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第24話 3人
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3人で遊ぶ日は、すぐやってきた。
勝手知ったるショウの家だけれど、今日は二人きりではない。
一応しっかりと会うのは初めてだし、服装どうしようかなって悩みだしてしまう。
いつもだったら、ショウの家に集合のときは、ジャージかチノパンか暑いけどデニムだけど……今日は違う子がいるからなと鏡の前で悩んでしまう。
トップスはいつものTシャツで、その分下はリサ姉からもらったまだユウでもきてない可愛いスカートをあわせてみようかな……
ショウにはすでに、一度おしゃれを軽くしてる姿を見られているわけだし。
うーん、でも……と悩んだけれど。
今日きっとジャージでいったら、ハルトと上手くいってもジャージを着ないといけない女の子にまたなってしまうのではって思った。
ショウとは違い、相手には私のことを一応異性であることを意識してもらいたい。
もう友達枠は初恋の失敗のせいでこりごりだ。
だから私はスカートを履くことにした。スカート姿など、ショウは私の制服くらいしかみてないと思う。
物ごころつく頃にはすでに、ズボンしか買ってなかったし。
ゲームするなら結構近い距離に相手が来るから、下地はしっかりしておいてファンデは薄づきに……ってあんまり盛りすぎたら駄目だ。私の顔の雰囲気は残しておかないといけないんだった……。
ついつい化粧となるとユウの激変が当たり前になっていたからやりすぎそうになってしまう。
つけまつげはなし、ビュラーであげて軽くマスカラだけ。口紅は、まだティントで色がついてるから色なしリップだけでいいだろう。
イヤリングをつけて、靴はさすがに何足もないからいつものスニーカーでいいか。
変なところはないかと、ついつい最後に下駄箱についてる姿鏡を見てしまう。
そこに映っていたのはショートカットだけど、間違いなくちゃんとおしゃれした女の子だった。
ポテチは持ったし、いざ出陣である。
もう、散々訪問した幼馴染の家だけれど、ユウキとしてきちんと化粧して向かうとなるとなんだか恥ずかしい。
スカートもユウのときはほぼ毎回履いてるけれど、ユウキで履くと恥ずかしい。
家に到着してインターホンを押すかどうか悩んだけど、いつも押さないからいつも通りドアを開け挨拶をする。
「こんにちはー」
私がそういうと現れたのは、ショウではなくショウのお母さんだった。
「あら、いらっしゃい。ってあれ、しばらく見ない間に綺麗になってショウ! ユウキちゃんきてるわよ」
親戚のおばちゃんとかに久しぶりにあうと言われるようなセリフを言われた。
「今、手が離せないから上がって上がって」
ショウは部屋から降りてこなくて、二階から「あがって~」とだけ言われる。
「もう、ごめんねいつもあんなんで」
おばさんは、そういって私に軽く謝る。
「慣れてますから。おじゃまします」
おばさんがいるから、今日はきちんと挨拶をしてショウの部屋に上がった。
玄関に見慣れない靴はないから、ハルトはまだきていないみたい。
扉の前でなんとなく深呼吸をした。こんな姿で本物の私がショウと会うのは初めてかもしれない。
いや、ユウではいつももっと可愛い感じの服装で会ってるんだけど。
ユウキとして、って意味で初めてだ。
「開けるよ~」
ノックなどなしに、もう開けるって言ってる段階ですでに扉開けてるのはいつものことである。
「おう」
「あれ、私が先か~」
ハルトがきてないのは玄関に見覚えがない靴がなかったからすでにわかっていたけれど、とりあえず会話すべくそういった。
ショウはすでに狩りに出てるようで、私はいつものクッションを抱えると、何倒してるのかとショウの画面を覗き込む。
「今何してんの? 乱入できる?」
いつも通りに話す。
ショウの視線が一瞬こっちにむいて、画面にむいてまた私にむいた。
「ちょっ、こっちに突っ込んできてるよ死ぬって」
画面の中にいるショウのキャラクターが見事に攻撃をくらって死んでスタート地点に戻される。
「何やってんのよ、今の避けれたでしょ」
そういって画面から視線を離してショウのほうを見たら近かった。
いや、いつもであればこの距離はたまにある。
「と……突然話しかけてくるから驚いた」
「何それ」
きっと私の格好がいつもと違うのに驚いたんだと思う、だけどそうと言わないから私もいつも通り流す。
クッションを抱えて、ゲーム機を鞄から取り出す。
「仕方ない、私のハンマーさばきと、回復の笛でサポートしてやろうじゃないの。まだハルトきてないけど、一回これやめて入り直して倒すよ」
そういいながら、背負っていたリュックからDSを取りだした。
「おう」
ゲームをしてると、ゲームのことしか話さなくていいから楽だ。
やり混んでるから、ちょっとくらい考え事をしてても攻撃は避けれる。
「尻尾でたら私装備全部揃う」
「はぎとれるといいな」
「こいこいこい!」
まただよ……尻尾出なかった。また狩らないとだ……
2回のクエストをやってる間に、私はすっかり自分の格好が気にならなくなっていた。
ショウが何か言ってくるかと身構えていた。だけど、私を2度見して1回死ぬくらいで、後は特に何か格好のことをいじられることもなくて、なんだかほっとすると同時に……私ってこれまでずっと、ショウの友達の枠にいるためにってしなくていい我慢とか努力してたのかなって思った。
ハルトがやってきたのはそれから10分くらいしてからだった。
「ショウお前ライン見ろよ。お前んち1回しか行ったことなかったから普通に迷っ……」
モンハンしてたからだ、ラインみてなかったの絶対。
「あっ、先来てたんだ」
ハルトはショウへの怒りをぶつけようとしたけれど、私がいることに気がついて止まったようだ。
「うん、すぐそこなんだよ。私の家……今日はよろしくねハルト」
ラインで呼び捨てでいいと言われたこともあって、私はハルトと呼び捨てにした。
「よろしく、ユウキは武器何使ってんの?」
「ハンマー、絶対これで殴られるのが一番痛いと思ってさ」
どうなることかと思ったけれどゲームは偉大である。間が持つのだ。
途中でショウのお母さんが飲み物をもってきてくれたくらいで、あとは本当にもくもくと3人で狩る。
『捕獲するから罠張ります』とかゲーム用語が飛び出しながら、思いのほか楽しい時間が過ぎていく。
途中でトイレにと思い部屋を出て、今日は化粧してるから鞄ごともってきてテカってたら油とり紙で抑えといたほうがいいかもと思いごそごそと鞄をあさっているときに二人の話声が聞こえたのでついついトイレにすぐに行かずに聞き耳を立ててしまった。
「ユウキっていつもああなの? 私服だと雰囲気全然違うじゃん」
そういったのはハルキの声だった。
やっぱり駄目だったんだろうか……と思わず手を握り締めた。
「いや……うん、まぁ。どうだろ」
そりゃそうだ、こんな恰好でショウと会ったのは初めてなのだから、ショウにしたら上手く答えられなくて当然だろう。
「ギャップにびっくりした。……家近いんだろうし、お前たちの口ぶりから結構二人で遊んでる? あの距離で自分の部屋にいて、楽しく遊んでって、お前好きになったりしてない?」
私の格好が駄目というわけではなさそうでホッとしたのもつかの間、まさかの一番気になる質問をしてしまったのだ。
だからこそ、私はトイレに行けず扉の前で立ち尽くす。
勝手知ったるショウの家だけれど、今日は二人きりではない。
一応しっかりと会うのは初めてだし、服装どうしようかなって悩みだしてしまう。
いつもだったら、ショウの家に集合のときは、ジャージかチノパンか暑いけどデニムだけど……今日は違う子がいるからなと鏡の前で悩んでしまう。
トップスはいつものTシャツで、その分下はリサ姉からもらったまだユウでもきてない可愛いスカートをあわせてみようかな……
ショウにはすでに、一度おしゃれを軽くしてる姿を見られているわけだし。
うーん、でも……と悩んだけれど。
今日きっとジャージでいったら、ハルトと上手くいってもジャージを着ないといけない女の子にまたなってしまうのではって思った。
ショウとは違い、相手には私のことを一応異性であることを意識してもらいたい。
もう友達枠は初恋の失敗のせいでこりごりだ。
だから私はスカートを履くことにした。スカート姿など、ショウは私の制服くらいしかみてないと思う。
物ごころつく頃にはすでに、ズボンしか買ってなかったし。
ゲームするなら結構近い距離に相手が来るから、下地はしっかりしておいてファンデは薄づきに……ってあんまり盛りすぎたら駄目だ。私の顔の雰囲気は残しておかないといけないんだった……。
ついつい化粧となるとユウの激変が当たり前になっていたからやりすぎそうになってしまう。
つけまつげはなし、ビュラーであげて軽くマスカラだけ。口紅は、まだティントで色がついてるから色なしリップだけでいいだろう。
イヤリングをつけて、靴はさすがに何足もないからいつものスニーカーでいいか。
変なところはないかと、ついつい最後に下駄箱についてる姿鏡を見てしまう。
そこに映っていたのはショートカットだけど、間違いなくちゃんとおしゃれした女の子だった。
ポテチは持ったし、いざ出陣である。
もう、散々訪問した幼馴染の家だけれど、ユウキとしてきちんと化粧して向かうとなるとなんだか恥ずかしい。
スカートもユウのときはほぼ毎回履いてるけれど、ユウキで履くと恥ずかしい。
家に到着してインターホンを押すかどうか悩んだけど、いつも押さないからいつも通りドアを開け挨拶をする。
「こんにちはー」
私がそういうと現れたのは、ショウではなくショウのお母さんだった。
「あら、いらっしゃい。ってあれ、しばらく見ない間に綺麗になってショウ! ユウキちゃんきてるわよ」
親戚のおばちゃんとかに久しぶりにあうと言われるようなセリフを言われた。
「今、手が離せないから上がって上がって」
ショウは部屋から降りてこなくて、二階から「あがって~」とだけ言われる。
「もう、ごめんねいつもあんなんで」
おばさんは、そういって私に軽く謝る。
「慣れてますから。おじゃまします」
おばさんがいるから、今日はきちんと挨拶をしてショウの部屋に上がった。
玄関に見慣れない靴はないから、ハルトはまだきていないみたい。
扉の前でなんとなく深呼吸をした。こんな姿で本物の私がショウと会うのは初めてかもしれない。
いや、ユウではいつももっと可愛い感じの服装で会ってるんだけど。
ユウキとして、って意味で初めてだ。
「開けるよ~」
ノックなどなしに、もう開けるって言ってる段階ですでに扉開けてるのはいつものことである。
「おう」
「あれ、私が先か~」
ハルトがきてないのは玄関に見覚えがない靴がなかったからすでにわかっていたけれど、とりあえず会話すべくそういった。
ショウはすでに狩りに出てるようで、私はいつものクッションを抱えると、何倒してるのかとショウの画面を覗き込む。
「今何してんの? 乱入できる?」
いつも通りに話す。
ショウの視線が一瞬こっちにむいて、画面にむいてまた私にむいた。
「ちょっ、こっちに突っ込んできてるよ死ぬって」
画面の中にいるショウのキャラクターが見事に攻撃をくらって死んでスタート地点に戻される。
「何やってんのよ、今の避けれたでしょ」
そういって画面から視線を離してショウのほうを見たら近かった。
いや、いつもであればこの距離はたまにある。
「と……突然話しかけてくるから驚いた」
「何それ」
きっと私の格好がいつもと違うのに驚いたんだと思う、だけどそうと言わないから私もいつも通り流す。
クッションを抱えて、ゲーム機を鞄から取り出す。
「仕方ない、私のハンマーさばきと、回復の笛でサポートしてやろうじゃないの。まだハルトきてないけど、一回これやめて入り直して倒すよ」
そういいながら、背負っていたリュックからDSを取りだした。
「おう」
ゲームをしてると、ゲームのことしか話さなくていいから楽だ。
やり混んでるから、ちょっとくらい考え事をしてても攻撃は避けれる。
「尻尾でたら私装備全部揃う」
「はぎとれるといいな」
「こいこいこい!」
まただよ……尻尾出なかった。また狩らないとだ……
2回のクエストをやってる間に、私はすっかり自分の格好が気にならなくなっていた。
ショウが何か言ってくるかと身構えていた。だけど、私を2度見して1回死ぬくらいで、後は特に何か格好のことをいじられることもなくて、なんだかほっとすると同時に……私ってこれまでずっと、ショウの友達の枠にいるためにってしなくていい我慢とか努力してたのかなって思った。
ハルトがやってきたのはそれから10分くらいしてからだった。
「ショウお前ライン見ろよ。お前んち1回しか行ったことなかったから普通に迷っ……」
モンハンしてたからだ、ラインみてなかったの絶対。
「あっ、先来てたんだ」
ハルトはショウへの怒りをぶつけようとしたけれど、私がいることに気がついて止まったようだ。
「うん、すぐそこなんだよ。私の家……今日はよろしくねハルト」
ラインで呼び捨てでいいと言われたこともあって、私はハルトと呼び捨てにした。
「よろしく、ユウキは武器何使ってんの?」
「ハンマー、絶対これで殴られるのが一番痛いと思ってさ」
どうなることかと思ったけれどゲームは偉大である。間が持つのだ。
途中でショウのお母さんが飲み物をもってきてくれたくらいで、あとは本当にもくもくと3人で狩る。
『捕獲するから罠張ります』とかゲーム用語が飛び出しながら、思いのほか楽しい時間が過ぎていく。
途中でトイレにと思い部屋を出て、今日は化粧してるから鞄ごともってきてテカってたら油とり紙で抑えといたほうがいいかもと思いごそごそと鞄をあさっているときに二人の話声が聞こえたのでついついトイレにすぐに行かずに聞き耳を立ててしまった。
「ユウキっていつもああなの? 私服だと雰囲気全然違うじゃん」
そういったのはハルキの声だった。
やっぱり駄目だったんだろうか……と思わず手を握り締めた。
「いや……うん、まぁ。どうだろ」
そりゃそうだ、こんな恰好でショウと会ったのは初めてなのだから、ショウにしたら上手く答えられなくて当然だろう。
「ギャップにびっくりした。……家近いんだろうし、お前たちの口ぶりから結構二人で遊んでる? あの距離で自分の部屋にいて、楽しく遊んでって、お前好きになったりしてない?」
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