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兵革の五月[May of Struggle]
Mission4 湖城家②
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俺たちは湖城先生に促され、座布団の上に座る。
そして俺たちの眼前にある卓上には溢れんばかりの料理が並んでいて、どの皿にも食べ切れるのだろうかと思ってしまうくらいに大量のに盛り付けてある。
「さて、それでは湖城家の人間について紹介しておこう」
そう言って湖城先生はすっと立ち上がると自身の右手にいた少女の肩に手を置いた。
艶やかな黒髪に冷ややかな双眸をした少女だ。
「彼女は湖城蒼。私の妹だ」
「……こんにちは」
彼女はそう言って軽く会釈をする。
その表情はどこかむくれていて、「お前たちには興味がない。私に近づくな」と言っている様だった。
彼女は人と群れることが好きではない一匹狼の様な雰囲気を放っている。
「無愛想ではあるが悪い子ではない。許してやってくれ」
「ちょ……お姉ちゃん!余計なこと言わないで!」
冷たい鉄仮面の様な表情のままだった少女が湖城先生に顔を赤くして、怒る。
その様子を見て俺たちはくすりと笑った。
「ああもう、お姉ちゃんのせいで笑われちゃったじゃん!ほら、次!叔母さん!」
蒼さんが「叔母さん」と呼ぶと和服に身を包んだお淑やかそうな小柄の女性が笑みを浮かべたままぺこりと会釈をする。
湖城先生と蒼さんの叔母……ということは湖城先輩の母にあたる人なのか。
「初めまして、湖城若葉です。七菜の母です。七菜がお世話になっております」
「ああいえいえ、むしろこっちがお世話になってます」
「あら、正直七菜が狙撃手の道に進むのはあまり賛成していなかったんですけれど……あなたたちを支えられているのなら考えを改めてなければなりませんね」
狙撃手の道に進むことに賛成していなかった?
ちらりと目の端で湖城先輩を見てみるとその目線はなにかから逃れる様に卓上の料理に向けられていた。
「……さて、父さん。次だ」
「ああ判った。僕は湖城基綱、柚と蒼の父だ。君たちが僕たちの身辺警護をしてくれる子たちかい?柚から話は聞いている。面倒なことをやらせてすまんね」
「あ、いえいえ、僕たちが好きでやらせてもらってることですし」
俺はそう言った。
当たり障りのない感じに言ったが彼はそれを聞いて「ほぅ」とどこか感心した様な声を出した。
「よくできた子だ。柚、彼の様な生徒を持てたのはまさに僥倖だ。いざという時は守ってやれよ」
「勿論だ。教師としてな」
そう言って胸に手を置く。
確かに元第1空挺団教官であるという彼女ならばいざという時、守ってくれそうだ。
「さて、そして彼女が湖城トメ、湖城家十三代目当主だ」
「……アンタたちが客人かい」
閉じているのではないかというくらいに細い目と150もないだろう小さな背──けれどその雰囲気は数々の波乱の中で生きてきた歴戦の猛者だ。
その雰囲気に加えて名家である湖城家の当主ということもあり、俺たちは自然と背筋が正される。
「こんな辺鄙な田舎町までよく来たね。ゆっくりしていくといい」
厳かな雰囲気とは裏腹にそう言って、穏やかそうな笑みを一度浮かべる。
その様子に俺たちはいつの間にか肩に入っていた力が抜ける。
「……婆ちゃん、大丈夫か?今にもぶっ倒れそうだけど……」
直巳が小声で俺にそう言った。
湖城家現当主であるトメさんは先ほどからぷるぷると小刻みに震えている。
その様子を見て、心配になったのだろう。
「……ああ。お婆ちゃんなら大丈夫だよ。あれでも薙刀を振れるだけの体力はあるしね」
「薙刀を……って、めちゃくちゃ元気じゃないっすか!何歳なんですか?」
「確か大正14年生まれだったから……今年で102だ」
湖城先生がそう素早く計算して小声で俺たちに言った。
どうやら戦闘だけでなく、計算も得意らしい。
美人な上に文武両道とは……そんな彼女が何故彼氏の1人もいないのか、不思議で仕方がない。イージス学園最大の謎と言っても過言ではない。
「……おや、アタシのことを話してるのかい」
トメさんがそう言った。
かなりの小声で話していたはずだったが102歳俺たちの会話を聞けるだけの聴力を持っているとは……かなりの健康体だ。
「これはいつも湖城家の人間全員に言っていることだが健康は金では買えない。若い頃に積み重ねた分だけ体力の減りは緩やかになる。日々の努力が大切だ」
普通の人間が言っても聞き流してしまう言葉だが1世紀以上生きた彼女が言うと妙に説得力がある。
その証左に俺たち全員は彼女の言葉を聞いて思わず無言になってしまっていた。
「──さて、せっかくの食事だ。腹が空いてるのに客人を待たせるというのも失礼というものだ。食おうじゃないか」
「それではいただきます」
『いただきます』
湖城家全員の自己紹介を聞き終えた俺たちは掌を合わせて一斉にそう言う。
そして各自食事を口に運ぶこととする。
そして俺たちの眼前にある卓上には溢れんばかりの料理が並んでいて、どの皿にも食べ切れるのだろうかと思ってしまうくらいに大量のに盛り付けてある。
「さて、それでは湖城家の人間について紹介しておこう」
そう言って湖城先生はすっと立ち上がると自身の右手にいた少女の肩に手を置いた。
艶やかな黒髪に冷ややかな双眸をした少女だ。
「彼女は湖城蒼。私の妹だ」
「……こんにちは」
彼女はそう言って軽く会釈をする。
その表情はどこかむくれていて、「お前たちには興味がない。私に近づくな」と言っている様だった。
彼女は人と群れることが好きではない一匹狼の様な雰囲気を放っている。
「無愛想ではあるが悪い子ではない。許してやってくれ」
「ちょ……お姉ちゃん!余計なこと言わないで!」
冷たい鉄仮面の様な表情のままだった少女が湖城先生に顔を赤くして、怒る。
その様子を見て俺たちはくすりと笑った。
「ああもう、お姉ちゃんのせいで笑われちゃったじゃん!ほら、次!叔母さん!」
蒼さんが「叔母さん」と呼ぶと和服に身を包んだお淑やかそうな小柄の女性が笑みを浮かべたままぺこりと会釈をする。
湖城先生と蒼さんの叔母……ということは湖城先輩の母にあたる人なのか。
「初めまして、湖城若葉です。七菜の母です。七菜がお世話になっております」
「ああいえいえ、むしろこっちがお世話になってます」
「あら、正直七菜が狙撃手の道に進むのはあまり賛成していなかったんですけれど……あなたたちを支えられているのなら考えを改めてなければなりませんね」
狙撃手の道に進むことに賛成していなかった?
ちらりと目の端で湖城先輩を見てみるとその目線はなにかから逃れる様に卓上の料理に向けられていた。
「……さて、父さん。次だ」
「ああ判った。僕は湖城基綱、柚と蒼の父だ。君たちが僕たちの身辺警護をしてくれる子たちかい?柚から話は聞いている。面倒なことをやらせてすまんね」
「あ、いえいえ、僕たちが好きでやらせてもらってることですし」
俺はそう言った。
当たり障りのない感じに言ったが彼はそれを聞いて「ほぅ」とどこか感心した様な声を出した。
「よくできた子だ。柚、彼の様な生徒を持てたのはまさに僥倖だ。いざという時は守ってやれよ」
「勿論だ。教師としてな」
そう言って胸に手を置く。
確かに元第1空挺団教官であるという彼女ならばいざという時、守ってくれそうだ。
「さて、そして彼女が湖城トメ、湖城家十三代目当主だ」
「……アンタたちが客人かい」
閉じているのではないかというくらいに細い目と150もないだろう小さな背──けれどその雰囲気は数々の波乱の中で生きてきた歴戦の猛者だ。
その雰囲気に加えて名家である湖城家の当主ということもあり、俺たちは自然と背筋が正される。
「こんな辺鄙な田舎町までよく来たね。ゆっくりしていくといい」
厳かな雰囲気とは裏腹にそう言って、穏やかそうな笑みを一度浮かべる。
その様子に俺たちはいつの間にか肩に入っていた力が抜ける。
「……婆ちゃん、大丈夫か?今にもぶっ倒れそうだけど……」
直巳が小声で俺にそう言った。
湖城家現当主であるトメさんは先ほどからぷるぷると小刻みに震えている。
その様子を見て、心配になったのだろう。
「……ああ。お婆ちゃんなら大丈夫だよ。あれでも薙刀を振れるだけの体力はあるしね」
「薙刀を……って、めちゃくちゃ元気じゃないっすか!何歳なんですか?」
「確か大正14年生まれだったから……今年で102だ」
湖城先生がそう素早く計算して小声で俺たちに言った。
どうやら戦闘だけでなく、計算も得意らしい。
美人な上に文武両道とは……そんな彼女が何故彼氏の1人もいないのか、不思議で仕方がない。イージス学園最大の謎と言っても過言ではない。
「……おや、アタシのことを話してるのかい」
トメさんがそう言った。
かなりの小声で話していたはずだったが102歳俺たちの会話を聞けるだけの聴力を持っているとは……かなりの健康体だ。
「これはいつも湖城家の人間全員に言っていることだが健康は金では買えない。若い頃に積み重ねた分だけ体力の減りは緩やかになる。日々の努力が大切だ」
普通の人間が言っても聞き流してしまう言葉だが1世紀以上生きた彼女が言うと妙に説得力がある。
その証左に俺たち全員は彼女の言葉を聞いて思わず無言になってしまっていた。
「──さて、せっかくの食事だ。腹が空いてるのに客人を待たせるというのも失礼というものだ。食おうじゃないか」
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『いただきます』
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