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第34話 内緒
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婚約者である以上、ノアにはいずれ加護を打ち明けるべきだとは思う。
私の加護は局面を最大に行かす最高の切り札となる。
その一方で、加護を打ち明けるリスクが私にまとわりつく。
私が明確に加護に気が付いたのは簡単な文字の読み書きが少しできるようになった3歳の時だった。
時折人々から何かが浮かび上がるものはなんなのだろう? という疑問は文字を理解するようになってすぐこれは話している言葉が浮かび上がっているとわかった。
文字が理解できれば後は早かった。
そして私が特別な加護を持っていることを知った私の父と母は、祖父に長年仕えてきたセバスをすぐに私の護衛としてついてもらえるように交渉し今に至る。
加護は私にとってごくあたりまえのもの。
そしてこの加護があったから避けられたこと、うまくやることができたことは数えきれない。
数えきれないほどの加護の確かな恩恵を受ける一方で。
私は人をなかなか信用できなくなってしまう。
リスタンが我が家に訪れ私に魅了魔法を使おうとしたことは偶然だけだとは考えられれない。
そしてせまる戦争が真実であるということ。
リスタンが魅了を使い懐柔しようとしたのは、私の公爵である父でもなく、母でもなく、娘の私だったことに理由は?
加護はばれていない?
不安で押しつぶされそうなくらい私の心の中では打ち明けて楽になりたい気持ちがある一方で。
親友であるミランダにすら加護のことは打ち明けられていない理由が私を縛る。
人の本音がみえるということは、いい気持ちとは言えない。
私が加護を使い、相手の気持ちを何も考えずに的中させていた時に、子供たちはあまりにも自分の心の内をよむ私のことを毛嫌いした。
今ならわかるそれは当然だ。
表向きそうではないと取り繕っているのに、私は違うと心の中を見透かしたことを次々というのだからかなり不気味なことだっただろう。
私だって自分の心の内が相手にばれてしまうことがわかっていたら、嫌だし。
それを理由でその人と距離を取るのは仕方ない措置だというだろう。
それでも、打ち明けないといけない場面というものが世の中にはあって。
ノアと結婚すると決めた以上、ノアを私の味方として信用し。
私は最大の秘密をノアに打ち明けたほうがお互いにとって、取れる選択肢がぐっと増えるというもの。
それでも、私はノアに加護のことを打ち明けるのが怖いのだ。
私に愛の言葉をささやいてきた人たちはいた。
これでも一応公爵家だ、思惑があって私に近づく人くらいは当然いた。
ただ、愛の言葉に裏がないのはノアだけだった。
少々性格に難はあると思うけれど、私がずっと探していた思惑抜きで私に惹かれた人物。
嫌われたくない。
それに、ノアが私に愛想を尽かせば、それこそ私が政治的にも軍事的にも商売ごとでも利用価値がかなり高い稀有な加護を持っていることを知っている私の脅威となる。
なんていえばいいのか口ごもる私にノアが珍しく先に折れた。
「とりあえず、今はまだ休んだほうがいい。ただ、話せるときがきたら話してほしい」
私はその言葉にうなずいた。
それはいつになるかわからない。
私の母もごまかせと合図をしたように、ノアに打ち明けるべきなのか打ち明けないべきなのか私の気持ちの問題だけではなく、リスクがあまりにも大きすぎる。
私はとりあえずノアが医師や治癒師を呼びに行くのを中断させることには成功したと判断し、まだ本調子ではない身体で再びベッドに横になり。
明日になったらリスタンをどうするか、戦争になるかもしれないことをどうするか整理しようと思い目を閉じた。
「ティア、私が父を説得できなくてごめん」
身体をゆすられ私は覚醒した。
まだ本調子ではないのにと思いながらも目をあけると、横にはノアが転がっていた。
こいつまた舌の根も乾かぬうちに、私のベッドにどうどうと! と思いノアを叱責しようとしていつもと様子が違って思いとどまった。
真剣な表情でノアは私の寝室と廊下をつなぐドアを見据えたまま、私を起こしておいて独り言のように言葉を紡ぐ。
「連日よく眠れていなかったんだろう。心配をかけさせてごめん」
私と一切目を合わせることはなく、まるで眠っている私に声をかけるかのように、視線は扉から一切話さず、穏やかな声で言葉を紡ぎ続ける。
私はとっさに加護を使うけれど。
浮かび上がるのは隣で紡がれるノアの言葉だけだ。
しばらくすると、ノアが独り言をやめてふっーと一息をついた。
「あっ、もう構わないよ。寝て!」
ニコっと笑われるけれど、あれはなんなの? と聞きたくなる。
そして下から文字が浮かび上がった。
『寝室にはヴィスコッティ家の次男坊がいる。魔法の展開のための魔力を集めただけで術式を読み取れるような化け物だ。今動けばひとたまりもない。応援をまつ』
実に物騒な内容だ。
どうやらリスタンが魅了を使ったかどうかというところは、確かめようのない難しいのだと思う。
ノアが証言したところで、術式の展開段階でなんの術かを見抜けるような実力者はそうそういるものではないし。
ノアは腕がよくとも、これまでの悪行のせいで信ぴょう性におそらくかける。
私の加護でもう白黒はっきりとわかっていても、加護のことを公にするわけにはいかない。
あくまで疑惑段階では穏便に屋敷からリスタンご一行を追い出すことはできなかったのだと思う。
その中で最善の策を考えた結果が、かつてノアとヴィンセントを通した私の寝室の真下の部屋に案内することで私が会話を盗み見できるようにしてくれていたんだろう。
私の加護は局面を最大に行かす最高の切り札となる。
その一方で、加護を打ち明けるリスクが私にまとわりつく。
私が明確に加護に気が付いたのは簡単な文字の読み書きが少しできるようになった3歳の時だった。
時折人々から何かが浮かび上がるものはなんなのだろう? という疑問は文字を理解するようになってすぐこれは話している言葉が浮かび上がっているとわかった。
文字が理解できれば後は早かった。
そして私が特別な加護を持っていることを知った私の父と母は、祖父に長年仕えてきたセバスをすぐに私の護衛としてついてもらえるように交渉し今に至る。
加護は私にとってごくあたりまえのもの。
そしてこの加護があったから避けられたこと、うまくやることができたことは数えきれない。
数えきれないほどの加護の確かな恩恵を受ける一方で。
私は人をなかなか信用できなくなってしまう。
リスタンが我が家に訪れ私に魅了魔法を使おうとしたことは偶然だけだとは考えられれない。
そしてせまる戦争が真実であるということ。
リスタンが魅了を使い懐柔しようとしたのは、私の公爵である父でもなく、母でもなく、娘の私だったことに理由は?
加護はばれていない?
不安で押しつぶされそうなくらい私の心の中では打ち明けて楽になりたい気持ちがある一方で。
親友であるミランダにすら加護のことは打ち明けられていない理由が私を縛る。
人の本音がみえるということは、いい気持ちとは言えない。
私が加護を使い、相手の気持ちを何も考えずに的中させていた時に、子供たちはあまりにも自分の心の内をよむ私のことを毛嫌いした。
今ならわかるそれは当然だ。
表向きそうではないと取り繕っているのに、私は違うと心の中を見透かしたことを次々というのだからかなり不気味なことだっただろう。
私だって自分の心の内が相手にばれてしまうことがわかっていたら、嫌だし。
それを理由でその人と距離を取るのは仕方ない措置だというだろう。
それでも、打ち明けないといけない場面というものが世の中にはあって。
ノアと結婚すると決めた以上、ノアを私の味方として信用し。
私は最大の秘密をノアに打ち明けたほうがお互いにとって、取れる選択肢がぐっと増えるというもの。
それでも、私はノアに加護のことを打ち明けるのが怖いのだ。
私に愛の言葉をささやいてきた人たちはいた。
これでも一応公爵家だ、思惑があって私に近づく人くらいは当然いた。
ただ、愛の言葉に裏がないのはノアだけだった。
少々性格に難はあると思うけれど、私がずっと探していた思惑抜きで私に惹かれた人物。
嫌われたくない。
それに、ノアが私に愛想を尽かせば、それこそ私が政治的にも軍事的にも商売ごとでも利用価値がかなり高い稀有な加護を持っていることを知っている私の脅威となる。
なんていえばいいのか口ごもる私にノアが珍しく先に折れた。
「とりあえず、今はまだ休んだほうがいい。ただ、話せるときがきたら話してほしい」
私はその言葉にうなずいた。
それはいつになるかわからない。
私の母もごまかせと合図をしたように、ノアに打ち明けるべきなのか打ち明けないべきなのか私の気持ちの問題だけではなく、リスクがあまりにも大きすぎる。
私はとりあえずノアが医師や治癒師を呼びに行くのを中断させることには成功したと判断し、まだ本調子ではない身体で再びベッドに横になり。
明日になったらリスタンをどうするか、戦争になるかもしれないことをどうするか整理しようと思い目を閉じた。
「ティア、私が父を説得できなくてごめん」
身体をゆすられ私は覚醒した。
まだ本調子ではないのにと思いながらも目をあけると、横にはノアが転がっていた。
こいつまた舌の根も乾かぬうちに、私のベッドにどうどうと! と思いノアを叱責しようとしていつもと様子が違って思いとどまった。
真剣な表情でノアは私の寝室と廊下をつなぐドアを見据えたまま、私を起こしておいて独り言のように言葉を紡ぐ。
「連日よく眠れていなかったんだろう。心配をかけさせてごめん」
私と一切目を合わせることはなく、まるで眠っている私に声をかけるかのように、視線は扉から一切話さず、穏やかな声で言葉を紡ぎ続ける。
私はとっさに加護を使うけれど。
浮かび上がるのは隣で紡がれるノアの言葉だけだ。
しばらくすると、ノアが独り言をやめてふっーと一息をついた。
「あっ、もう構わないよ。寝て!」
ニコっと笑われるけれど、あれはなんなの? と聞きたくなる。
そして下から文字が浮かび上がった。
『寝室にはヴィスコッティ家の次男坊がいる。魔法の展開のための魔力を集めただけで術式を読み取れるような化け物だ。今動けばひとたまりもない。応援をまつ』
実に物騒な内容だ。
どうやらリスタンが魅了を使ったかどうかというところは、確かめようのない難しいのだと思う。
ノアが証言したところで、術式の展開段階でなんの術かを見抜けるような実力者はそうそういるものではないし。
ノアは腕がよくとも、これまでの悪行のせいで信ぴょう性におそらくかける。
私の加護でもう白黒はっきりとわかっていても、加護のことを公にするわけにはいかない。
あくまで疑惑段階では穏便に屋敷からリスタンご一行を追い出すことはできなかったのだと思う。
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