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ぬらりひょんと学校
第12話 共闘
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シュカはちなみちゃんに話しかけて、落ち着かせようとしている。
けれど、今のちなみちゃんにはシュカの声が届かないようだ。
どうしたらいいの?
そんな時だ、誰かが階段を駆け上がってくる足音が聞こえた。
これはまずいっと私は屋上の扉の前に立ちふさがって扉があかないように頑張るはめになった。
シュカの見た目はともかく、ちなみちゃんは首が伸びている。
こんなの万が一みちゃったら私に続いて誰かがトラウマを背負う。
視界の端に違和感どころか、ドアをあけたら首が伸びた人がドーンだもん……
衝撃が強ければ、強いほど、シュカの術が効かないとすれば、見られると絶対にややこしいことになる。
ドンドンっとドアを叩かれるけれど、ここをどくわけにはいかない。
「シュカ、こっち駄目そう。場所をかえるか、早く何とかして」
「わかんないけど、こんな風になった原因は俺に怯えたからかもしれない。だとすれば、俺じゃどうにもならない……どうしようか?」
くるっとシュカが振り返って、エヘっと可愛く笑ってくるけれど。そんなの知らないわよぉぉって心の中で叫んだ。
「えーーい、さっさと扉の前からどかぬか。そのような姿をいつまでもさらして、人の目に触れたらどうするつもりだ!」
ドアの向こうでそう言われたのだ。
何々何なの!? と思ってるとシュカが私にこう言った。
「しずく、ドアの前からどいて」
「わかった」
シュカに言われて私はドアの前からどいた。
その瞬間、ドアが勢いよく開けられて、先日みた白いキツネ風月が今回はご丁寧に学校の制服を着用して現れたのだ。
「主様がお目こぼししてやれば、お前たちは何をやっているんだ!」
そして、叱られた。
「そんなこと私達に言われても、突然ちなみちゃんがおかしくなって」
こっちだって理由が聞きたいくらいよ。シュカが話しかけても全然だし。
「俺もどうしてこうなったかわからない。でももう声が届かない。ここに来たってことはアンタ何かする術をもってるってことでいい?」
シュカがサッとちなみちゃんの長い首を避けながらそう言った。
「まったく調子のいいことを……おい、ぬらりひょん。学校の敷地で起こったことだし、仕方ないから今回だけは私が手伝ってやろう。私ごと姿を消せ」
キツネはそういってクルンっと一回転すると、以前見た真っ白の袴姿に切り替わると、たもとにそれぞれ手を突っ込みお札を二本の指で挟んで取り出した。
「ありがとうキツネ。いくよ~」
シュカはそういと追いかけてくるちなみちゃんの頭と首を器用に避けながら、キツネの下にやってくると、キツネの肩に触れて指をパチンっと鳴らした。
私の眼にはシュカとキツネが立っているのが見える。
だけど、ちなみちゃんには見えなくなったようできょろきょろと長い首をくねらせて動く。
よし、これならいけると思ったんだけど。
「よし、額に札を張る。お前頭を捕まえろ」
「いや、無理でしょ首はまだまだ伸びるみたいだし。第一あの動きみてよ、頭を捕まえるとか危ないでしょ普通に考えて」
キツネがそう言ったことにシュカが不機嫌そうな顔でそう答える。
なんだか不穏な空気だ。
あれ、こういうのって二人がこれで協力して、なんとかして一件落着ってなるんじゃないの? あれれ……
「は? 妖怪風情が……この僕が手伝ってやると言っているんだぞ。ちゃんと指示に従って動け」
キツネもイラッとした顔でシュカにそう言い放つ。
「はぁ? アンタの姿はお望み通り消したじゃん。学校の敷地で起こっていることなんだし、本当はアンタがなんとかしないといけないことなんじゃないの? 頭捕まえるほうって、なんで俺が危ないほうなのよ?」
二人とも、ちなみちゃんの首を器用に避けながらいい合いが始まってしまった。
「なんだその態度は、先日は小娘の前に立ちはだかり人間を守っていたじゃないか。あれはやはり仮初の姿だったんだな。この妖怪め」
ビシッとキツネはシュカを指さす。
「そりゃしずくは人間。アンタは下っ端でも神の使い。差別じゃなくてこれは区別」
こんなことしてる間にも、もしちなみちゃんの首が違うところに行ったらと私はハラハラする。
結構適当なシュカとまじめなキツネは相性がどうも悪いらしい。
でも、いつまでもいい合いをさせるわけにはいかないから、二人を仲裁しなきゃと思ったのだ。
「ちょっと二人ともいい加減に」
私が仲裁しようと声をかけたとたん、二人を探すようにうろうろしていたちなみちゃんの頭が私のほうにグルンっと向いた。
うつろな目が私をとらえた気がした。
あれ、やばいかもって一瞬で頭によぎる。
私はシュカから離れていたから、もしかして私だけ術が解けているかして、見えている?
次の瞬間だ。私の嫌な予感は的中した、ちなみちゃんの首が大きな口を開けてまっすぐ私のほうに飛んできたのだ。
「やべっ」
シュカがそうつぶやいて私のほうに走り出す。
だめだ、シュカよりもちなみちゃんの頭のほうが早いこのままじゃ噛みつかれる。
その時だ、
「かしこみかしこみ申す……」
キツネがそう唱えた。
そして、持っていたお札のうち一枚をちなみちゃんに向かってシュッと投げたのだ。
シュッと投げられた札は、ちなみちゃんの長く伸びた首に張り付いた。
とたんにちなみちゃんの絶叫がこだました。
「ぎゃぁぁああぁぁああああ」
絶叫を上げながら首はくねくね、ぐねぐねと動き上へと伸びた。
その間にシュカがこちらにやってきて、私を抱えあげると指をパチンっと鳴らした。
「助けてくれたことは、ありがとう。でも絶叫させたらまずいんじゃないの?」
シュカはそういってキツネをにらむ。
「そこは素直にありがとうだけでいいだろう。第一僕が投げなかったら人間の童などひとたまりもなかったぞ。まずいな……札を一枚使ってしまった。残り一枚だ」
「なんで、そういう大事なの2枚しか持ってないの! もっと沢山常備しておくもんじゃないの? 手際悪いんじゃない?」
「うるさいうるさい、今の僕じゃ札を2枚を維持するのがやっとなんだ。助けてもらっておいてなんだその態度は」
また喧嘩がはじまりそうになる。
「ちょっと二人とも、いい加減にして! さっきの叫び声で誰かきたら大変でしょ」
私がそういうと、シュカとキツネがお互い顔を見合わせた。
「休戦っていうことで、俺が頭を捕まえればいいのね。しずくは建物を背にして立ってて」
「一時休戦だな。一発で決める。しくじるなよ、ここまで連れてこい」
そういうと、キツネはぴょんっと飛びあがると、落ちないように張り巡らせているフェンスに飛び乗った。
「また、一つさりげなく注文増えてるんだけど。しょうがないからやるけどね」
シュカはそういうと、ちなみちゃんを見上げ指をパチンっともう一度はじいた。
くねくねとしばらく動いた後、グルンッと下を向いた。
「よーし、こっちだ」
シュカがそう声を上げた。
うつろな目でちなみちゃんはシュカをとらえると、私の時のように口を大きくあけてまっすぐにシュカに向けて伸びた。
ちなみちゃんとシュカの距離が縮まって行く。
5m、3m、1m……もうだめ見ていられない。そう思った時だ、その距離でシュカは再び指をはじいたのだ。
ちなみちゃんの目には、目の前にいたシュカがおそらく消えたのだろう、近くにいるのではと首が違う方向を向いたその時、シュカはちなみちゃんの頭に両手を乗せるとくるんっと一回転して首にまたがった。
「つーかまえた!」
そして、首をがっちりホールドした。
「やった!」
思わず私はガッツポーズした。
シュカを振り落とそうとちなみちゃんが頭を振り、長い首をくねらせる。だけどシュカは離れない。
「かしこみかしこみ申す。私は稲荷の使い見守りキツネ。学校に迷い込みし己を制御できぬ哀れな妖怪よ。自我を取り戻せ」
そして、シュカはもう一度指をはじいた。
「はい、ちなみちゃん。アンタが行くのは次はあっち」
キツネにかけた認識できない術を解いたのだろう。ちなみちゃんが高いところに札を構えて立つキツネを見つけ、にぃいいっと笑い口を開けた。
さっきのやつがくると私にもわかった。
「頭固定しててやっから外すなよ、キツネ」
「フンっ」
シュカの言葉にそういうと、距離をつめるちなみちゃんに狙いを定めてキツネは札を投げた。
けれど、今のちなみちゃんにはシュカの声が届かないようだ。
どうしたらいいの?
そんな時だ、誰かが階段を駆け上がってくる足音が聞こえた。
これはまずいっと私は屋上の扉の前に立ちふさがって扉があかないように頑張るはめになった。
シュカの見た目はともかく、ちなみちゃんは首が伸びている。
こんなの万が一みちゃったら私に続いて誰かがトラウマを背負う。
視界の端に違和感どころか、ドアをあけたら首が伸びた人がドーンだもん……
衝撃が強ければ、強いほど、シュカの術が効かないとすれば、見られると絶対にややこしいことになる。
ドンドンっとドアを叩かれるけれど、ここをどくわけにはいかない。
「シュカ、こっち駄目そう。場所をかえるか、早く何とかして」
「わかんないけど、こんな風になった原因は俺に怯えたからかもしれない。だとすれば、俺じゃどうにもならない……どうしようか?」
くるっとシュカが振り返って、エヘっと可愛く笑ってくるけれど。そんなの知らないわよぉぉって心の中で叫んだ。
「えーーい、さっさと扉の前からどかぬか。そのような姿をいつまでもさらして、人の目に触れたらどうするつもりだ!」
ドアの向こうでそう言われたのだ。
何々何なの!? と思ってるとシュカが私にこう言った。
「しずく、ドアの前からどいて」
「わかった」
シュカに言われて私はドアの前からどいた。
その瞬間、ドアが勢いよく開けられて、先日みた白いキツネ風月が今回はご丁寧に学校の制服を着用して現れたのだ。
「主様がお目こぼししてやれば、お前たちは何をやっているんだ!」
そして、叱られた。
「そんなこと私達に言われても、突然ちなみちゃんがおかしくなって」
こっちだって理由が聞きたいくらいよ。シュカが話しかけても全然だし。
「俺もどうしてこうなったかわからない。でももう声が届かない。ここに来たってことはアンタ何かする術をもってるってことでいい?」
シュカがサッとちなみちゃんの長い首を避けながらそう言った。
「まったく調子のいいことを……おい、ぬらりひょん。学校の敷地で起こったことだし、仕方ないから今回だけは私が手伝ってやろう。私ごと姿を消せ」
キツネはそういってクルンっと一回転すると、以前見た真っ白の袴姿に切り替わると、たもとにそれぞれ手を突っ込みお札を二本の指で挟んで取り出した。
「ありがとうキツネ。いくよ~」
シュカはそういと追いかけてくるちなみちゃんの頭と首を器用に避けながら、キツネの下にやってくると、キツネの肩に触れて指をパチンっと鳴らした。
私の眼にはシュカとキツネが立っているのが見える。
だけど、ちなみちゃんには見えなくなったようできょろきょろと長い首をくねらせて動く。
よし、これならいけると思ったんだけど。
「よし、額に札を張る。お前頭を捕まえろ」
「いや、無理でしょ首はまだまだ伸びるみたいだし。第一あの動きみてよ、頭を捕まえるとか危ないでしょ普通に考えて」
キツネがそう言ったことにシュカが不機嫌そうな顔でそう答える。
なんだか不穏な空気だ。
あれ、こういうのって二人がこれで協力して、なんとかして一件落着ってなるんじゃないの? あれれ……
「は? 妖怪風情が……この僕が手伝ってやると言っているんだぞ。ちゃんと指示に従って動け」
キツネもイラッとした顔でシュカにそう言い放つ。
「はぁ? アンタの姿はお望み通り消したじゃん。学校の敷地で起こっていることなんだし、本当はアンタがなんとかしないといけないことなんじゃないの? 頭捕まえるほうって、なんで俺が危ないほうなのよ?」
二人とも、ちなみちゃんの首を器用に避けながらいい合いが始まってしまった。
「なんだその態度は、先日は小娘の前に立ちはだかり人間を守っていたじゃないか。あれはやはり仮初の姿だったんだな。この妖怪め」
ビシッとキツネはシュカを指さす。
「そりゃしずくは人間。アンタは下っ端でも神の使い。差別じゃなくてこれは区別」
こんなことしてる間にも、もしちなみちゃんの首が違うところに行ったらと私はハラハラする。
結構適当なシュカとまじめなキツネは相性がどうも悪いらしい。
でも、いつまでもいい合いをさせるわけにはいかないから、二人を仲裁しなきゃと思ったのだ。
「ちょっと二人ともいい加減に」
私が仲裁しようと声をかけたとたん、二人を探すようにうろうろしていたちなみちゃんの頭が私のほうにグルンっと向いた。
うつろな目が私をとらえた気がした。
あれ、やばいかもって一瞬で頭によぎる。
私はシュカから離れていたから、もしかして私だけ術が解けているかして、見えている?
次の瞬間だ。私の嫌な予感は的中した、ちなみちゃんの首が大きな口を開けてまっすぐ私のほうに飛んできたのだ。
「やべっ」
シュカがそうつぶやいて私のほうに走り出す。
だめだ、シュカよりもちなみちゃんの頭のほうが早いこのままじゃ噛みつかれる。
その時だ、
「かしこみかしこみ申す……」
キツネがそう唱えた。
そして、持っていたお札のうち一枚をちなみちゃんに向かってシュッと投げたのだ。
シュッと投げられた札は、ちなみちゃんの長く伸びた首に張り付いた。
とたんにちなみちゃんの絶叫がこだました。
「ぎゃぁぁああぁぁああああ」
絶叫を上げながら首はくねくね、ぐねぐねと動き上へと伸びた。
その間にシュカがこちらにやってきて、私を抱えあげると指をパチンっと鳴らした。
「助けてくれたことは、ありがとう。でも絶叫させたらまずいんじゃないの?」
シュカはそういってキツネをにらむ。
「そこは素直にありがとうだけでいいだろう。第一僕が投げなかったら人間の童などひとたまりもなかったぞ。まずいな……札を一枚使ってしまった。残り一枚だ」
「なんで、そういう大事なの2枚しか持ってないの! もっと沢山常備しておくもんじゃないの? 手際悪いんじゃない?」
「うるさいうるさい、今の僕じゃ札を2枚を維持するのがやっとなんだ。助けてもらっておいてなんだその態度は」
また喧嘩がはじまりそうになる。
「ちょっと二人とも、いい加減にして! さっきの叫び声で誰かきたら大変でしょ」
私がそういうと、シュカとキツネがお互い顔を見合わせた。
「休戦っていうことで、俺が頭を捕まえればいいのね。しずくは建物を背にして立ってて」
「一時休戦だな。一発で決める。しくじるなよ、ここまで連れてこい」
そういうと、キツネはぴょんっと飛びあがると、落ちないように張り巡らせているフェンスに飛び乗った。
「また、一つさりげなく注文増えてるんだけど。しょうがないからやるけどね」
シュカはそういうと、ちなみちゃんを見上げ指をパチンっともう一度はじいた。
くねくねとしばらく動いた後、グルンッと下を向いた。
「よーし、こっちだ」
シュカがそう声を上げた。
うつろな目でちなみちゃんはシュカをとらえると、私の時のように口を大きくあけてまっすぐにシュカに向けて伸びた。
ちなみちゃんとシュカの距離が縮まって行く。
5m、3m、1m……もうだめ見ていられない。そう思った時だ、その距離でシュカは再び指をはじいたのだ。
ちなみちゃんの目には、目の前にいたシュカがおそらく消えたのだろう、近くにいるのではと首が違う方向を向いたその時、シュカはちなみちゃんの頭に両手を乗せるとくるんっと一回転して首にまたがった。
「つーかまえた!」
そして、首をがっちりホールドした。
「やった!」
思わず私はガッツポーズした。
シュカを振り落とそうとちなみちゃんが頭を振り、長い首をくねらせる。だけどシュカは離れない。
「かしこみかしこみ申す。私は稲荷の使い見守りキツネ。学校に迷い込みし己を制御できぬ哀れな妖怪よ。自我を取り戻せ」
そして、シュカはもう一度指をはじいた。
「はい、ちなみちゃん。アンタが行くのは次はあっち」
キツネにかけた認識できない術を解いたのだろう。ちなみちゃんが高いところに札を構えて立つキツネを見つけ、にぃいいっと笑い口を開けた。
さっきのやつがくると私にもわかった。
「頭固定しててやっから外すなよ、キツネ」
「フンっ」
シュカの言葉にそういうと、距離をつめるちなみちゃんに狙いを定めてキツネは札を投げた。
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