしていないだろう。
神機を撃破できると思っているからアドバイスをくれるのだ。
「さて、神機相手なら……遠慮が要らないからありがたいわ」
ルーチェさんは自身の腰の後ろから細長いものを取り出す。
それは柄のない刃だった。しかも2本も。
彼女はそれを取り出すとブーツの脛部に近付ける。
するとそれはブーツへとぴたりとくっつく。
「それは?」
「ああこれ?このレガース付きブーツにナイフを取り付けたの。そして──」
彼女はそのままタケミカヅチへと向かっていく。
雷神の両肩に取り付けられた機銃が彼女の接近を拒もうとするがルーチェさんは自身へと飛来する銃弾を避ける。まるで踊るかの様に。
そのままタケミカヅチの足元へと接近すると彼女はタケミカヅチの右脚へと自身の持つ銃を放つ。
そして脚の一部を凍らせて作った足場に跳躍して乗ると今度は左脚の一部を凍らせて足場を作って跳び乗った。
そのままそれを繰り返してタケミカヅチの頭部まで跳んでいくと回し蹴りを喰らわせた。
「──こんな感じに使うの」
彼女の蹴りを喰らってタケミカヅチの頭部の一部には切れた跡が刻まれる。
なるほど、その為の刃か。
ミサイルが効かない装甲に擦り傷とはいえ、跡を刻んだのだからその威力は凄まじい。
人相手にナイフを取り付けたレガースでの蹴りは十二分な威力を発揮するだろう。
人相手にナイフ付きの状態で攻撃しないのは彼女の優しさであると理解した。
「へぇ……面白い武器だね」
「武器って最近まで銃とかナイフだけしかないものだと思ってたけど……色々あるんだね」
俺たちは強敵との戦いだというのにそんな風に緊張感のない会話を交わしていた。
緊張のし過ぎも良くはないが俺たちは緊張のしなさ過ぎではないだろうか。
「さて、ワタシたちも行かせてもらいましょう」
渚はそう言うと腰から拳銃を取り出す。
そしてそれを近くの家の屋根へと向けると銃口からワイヤーが放たれる。
屋根の上に立つと狙撃銃を構え、タケミカヅチへと銃弾を放つ。
けれど左腕に取り付けられた盾によってそれは弾かれる。
「はぁっ!」
タケミカヅチの右肩に立っているレイは頭部へと刃を叩き込む。
火花を散らし、一筋の刀傷が刻まれる。
いくら高周波ブレードというものでも装甲自体を切り裂けるほどの威力はないのだろう。
「ホントに硬いね……」
自身に刃を叩き込む存在を排除しようと雷神は左手を右肩へと伸ばす。
けれどレイと藍川先輩はタケミカヅチによって掴まれる前に跳躍して左手へと刃を叩き込む。
するとまるで痛みを感じたの様にタケミカヅチは手を引いた。
「東条くん、行こう」
「ああ」
森さんは拳銃を二挺手に、そう言った。
俺も右手の脇差を握り直すと彼女と共にタケミカヅチへと駆けて行った。
そんな時だった。雷神はその剣を俺たちへと振り下ろした。
「……させない」
1発の銃弾がタケミカヅチの右手へと飛んでいく。
それを喰らって俺たちへ雷の剣を振り下ろした神機はぴたりと手を止めた。
銃弾の飛んできた方向を見てみると近くのビルの屋上で湖城先輩が狙撃銃を構えていた。
その双眸はまるで鷹の様に鋭く、タケミカヅチのみを捉えていた。
「ありがとうございます!」
「……どういたしまして」
彼女はそう言うと狙撃銃を構え直し、再び標的を捉える。
「はあっ!」
タケミカヅチの足元へと接近するとその右脚へと脇差を振るった。
その装甲は確かに堅牢だった。擦り傷程度しかできていない。
けれど俺は何度も同じ箇所を切りつけた。
刀よりも振りやすい脇差は何回も切ることに適していた。
「っ!」
しばらく同じ箇所を切っていると突然その装甲にヒビが入る。
刀傷からだ。何度も切りつけたことで頑丈な装甲が脆くなったのだろうか。
〈ヒビが入った……そこの装甲は元々脆い様だな〉
「っ、危ないっ!」
森さんは俺に対し、そう叫ぶ様に言った。
タケミカヅチが俺に対して剣を振るったのだ。
俺は装甲を切ることで夢中でそれに気が付かなかった。
「させない……!」
森さんは両手の拳銃を構えると銃口をタケミカヅチへと向ける。
そしてそれを連射するとタケミカヅチが突然俺へと剣を振るう動作をぴたりと止めた。
俺はその隙に雷神から離れる。
「森さん……なにを?」
「右腕の関節部分を撃ったの。関節って弱そうだったから」
「関節部分……ね。なるほど……」
渚はそう納得した様に言った。
タケミカヅチは剣を振るいかけた手を戻す。
〈確かにこの手の兵器は関節への攻撃が有効だ。どうしても鎧うことはできないからな〉
「じゃあ、みんなでそこを叩こう」
藍川先輩がそう言う。
弱点の判った俺たちの形勢は有利になり始める──はずだった。
◇
戦い始めて30分は経過しただろうか。
「はぁ……はぁ……」
「つ、強過ぎる……!」
俺たちの目の前に立つ雷神の名を持つ兵器は俺たちへと剣を振り続ける。
俺たちは関節部が弱点だということを知ったもののそれは俺たちの形勢を有利にしてはくれなかった。
それほどまでにタケミカヅチが強いからだ。
(まさかここまで強いなんて……)
神と呼ばれるわけだ。
その圧倒的強さ……人間では到底敵わない。
兵器故に人間とは違って疲弊しない。
しかし俺たちは戦えているのが不思議なレベルの困憊状態だった。
〈っ!まただ……!〉
タケミカヅチの持つ雷の剣がその輝きを増していく。
きっと大きな一撃が来るだろう。
しかし今の俺たちはそれを防げるほどの体力はなかった。
「まず──」
剣が勢いよく地面に叩きつけられる。
その瞬間に地面のアスファルトがめくれていき、割れたアスファルトの間を紫電が走る。
辺りにある建物はその紫電によって破壊されていき、崩れていく。
俺たちもその雷を受ける。
「うわあああっ!」
瞬間、全身に鋭い痛みが走る。
それを喰らった俺たちはその場に倒れる。
〈大和ッ!〉
「う……っ」
一瞬のうちに全滅した俺たちへとタケミカヅチは歩み寄る。
その手は剣が握られたままだ。
(俺は……町を奪還できずに終わるのか……!?)
──奪還。それは俺が対テロ戦闘員として戦場で戦う行動原理。
けれど俺は初の任務でその理由を神の名を持つ兵器によって否定されることになる。
(こんな兵器に……邪魔されて終わるのかよ……っ)
俺は倒れている自身の身体を動かそうとする。
けれど自身の思っている以上に疲弊しているらしい身体は動いてくれなかった。
「死んで……たまるかよ……ッ」
紙越町を取り戻すという目的を達成できずにこれから命を落としてしまうことに俺は切歯した。
タケミカヅチが足を止め、俺たちの前に立つとその剣を振り上げる。
剣が振り下ろされれば俺たちは終わりだ。
(なにか……この逆境を否定するものはないのか……!?)
俺たちに死をもたらす一振りが振り上げられたというのに俺は諦めることができずにいた。
自分でいうのもなんだが俺はこの町を愛しているらしい。
そう簡単に奪還することを諦められない。
──そんな時だった。
「ッ!」
力の入らない右手で包み込む様に持っていた脇差、その刃が淡く藍色に発光する。
視線をやると光だけでなく、バチバチという音と共にプラズマを放っていた。
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