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三人で①
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◇
そして放課後。
......放課後になってしまった。胃が痛い。
俺はキリキリと痛むお腹をさすりながらのろのろと足を進める。
向かう先は女子寮の裏手だ。
誰にも見つからないようにたどり着くとチグサ嬢の手引きのもと女子寮に侵入する。
俺の部屋の何倍も広い一室、キングサイズのベットに足を組んで腰かけているアルミ嬢の前に正座で座る。
初めて入るアルミ嬢の部屋を見渡したい気持ちもあるが息を潜めてアルミ嬢の様子をうかがう。
「さて、トーノ、弁明はあるかしら?」
「......ありません」
「貴方は、私の護衛であるチグサに手を出しました、事実ですね?」
「......はい」
「わ、私というものがありながらっ、チグサにまで」
完全に俺が悪いので謝ることしかできないでいるとアルミ嬢の横に控えていたチグサ嬢が口を開いた。
「申し訳ありません、姫様、ですがトーノさんは悪くありません」
「な、なによチグサ、貴女も貴女よ、私に隠れてこそこそとっ」
「わかりました、それでは堂々としますね」
チグサ嬢はそういうと正座していた俺の襟を掴んでぐっと引っ張って立たせるとそのままキスをしてきた。
「ん」
「ちょ、ちょっと!なにしてるのですか!」
「見ての通りキスですが?」
「それは見てわかりますけど!どうして今キスをしたんですかと聞いているんです!」
「姫様がこそこそするなと」
「だ、だからって-」
「姫様、私はトーノさんが好きです、姫様はどうなんですか?」
「ふぇ?......わ、私だって、す、好きです」
「ねえ、トーノさん」
「は、はひ」
二人のやり取りを息を潜めて見守っていた俺は急にかけられた声に噛んでしまった。
「トーノさんは私のこと、姫様のことどう思ってますか?」
......なんて答えるのが正解なのかわからない、だけどここは正直な気持ちを言うべきだろう。
俺は二人の目を見てはっきりと口にする。
「好きです、アルミ様、チグサ様」
「私はトーノさんが好きで姫様もトーノさんが好き、トーノさんも私たちの事が好き、それでいいではありませんか?」
「で、ですが、そ、それは.......」
「それに私も姫様も母上たくさんいるではないですか、トーノさんに妻が二人三人いてもいいではないですか?」
「そ、それはそうですけれど」
「トーノさんはちゃんと愛してくださいます、それに私たちがもっと魅力的になればいいんです」
な、なんだかよくわからないうちにアルミ嬢がチグサ嬢に言い含められていた。
「それではそういうことで三人でしましょうか?」
「「へ?」」
チグサ嬢の言葉に、この広い部屋に俺とアルミ嬢の間抜けな声が響いたのだった。
そして放課後。
......放課後になってしまった。胃が痛い。
俺はキリキリと痛むお腹をさすりながらのろのろと足を進める。
向かう先は女子寮の裏手だ。
誰にも見つからないようにたどり着くとチグサ嬢の手引きのもと女子寮に侵入する。
俺の部屋の何倍も広い一室、キングサイズのベットに足を組んで腰かけているアルミ嬢の前に正座で座る。
初めて入るアルミ嬢の部屋を見渡したい気持ちもあるが息を潜めてアルミ嬢の様子をうかがう。
「さて、トーノ、弁明はあるかしら?」
「......ありません」
「貴方は、私の護衛であるチグサに手を出しました、事実ですね?」
「......はい」
「わ、私というものがありながらっ、チグサにまで」
完全に俺が悪いので謝ることしかできないでいるとアルミ嬢の横に控えていたチグサ嬢が口を開いた。
「申し訳ありません、姫様、ですがトーノさんは悪くありません」
「な、なによチグサ、貴女も貴女よ、私に隠れてこそこそとっ」
「わかりました、それでは堂々としますね」
チグサ嬢はそういうと正座していた俺の襟を掴んでぐっと引っ張って立たせるとそのままキスをしてきた。
「ん」
「ちょ、ちょっと!なにしてるのですか!」
「見ての通りキスですが?」
「それは見てわかりますけど!どうして今キスをしたんですかと聞いているんです!」
「姫様がこそこそするなと」
「だ、だからって-」
「姫様、私はトーノさんが好きです、姫様はどうなんですか?」
「ふぇ?......わ、私だって、す、好きです」
「ねえ、トーノさん」
「は、はひ」
二人のやり取りを息を潜めて見守っていた俺は急にかけられた声に噛んでしまった。
「トーノさんは私のこと、姫様のことどう思ってますか?」
......なんて答えるのが正解なのかわからない、だけどここは正直な気持ちを言うべきだろう。
俺は二人の目を見てはっきりと口にする。
「好きです、アルミ様、チグサ様」
「私はトーノさんが好きで姫様もトーノさんが好き、トーノさんも私たちの事が好き、それでいいではありませんか?」
「で、ですが、そ、それは.......」
「それに私も姫様も母上たくさんいるではないですか、トーノさんに妻が二人三人いてもいいではないですか?」
「そ、それはそうですけれど」
「トーノさんはちゃんと愛してくださいます、それに私たちがもっと魅力的になればいいんです」
な、なんだかよくわからないうちにアルミ嬢がチグサ嬢に言い含められていた。
「それではそういうことで三人でしましょうか?」
「「へ?」」
チグサ嬢の言葉に、この広い部屋に俺とアルミ嬢の間抜けな声が響いたのだった。
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