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課外実習②
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装備を整えて集合場所にいくと、既に他の班員たちはすでに集合していた。
「トーノ、頑張ろうね」
とオトハ。装備は俺と同じで胸当てと籠手をつけている。
「トーノさん、修練の成果を見せてくださいね」
とチグサ嬢。長く綺麗な青髪を後ろで1つに束ねている。
「トーノ、さぁ行くわよ!」
とアルミ嬢、皆気合い十分な様だ。
「それでは最初のポイントまで移動します、着いてきてください」
そう言ったのはハイド副団長だ。
どうやら引率は副団長がしてくれるらしい、流石王女様の班だ。
「着きましたよ、最初は我々が比較的弱い魔物をつってくるので、戦ってみて下さい」
《封印の祭殿》その回りは木々に囲まれ、ちょっとした森になっている。
森を囲うように結界が張られているがこの結界も万全ではないようで、たまに魔物が森から出てくることもあるし、森の中で魔物が増えすぎると結界を破り外にあふれでてくるスタンピードが起きるらしい、そのため騎士団や冒険者の仕事には定期的に森に入って魔物を間引くものもあるのだ。
引率の騎士二人が森の中に入って入り口まで魔物を引っ張ってきてくれた。
ランクEの魔物コボルトが三匹だ。
「さあ、誰からいきますか?」
「では、私から行くわね」
そう言って一歩前に出るアルミ嬢。
騎士たちが一匹のコボルトをアルミ嬢の前に蹴りだしてくれる、残り2体はそのまま騎士が引き受けてくれている。
低く唸るコボルトとアルミ嬢の一対一だ。
アルミ嬢は剣を正眼に構え呼吸を調える。
その刃には既に【鋭利】の魔法を纏わせてある。
タンっと軽く地面を蹴って、間合いを詰めるとザシュッと一太刀で切り伏せた。
「やりますね、次は誰ですか?」
「私です、お願いします」
とチグサ嬢が前に出て
「いきますよー」と騎士が相手にしていたコボルト一匹を蹴りだす。
飛びかかってくるコボルトに対してチグサ嬢は半身捻ってかわしてすれ違い様に一太刀で切り伏せた。
その後同様に俺とオトハもコボルトと戦った、初戦闘であったが四人ともなんなくこなして実習は次の段階へと入っていった。
少しずつ難易度をあげていって、一対一ではなく1人でコボルト三匹を相手にしたり、コボルトの上位種ランクDのハイコボルトやランクDのブラッドマンティス、でっかいカマキリ型の魔物とも戦いもした。
コボルトのような自分よりも小柄な魔物からブラッドマンティスのように自分よりも大きな魔物との戦い方、ハイド副団長の指導のもと実践で学んでいった。
途中、休憩を挟みながら夕方まで実習は続いた。
「今日はこのくらいにしましょう、戻りますよ」
「「「「はい!ありがとうございました!」」」」
◇
実習、二日目。
昨日は個人での立ち回りを主にやったが、今日は四人での連携をメインに主にする。
ランクD・Eの下級の魔物相手に連携の確認をして、俺たちは森の中へと入る。警戒しながら少し奥の方へと進んでいく。
森の中心部に行くにつれ、祭殿が近くなりその分魔物のランクもあがるのだ。
「……囲まれましたね、左手に三匹、右手に四匹、正面五匹、背後に二匹と言ったところでしょうか」
……シャドーウルフ、群れで行動する狼型の魔物だ。ランクはC+。
「私が右をオトハさんは左、トーノは魔法で正面五匹を牽制、チグサは素早く背後の二匹を片付けなさい」
ゆっくりと囲いを狭めてくるシャドーウルフ達に剣を構える。
「【氷短槍】」
俺は、正面のシャドーウルフが飛びかかってきそうなタイミングで氷短槍を射出した。
それが戦闘開始の合図となり、各自自分の中の相手へと間合いを詰める。
俺の役割は正面の五匹の足止め、倒す必要はない。
俺たちの中で一番強いチグサ嬢が背後の二匹を倒して退路を確保、その後遊撃に回ってくれるはずだ。
俺は応援が来るまで持ちこたえればいい。
シャドーウルフは影から影へと移動する特殊能力を持った厄介な魔物だ。
瞬間移動のように急に近くに出現されると対処が遅れる。
距離を保ち五匹すべてを視界におさめ、影に潜る瞬間を見逃してはならない。
氷短槍の連続射出ラビットショット、影に潜ろうとしたところを地面ごと氷結させる。
二匹の脚を凍らした、後三匹だ。
飛びかってきた一匹の眉間に氷短槍が命中、絶命。
だが、今の一匹を囮に残り二匹に影に潜られてしまった!
……どこからだ?どこからくる?神経を研ぎ澄ます。
そこっ!俺は足元、自らの影に剣を突き刺す、確かな手ごたえ、一匹。
間髪入れずに背後へ回し蹴り!「キャウン!」
低く唸りながら再び立ち上がるシャドーウルフ、そして最初に凍らした二匹の氷も溶け、行動可能に……
三対一……いや違うな。
俺は氷短槍を三点射出スリーバースト、避けられる。
だが、氷短槍と共に俺の背後から3人の戦乙女が飛び出し、それぞれ一太刀で切り伏せた!
他の魔物を片付けて応援にきてくれたのだ。
終わった、「ふぅ」と息を吐く、緊張の糸が緩んだ、3人も剣を鞘に納めた。
瞬間!一際大きなシャドーウルフが飛びかかってきた!
なっ!?すべて倒したのでは?やばい!間に合わない!
俺たちとシャドーウルフの間にハイド副団長が割り込みシャドーウルフを切り伏せる。
「群れのボスですね、最初から影のなかに潜んでいたのでしょう、戦闘が終わったからといってすぐに気を緩めないようにしましょう」
危なかった、群れを倒したと思い、気が緩んだ瞬間を狙われた、俺たちは命の奪い合いをしているんだ……と言うことを思い知らされた。
そうして、二日目の実習を終えた。
「トーノ、頑張ろうね」
とオトハ。装備は俺と同じで胸当てと籠手をつけている。
「トーノさん、修練の成果を見せてくださいね」
とチグサ嬢。長く綺麗な青髪を後ろで1つに束ねている。
「トーノ、さぁ行くわよ!」
とアルミ嬢、皆気合い十分な様だ。
「それでは最初のポイントまで移動します、着いてきてください」
そう言ったのはハイド副団長だ。
どうやら引率は副団長がしてくれるらしい、流石王女様の班だ。
「着きましたよ、最初は我々が比較的弱い魔物をつってくるので、戦ってみて下さい」
《封印の祭殿》その回りは木々に囲まれ、ちょっとした森になっている。
森を囲うように結界が張られているがこの結界も万全ではないようで、たまに魔物が森から出てくることもあるし、森の中で魔物が増えすぎると結界を破り外にあふれでてくるスタンピードが起きるらしい、そのため騎士団や冒険者の仕事には定期的に森に入って魔物を間引くものもあるのだ。
引率の騎士二人が森の中に入って入り口まで魔物を引っ張ってきてくれた。
ランクEの魔物コボルトが三匹だ。
「さあ、誰からいきますか?」
「では、私から行くわね」
そう言って一歩前に出るアルミ嬢。
騎士たちが一匹のコボルトをアルミ嬢の前に蹴りだしてくれる、残り2体はそのまま騎士が引き受けてくれている。
低く唸るコボルトとアルミ嬢の一対一だ。
アルミ嬢は剣を正眼に構え呼吸を調える。
その刃には既に【鋭利】の魔法を纏わせてある。
タンっと軽く地面を蹴って、間合いを詰めるとザシュッと一太刀で切り伏せた。
「やりますね、次は誰ですか?」
「私です、お願いします」
とチグサ嬢が前に出て
「いきますよー」と騎士が相手にしていたコボルト一匹を蹴りだす。
飛びかかってくるコボルトに対してチグサ嬢は半身捻ってかわしてすれ違い様に一太刀で切り伏せた。
その後同様に俺とオトハもコボルトと戦った、初戦闘であったが四人ともなんなくこなして実習は次の段階へと入っていった。
少しずつ難易度をあげていって、一対一ではなく1人でコボルト三匹を相手にしたり、コボルトの上位種ランクDのハイコボルトやランクDのブラッドマンティス、でっかいカマキリ型の魔物とも戦いもした。
コボルトのような自分よりも小柄な魔物からブラッドマンティスのように自分よりも大きな魔物との戦い方、ハイド副団長の指導のもと実践で学んでいった。
途中、休憩を挟みながら夕方まで実習は続いた。
「今日はこのくらいにしましょう、戻りますよ」
「「「「はい!ありがとうございました!」」」」
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実習、二日目。
昨日は個人での立ち回りを主にやったが、今日は四人での連携をメインに主にする。
ランクD・Eの下級の魔物相手に連携の確認をして、俺たちは森の中へと入る。警戒しながら少し奥の方へと進んでいく。
森の中心部に行くにつれ、祭殿が近くなりその分魔物のランクもあがるのだ。
「……囲まれましたね、左手に三匹、右手に四匹、正面五匹、背後に二匹と言ったところでしょうか」
……シャドーウルフ、群れで行動する狼型の魔物だ。ランクはC+。
「私が右をオトハさんは左、トーノは魔法で正面五匹を牽制、チグサは素早く背後の二匹を片付けなさい」
ゆっくりと囲いを狭めてくるシャドーウルフ達に剣を構える。
「【氷短槍】」
俺は、正面のシャドーウルフが飛びかかってきそうなタイミングで氷短槍を射出した。
それが戦闘開始の合図となり、各自自分の中の相手へと間合いを詰める。
俺の役割は正面の五匹の足止め、倒す必要はない。
俺たちの中で一番強いチグサ嬢が背後の二匹を倒して退路を確保、その後遊撃に回ってくれるはずだ。
俺は応援が来るまで持ちこたえればいい。
シャドーウルフは影から影へと移動する特殊能力を持った厄介な魔物だ。
瞬間移動のように急に近くに出現されると対処が遅れる。
距離を保ち五匹すべてを視界におさめ、影に潜る瞬間を見逃してはならない。
氷短槍の連続射出ラビットショット、影に潜ろうとしたところを地面ごと氷結させる。
二匹の脚を凍らした、後三匹だ。
飛びかってきた一匹の眉間に氷短槍が命中、絶命。
だが、今の一匹を囮に残り二匹に影に潜られてしまった!
……どこからだ?どこからくる?神経を研ぎ澄ます。
そこっ!俺は足元、自らの影に剣を突き刺す、確かな手ごたえ、一匹。
間髪入れずに背後へ回し蹴り!「キャウン!」
低く唸りながら再び立ち上がるシャドーウルフ、そして最初に凍らした二匹の氷も溶け、行動可能に……
三対一……いや違うな。
俺は氷短槍を三点射出スリーバースト、避けられる。
だが、氷短槍と共に俺の背後から3人の戦乙女が飛び出し、それぞれ一太刀で切り伏せた!
他の魔物を片付けて応援にきてくれたのだ。
終わった、「ふぅ」と息を吐く、緊張の糸が緩んだ、3人も剣を鞘に納めた。
瞬間!一際大きなシャドーウルフが飛びかかってきた!
なっ!?すべて倒したのでは?やばい!間に合わない!
俺たちとシャドーウルフの間にハイド副団長が割り込みシャドーウルフを切り伏せる。
「群れのボスですね、最初から影のなかに潜んでいたのでしょう、戦闘が終わったからといってすぐに気を緩めないようにしましょう」
危なかった、群れを倒したと思い、気が緩んだ瞬間を狙われた、俺たちは命の奪い合いをしているんだ……と言うことを思い知らされた。
そうして、二日目の実習を終えた。
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