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六月
Mission3 機械狼
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俺たちがヘリから降り立った場所は大穴からそれなりに離れた場所だった。
全員降りたことを確認すると高度を上げて上空に留まる。
「もっと大穴の近くで降ろしてくれた方が楽なのに」
これから大穴まで向かうのにそれなりに走ることになる。
それに気乗り薄なレイはそう言った。
〈その神機とやらは大穴付近に現れるンだろ?もし大穴の近くで高度を下げたら……〉
「……神機に撃墜されるかもしれない?」
〈そういうこった。そうなったら怖えから少し離れた場所に降りてもらったぜ〉
もし撃墜されたら……ということを考えると大穴近くに俺たちを降ろさなかった彼の判断に深謝する。
「それで……大穴までの道のりを表示してくれるかな?」
〈判った、表示しよう〉
神崎さんは手元のキーボードをパチパチと細い指で叩いていく。
そして最後にエンターキーを弾くと同時に視界の端に地図が表示される。
イージスの戦闘員が装用するコンタクト型コンピュータだ。視界に自身の生体データ、大まかな地図、現在の時刻などを拡張現実で表示する。
更にコンタクトをつけたまま視界に映したものは映像としてリアルタイムで神崎さんのパソコンに送られ、それを見て彼女がアドバイスを行うという便利なものだ。
「うん、映った。ありがとう」
〈お安い御用だ〉
表示された地図を頼りに俺たちは先に進んでいく。
荒廃した町に五人の足音だけが響く。
「それにしても……」
森さんが拳銃を手にふとそう言った。
「……うん」
「なんだか静かすぎる気がするのは気のせいかな?」
「……確かに占領地にしては静かですわね。テロリストが跋扈してる方が自然でしょうに」
ベアの言う通りだ。
前回ミッションの舞台となった紙越商店街では入ると同時に無数の銃火が出迎えてくれたというのに。
静かで戦いのないというのは良いことではあるがその嫌な静かさが逆に俺たちをどこか不安にさせた。
「なんだか嫌な予感がする……」
レイは歩調を弱めると腰の刀に手をやり、いつでも抜ける様に柄を握った。
そんな彼女に合わせて渚も狙撃銃を背負うとナイフを構える。
「同感よ。元殺し屋だから判る……まるで静寂に紛れる様にして、襲来しようとする鋭い殺気が……」
元暗殺者という職歴から彼女は肌で一陣の殺気を感じ取っていた。
そしてそれは杞憂などではないと数秒後の俺たちは知ることとなる。
「!」
「左ですわっ!」
ザッと影をまとう様にして、俺たちの真横をなにかが通り過ぎた。
けれどあまりの速さに視界では捉えきれなかった。
「今のは……」
「それなりに大きかった……あれは一体?」
影と同化している上に素早い動きで俺たちの目では視認できなかった。
しかし俺たちの身長より少しあるくらいの大きさを持った存在だというのは判った。
「……来るッ!」
もう一度俺たちへと謎の存在が高速で向かってくる。
その脚で大地を力強く蹴飛ばし、捉えきれないほどに速度を上げる。
「速い……ッ!」
またしても謎の存在は俺たちの真横を通り過ぎていくだけだった。
その巨体の生み出した冷たい風がまるで捉えきれずに翻弄されている俺たちを小馬鹿にしている様だった。
「また来る……!」
謎の存在は再びアスファルトの地面を鳴動させ、神速で接近してくる。
また捉えきれずに翻弄されるだけかと思った。
「はあっ!」
──けれど違った。
謎の存在が通り過ぎる瞬間、レイは鞘からその刃を抜き取り、切りつけたのだ。
そのお陰で俺たちを翻弄した謎の存在はぴたりと動きを止めた。
「なにあれ……」
走ることを止めた謎の存在の正体を見て、俺たちは全員が魂消た。
鋭く尖った爪、烱々と光る赤い眼光、ぬるりと動く尾……
「狼……?」
それは狼だった。
しかもただの狼ではない。全身が機械でできているのだ。
〈そいつは……神機マカミか!〉
「知ってるの、神崎さん?」
明らかとなった機械狼の正体を見て、彼女も驚いた様だった。
更に彼女は狼について知っている様だった。
〈ああ……神機の一種だ。詳しくは戦闘中に話す、とにかく構えてくれ〉
「……判った」
彼女に言われ、俺たちは武器を構える。
機械狼は赤く光る眼を俺たちに向け、睥睨した。
全員降りたことを確認すると高度を上げて上空に留まる。
「もっと大穴の近くで降ろしてくれた方が楽なのに」
これから大穴まで向かうのにそれなりに走ることになる。
それに気乗り薄なレイはそう言った。
〈その神機とやらは大穴付近に現れるンだろ?もし大穴の近くで高度を下げたら……〉
「……神機に撃墜されるかもしれない?」
〈そういうこった。そうなったら怖えから少し離れた場所に降りてもらったぜ〉
もし撃墜されたら……ということを考えると大穴近くに俺たちを降ろさなかった彼の判断に深謝する。
「それで……大穴までの道のりを表示してくれるかな?」
〈判った、表示しよう〉
神崎さんは手元のキーボードをパチパチと細い指で叩いていく。
そして最後にエンターキーを弾くと同時に視界の端に地図が表示される。
イージスの戦闘員が装用するコンタクト型コンピュータだ。視界に自身の生体データ、大まかな地図、現在の時刻などを拡張現実で表示する。
更にコンタクトをつけたまま視界に映したものは映像としてリアルタイムで神崎さんのパソコンに送られ、それを見て彼女がアドバイスを行うという便利なものだ。
「うん、映った。ありがとう」
〈お安い御用だ〉
表示された地図を頼りに俺たちは先に進んでいく。
荒廃した町に五人の足音だけが響く。
「それにしても……」
森さんが拳銃を手にふとそう言った。
「……うん」
「なんだか静かすぎる気がするのは気のせいかな?」
「……確かに占領地にしては静かですわね。テロリストが跋扈してる方が自然でしょうに」
ベアの言う通りだ。
前回ミッションの舞台となった紙越商店街では入ると同時に無数の銃火が出迎えてくれたというのに。
静かで戦いのないというのは良いことではあるがその嫌な静かさが逆に俺たちをどこか不安にさせた。
「なんだか嫌な予感がする……」
レイは歩調を弱めると腰の刀に手をやり、いつでも抜ける様に柄を握った。
そんな彼女に合わせて渚も狙撃銃を背負うとナイフを構える。
「同感よ。元殺し屋だから判る……まるで静寂に紛れる様にして、襲来しようとする鋭い殺気が……」
元暗殺者という職歴から彼女は肌で一陣の殺気を感じ取っていた。
そしてそれは杞憂などではないと数秒後の俺たちは知ることとなる。
「!」
「左ですわっ!」
ザッと影をまとう様にして、俺たちの真横をなにかが通り過ぎた。
けれどあまりの速さに視界では捉えきれなかった。
「今のは……」
「それなりに大きかった……あれは一体?」
影と同化している上に素早い動きで俺たちの目では視認できなかった。
しかし俺たちの身長より少しあるくらいの大きさを持った存在だというのは判った。
「……来るッ!」
もう一度俺たちへと謎の存在が高速で向かってくる。
その脚で大地を力強く蹴飛ばし、捉えきれないほどに速度を上げる。
「速い……ッ!」
またしても謎の存在は俺たちの真横を通り過ぎていくだけだった。
その巨体の生み出した冷たい風がまるで捉えきれずに翻弄されている俺たちを小馬鹿にしている様だった。
「また来る……!」
謎の存在は再びアスファルトの地面を鳴動させ、神速で接近してくる。
また捉えきれずに翻弄されるだけかと思った。
「はあっ!」
──けれど違った。
謎の存在が通り過ぎる瞬間、レイは鞘からその刃を抜き取り、切りつけたのだ。
そのお陰で俺たちを翻弄した謎の存在はぴたりと動きを止めた。
「なにあれ……」
走ることを止めた謎の存在の正体を見て、俺たちは全員が魂消た。
鋭く尖った爪、烱々と光る赤い眼光、ぬるりと動く尾……
「狼……?」
それは狼だった。
しかもただの狼ではない。全身が機械でできているのだ。
〈そいつは……神機マカミか!〉
「知ってるの、神崎さん?」
明らかとなった機械狼の正体を見て、彼女も驚いた様だった。
更に彼女は狼について知っている様だった。
〈ああ……神機の一種だ。詳しくは戦闘中に話す、とにかく構えてくれ〉
「……判った」
彼女に言われ、俺たちは武器を構える。
機械狼は赤く光る眼を俺たちに向け、睥睨した。
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