【R18】剣と魔法とおみ足と

華菱

文字の大きさ
37 / 45

三人よると姦しい

翌日。

だるい体で授業を受けていた。

幸いにも今日は一日中座学である。

ぼやっとする頭で先生の話を聞き流す、この時間は数学であった。

前世で学んだ事なので聞き流しても大丈夫なはず、次の属性魔法理論に備えよう。



横目で昨日俺を搾りとったお姫様と騎士様をみると、何だか二人ともツヤツヤしていた。



「トーノ大丈夫?なんか疲れているけど......医務室いった方がいいんじゃない?」

授業終わり、オトハが心配そうに尋ねてきた。

「オ、オトハ~」

「ど、どうしたのよ、情けない声だして」

オトハの優しさが胸に染みる。ついオトハにひしっとしがみついてしまっていた。

「も、もうっどうしたの?よーしよし」

そんな俺の頭をまんざらでもなさそうに撫でてくれる。心地良い。



「ちょっと、オトハさん、教室でイチャイチャするのはよろしくないのではありませんか?」

「そうですよ、控えるべきです」

しばらくオトハに甘えているとアルミ嬢とチグサ嬢がやってきた。

二人の言葉にオトハは俺の頭を強く抱き締めて勝ち誇ったようにフフッと笑った。

「「む」」



「トーノ、貴方もいつまでそうしているつもりですか?みっともないですよ、離れなさい」

「そうですよ、オトハさんに迷惑ですよ」

「お二人とも気にしないでください、私は迷惑じゃないですから、幼馴染みとしてトーノの面倒は私が見ないと」



ピキリ、アルミ嬢とチグサ嬢からそんな音が聞こえた。



「幼馴染みだからと言って面倒をみる必要なんてありませんよ、人は長い人生の中でたくさんの出会いと別れを繰り返すのですから、トーノにも新しい出会いがあったはずです、きっと新しく出会ったその運命の人がトーノに寄り添うでしょう」

「たまたま産まれた時、家が近かっただけの出会いと自らの意思で進んでいった先での出会いどちらが素敵だと思いますか?」



ピキリ、今度はオトハから。



「積み重ねた時間にはおよびませんよ」



「心配入りません、私たちはまだ学生の身、これから重ねていく時間の方が長いのですから」



ミシリ、俺を包み込むオトハの腕に力が入る。痛い。

しかし、急にその力が緩んだ。

どうしたのだろう?とオトハを見上げると彼女はしきりに自らの髪をさわっていた。そう彼女がいつもつけている髪飾りの辺りをだ。



それを見ていたアルミ嬢は聞いてはいけない、けど聞かずにはいられないといった様子でぐぬぬと唸った後、静かに口を開いた。

「……オトハさん、その髪飾り毎日つけていますね?」



「あ、これですか?トーノが昔、私にプレゼントしてくれたんです、嬉しかったなぁ、これを着けた私に似合ってる、可愛いって言ってくれて、あっ、やだもう恥ずかしいところを」

わざとらしくいやんいやんと首をふるオトハに対して顔をひきつらせた二人。



「ふふふ」「ふふふ」「うふふ」



三人で笑い合いながらも誰一人として眼が笑っていない。

胃が痛いです。





「おーい、次の授業始めるぞ~」

教師の一声に救われる。

もう身体の怠さなど吹っ飛んでいた。



その後も、授業の中休みに昼休みと彼女たちの睨みあいは続いた。



それはまるで達人同士の立合いの如く、視線だけでの攻防。

互いの隙を伺い、一瞬の気の弛みに必殺の一撃を繰り出す。



オトハが受験勉強、俺に付きっきりで教わったことを繰り出すと、チグサ嬢が毎日の朝の鍛練で斬り返す。

隙をついてアルミ嬢のデートのエピソードが二人を襲う。



一進一退の攻防。誰一人として一歩も退かない。

俺の胃にはいるダメージ。



「綺麗だって言ってくれました」

「私も言われましけど?」

「私も」



三人の射抜くような視線が俺を貫いた!

「ヒッ」



「「「トーノ(さん)!」」」



「トーノ!貴方は節操がないのですか!?誰にでもそんなこと言って」

「そうですよ!いつか刺されますよ」

「昔からそうよね、近所の女の子みんなトーノに気があったわ」

「え?トーノさん昔からこんななんですか」

「そうなんですよ!幼年学校の時なんかーー2つ歳上のメリィちゃんなんてーー」

「ええ~!!幼年学校の時って八歳くらいですか?そんな幼いときからトーノはトーノしてたんですか?」

「ええそうなんです!アルミ様!聞いてくださいよーーー」



「あっ、それ私もやられました!」

「そういうとこホントずるいんですよね!悔しいからこっちからドキッとさせようとすると涼しい顔して受け流しますし!」

「そうよ!それにこっちが意図してないことで急に照れたりするのも反則よね!」



……なんか途中から矛先が変わった気がする。

いたたまれない。







そして放課後、彼女たちは三人でカフェに行くらしい。

当然のごとく俺はハブだ。

でもまぁ、三人の親睦が深まったようで何よりです。

感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜

マカロニ
恋愛
「ごめんね、八杉くん」 中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。 それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。  だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。  • 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。  • 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。  • 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。  • オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。  恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。 教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。  「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」  鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。 恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!

数年振りに再会した幼馴染のお兄ちゃんが、お兄ちゃんじゃなくなった日

プリオネ
恋愛
田舎町から上京したこの春、5歳年上の近所の幼馴染「さわ兄」と再会した新社会人の伊織。同じく昔一緒に遊んだ友達の家に遊びに行くため東京から千葉へ2人で移動する事になるが、その道中で今まで意識した事の無かったさわ兄の言動に初めて違和感を覚える。そしてその夜、ハプニングが起きて………。 春にぴったりの、さらっと読める短編ラブストーリー。※Rシーンは無いに等しいです※スマホがまだない時代設定です。