【R18】剣と魔法とおみ足と

華菱

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課外実習①

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「来週からは一ヶ月間、課外実習となる、西方の城塞都市ハクレンにて魔物の討伐にあたる、しっかり休んで備えるように」







1000年前、世界を滅亡寸前に追い込んだ13の《異形の怪物》、奴等を封じた13の《封印の祭殿》は世界中に点在しており、各国が管理している。

この国、ユナイト王国が管理する祭殿は2つ。

その内の1つを監視、有事の際の砦となるのが城塞都市ハクレンである。



魔物は世界中にいるが、《異形の怪物》の障気が濃くなる祭殿付近は多く、魔物も強力になりやすい。

一学年200人、全員が一度に同じ場所で討伐にあたるのは、現地の騎士団が見きれないため、クラスごとに別れて実習を行う。

俺たちAクラス40人は封印の祭殿のあるハクレンにて、続くBクラスはもうひとつの祭殿のある都市へ、C.D.Eクラスは祭殿は近くにないがそれなりに魔物の出現率の高い都市へと向かっている。



「おおー、でっかいなぁ」

都市間輸送魔導装甲車にて揺られること2日、城塞都市ハクレンへと到着した。

都市をぐるりと囲う巨大な城壁に歓声があがる。

鋼色の壁面には銀色の魔方陣が描かれている。



「高さは10メートル、この壁を越えるような空を飛ぶ魔物は、城壁を囲う結界が阻むそうですよ」

魔導装甲車から降りてきたチグサ嬢が説明してくれる。



正門へと向かい都市の中へと入る。



「はーい、じゃあ点呼」



「全員いるな、これから世話になる騎士団の詰所に向かうぞ」

引率のクロエ教官に続いて歩いてく。

俺たちが来たのは東側の門、騎士団の詰所があるのは封印の祭殿のある西側である。大通りを歩いていく、通り沿いには商館から鍛冶屋、八百屋に肉屋まで様々な店が立ち並んでいた。

軽食の屋台なんかもでている、なんの肉かはわからないが芳ばしい香りが食欲をそそる。

たくさんの人が思い思いに店を回っていてとても賑やかだ。



「城壁都市なんていうからもっと殺伐としてるのかな?なんて思ってましたけど皆明るいですね」

「ええ、今は戦時中という訳ではないですし、ここ百年ほどはあの城壁を越えて街まで侵入した魔物もいませんから」

「昔は封印の祭殿を監視するための騎士団の施設があっただけですが、冒険者ギルドもできたり、騎士や冒険者相手に商売するために商人や鍛冶屋なんかも集まり、生活がしやすくなると騎士の家族もやってきたりして、今では人口十万人を越える都市になったのですよ」

「へーそうなんですね」



皆と会話しながら歩いていると詰所に着いたようだ。



紅の騎士服に身を包んだ二人の男性が出迎えてくれた。

一人は服の上からでもわかるほどの筋肉隆々の大柄な獅子のような男、もう一人はその男とは対称的で長身で細身、左目にモノクルをかけている理知的な優男だ。



優男の方が口を開いて

「ようこそいらっしゃいました、私は第3騎士団、副団長を務めるハイド=フォン=リーシルです、隣にいるのが団長です」

「よくきたな!俺が団長のグレン=フォン=レーヴァテインだ」



「宜しくお願いします、アルミ=セレソ=ユナイト以下魔導騎士養成学園一年Aクラス40名、一ヶ月間世話になります」

アルミ嬢が代表して挨拶をする。



第3騎士団、通称《紅の騎士団》、この国が保有する7つの騎士団の一つ。

上級騎士たる魔導騎士50名と一般騎士300名からなる騎士団である。

団長は《焰獅子》のグレン、大きな戦斧を主武器に闘うこの国でも五本の指に入るだろう強者だ。



「先ずは宿舎へ案内します、荷物をおいた後、施設の案内と実習の流れを説明します」



案内と説明を受けた後、夜飯を食べて就寝となった。

本格的な実習は明日からだ。









翌日、早朝。

タッタッタッタ

タッタッタッタ

雑巾がけから始まった。

こんな風に廊下を雑巾がけするなんて中学以来だな、なんて思いながら宿舎の長い廊下を黙々と往復する。

意外なことに貴族の生徒達も何一つ文句を言うことなく黙々と掃除をしていた。

アルミ嬢なんかは掃除が終わった後「ふぅ、いい汗かきましたね」と朗らかに笑っていた程だ。



朝食はトーストにスクランブルエッグにソーセージ、ソーセージには香草が練り込まれていて美味しかった。

チグサ嬢なんて「ふぅ、労働の後の食事は一味ちがいますね」と満足そうな笑みを浮かべていた。



そして朝食の後、実習となる。



実習は四人一組の班ごとに別れて行う。

一班に一人の魔導騎士と二人の一般騎士が引率する。

俺はアルミ嬢とチグサ嬢とオトハと同じ班だった、アルミ嬢と護衛のチグサ嬢が同じ班なのは当然として、俺とオトハは王女に万が一があってはならないからと戦闘技能の高さで選ばれたのだろう。

自慢ではないが俺たちはそれなりに優秀なのだ。教官にも評価されていたのは嬉しい。



制服の上から胸当てと左手に手甲を嵌めて腰に片手剣を携えて集合場所へと向かった。

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