20 / 41
第20話 紹介
しおりを挟む
『友達のほうが案外いろいろあいつのこと見てたのかも』
『そっか、ならショウ君的には、一つ紹介するのに悩んでたこと解消したんじゃないかな? ごめん、私今からちょっと友達と出かけるから少し返事できないね』
嘘である。
こう言っておくことで、ラインがきても返せなかったとき予防だ。
『了解\(゜ロ\)(/ロ゜)/』
ジュースを持って、部屋へと向かう。
念の為ユウの携帯は隠しておこう。
自分の部屋の扉を開けるのってこんな緊張しただろうか。深呼吸をしてゆっくりと扉を開けた。
「ごめん、お待たせ。どっち飲む?」
そう言って私はカルピスとコーラをショウに見せた。
さて、紹介の話を一つもしないまま、モンハンの時間が始まってしまった。いや、モンハンはモンハンで楽しいからいいんだけどね。
いや、それにしても一体いつ切りだすんだよ。何回狩り行くんだよと思うけれど、紹介のことを私は知らないことになっているから切りだせないのがもどかしい。
そろそろ帰る時間に差し掛かったころようやくショウが口を開いた。
「お前さ彼氏とか考えてる?」
「そりゃ年頃ですからね」
それらしく返してみる。
「そっか、えっと……俺の友達がさ。ユウキのことを紹介してほしいって言ってて」
一番好きな人に、とうとう男を紹介される瞬間がやってきてしまった。
男紹介とか完全に脈なしのやつ。あたまのなかにオワタの顔文字が沢山浮かんだ。
いいやつだとか、そこそこかっこいいぞとかそれらしいことをショウは言う。
わかっていたけど、やはり好きな人から、いいやつがいるって紹介を受けるだなんてちょっとキツイなぁ。
「どうする?」
ショウはそういって私の出方を伺う。
私も次に進まないといけないのだ。
「……うーん。それじゃ、紹介してもらおうかな」
「あっ、そっか。うん」
なんだよその反応。
お前が持ちこんできたんだぞこの話。
「いい人なんでしょ。夏休みもこれからだし会ってみようかな」
「おう……」
後で私の連絡先をショウから相手に送るということで話はあっさりとついた。
いつものバイバイの時間だ。
モンハンのソフトがはいったDSを握り締めたままショウは家に帰る。
「あのさ、なんかあったらすぐ言えよ」
「えっ、そういう人紹介しようとしてるの?」
「そうじゃないけど。こういうので知り合い同士でこじれると嫌じゃん」
そう言い残してショウは帰って行った。
なんかあっても、最後私を選んだりしない癖にそういうの言うのはずるいよなぁって思う。
次に行かなきゃとかこっちは思ってんのになぁ。
絞められた玄関の扉をぼんやりと眺めた。
自分で選んでこの立ち位置にいたにも関わらず思わずため息が出た。
近いくせに遠いなぁ、これからどんどん遠くに行っちゃうんだろうなと考えると寂しくてつらい。
さてとユウのほうのスマホを取り出す。
『会いたいなぁ』
絶対ユウキのほうでは言えない一言をユウはあっさりと送れてしまう。
『俺も会いたい、今どこ?』
即レスで返事がきた。
返事どうしようと思っていると電話がかかってきた。
「もしもし?」
「今どこ」
「家だよ」
家といってアッとなる。だって家は家でもユウキの姿で自分の家にいるのだから。
「近くまで行くから会いたい」
私が欲しかった言葉をいとも簡単にユウはもらえてしまう。
「ごめん、私から言ったんだけどもうすぐご飯なんだ。明日はどうかな?」
私がそう断るとショウはあっさりとひいて明日会うこととなった。
隣の市の駅で待ち合わせることにした。
突然と言うこともあってノープランだ。
ユウキだったらきっとノープランだと部屋でダラダラゲームかジャンプを読むこととなっていただろう。
私の視界にショウが入る、思わず顔がほころんで手をひらひらと振ってしまう。いつかウソの私は消えないといけない。だけど今くらいはこのまま傍で甘い夢を見ていたいのだ。
「遅れた?」
ヤバいという顔でショウは言う。
「遅れてないよ、私が早く着いただけだよ」
私がそういうと、ショウはヘラっと笑う。
ぎこちなくこちらに差し出された手が愛しい。
私も緊張しながら手を伸ばして指をからめた。
「暑いね、今日はどうしようか?」
「図書館いかない?」
「うん」
そんなやり取りをして図書館へと向かう。
勉強した時いらいだなぁとか思いながら歩いた。
何をするのだろう? と思えば、ショウはノートを1冊とまさかのるるぶを取りだしたのだ。
どうやらこのノートに今日は筆談するつもりのようだ。
こんなやりとりが楽しい……
『そっか、ならショウ君的には、一つ紹介するのに悩んでたこと解消したんじゃないかな? ごめん、私今からちょっと友達と出かけるから少し返事できないね』
嘘である。
こう言っておくことで、ラインがきても返せなかったとき予防だ。
『了解\(゜ロ\)(/ロ゜)/』
ジュースを持って、部屋へと向かう。
念の為ユウの携帯は隠しておこう。
自分の部屋の扉を開けるのってこんな緊張しただろうか。深呼吸をしてゆっくりと扉を開けた。
「ごめん、お待たせ。どっち飲む?」
そう言って私はカルピスとコーラをショウに見せた。
さて、紹介の話を一つもしないまま、モンハンの時間が始まってしまった。いや、モンハンはモンハンで楽しいからいいんだけどね。
いや、それにしても一体いつ切りだすんだよ。何回狩り行くんだよと思うけれど、紹介のことを私は知らないことになっているから切りだせないのがもどかしい。
そろそろ帰る時間に差し掛かったころようやくショウが口を開いた。
「お前さ彼氏とか考えてる?」
「そりゃ年頃ですからね」
それらしく返してみる。
「そっか、えっと……俺の友達がさ。ユウキのことを紹介してほしいって言ってて」
一番好きな人に、とうとう男を紹介される瞬間がやってきてしまった。
男紹介とか完全に脈なしのやつ。あたまのなかにオワタの顔文字が沢山浮かんだ。
いいやつだとか、そこそこかっこいいぞとかそれらしいことをショウは言う。
わかっていたけど、やはり好きな人から、いいやつがいるって紹介を受けるだなんてちょっとキツイなぁ。
「どうする?」
ショウはそういって私の出方を伺う。
私も次に進まないといけないのだ。
「……うーん。それじゃ、紹介してもらおうかな」
「あっ、そっか。うん」
なんだよその反応。
お前が持ちこんできたんだぞこの話。
「いい人なんでしょ。夏休みもこれからだし会ってみようかな」
「おう……」
後で私の連絡先をショウから相手に送るということで話はあっさりとついた。
いつものバイバイの時間だ。
モンハンのソフトがはいったDSを握り締めたままショウは家に帰る。
「あのさ、なんかあったらすぐ言えよ」
「えっ、そういう人紹介しようとしてるの?」
「そうじゃないけど。こういうので知り合い同士でこじれると嫌じゃん」
そう言い残してショウは帰って行った。
なんかあっても、最後私を選んだりしない癖にそういうの言うのはずるいよなぁって思う。
次に行かなきゃとかこっちは思ってんのになぁ。
絞められた玄関の扉をぼんやりと眺めた。
自分で選んでこの立ち位置にいたにも関わらず思わずため息が出た。
近いくせに遠いなぁ、これからどんどん遠くに行っちゃうんだろうなと考えると寂しくてつらい。
さてとユウのほうのスマホを取り出す。
『会いたいなぁ』
絶対ユウキのほうでは言えない一言をユウはあっさりと送れてしまう。
『俺も会いたい、今どこ?』
即レスで返事がきた。
返事どうしようと思っていると電話がかかってきた。
「もしもし?」
「今どこ」
「家だよ」
家といってアッとなる。だって家は家でもユウキの姿で自分の家にいるのだから。
「近くまで行くから会いたい」
私が欲しかった言葉をいとも簡単にユウはもらえてしまう。
「ごめん、私から言ったんだけどもうすぐご飯なんだ。明日はどうかな?」
私がそう断るとショウはあっさりとひいて明日会うこととなった。
隣の市の駅で待ち合わせることにした。
突然と言うこともあってノープランだ。
ユウキだったらきっとノープランだと部屋でダラダラゲームかジャンプを読むこととなっていただろう。
私の視界にショウが入る、思わず顔がほころんで手をひらひらと振ってしまう。いつかウソの私は消えないといけない。だけど今くらいはこのまま傍で甘い夢を見ていたいのだ。
「遅れた?」
ヤバいという顔でショウは言う。
「遅れてないよ、私が早く着いただけだよ」
私がそういうと、ショウはヘラっと笑う。
ぎこちなくこちらに差し出された手が愛しい。
私も緊張しながら手を伸ばして指をからめた。
「暑いね、今日はどうしようか?」
「図書館いかない?」
「うん」
そんなやり取りをして図書館へと向かう。
勉強した時いらいだなぁとか思いながら歩いた。
何をするのだろう? と思えば、ショウはノートを1冊とまさかのるるぶを取りだしたのだ。
どうやらこのノートに今日は筆談するつもりのようだ。
こんなやりとりが楽しい……
0
あなたにおすすめの小説
寵愛の花嫁は毒を愛でる~いじわる義母の陰謀を華麗にスルーして、最愛の公爵様と幸せになります~
紅葉山参
恋愛
アエナは貧しい子爵家から、国の英雄と名高いルーカス公爵の元へと嫁いだ。彼との政略結婚は、彼の底なしの優しさと、情熱的な寵愛によって、アエナにとってかけがえのない幸福となった。しかし、その幸福を妬み、毎日のように粘着質ないじめを繰り返す者が一人、それは夫の継母であるユーカ夫人である。
「たかが子爵の娘が、公爵家の奥様面など」 ユーカ様はそう言って、私に次から次へと理不尽な嫌がらせを仕掛けてくる。大切な食器を隠したり、ルーカス様に嘘の告げ口をしたり、社交界で恥をかかせようとしたり。
だが、私は決して挫けない。愛する公爵様との穏やかな日々を守るため、そして何より、彼が大切な家族と信じているユーカ様を悲しませないためにも、私はこの毒を静かに受け流すことに決めたのだ。
誰も気づかないほど巧妙に、いじめを優雅にスルーするアエナ。公爵であるあなたに心配をかけまいと、彼女は今日も微笑みを絶やさない。しかし、毒は徐々に、確実に、その濃度を増していく。ついに義母は、アエナの命に関わるような、取り返しのつかない大罪に手を染めてしまう。
愛と策略、そして運命の結末。この溺愛系ヒロインが、華麗なるスルー術で、最愛の公爵様との未来を掴み取る、痛快でロマンティックな物語の幕開けです。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した
あと
BL
「また物が置かれてる!」
最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…?
⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。
攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。
ちょっと怖い場面が含まれています。
ミステリー要素があります。
一応ハピエンです。
主人公:七瀬明
幼馴染:月城颯
ストーカー:不明
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる