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兵革の五月[May of Struggle]
Mission17 反撃開始⑥
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「はぁっ!」
「くっ……重い……!」
俺は漆黒の鎧に身を包んだ騎士が振った剣を受け止める。
その一撃は速いがそれと同時に重かった。
その威力は受け止めた際の衝撃が脇差から腕に伝わって痺れるくらいだ。
「君は……確か東条大和君だったかな。君を殺してチップを回収させてもらおうか」
「……チップを奪ってどうするつもりだ?」
「決まってる。使うんだよッ!」
地面を蹴って神速とも思える速度で俺の懐に飛び込んでくる速水沙々。
そして自身の持つ深紅の刃を俺へと滑らせる。
「っ、しまっ──」
志熊の剣を受け止めている状態では彼女のマチェットを受け止めることも避けることもできない。
このままでは彼女は刃が俺の身体を真っ二つにしてしまう。
けれど──
キンッ
金属のぶつかる鋭い音と共に深紅の刃が弾かれる。
凛華だ。彼女は俺に二人を近づけまいと前に立つ。
「大和を殺しはさせない」
彼女はそれだけ言うと地面を蹴って、速水沙々へと距離を詰める。
そして彼女の間合いに入るとサーベルによる鋭い刺突を繰り出す。
「へぇ……チップは持ってなさそうだが一撃一撃が鋭い!面白そうな相手だ!」
速水沙々はそう嬉しそうな表情を浮かべ、刺突をマチェットの側面で受け止める。
そして次に凛華との間合いを詰めながら左右や斜めに振る。
けれど凛華は振られた刃を見切っているのか全て身体を反らしたり、左右に軽く動いて回避した。
「凄い……」
「……へぇ、彼女の刃を避けるなんてやるね」
突然俺が受け止めていた剣が消える。いや、それだけでなく剣を持った志熊も。
一体どこに行ったのかと一瞬考えてしまったが彼は凛華の懐に入り込んでいた。
そしてそのまま剣を振るったが凛華はそれも受け止める。
「流石だね」
志熊は自身の剣を受け止めたことに対して素直な称賛を送った。
そして剣を振り上げて、凛華に更に攻撃を与えようとするが俺たちはそれを許さなかった。
「はっ!」
「やぁっ!」
レイと藍川先輩が自身の得物で志熊へと切りかかる。
だが──
「甘いよ」
──彼の剣が真っ二つに割れ、二つに割れた剣はそのまま伸びて二人の刃を受け止めた。
剣があんな風に動くなど本来ならばありえない。
しかし志熊の持つ液体金属兵装ならば剣がまるで意思を持っているかの様に動かすことができる。
「なんて厄介な……!」
藍川先輩の言う通り実に厄介な相手だ。
二人は一度飛び退いて志熊から離れる。
「!」
それと同時に三発の銃弾が彼を襲う。
一発は遠方から放たれた青緑の軌跡を描く七菜さんの銃弾で、二発は森さんの二挺の拳銃から放たれた銃弾だ。
三発もの銃弾に一度に襲われて流石に無傷でいられるはずがないだろう。そう思っていた。
「ムダだよ」
「なっ……!?」
気付くと速水沙々が志熊の目の前に立っており、マチェットを構えている。
そして持つ得物を二三虚空に向けて振るい、弾丸を弾き落としてしまった。
とても人間業とは思えない。銃弾を刃物で弾くだなんて。
「銃弾を弾いた……!?」
「サイボーグ化する時に目も改造られたからな。来るって判ってれば弾くのなんて朝飯前だぜ」
「ああ助かったよ」
そう言って志熊は剣を構えて、再び俺へと距離を詰める。
全身を鎧っているのにも関わらず素早い動きだ。
「ほら、僕たちを倒すにはチップの能力を使うしかないよ」
「ああそうだ……ぜッ!」
二つの刃が一度に俺を襲う。
刃によって自分の身体が切られるかもしれないという恐怖を無理やり押さえつけ、落ち着けと自分自身に言い聞かせた。
まずは志熊の刃をバックステップで回避し、次に来る速水沙々の刃を脇差で受け止めた。
「へぇ、随分と冷静な動きだ。けれど……」
「ああチカラを使わねえと勝てねえぜ」
志熊は一度俺へと剣を振るうことを止め、代わりに速水沙々に刃を振るうことを譲る。
彼女は深紅に輝く刃を連続で俺に振るう。
サイボーグ化によって強化された剣速は見切れないほどではないが受け止め続けると見切りにくくなってくる。
「っ……!」
ピッと頬を切る音が聞こえた。鋭い痛みが頬に走った。
触ってみると赤い鮮血が手についた。切られた様だ。
「どうした?そのチカラを使ってみろよ」
「くっ……」
俺はバックステップで彼女との距離を離そうとするが彼女はそれを許してはくれなかった。
離れた瞬間に地を蹴り、俺との間合いを一気に詰めた。
「オラァッ!」
ありったけの力を込めて振るわれた刃が俺の喉元に迫る。
けれど森さんが二発銃弾を放つと彼女は俺を切ろうとせずに銃弾を弾き、一度飛び退いた。
「チッ……小賢しい」
「ありがとう、森さん!」
そう感謝すると彼女は微かな笑みを浮かべて「どういたしまして」と言った。
そして速水沙々へと視線を戻すと彼女は面白くなさそうに問うた。
「まさか……使い方のコツが掴めてねえのか?」
「!」
彼女の問いに俺はびくりとした。
その通りだ。あのタケミカヅチとの戦い以降、俺は一度もチップの能力を使用できていない。
タケミカヅチとの戦いで能力を使えたのはまぐれだったのだ。
「はぁ、チップ持ちと本気で戦り合えると思ってたンだけど……仕方ねえ、雑魚を一方的にやるのは好きじゃねえンだがチカラを使えねえなら死んでもらうぜ」
彼女はそう言ってマチェットを構え直す。
そして人間離れした速度で俺たちとの距離を詰めるとその刃を振るった。
「ッ──」
人知を超えた速さに、俺たちが反応するよりも早く、俺たちはその場に一斉に切り伏せられた。
「ぐ……うぐ……っ」
切られた胸と腹の辺りをさすってみるが出血している様な跡はない。
どうやら制服の特殊繊維が彼女の刃を肉体まで到達させることを防いでくれた様だ。
しかしそれでも制服には切られた跡が残ってしまった。
「なんだァ?まだ倒れないのか……おい、志熊」
「はいはい判ったよ、君たちにはなんの恨みもないけれどこれも組織のため……死んでもらうよ」
志熊がおもむろに地面に倒れている俺たちへと歩み寄る。
そして片手に持つ剣を一度虚空に向けて振るう。
(まずい、このままじゃあ──)
「させない……っ!」
そんな時サーベルを手に、俺たちを守る様にして一人の少女が立ち上がった。
「くっ……重い……!」
俺は漆黒の鎧に身を包んだ騎士が振った剣を受け止める。
その一撃は速いがそれと同時に重かった。
その威力は受け止めた際の衝撃が脇差から腕に伝わって痺れるくらいだ。
「君は……確か東条大和君だったかな。君を殺してチップを回収させてもらおうか」
「……チップを奪ってどうするつもりだ?」
「決まってる。使うんだよッ!」
地面を蹴って神速とも思える速度で俺の懐に飛び込んでくる速水沙々。
そして自身の持つ深紅の刃を俺へと滑らせる。
「っ、しまっ──」
志熊の剣を受け止めている状態では彼女のマチェットを受け止めることも避けることもできない。
このままでは彼女は刃が俺の身体を真っ二つにしてしまう。
けれど──
キンッ
金属のぶつかる鋭い音と共に深紅の刃が弾かれる。
凛華だ。彼女は俺に二人を近づけまいと前に立つ。
「大和を殺しはさせない」
彼女はそれだけ言うと地面を蹴って、速水沙々へと距離を詰める。
そして彼女の間合いに入るとサーベルによる鋭い刺突を繰り出す。
「へぇ……チップは持ってなさそうだが一撃一撃が鋭い!面白そうな相手だ!」
速水沙々はそう嬉しそうな表情を浮かべ、刺突をマチェットの側面で受け止める。
そして次に凛華との間合いを詰めながら左右や斜めに振る。
けれど凛華は振られた刃を見切っているのか全て身体を反らしたり、左右に軽く動いて回避した。
「凄い……」
「……へぇ、彼女の刃を避けるなんてやるね」
突然俺が受け止めていた剣が消える。いや、それだけでなく剣を持った志熊も。
一体どこに行ったのかと一瞬考えてしまったが彼は凛華の懐に入り込んでいた。
そしてそのまま剣を振るったが凛華はそれも受け止める。
「流石だね」
志熊は自身の剣を受け止めたことに対して素直な称賛を送った。
そして剣を振り上げて、凛華に更に攻撃を与えようとするが俺たちはそれを許さなかった。
「はっ!」
「やぁっ!」
レイと藍川先輩が自身の得物で志熊へと切りかかる。
だが──
「甘いよ」
──彼の剣が真っ二つに割れ、二つに割れた剣はそのまま伸びて二人の刃を受け止めた。
剣があんな風に動くなど本来ならばありえない。
しかし志熊の持つ液体金属兵装ならば剣がまるで意思を持っているかの様に動かすことができる。
「なんて厄介な……!」
藍川先輩の言う通り実に厄介な相手だ。
二人は一度飛び退いて志熊から離れる。
「!」
それと同時に三発の銃弾が彼を襲う。
一発は遠方から放たれた青緑の軌跡を描く七菜さんの銃弾で、二発は森さんの二挺の拳銃から放たれた銃弾だ。
三発もの銃弾に一度に襲われて流石に無傷でいられるはずがないだろう。そう思っていた。
「ムダだよ」
「なっ……!?」
気付くと速水沙々が志熊の目の前に立っており、マチェットを構えている。
そして持つ得物を二三虚空に向けて振るい、弾丸を弾き落としてしまった。
とても人間業とは思えない。銃弾を刃物で弾くだなんて。
「銃弾を弾いた……!?」
「サイボーグ化する時に目も改造られたからな。来るって判ってれば弾くのなんて朝飯前だぜ」
「ああ助かったよ」
そう言って志熊は剣を構えて、再び俺へと距離を詰める。
全身を鎧っているのにも関わらず素早い動きだ。
「ほら、僕たちを倒すにはチップの能力を使うしかないよ」
「ああそうだ……ぜッ!」
二つの刃が一度に俺を襲う。
刃によって自分の身体が切られるかもしれないという恐怖を無理やり押さえつけ、落ち着けと自分自身に言い聞かせた。
まずは志熊の刃をバックステップで回避し、次に来る速水沙々の刃を脇差で受け止めた。
「へぇ、随分と冷静な動きだ。けれど……」
「ああチカラを使わねえと勝てねえぜ」
志熊は一度俺へと剣を振るうことを止め、代わりに速水沙々に刃を振るうことを譲る。
彼女は深紅に輝く刃を連続で俺に振るう。
サイボーグ化によって強化された剣速は見切れないほどではないが受け止め続けると見切りにくくなってくる。
「っ……!」
ピッと頬を切る音が聞こえた。鋭い痛みが頬に走った。
触ってみると赤い鮮血が手についた。切られた様だ。
「どうした?そのチカラを使ってみろよ」
「くっ……」
俺はバックステップで彼女との距離を離そうとするが彼女はそれを許してはくれなかった。
離れた瞬間に地を蹴り、俺との間合いを一気に詰めた。
「オラァッ!」
ありったけの力を込めて振るわれた刃が俺の喉元に迫る。
けれど森さんが二発銃弾を放つと彼女は俺を切ろうとせずに銃弾を弾き、一度飛び退いた。
「チッ……小賢しい」
「ありがとう、森さん!」
そう感謝すると彼女は微かな笑みを浮かべて「どういたしまして」と言った。
そして速水沙々へと視線を戻すと彼女は面白くなさそうに問うた。
「まさか……使い方のコツが掴めてねえのか?」
「!」
彼女の問いに俺はびくりとした。
その通りだ。あのタケミカヅチとの戦い以降、俺は一度もチップの能力を使用できていない。
タケミカヅチとの戦いで能力を使えたのはまぐれだったのだ。
「はぁ、チップ持ちと本気で戦り合えると思ってたンだけど……仕方ねえ、雑魚を一方的にやるのは好きじゃねえンだがチカラを使えねえなら死んでもらうぜ」
彼女はそう言ってマチェットを構え直す。
そして人間離れした速度で俺たちとの距離を詰めるとその刃を振るった。
「ッ──」
人知を超えた速さに、俺たちが反応するよりも早く、俺たちはその場に一斉に切り伏せられた。
「ぐ……うぐ……っ」
切られた胸と腹の辺りをさすってみるが出血している様な跡はない。
どうやら制服の特殊繊維が彼女の刃を肉体まで到達させることを防いでくれた様だ。
しかしそれでも制服には切られた跡が残ってしまった。
「なんだァ?まだ倒れないのか……おい、志熊」
「はいはい判ったよ、君たちにはなんの恨みもないけれどこれも組織のため……死んでもらうよ」
志熊がおもむろに地面に倒れている俺たちへと歩み寄る。
そして片手に持つ剣を一度虚空に向けて振るう。
(まずい、このままじゃあ──)
「させない……っ!」
そんな時サーベルを手に、俺たちを守る様にして一人の少女が立ち上がった。
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