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第3章 見えない距離、見えなくなる心
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体育祭のダンスが終わってから、
俺は少し変わった。
ハルカのことを、
意識しない日はなかった。
でも――見かけない。
実習の日も、座学の日も、
校内であの姿を探すけれど、
どこにもいない。
俺たちの高校は農業高校だから、
学年も違うし
授業も実習もバラバラだ。
クラスによって畑に出てたり、
温室で作業してたり――
だからこそ、
“偶然”がなければ、会えない。
「あの時、話しかければよかった。」
そんな後悔ばかりが積み重なっていく。
実習中、腰をかがめながら
土を耕してると、ふと風が吹いて、
あの日の体育館練習を思い出す。
彼女の笑顔。
優しい声。
触れた手のぬくもり。
全部、思い出せるのに――
現実にはいない。
昼休み、購買に行っても、
廊下を歩いても、
廊下の窓から中庭を見ても、いない。
「たまたまだよな。
偶然会えなかっただけだよな。」
自分に言い聞かせながら、
それでも胸の奥がざわついてしまう。
だって、ただ見えないだけで――まるで、
遠ざかっていくような気がしたから。
教室で誰かが鈴本さんの名前を
口にするたび、心臓が跳ねた。
けど、それが誰と話してたとか、
どこにいたとかになると、
なんとなく心が沈む。
「俺じゃない誰か」が、
彼女と繋がっている気がして――
知らないうちに、
嫉妬していたのかもしれない。
俺はただ、もう一度
話したかっただけなのに。
次に会えたら、挨拶しようって、
ただそれだけだったのに。
“会えない”という現実が、
思っていたよりも
ずっと重たく感じた。
高校生活の中で、
たった一人の後輩に、
こんなにも心を奪われているなんて――
あの頃の俺には、
まだ信じられなかった。
でも確かに、風が吹いた瞬間、
彼女を思い出して、
その風を好きになった。
俺は少し変わった。
ハルカのことを、
意識しない日はなかった。
でも――見かけない。
実習の日も、座学の日も、
校内であの姿を探すけれど、
どこにもいない。
俺たちの高校は農業高校だから、
学年も違うし
授業も実習もバラバラだ。
クラスによって畑に出てたり、
温室で作業してたり――
だからこそ、
“偶然”がなければ、会えない。
「あの時、話しかければよかった。」
そんな後悔ばかりが積み重なっていく。
実習中、腰をかがめながら
土を耕してると、ふと風が吹いて、
あの日の体育館練習を思い出す。
彼女の笑顔。
優しい声。
触れた手のぬくもり。
全部、思い出せるのに――
現実にはいない。
昼休み、購買に行っても、
廊下を歩いても、
廊下の窓から中庭を見ても、いない。
「たまたまだよな。
偶然会えなかっただけだよな。」
自分に言い聞かせながら、
それでも胸の奥がざわついてしまう。
だって、ただ見えないだけで――まるで、
遠ざかっていくような気がしたから。
教室で誰かが鈴本さんの名前を
口にするたび、心臓が跳ねた。
けど、それが誰と話してたとか、
どこにいたとかになると、
なんとなく心が沈む。
「俺じゃない誰か」が、
彼女と繋がっている気がして――
知らないうちに、
嫉妬していたのかもしれない。
俺はただ、もう一度
話したかっただけなのに。
次に会えたら、挨拶しようって、
ただそれだけだったのに。
“会えない”という現実が、
思っていたよりも
ずっと重たく感じた。
高校生活の中で、
たった一人の後輩に、
こんなにも心を奪われているなんて――
あの頃の俺には、
まだ信じられなかった。
でも確かに、風が吹いた瞬間、
彼女を思い出して、
その風を好きになった。
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