ヴァイオレント・ノクターン

乃寅

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六月

Mission9 bloody past

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──今年の三月まで、俺は東京に行っていた。

その理由は有名な私立中学に通うためだった。
元々俺は学力が平均以上あったので学費無料という条件で通うことにした。
その間の住居だが幸いにも学校の近くには叔父さんの住んでいる家があったため、そこに居候させてもらった。

「……それにしてもあと数ヶ月で高校かぁ~」

隣を歩く少女が言った。
彼女が東条鶫、俺の従妹だ。
鶫も成績優秀者ということで同じ中学に通っていた。

「そうだね。公立だと……そろそろ受験だね」
「内部進学の私たちはないからいいね、楽で」
「とはいえ高校の範囲を勉強しておかないと。置いていかれるからね」

放っておいたら勉強をしないであろう彼女をそう窘める。
私立学校は公立に比べて授業のスピードが早い。
俺たちの通っていた学校では中三で高校の範囲に入る。

「大和クンは勤勉だなぁ~……」
「せっかく東京の学校で学んでるんだからね。精が出るよ」

俺たちの通う中学校は都内の中でもかなりレベルが高いらしい。
勉強の難度も高いがその分燃えるというものだ。

──その日も俺はいつも通り学校で授業を受ける……はずだった。

一日を終え、叔父さんの家に鶫と帰ろうとしていた時だ。
鶫は俺とは別のクラスなので迎えに行った。

「あれ、いない……」

けれど教室に彼女の姿はなかった。
先に帰ったかな、と俺も帰ろうとした時だった。

「!」

突然胸ポケットにしまったスマホが一度揺れる。
なんだろうと思いつつ電源ボタンに力を込める。

『大和クンへ、体育館にある倉庫に来て下さい』

待ち受けにはそう表示されていた。
メールの差出人は鶫だ。

「鶫……?なんで体育倉庫に?」

体育倉庫なんてよっぽどの用がない限り行く様な場所ではない。
疑問に思い、メールで彼女に問うが返事は一切なかった。

「……胸騒ぎがする」

なんとなく嫌な予感がし、スマホを握りしめて走り出していた。
目指す場所はもちろん体育倉庫だ。

「あら、東条くん……」

道中担任である先生とすれ違った気がした。
しかし今の俺にとってそれは全く重要でないことだ。
あとで廊下を走ったから叱られる、なんてどうだっていい。
とにかく倉庫のある体育館を目指した。



そのまま体育館の目の前までやって来た。

「ハァ、ハァ……」

廊下を全力で走ったので身体は酸素を求めて息苦しくなる。
ちょうどこの時は二学期期末テスト直前だった。
そのため全ての部活動は停止するため、倉庫のある体育館は閉まっている。
しかし息を整えながら扉に手を掛けようとすると、

「鍵が……」

誰も侵入できない様にする南京錠が壊れていた。
地面に転がるそれを拾い上げて見てみるとU字型をした部分が根本から切れて……いや、正確には切られていた・・・・・・

(明らかに人為的にやられた跡……だよな)

自然に壊れたとしても断面がこんなにまっすぐになるわけがない。
誰かが破壊したのだ。そして壊した主は……この中にいる。

「…………」

第六感がこのまま去るのはまずいと囁く。
慎重に、体育館の中へと入ることにする。
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