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六月
Mission6 indigo blade awaken
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「オラオラオラァ!」
速水沙々は紅に輝く山刀で次々と空に光芒を描いていく。
一撃一撃は大振りだが腕力を強化されているだけあって素早い。
「くっ……」
「速い……それに重い……!」
彼女は一人で俺とレイの二人を相手に白兵戦を仕掛けてきた。
本来ならば人数が多い方が有利なのだろうが違った。
「ホラッ、攻めてこねえと勝ちはこないぜッ!」
彼女の人間離れした高速移動にマチェットによる重い一撃、それは一人で多数を相手にできるものだった。
「はあッ!」
ベアはそんな彼女へとジャガーノートを振るう。
大振りで隙は多いが斧の先端の重量を活かした打撃は強力だ。
しかし──
「ムダだぜ」
斧の先端を左手の指で挟んだ。白刃取りだ。
刀と違い、重い刃を持つそれは勢いよく振られたらとても素手で受け止められる代物ではない。
けれど速水沙々はそれを受け止めてみせたのだ。
「なっ……」
「オラッ!」
そして右の手に握られた得物でベアを突く。
「あ……が……ッ」
鳩尾に柄頭を叩き込まれた彼女はゆっくりと倒れ、その場にうずくまる。
どうやら特殊繊維でできたこの制服でも衝撃を吸収しきれなかったみたいだ。
「ベアッ!」
レイは一度飛び退いて速水沙々との距離を離すと倒れたベアへと近付く。
「なんとか大丈夫ですわ……それよりも……」
彼女の視線の先は刃を交わし合う俺と速水沙々だった。
レイはその視線から察し、再び加勢する。
「外さない──」
俺たちが刃を交える中、慎重に狙い続ける者がいた。
渚だ。彼女は建物の屋上から速水沙々をスコープに捉える。
だが、
「っ!?消え──」
突然標的が照準内から消えた。
それに数瞬狼狽えた。
「よお」
その僅かな狼狽の間にターゲットが目の前に立っていた。
「なっ……!」
(この短時間であそこからここまで……!)
俺たちと白兵で戦っていた場所と渚の狙っていた場所まで数十メートルはある。
渚の目の前に立つ彼女は距離など関係ないとでもいうかの様だった。
「化け物じみた素早さね……」
「チップの力も使ってるしな」
「へぇ、やっぱりチップの能力って厄介ね……」
渚はゆっくりと狙撃銃は地面に置きつつそう言った。
そして──背中の鞘からナイフを抜き取り、速水沙々に切りかかる。
「ムダだって言ってンだろ」
しかし、神速と言っても過言ではない素早さを誇る彼女の前には無意味だった。
少女は自身の身体に当たる前にひらりと避け、渚の腹に蹴りを入れた。
「うぐ……っ」
鳩尾を蹴られ、鈍い痛みにその場に倒れる。
そんな彼女を見下ろす速水沙々のすぐ横にいくつもの銃痕が刻まれる。
森さんが乱射したのだ。二挺の拳銃のその口から一筋の煙が上がっている。
「外した……っ」
トリガーを引くが銃弾は放たれない。撃ち尽くしたのだ。
空の弾倉を抜き取り、新たなものに入れ替えようとした時だった。
「!」
一瞬にして目の前に彼女が現れた。
そして持っているマチェットの峰で森さんの首を打った。
「っ……」
そのまま糸を切られた人形の様に地面に倒れる。
ベア、渚、森さん……三人が僅かな間にやられてしまった。
そこで俺たちは気付いた。
──これまで彼女は本気を出していなかったのだ、と。
チップは武器の使用者の行動原理を感じ取り、力へと変える。
彼女の行動原理は俺たちを容易くねじ伏せるものだった。
「少しは期待してたンだけどな……残念だ」
「まだまだァッ!」
レイは刀を手に、速水沙々へと切りかかる。
仲間が三人やられたことに対する怒りを込めた一撃だ。
「え……」
しかしサイボーグの少女はそれを容易に回避してみせた。
そして森さん同様に首筋にマチェットの峰を叩きつけた。
「う……っ」
刀を手放し、倒れる。
そして速水沙々は唯一残った俺へと切っ先を向ける。
「あとはオマエだけだ、隊長サン」
「……ッ!」
圧倒的な力で俺たちを蹂躙した彼女は俺へと遠慮なしに歩み寄ってくる。
その余裕のある様子に脇差を握る手から汗が滲み出してきた。
「オマエを倒したら……全員楽に殺してやらないとな」
「くっ……」
守らないと、みんなを。
自然と手に力が入り、痛いほどに刃を握り締めた。
「ああああっ!」
なにも考えずに彼女へと向かっていく。
彼女はそんな俺の振るう刃をひらりと半身を逸らして避けた。
「少しは期待してたンだけどな……残念だよ」
そう吐き捨てる様に言うとマチェットを背中に向けて振るった。
瞬間、背中がじんわりと熱くなっていく。切られた、のだとすぐに理解した。
「ぐっ……」
特殊繊維さえも容易に切れる速水沙々、戦わずに逃げるべきだったかもしれない。
背からどろりとした鮮血が流れ出るのを感じつつ、俺も地に倒れる。
「……オマエも力がないからなにも守れない」
彼女は見下ろす様にして俺に言った。
「立ちはだかる壁を壊せねえ」
そして山刀の切っ先を俺の喉元に突きつけた。
「──信念を貫けない」
更に鋭利な先端を近付ける。
冷たい感触が微かに皮膚に触れる。
「……そうだね。力がなければ守りたいものも守れない」
彼女の言う通りだ。
脳裏にとあるイメージが思い浮かぶ。日常の壊れるイメージだ。
全てが崩れ去り、全てが血に染まり、全てが黒く塗り潰される……そんな風景だ。
「──取り戻したいものも取り戻せない」
その瞬間、脇差を手放しそうになっていた手に力が入る。
そしてゆっくりと身体に起こし、立ち上がる。
「オマエ……?」
速水沙々は機鋒を向けながらゆっくりと俺から距離を離していく。
俺は一度刃を空に向けて振るった。
「ありがとう。お陰で自分の行動原理を思い出すことができたよ」
刀身がゆっくりと淡い藍色に色付いてゆく。
更にプラズマを放って、バチバチという音を立てている。
「は、はは……そうだよ、それだよ!」
速水沙々は嬉しそうに言ってマチェットを構え直す。
「仕切り直しといこうか!死ぬまで戦り合おうぜ!」
速水沙々は紅に輝く山刀で次々と空に光芒を描いていく。
一撃一撃は大振りだが腕力を強化されているだけあって素早い。
「くっ……」
「速い……それに重い……!」
彼女は一人で俺とレイの二人を相手に白兵戦を仕掛けてきた。
本来ならば人数が多い方が有利なのだろうが違った。
「ホラッ、攻めてこねえと勝ちはこないぜッ!」
彼女の人間離れした高速移動にマチェットによる重い一撃、それは一人で多数を相手にできるものだった。
「はあッ!」
ベアはそんな彼女へとジャガーノートを振るう。
大振りで隙は多いが斧の先端の重量を活かした打撃は強力だ。
しかし──
「ムダだぜ」
斧の先端を左手の指で挟んだ。白刃取りだ。
刀と違い、重い刃を持つそれは勢いよく振られたらとても素手で受け止められる代物ではない。
けれど速水沙々はそれを受け止めてみせたのだ。
「なっ……」
「オラッ!」
そして右の手に握られた得物でベアを突く。
「あ……が……ッ」
鳩尾に柄頭を叩き込まれた彼女はゆっくりと倒れ、その場にうずくまる。
どうやら特殊繊維でできたこの制服でも衝撃を吸収しきれなかったみたいだ。
「ベアッ!」
レイは一度飛び退いて速水沙々との距離を離すと倒れたベアへと近付く。
「なんとか大丈夫ですわ……それよりも……」
彼女の視線の先は刃を交わし合う俺と速水沙々だった。
レイはその視線から察し、再び加勢する。
「外さない──」
俺たちが刃を交える中、慎重に狙い続ける者がいた。
渚だ。彼女は建物の屋上から速水沙々をスコープに捉える。
だが、
「っ!?消え──」
突然標的が照準内から消えた。
それに数瞬狼狽えた。
「よお」
その僅かな狼狽の間にターゲットが目の前に立っていた。
「なっ……!」
(この短時間であそこからここまで……!)
俺たちと白兵で戦っていた場所と渚の狙っていた場所まで数十メートルはある。
渚の目の前に立つ彼女は距離など関係ないとでもいうかの様だった。
「化け物じみた素早さね……」
「チップの力も使ってるしな」
「へぇ、やっぱりチップの能力って厄介ね……」
渚はゆっくりと狙撃銃は地面に置きつつそう言った。
そして──背中の鞘からナイフを抜き取り、速水沙々に切りかかる。
「ムダだって言ってンだろ」
しかし、神速と言っても過言ではない素早さを誇る彼女の前には無意味だった。
少女は自身の身体に当たる前にひらりと避け、渚の腹に蹴りを入れた。
「うぐ……っ」
鳩尾を蹴られ、鈍い痛みにその場に倒れる。
そんな彼女を見下ろす速水沙々のすぐ横にいくつもの銃痕が刻まれる。
森さんが乱射したのだ。二挺の拳銃のその口から一筋の煙が上がっている。
「外した……っ」
トリガーを引くが銃弾は放たれない。撃ち尽くしたのだ。
空の弾倉を抜き取り、新たなものに入れ替えようとした時だった。
「!」
一瞬にして目の前に彼女が現れた。
そして持っているマチェットの峰で森さんの首を打った。
「っ……」
そのまま糸を切られた人形の様に地面に倒れる。
ベア、渚、森さん……三人が僅かな間にやられてしまった。
そこで俺たちは気付いた。
──これまで彼女は本気を出していなかったのだ、と。
チップは武器の使用者の行動原理を感じ取り、力へと変える。
彼女の行動原理は俺たちを容易くねじ伏せるものだった。
「少しは期待してたンだけどな……残念だ」
「まだまだァッ!」
レイは刀を手に、速水沙々へと切りかかる。
仲間が三人やられたことに対する怒りを込めた一撃だ。
「え……」
しかしサイボーグの少女はそれを容易に回避してみせた。
そして森さん同様に首筋にマチェットの峰を叩きつけた。
「う……っ」
刀を手放し、倒れる。
そして速水沙々は唯一残った俺へと切っ先を向ける。
「あとはオマエだけだ、隊長サン」
「……ッ!」
圧倒的な力で俺たちを蹂躙した彼女は俺へと遠慮なしに歩み寄ってくる。
その余裕のある様子に脇差を握る手から汗が滲み出してきた。
「オマエを倒したら……全員楽に殺してやらないとな」
「くっ……」
守らないと、みんなを。
自然と手に力が入り、痛いほどに刃を握り締めた。
「ああああっ!」
なにも考えずに彼女へと向かっていく。
彼女はそんな俺の振るう刃をひらりと半身を逸らして避けた。
「少しは期待してたンだけどな……残念だよ」
そう吐き捨てる様に言うとマチェットを背中に向けて振るった。
瞬間、背中がじんわりと熱くなっていく。切られた、のだとすぐに理解した。
「ぐっ……」
特殊繊維さえも容易に切れる速水沙々、戦わずに逃げるべきだったかもしれない。
背からどろりとした鮮血が流れ出るのを感じつつ、俺も地に倒れる。
「……オマエも力がないからなにも守れない」
彼女は見下ろす様にして俺に言った。
「立ちはだかる壁を壊せねえ」
そして山刀の切っ先を俺の喉元に突きつけた。
「──信念を貫けない」
更に鋭利な先端を近付ける。
冷たい感触が微かに皮膚に触れる。
「……そうだね。力がなければ守りたいものも守れない」
彼女の言う通りだ。
脳裏にとあるイメージが思い浮かぶ。日常の壊れるイメージだ。
全てが崩れ去り、全てが血に染まり、全てが黒く塗り潰される……そんな風景だ。
「──取り戻したいものも取り戻せない」
その瞬間、脇差を手放しそうになっていた手に力が入る。
そしてゆっくりと身体に起こし、立ち上がる。
「オマエ……?」
速水沙々は機鋒を向けながらゆっくりと俺から距離を離していく。
俺は一度刃を空に向けて振るった。
「ありがとう。お陰で自分の行動原理を思い出すことができたよ」
刀身がゆっくりと淡い藍色に色付いてゆく。
更にプラズマを放って、バチバチという音を立てている。
「は、はは……そうだよ、それだよ!」
速水沙々は嬉しそうに言ってマチェットを構え直す。
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