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第590話 遠い勇者の全てが終わった地、新たな  の始まりのための契約

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廃教会には力神とは別に加護をくれたもう一柱、運命の神ユーレウラギスの気配があった

<よく来ましたね>

「ここに来た理由を知っていますよね?」


こちらの世界で何度も感じてきた気配

ただ、こうやって話すのは初めてだ

他の神いわく、他の運命の神と違って自分が干渉することで運命が変わるのことを最も嫌う神

しかし、全ての手を尽くして、それでも限界まで行き詰まって・・・その時やっと道を示してくれるのだとか

まさか枯れ枝のようになったこの身体でこんな何もない場所に来ることになるとは思っても見なかった

ボロボロで、屋根に穴の開いている教会

門も朽ちていて開ける必要すらないほどに古びている


なにかの道を知ってるなら早く教えてくれとも思うけど、そういう神なのだろうな・・呼び出されたことには感謝しか無い


<はい・・貴方にはここで選択してもらいます>

「ごほっ!!げふっ・・んっ・・・失礼しました」

<いえ、お気になさらず・・貴方には無限の選択肢がありますが、貴方の望む4つの選択肢を私は貴方に提示しましょう>


膝をついて頭を垂れた

足ももう言うことを聞かないがそうじゃない

ただ・・これまでずっと助けてくれていた存在の、柔らかな神のほほえみに自然と頭が下がった

この神様がいなかったら■■■と仲間たち、それとあの時から成長しない純粋な魂である小さな我が子の魂は僕の中にはいられなかった・・・僕はこの神様のおかげで幸せだった・・・・・


「はい、お教え、コフッ願えますか?」

<・・・まずは1つ目、このまま貴方が寿命で死んで『前を向いて生き抜いた』と誇れる道です>

「なる、ほど、■■■や仲間はどうなりますかな?」

<数百年はこちらの世界にいた後に魂は輪廻に還ることでしょう>

「では、つ、ぎは?」


自分でわかる、もう時間が残されていないということを


<私達が葬送します、貴方も、■■■さんも、そして一緒のお仲間も共に導きましょう>


なんて魅力的なのだろう

本当に、無理をしてでも来てよかった


「つ  は?」

<貴方を元の世界に送ります、私だけの力ではかなわないので別の神々に来てもらっています・・貴方がたがこちらに来た日来た場所になら返せるでしょう・・そうすればあなた達の『異世界を皆で見る』ことが達成できるでしょう>


なるほど、本当に魅力的な提案ばかりだ

僕たちのことを見守っていてくれたからこそ、僕たちに寄り添ったことを言ってくれている


「さい ごは?」

<最も過酷な道で、最も死者も多い悲しき道です>

「教えごふっ!・・ごほっごほっ!!・・・かはっ!?・・・教えてください」


今朝から、■■■や皆の声が聞こえない

だけど、存在を感じる

今も■■■は頬に触れてくれている


<あなた方を別の時間のこの世界に送ります、あなたは気づかぬうちにアンデッドとなり、人々を虐殺し、世界を破滅させる魔王となるでしょう>


・・おかしい

これまでの選択肢と違って、誰も救われない

それどころかこんな行為、人類に完全に肯定ではないが中立の立場のユーレウラギス様が行えば完全に邪神や悪神である

神様自身にも損しか無いだろう

なによりも神様もこれまでと違ってとても言いにくそうな顔をしている


「くわ、しくおねがいしま  っほん! す」

<貴方は気がつけばアンデッドとなり世界を破壊します>


声が出なくなってきたな

喉の奥が痒くて、苦しい

世界を壊すか・・大昔、■■■に加護を授けてくれた霊神に言われたな


<人が人を殺し、魔獣が闊歩し、世界の半分は貴方が滅ぼすことになるでしょう、いえ、貴方を操る存在が、ですが>

それは、最悪だな

<貴方はまどろみながら何度も苦しみ、常人であれば発狂するほどの痛みと苦悩を味わい続けるでしょう>

・・・・・

<しかし、結果として貴方達には最も望んでいた未来がほんの僅かな確率で得られるでしょう・・・もしもそれを掴めなければ貴方は永劫に苦しみ続け、いくつもの世界が滅ぶことでしょう>


僅かな可能性?酷いな

・・・・・でも、望んでいた未来?

なんだ?僕の望んでいた未来って?

仲間と■■■と僕らの生まれた■■■■を案内すること?一緒に湖畔で暮らすこと?城を向こうの世界で立てて王様みたいに過ごすこと?


<違うでしょう?思い出してください>




僕の、望み


―――――・・・あっ





「おねがい、します、最後の選択肢、で」

<後悔しますよ?>

「        」


もう声も出せない、礼儀として自分の口から言いたいのに・・思考を読み取ってくれているししっかり考えて答える


はい、それでも、僅かでも希望があるのなら、僕は前に進む・・・きっと、皆怒ってるだろうけど、愛してるよ皆


もう喉も使えない、力が抜けていくのがわかる


<■■■■よ、貴方の望みの果て、全てを掴めることを私も祈りましょう・・・世界の全てが貴方の敵となっても、貴方には大切な人がいることを忘れてはいけません>


きっと今からでも考え直してとでも■■■はいっているだろう

他の選択肢だってとても魅力的なものだった、わざわざ苦しむ必要はないはずだ


だけど、もう決めた


「愛してる よ ■■■」



きっと私もよと言ってくれてるだろうけど、その言葉はもう僕に届くことはなかった



<それでは良き旅路を・・また会いましょう■■■■>


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