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サツキさんという人③
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【side アオ】
なんでそんな目してるん?
外ではあんなに、あんなにカッコよくて、女にモテて、遊んでばっかみたいな噂が流れていて、本当にどうしようもない奴なのに。
部屋に入るなりベッドになだれ込んで。
あっという間に真っ黒の服を剥ぎ取られ、カラダ中に刺激を受ける。
白い俺の肌はピンクに染まり、与え続けられる刺激に、ビクビクと痙攣し、声が漏れる。
いつからこんな関係になったんだったか。
確か、いつかの仕事帰り。
すごい怖い顔をしたサツキさんと偶然会って。
もともと仲よくて世話になっていた先輩だったから挨拶をしたら呼び止められて。いや単に輩に絡まれた感満載だったけど。
「アオ。お前このあと暇?」
「え?」
暇じゃないと言っていたら、きっと今の関係はない。「え?」と聞き返してしまったから。そのまま俺の部屋に来て。
部屋に入って、俺の目の前に立つサツキさんの顔は、驚くほど哀しい目をしていた。思いがけない、見たこともないその目から、俺は視線が離せなくて。
気づいたら強く、強く抱きしめられていて、そして関係を持った。
「アオ……何考えとんの?」
突然目の前のサツキさんに睨まれて。
「初めてヤッた日のこと」と答えた俺にサツキさんは「は?」と言って俺の腕をガシッと掴んだ。
「俺のことだけ考えとけよ……」
そう言ってサツキさんは真っ黒のネクタイで、俺の腕を縛り上げた。
「相変わらず縛んの、慣れてますね……」
「お前で慣れたんやで勘違いすんなや」
「嘘ばっか……」
「嘘ってなんやねん」
自由の利かない腕をさらに、ベッドに押さえつけられて、上腕に吸い付いたサツキさんは、ギリ……とそこに歯を立てる。
「いっ……」
「ん……なに?」
「痛い……」
「ちゃうやろ……気持ちいい……やろ?」
ニヤリと口角を上げてまた、ギリ……と今度は首筋に、歯を当てた。
少しだけ痛いことをして、でもその声は優しくて。その顔は、悲しげで。
そんな顔されたら。
流されてしまう。
サツキさんが好き?
そんなのは、俺にはわからない。
でも、激しく求められて、応じてしまう。
そこに、快感を感じてしまう。
カラダの中に圧迫を感じて、サツキさんの存在を、体内に感じる。
「あっ……サツ……キ、さん……あぁっ」
「アオ……気持ちいぃ」
「あかん……ソコ……ーーあたる……」
サツキさんの長い腕が、すっぽりと俺の頭を包み込んで、熱い息が、俺の首筋に当たる。
包み込む腕は優しくて。
でも激しく打ちつけるその行為、容赦なく与えられる刺激から逃れるように俺は、カラダを捩る。
「逃げんな……アオ……」
「だって……きもち……」
「逃がさねぇよ……アオ……」
言葉とは裏腹に、キツく縛られていた腕の拘束を解かれて、その腕を今度は優しく、サツキさんの大きな手が包み込む。そっとそこにサツキさんは、キスをした。
グイッと腰を上げられて、抱えられるようにベッド脇に立たせられる。
「お前……サイズ感ちょうどいいんだよ……」
小柄な俺のカラダは、いとも簡単に体位を変えられる。ダンッと窓に手をついて、足にはもはや力が入らなくて、腰をサツキさんがぐっと支えているのがわかる。
耳元に当たるサツキさんの熱い息を感じながら、街を見下ろす。大きな窓には、一面の光る街が見える。
初めて人間の世界を見たとき。
この光が、「生きる」ということなのかと感じた。
死神が訪れたその場所に、光が灯ることは、二度と、ない。
「ん? いや、あるなぁ」という、意外と早くまたそこに次の生きる人の光が灯るというやけに冷静な思考を遮るように、ガツンとと後ろからまた、激しく突かれる。
「アオ……アオ…」
俺の名を呼ぶ、サツキさんの顔が、窓に映る。
その声が上擦って、その時が近いのを感じて。俺もつられるように、熱が背を駆け上がった。
「サツキさん……イキそ……」
「俺も……も……イク……」
上がる息が、少しずつ、静かになって。
ゴロンとベッドに寝転んだ。
俺の隣にいる人。
女の子にモテて、遊んでばかりという噂の絶えないこの人は、どうしてこんなにも切ない顔をしているんだろう。悲しみに、溢れているんだろう。
こんな顔をして俺を求めてくるサツキさんを俺は、放っておけない。
なんでそんな目してるん?
外ではあんなに、あんなにカッコよくて、女にモテて、遊んでばっかみたいな噂が流れていて、本当にどうしようもない奴なのに。
部屋に入るなりベッドになだれ込んで。
あっという間に真っ黒の服を剥ぎ取られ、カラダ中に刺激を受ける。
白い俺の肌はピンクに染まり、与え続けられる刺激に、ビクビクと痙攣し、声が漏れる。
いつからこんな関係になったんだったか。
確か、いつかの仕事帰り。
すごい怖い顔をしたサツキさんと偶然会って。
もともと仲よくて世話になっていた先輩だったから挨拶をしたら呼び止められて。いや単に輩に絡まれた感満載だったけど。
「アオ。お前このあと暇?」
「え?」
暇じゃないと言っていたら、きっと今の関係はない。「え?」と聞き返してしまったから。そのまま俺の部屋に来て。
部屋に入って、俺の目の前に立つサツキさんの顔は、驚くほど哀しい目をしていた。思いがけない、見たこともないその目から、俺は視線が離せなくて。
気づいたら強く、強く抱きしめられていて、そして関係を持った。
「アオ……何考えとんの?」
突然目の前のサツキさんに睨まれて。
「初めてヤッた日のこと」と答えた俺にサツキさんは「は?」と言って俺の腕をガシッと掴んだ。
「俺のことだけ考えとけよ……」
そう言ってサツキさんは真っ黒のネクタイで、俺の腕を縛り上げた。
「相変わらず縛んの、慣れてますね……」
「お前で慣れたんやで勘違いすんなや」
「嘘ばっか……」
「嘘ってなんやねん」
自由の利かない腕をさらに、ベッドに押さえつけられて、上腕に吸い付いたサツキさんは、ギリ……とそこに歯を立てる。
「いっ……」
「ん……なに?」
「痛い……」
「ちゃうやろ……気持ちいい……やろ?」
ニヤリと口角を上げてまた、ギリ……と今度は首筋に、歯を当てた。
少しだけ痛いことをして、でもその声は優しくて。その顔は、悲しげで。
そんな顔されたら。
流されてしまう。
サツキさんが好き?
そんなのは、俺にはわからない。
でも、激しく求められて、応じてしまう。
そこに、快感を感じてしまう。
カラダの中に圧迫を感じて、サツキさんの存在を、体内に感じる。
「あっ……サツ……キ、さん……あぁっ」
「アオ……気持ちいぃ」
「あかん……ソコ……ーーあたる……」
サツキさんの長い腕が、すっぽりと俺の頭を包み込んで、熱い息が、俺の首筋に当たる。
包み込む腕は優しくて。
でも激しく打ちつけるその行為、容赦なく与えられる刺激から逃れるように俺は、カラダを捩る。
「逃げんな……アオ……」
「だって……きもち……」
「逃がさねぇよ……アオ……」
言葉とは裏腹に、キツく縛られていた腕の拘束を解かれて、その腕を今度は優しく、サツキさんの大きな手が包み込む。そっとそこにサツキさんは、キスをした。
グイッと腰を上げられて、抱えられるようにベッド脇に立たせられる。
「お前……サイズ感ちょうどいいんだよ……」
小柄な俺のカラダは、いとも簡単に体位を変えられる。ダンッと窓に手をついて、足にはもはや力が入らなくて、腰をサツキさんがぐっと支えているのがわかる。
耳元に当たるサツキさんの熱い息を感じながら、街を見下ろす。大きな窓には、一面の光る街が見える。
初めて人間の世界を見たとき。
この光が、「生きる」ということなのかと感じた。
死神が訪れたその場所に、光が灯ることは、二度と、ない。
「ん? いや、あるなぁ」という、意外と早くまたそこに次の生きる人の光が灯るというやけに冷静な思考を遮るように、ガツンとと後ろからまた、激しく突かれる。
「アオ……アオ…」
俺の名を呼ぶ、サツキさんの顔が、窓に映る。
その声が上擦って、その時が近いのを感じて。俺もつられるように、熱が背を駆け上がった。
「サツキさん……イキそ……」
「俺も……も……イク……」
上がる息が、少しずつ、静かになって。
ゴロンとベッドに寝転んだ。
俺の隣にいる人。
女の子にモテて、遊んでばかりという噂の絶えないこの人は、どうしてこんなにも切ない顔をしているんだろう。悲しみに、溢れているんだろう。
こんな顔をして俺を求めてくるサツキさんを俺は、放っておけない。
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