2 / 41
私とバイト
第1話 私何してるんだろう
しおりを挟む
持ち込みができるテストだから、ある程度事前に対策をしておくことでそこそこの成績を残せるはずなのに。
大事な前日に友達とノートを見せあったり、テスト対策したりすることがバイトのせいでできなかったせいで。
不可ってことはならないだろうけれど、もう少しきちんとやっていればと思う様な気持ちで終了してしまった。
ヤバいと肩を落とす私の横を、私のノートをコピーしてテストを受けた子がそれなりに手ごたえを感じた顔をして通り抜けて、私はなんだか何やってんだろう……と思ってしまう。
とにかく、気持ちを切り替えて明日の準備しなきゃ。友達と待ち合わせしてどういう風にまとめたかとか、ノートの見せあいもしておきたいし。
とりあえず移動しながらスマホの電源をいれるとSNSに5件の未読があると出てきて、私は嫌な予感がした。
案の定それはすべて店長からでテストのため電源を切っていたせいか、読まれないまま何度も個別で連絡がきていたようだ。
内容は古屋さんに言ったか? ってことと、今日もシフトに出てこれないか? ってことで返事どうしようって廊下の隅で立ち止まり、どうやって断ろうか新たなる悩みに出くわしていた時だ。
ちょうど、古屋さんが通り過ぎて。
探すのは難しいし、個別で古屋さんに連絡先聞いてないのにグループから連絡して会うのはとか思っていた悩みが解決して。
とりあえず今話してしまえば、一応伝えるだけは伝えたと店長に言えるぞと私は古屋さんを追いかけた。
「ふっ、古屋さん待って」
バイトの時とは違い、ハーフアップであげられたゆるく巻かれたミルクティーの髪が振り向くとさらっとながれて、動きに合わせてゆらゆらと揺れるイヤリングが可愛い。
同じパンツスタイルなのに、私は洗濯してあるのを慌てて着ているだけでちょっとコーデとしてどうよ? って感じなのをコートで隠しているのに。
チェスターコートの下は組み合わせがいいのか、スタイルがいいのか、すらっとしてみえるってまず思った。
「あれ、石井さん。どうしたの? そんな息切らして……髪乱れてるよ」
そういって、古屋さんは私の乱れた……ではなく、実際は治しきれなかった寝ぐせをさらっと手で撫でる。
「あれ? なおらない」
「あっははは~。なんでかな」
治しきれなかった寝ぐせとは、ばっちりいつも決めてる古屋さんには言い出せなくて私は曖昧な笑顔を浮かべつつ。
適当な服をみられたら恥ずかしいぞと、止めていなかったコートの前身ごろを右手で押さえて、店長から今もしつこくSNSで連絡がきている話を切り出した。
「あ、あのさ」
「うん?」
「古屋さんバイト、やめるの?」
ちょっととがめるように、自分なりに強い口調でそういった。
「そうだよ。仕事内容教えてもらったのにごめんね」
私が咎めるように言ったのなど気にしないかのようにさらっと流された。
「あのさ、私が言うのも変なんだけれどさ。もうちょっと頑張ってみないかな~? って」
私は愛想笑いを浮かべながらなんとかそう言い切った。
「ごめん、それはできないかな」
そんな私に首を軽くかしげてあっさりとそういわれた。
店長からのしつこいライン。古屋さんがやめるとか言わなければここまでひどくなかったんじゃとかいろんな気持が込み上げている私とは対照的に、さらっと無理だと言い切られてしまう。
「でもさ、人足りなくて困ってて。今だってテスト期間中なのにシフト出てくれないかって連絡くるし。私も昨日も一昨日も出たんだよ。人さえ増えればこういうことはなくなると思うしさ」
「えっ、テスト期間中なのに出たの!?」
「だって、人が足りなくて他のバイトの子も困っちゃうじゃん……」
同じバイト先だっていうのに、なんていうか古屋さんはちょっと責任感みたいなのが足りないんじゃないかなって思って私は顔には出さないようにするけれど、心の中でムッとした。
「テスト大丈夫だったの?」
もちろん大丈夫じゃない。単位こそ落とさないだろうけれど。昨日受けたテストも今日受けたテストも、『可』ばかりだと思う。
改めて、大きな目を見開かれて驚いた表情をされて、心配そうに言われてしまうと今日の結果を振り返って不安な気持ちになってしまう。
そんな時だ、SNSの通知音が鳴った。
たぶん店長だ。
既読を付けたのに、古屋さんを見つけて返事を返さないでいたから。
特に今日のシフトでれるかについて念押しの追い連絡が来たんだと思う。
店長に何て返そう。
とにかく今日だけでも、なんとかバイトを断らなきゃ。
古屋さんの言う通りでテストは全然大丈夫じゃない。前期とは比較にならないほど悪い結果になったことが、まだ結果がきてないのにわかる。
思わず私は下を向いて、小さくため息をついた。
「見ないの?」
スマホを握りしめたまま下を向いてしまった私に、古屋さんは困った顔で問いかけた。
「う、うん……」
絶対店長からだと思うと億劫になる。
「もしかしてなんだけれど、店長から?」
ズバリあてられて、私はうなずいた。
「うわっ……それって私が辞めないように説得してとか言われてるとか?」
明らかに古屋さんの顔がドン引きと言わんばかりに、ゆがむ。
「それもなんだけれど、その、今日も人足りないらしくて。シフト入れないかって……」
「あ~」
なるほどって顔で古屋さんがうなずいた。
「ねぇ、お願い。今日シフトはいってる? もし、入ってなかったら今日だけ私の代わりに出てくれない?」
本当にやばいと思う私は、思わず古屋さんのコートを掴んでしまった。
なんていうか、本当にこれ以上シフトにでていたら本当にヤバい思いが古屋さんを逃がして貯まるかと行動に移させた。
大事な前日に友達とノートを見せあったり、テスト対策したりすることがバイトのせいでできなかったせいで。
不可ってことはならないだろうけれど、もう少しきちんとやっていればと思う様な気持ちで終了してしまった。
ヤバいと肩を落とす私の横を、私のノートをコピーしてテストを受けた子がそれなりに手ごたえを感じた顔をして通り抜けて、私はなんだか何やってんだろう……と思ってしまう。
とにかく、気持ちを切り替えて明日の準備しなきゃ。友達と待ち合わせしてどういう風にまとめたかとか、ノートの見せあいもしておきたいし。
とりあえず移動しながらスマホの電源をいれるとSNSに5件の未読があると出てきて、私は嫌な予感がした。
案の定それはすべて店長からでテストのため電源を切っていたせいか、読まれないまま何度も個別で連絡がきていたようだ。
内容は古屋さんに言ったか? ってことと、今日もシフトに出てこれないか? ってことで返事どうしようって廊下の隅で立ち止まり、どうやって断ろうか新たなる悩みに出くわしていた時だ。
ちょうど、古屋さんが通り過ぎて。
探すのは難しいし、個別で古屋さんに連絡先聞いてないのにグループから連絡して会うのはとか思っていた悩みが解決して。
とりあえず今話してしまえば、一応伝えるだけは伝えたと店長に言えるぞと私は古屋さんを追いかけた。
「ふっ、古屋さん待って」
バイトの時とは違い、ハーフアップであげられたゆるく巻かれたミルクティーの髪が振り向くとさらっとながれて、動きに合わせてゆらゆらと揺れるイヤリングが可愛い。
同じパンツスタイルなのに、私は洗濯してあるのを慌てて着ているだけでちょっとコーデとしてどうよ? って感じなのをコートで隠しているのに。
チェスターコートの下は組み合わせがいいのか、スタイルがいいのか、すらっとしてみえるってまず思った。
「あれ、石井さん。どうしたの? そんな息切らして……髪乱れてるよ」
そういって、古屋さんは私の乱れた……ではなく、実際は治しきれなかった寝ぐせをさらっと手で撫でる。
「あれ? なおらない」
「あっははは~。なんでかな」
治しきれなかった寝ぐせとは、ばっちりいつも決めてる古屋さんには言い出せなくて私は曖昧な笑顔を浮かべつつ。
適当な服をみられたら恥ずかしいぞと、止めていなかったコートの前身ごろを右手で押さえて、店長から今もしつこくSNSで連絡がきている話を切り出した。
「あ、あのさ」
「うん?」
「古屋さんバイト、やめるの?」
ちょっととがめるように、自分なりに強い口調でそういった。
「そうだよ。仕事内容教えてもらったのにごめんね」
私が咎めるように言ったのなど気にしないかのようにさらっと流された。
「あのさ、私が言うのも変なんだけれどさ。もうちょっと頑張ってみないかな~? って」
私は愛想笑いを浮かべながらなんとかそう言い切った。
「ごめん、それはできないかな」
そんな私に首を軽くかしげてあっさりとそういわれた。
店長からのしつこいライン。古屋さんがやめるとか言わなければここまでひどくなかったんじゃとかいろんな気持が込み上げている私とは対照的に、さらっと無理だと言い切られてしまう。
「でもさ、人足りなくて困ってて。今だってテスト期間中なのにシフト出てくれないかって連絡くるし。私も昨日も一昨日も出たんだよ。人さえ増えればこういうことはなくなると思うしさ」
「えっ、テスト期間中なのに出たの!?」
「だって、人が足りなくて他のバイトの子も困っちゃうじゃん……」
同じバイト先だっていうのに、なんていうか古屋さんはちょっと責任感みたいなのが足りないんじゃないかなって思って私は顔には出さないようにするけれど、心の中でムッとした。
「テスト大丈夫だったの?」
もちろん大丈夫じゃない。単位こそ落とさないだろうけれど。昨日受けたテストも今日受けたテストも、『可』ばかりだと思う。
改めて、大きな目を見開かれて驚いた表情をされて、心配そうに言われてしまうと今日の結果を振り返って不安な気持ちになってしまう。
そんな時だ、SNSの通知音が鳴った。
たぶん店長だ。
既読を付けたのに、古屋さんを見つけて返事を返さないでいたから。
特に今日のシフトでれるかについて念押しの追い連絡が来たんだと思う。
店長に何て返そう。
とにかく今日だけでも、なんとかバイトを断らなきゃ。
古屋さんの言う通りでテストは全然大丈夫じゃない。前期とは比較にならないほど悪い結果になったことが、まだ結果がきてないのにわかる。
思わず私は下を向いて、小さくため息をついた。
「見ないの?」
スマホを握りしめたまま下を向いてしまった私に、古屋さんは困った顔で問いかけた。
「う、うん……」
絶対店長からだと思うと億劫になる。
「もしかしてなんだけれど、店長から?」
ズバリあてられて、私はうなずいた。
「うわっ……それって私が辞めないように説得してとか言われてるとか?」
明らかに古屋さんの顔がドン引きと言わんばかりに、ゆがむ。
「それもなんだけれど、その、今日も人足りないらしくて。シフト入れないかって……」
「あ~」
なるほどって顔で古屋さんがうなずいた。
「ねぇ、お願い。今日シフトはいってる? もし、入ってなかったら今日だけ私の代わりに出てくれない?」
本当にやばいと思う私は、思わず古屋さんのコートを掴んでしまった。
なんていうか、本当にこれ以上シフトにでていたら本当にヤバい思いが古屋さんを逃がして貯まるかと行動に移させた。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる