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第二巻刊行記念特別編~フロルの短期留学~
ふうちゃん再び~5
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その頃、ふうちゃんを取りかこむように木の上にいた風船鳥たちは、フロルとエマの様子を眺めながら、機嫌よくふっくらと膨らんでいた。
風船鳥は幸せな時にはふっくらと膨らむ。その習性故に風船鳥と呼ばれていたのだ。
ふうちゃんの幸せな感情が他の鳥たちにも伝わっていた。愛する人から存分に可愛がれ、撫でられ、愛でられる幸せは滅多に得られるものではない。
風船鳥は群れ全体で幸せを満喫していたのだが、その幸せを乱す邪魔者が現れたのは、そのすぐ後のこと。
高い木の上から、フロルを取り囲むように止まっていた風船鳥たちは、当然のことながら、バズたちにも気が付いてた。
人間が森の中を歩くのはいつものことだった。彼らには特に気にもせず、過ごしていたのだが、その中で一匹の風船鳥が毛を逆立て警戒感を露わにする。
バズが矢をつがえ、フロルを狙っている姿が目に入ったからだ。
一匹の風船鳥は群れ全体に警告のシグナルを送る。
「おい、やめろ、バズ」
一人の人間が声高に叫ぶのを、風船鳥たちははっきりと聞いた。
「くっくるー、くっくるー、く……」
幸せな気分で歌っていた風船鳥たちの気分が突然一転する。
邪魔者が乱入した。
一匹の風船鳥が発した警告は、瞬間的に群れ鳥たちに次々に伝播し、風船鳥の目に殺意がともる。
その間にもバズは矢を思いっきり引き、フロルに向かって矢を放とうとした瞬間。
ごっ。
激しい衝撃音が森の中に響き渡る。
そして、ジェレミーが目撃したのは、矢を射るどころか、派手に鼻血を吹き出しながら、後ろに倒れこむバズの姿だ。
顔面に激しく何かがぶつかった衝撃で、スローモーションのようにバズはのけぞりながら、後方一メートルの所までふっ飛ばされていた。
彼が射ようとしていた矢は、コントロールを失いへなへなした軌道を描いて、ぽとりと地面に落ちている。
「おい、まさか」
「そんなことが」
バズのお取り巻き連中もそれを見ていたらしく、目を大きく見開いて呆気にとられている。
木の上に止まっていた風船鳥がものすごい勢いで、矢を放とうとしていたバズの顔面に体当たりを食らわせてきたのだ。
「ぐ、ぐぶう……」
バズが声にならない声を上げて、地面に沈む。
その後ろでは、風船鳥がハヤブサのような勢いで地面に沈んだバズの上を、くるりと反転し、華麗なフォームで飛び去っていった。
ぷっ。
風船鳥はこれでもかと言わんばかりに、バズの上に糞を一つ落としていくことも忘れない。
「バズっ。大丈夫か?」
ジェレミーが駆け寄ると、バズは鼻血まみれになりながら、後頭部に風船鳥の糞を一つつけたまま地面に顔を突っ込んでいた。
糞に触れないようにして注意深くバズを抱き起すと、よほどひどく鳥がぶつかったのだろう。ひどい鼻血を出して、鼻の形が変形している。
もしかしたら、鼻の骨が折れたかもしれない。
「バズ、大丈夫か?」
バズは少し意識を失っていたらしく、ジェレミーがゆすってやるとようやく意識がはっきりしてきたようだ。
「ああ、くっそっ。なんてことだ」
バズは青息吐息で、情けない声を出す。
「何がおこったんだ、ちくしょう。鼻が折れたかもしれない」
手にべっとりとついた血を見て、バズはひきつけを起こしそうになった。
「風船鳥が激突してきたんだよ」
ジェレミーはそう言いつつハンカチでジェレミーの顔を拭いてやるが、鼻血は止まることなくどんどんとあふれてくる。でも、鳥の糞には触らなかった。
「はやく、救護室に連れていかないと」
数人がかりでバズを抱え上げると、なんとかバズは歩けそうだという。
「先生、けが人です」
「なんだと?」
遠くに見かけた教官を見つけ、声をかけると、教官が慌ててこちらに走ってきた。
◇
ちょうどその頃。
フロルがふうちゃんを抱えながら、もふもふを堪能している時。
突然、風船鳥のふうちゃんがぶるっと身震いした。
「あれっ?ふうちゃん、どうしたの?」
フロルがふうちゃんの顔を覗き込むと、なんだか殺気に満ちた顔をしている。
「フロル、どうかして?」
エマも風船鳥たちの異変を感じ取ったのだろう。
鳥たちの顔を見ると、どの鳥も神経がささくれだったような異常な顔をしていた。
「え? なんで? ふうちゃん、どうしたの?」
フロルが驚いて、ふうちゃんの顔をしげしげと見つめると、ふうちゃんが何故か一瞬、「にやり」と意味ありげな黒い笑みを浮かべたような気がした。
「やだ、なんか、ギャングみたいな顔だわ」
エマがそう呟いた後すぐに、ふうちゃんは、目をきょろんとさせて、また愛くるしい顔へと戻る。
「くっくるー、くっくるー」
邪魔者は滅した。もう二度と戻ってくんな。
風船鳥たちも、すがすがしい気持ちに戻って、ふうちゃんが愛情を込めた鳴き声を発した瞬間、木の上の鳥たちも一緒になって求愛の歌を歌う。
「あれ? なんか一瞬変だったけど??」
フロルは空を眺めて、もう一度、風船鳥たちに異変がないか確認したのだが、さっきのような表情はすっかり消え失せ、ひたすら平和な風景が広がるばかり。
「……なんか、気のせいだったのかしら?」
エマがそう呟きながら、あ、と何かを思い出したように声を出す。
「そろそろ集合の時間だわ。フロル行きましょう」
実習の時間の終わりが近づいていることに気づきエマが促すと、フロルもふうちゃんを地面に置いて立ち上がる。
「ふうちゃん、もう行かなくちゃ。またね?」
フロルが立ち去る後ろ姿をふうちゃんは名残推しそうに眺めつつ、ぱたぱたと空へと羽ばたく。ふうちゃんの視界には、教官の元に戻っていくフロルの姿がしっかりととらえていた。
「先生、遅くなりました!」
エマが籠にぎっしり詰まった薬草をもって、フロルと一緒に生徒の輪に戻る。
他の生徒はそれほど薬草が見つからなかったのか、籠の中に薬草が一種類か二種類。多い者でも数種類の薬草を見つけるのが精いっぱいだったらしく、フロルが抱えている籠を見て、みんなが目を丸くする。
「すごい……。どうやったら、そんなに薬草が集められるんだい?」
教官もフロルたちの大収穫を目の前にして、かなり驚いていた。
「フロルがすごいんです。薬草をあっちこっちに見つけてくれて」
教官が籠の中の薬草を見て、さらに目を丸くする。
「これは……。ブール草じゃない。それに、シトローネ草も。まさかこの学院の森にこんなものが生えているなんて信じられないわ」
教官の驚愕の表情を見ながら、フロルはやっぱりピンとこないのであった。
まさか、たった一束のブール草でこれだけ驚くだなんて。
教官を含む生徒たちがフロルたちの収穫をみてワイワイと騒いでいると、森の片隅から担架に乗せられた生徒が運び出される姿が見えた。
「あれ? けが人かな?」
フロルが指さした方向には、担架に乗せられ大騒ぎしながら運ばれていくバズの姿。
その後を、気が抜けたように攻撃魔術の生徒たちがぞろぞろと歩いていく。
「あら、ほんと。いやね。事故かしら」
エマも気の毒そうに眺めていると、ふと担架の上のバズと目があった。
なんだか、恨めし気な視線をこちらに向けているのは気のせいだろうか?
「エマ、どうしたの?」
フロルが無邪気な顔でエマに聞くと、彼女はなんでもないという風に笑った。
「別になんでもないわ。さ、早く教室に戻りましょう」
薬草学の成績はこれで一番になれるだろう。
今日はフロルのおかげで沢山、薬草が取れただけでなく、可愛い風船鳥とも、たくさん、触れ合うことができた。
「今日の一等賞はフロルね」
フロルは嬉しそうにえへんと胸を張る。薬草取りはフロルが最も得意とすることなのだ。
バズたちに何が起こったのかなど、全く知るよしもなく、エマとフロルは軽い足取りで教室へと戻っていったのだった。
◇
野良竜第二巻、刊行いたしました! 長い話を一冊にまとめ、なおかつ、ちゃんとお話の落ちも付けようと配慮した結果、半分くらいが書き下ろし部分で占めることになってしまいました。今回はなんと聖剣発掘編です☆
風船鳥は幸せな時にはふっくらと膨らむ。その習性故に風船鳥と呼ばれていたのだ。
ふうちゃんの幸せな感情が他の鳥たちにも伝わっていた。愛する人から存分に可愛がれ、撫でられ、愛でられる幸せは滅多に得られるものではない。
風船鳥は群れ全体で幸せを満喫していたのだが、その幸せを乱す邪魔者が現れたのは、そのすぐ後のこと。
高い木の上から、フロルを取り囲むように止まっていた風船鳥たちは、当然のことながら、バズたちにも気が付いてた。
人間が森の中を歩くのはいつものことだった。彼らには特に気にもせず、過ごしていたのだが、その中で一匹の風船鳥が毛を逆立て警戒感を露わにする。
バズが矢をつがえ、フロルを狙っている姿が目に入ったからだ。
一匹の風船鳥は群れ全体に警告のシグナルを送る。
「おい、やめろ、バズ」
一人の人間が声高に叫ぶのを、風船鳥たちははっきりと聞いた。
「くっくるー、くっくるー、く……」
幸せな気分で歌っていた風船鳥たちの気分が突然一転する。
邪魔者が乱入した。
一匹の風船鳥が発した警告は、瞬間的に群れ鳥たちに次々に伝播し、風船鳥の目に殺意がともる。
その間にもバズは矢を思いっきり引き、フロルに向かって矢を放とうとした瞬間。
ごっ。
激しい衝撃音が森の中に響き渡る。
そして、ジェレミーが目撃したのは、矢を射るどころか、派手に鼻血を吹き出しながら、後ろに倒れこむバズの姿だ。
顔面に激しく何かがぶつかった衝撃で、スローモーションのようにバズはのけぞりながら、後方一メートルの所までふっ飛ばされていた。
彼が射ようとしていた矢は、コントロールを失いへなへなした軌道を描いて、ぽとりと地面に落ちている。
「おい、まさか」
「そんなことが」
バズのお取り巻き連中もそれを見ていたらしく、目を大きく見開いて呆気にとられている。
木の上に止まっていた風船鳥がものすごい勢いで、矢を放とうとしていたバズの顔面に体当たりを食らわせてきたのだ。
「ぐ、ぐぶう……」
バズが声にならない声を上げて、地面に沈む。
その後ろでは、風船鳥がハヤブサのような勢いで地面に沈んだバズの上を、くるりと反転し、華麗なフォームで飛び去っていった。
ぷっ。
風船鳥はこれでもかと言わんばかりに、バズの上に糞を一つ落としていくことも忘れない。
「バズっ。大丈夫か?」
ジェレミーが駆け寄ると、バズは鼻血まみれになりながら、後頭部に風船鳥の糞を一つつけたまま地面に顔を突っ込んでいた。
糞に触れないようにして注意深くバズを抱き起すと、よほどひどく鳥がぶつかったのだろう。ひどい鼻血を出して、鼻の形が変形している。
もしかしたら、鼻の骨が折れたかもしれない。
「バズ、大丈夫か?」
バズは少し意識を失っていたらしく、ジェレミーがゆすってやるとようやく意識がはっきりしてきたようだ。
「ああ、くっそっ。なんてことだ」
バズは青息吐息で、情けない声を出す。
「何がおこったんだ、ちくしょう。鼻が折れたかもしれない」
手にべっとりとついた血を見て、バズはひきつけを起こしそうになった。
「風船鳥が激突してきたんだよ」
ジェレミーはそう言いつつハンカチでジェレミーの顔を拭いてやるが、鼻血は止まることなくどんどんとあふれてくる。でも、鳥の糞には触らなかった。
「はやく、救護室に連れていかないと」
数人がかりでバズを抱え上げると、なんとかバズは歩けそうだという。
「先生、けが人です」
「なんだと?」
遠くに見かけた教官を見つけ、声をかけると、教官が慌ててこちらに走ってきた。
◇
ちょうどその頃。
フロルがふうちゃんを抱えながら、もふもふを堪能している時。
突然、風船鳥のふうちゃんがぶるっと身震いした。
「あれっ?ふうちゃん、どうしたの?」
フロルがふうちゃんの顔を覗き込むと、なんだか殺気に満ちた顔をしている。
「フロル、どうかして?」
エマも風船鳥たちの異変を感じ取ったのだろう。
鳥たちの顔を見ると、どの鳥も神経がささくれだったような異常な顔をしていた。
「え? なんで? ふうちゃん、どうしたの?」
フロルが驚いて、ふうちゃんの顔をしげしげと見つめると、ふうちゃんが何故か一瞬、「にやり」と意味ありげな黒い笑みを浮かべたような気がした。
「やだ、なんか、ギャングみたいな顔だわ」
エマがそう呟いた後すぐに、ふうちゃんは、目をきょろんとさせて、また愛くるしい顔へと戻る。
「くっくるー、くっくるー」
邪魔者は滅した。もう二度と戻ってくんな。
風船鳥たちも、すがすがしい気持ちに戻って、ふうちゃんが愛情を込めた鳴き声を発した瞬間、木の上の鳥たちも一緒になって求愛の歌を歌う。
「あれ? なんか一瞬変だったけど??」
フロルは空を眺めて、もう一度、風船鳥たちに異変がないか確認したのだが、さっきのような表情はすっかり消え失せ、ひたすら平和な風景が広がるばかり。
「……なんか、気のせいだったのかしら?」
エマがそう呟きながら、あ、と何かを思い出したように声を出す。
「そろそろ集合の時間だわ。フロル行きましょう」
実習の時間の終わりが近づいていることに気づきエマが促すと、フロルもふうちゃんを地面に置いて立ち上がる。
「ふうちゃん、もう行かなくちゃ。またね?」
フロルが立ち去る後ろ姿をふうちゃんは名残推しそうに眺めつつ、ぱたぱたと空へと羽ばたく。ふうちゃんの視界には、教官の元に戻っていくフロルの姿がしっかりととらえていた。
「先生、遅くなりました!」
エマが籠にぎっしり詰まった薬草をもって、フロルと一緒に生徒の輪に戻る。
他の生徒はそれほど薬草が見つからなかったのか、籠の中に薬草が一種類か二種類。多い者でも数種類の薬草を見つけるのが精いっぱいだったらしく、フロルが抱えている籠を見て、みんなが目を丸くする。
「すごい……。どうやったら、そんなに薬草が集められるんだい?」
教官もフロルたちの大収穫を目の前にして、かなり驚いていた。
「フロルがすごいんです。薬草をあっちこっちに見つけてくれて」
教官が籠の中の薬草を見て、さらに目を丸くする。
「これは……。ブール草じゃない。それに、シトローネ草も。まさかこの学院の森にこんなものが生えているなんて信じられないわ」
教官の驚愕の表情を見ながら、フロルはやっぱりピンとこないのであった。
まさか、たった一束のブール草でこれだけ驚くだなんて。
教官を含む生徒たちがフロルたちの収穫をみてワイワイと騒いでいると、森の片隅から担架に乗せられた生徒が運び出される姿が見えた。
「あれ? けが人かな?」
フロルが指さした方向には、担架に乗せられ大騒ぎしながら運ばれていくバズの姿。
その後を、気が抜けたように攻撃魔術の生徒たちがぞろぞろと歩いていく。
「あら、ほんと。いやね。事故かしら」
エマも気の毒そうに眺めていると、ふと担架の上のバズと目があった。
なんだか、恨めし気な視線をこちらに向けているのは気のせいだろうか?
「エマ、どうしたの?」
フロルが無邪気な顔でエマに聞くと、彼女はなんでもないという風に笑った。
「別になんでもないわ。さ、早く教室に戻りましょう」
薬草学の成績はこれで一番になれるだろう。
今日はフロルのおかげで沢山、薬草が取れただけでなく、可愛い風船鳥とも、たくさん、触れ合うことができた。
「今日の一等賞はフロルね」
フロルは嬉しそうにえへんと胸を張る。薬草取りはフロルが最も得意とすることなのだ。
バズたちに何が起こったのかなど、全く知るよしもなく、エマとフロルは軽い足取りで教室へと戻っていったのだった。
◇
野良竜第二巻、刊行いたしました! 長い話を一冊にまとめ、なおかつ、ちゃんとお話の落ちも付けようと配慮した結果、半分くらいが書き下ろし部分で占めることになってしまいました。今回はなんと聖剣発掘編です☆
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