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第9章
誰が、そこにいるのか(1)
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翌週、待ち合わせ場所の駅前で、齊藤さんを見つけた瞬間、思わず数歩後ずさった。
遠くからでも分かるオーラ。何もしていないのに、なぜか光って見える。……これが、人気実況者の存在感なのだろうか。
そして何より、女性たちの反応がすごかった。
道ゆく人が振り返り、視線を送る。時には小さく声をあげて驚いたり、写真を撮ろうとスマホを構える人まで。
「ごめんね、待たせた?」
目の前に現れた齊藤さんは、そんな周りのことなんて気にならない様子で。前と同じ柔らかい笑顔でそう言ってくれたけれど、こちらの心拍数は落ち着かないままだった。
「い、いえっ…こちらこそ……」
——周りの視線が痛い。
(なんか…隣にいるのが私ですみません、って気持ちになってくる……)
それ以上、あれこれ考える暇もなく、彼の案内でおすすめのカフェに入った。
こぢんまりしていながらも落ち着いた雰囲気のある店内。しかしカフェの店員さんの表情が齊藤さんを見て「はっ!」となった後、「ぽわーん」となったのを、私は見逃さなかった。
「ここのケーキ、たまにGG4の差し入れにも持って行くんだ。美味しいんだよ。季節限定のおすすめモンブラン、今日までみたいだね」
そう言われて、おすすめのケーキとコーヒーを頼む。運ばれてきたモンブランは確かに絶品で、口の中でふわっと甘さが広がった。
「それで、GG4のこと、どう思うかいろいろ聞かせてくれる?」
そんなふうに始まったカフェでの会話は、思った以上に和やかで心地よかった。
緊張していたのが嘘のように、私はGG4への思いをぽつりぽつりと語り出した。
4人の掛け合いが、いつも私たちファンを楽しませてくれること。
Renさんがリードし、セイさんがムードを一気に引き上げ、そこにぐっちさんの発言でカオスになりながらも、羊さんがトークでばしっと締めて、更に面白さが加速するGG4というグループ。
話は各メンバーのことまで広がり、気がついたら私は、羊さんの実況の合間に見せる何気ない一言がどれだけ素晴らしいか、話し方や言葉の選び方にどれだけ心を掴まれるのかを口にしていた。
話しすぎたかもしれない、と思ったころ、齊藤さんがふっと笑った。
「やっぱり、羊くんのこと、好きなんだね」
ドキリとした。思わず視線を逸らし、声が上擦ってしまう。
「え、あっ……その、好き……っていうか、尊敬、というか…」
「ふふ、いいよ。ファンってそういうものでしょ」
齊藤さんはそう言いながら、時々GG4の裏話や、彼らの結成秘話などをぽろっと教えてくれた。
裏側を知っている人から聞く話は、どれも新鮮で面白くて、私はついつい聞き入ってしまった。
遠くからでも分かるオーラ。何もしていないのに、なぜか光って見える。……これが、人気実況者の存在感なのだろうか。
そして何より、女性たちの反応がすごかった。
道ゆく人が振り返り、視線を送る。時には小さく声をあげて驚いたり、写真を撮ろうとスマホを構える人まで。
「ごめんね、待たせた?」
目の前に現れた齊藤さんは、そんな周りのことなんて気にならない様子で。前と同じ柔らかい笑顔でそう言ってくれたけれど、こちらの心拍数は落ち着かないままだった。
「い、いえっ…こちらこそ……」
——周りの視線が痛い。
(なんか…隣にいるのが私ですみません、って気持ちになってくる……)
それ以上、あれこれ考える暇もなく、彼の案内でおすすめのカフェに入った。
こぢんまりしていながらも落ち着いた雰囲気のある店内。しかしカフェの店員さんの表情が齊藤さんを見て「はっ!」となった後、「ぽわーん」となったのを、私は見逃さなかった。
「ここのケーキ、たまにGG4の差し入れにも持って行くんだ。美味しいんだよ。季節限定のおすすめモンブラン、今日までみたいだね」
そう言われて、おすすめのケーキとコーヒーを頼む。運ばれてきたモンブランは確かに絶品で、口の中でふわっと甘さが広がった。
「それで、GG4のこと、どう思うかいろいろ聞かせてくれる?」
そんなふうに始まったカフェでの会話は、思った以上に和やかで心地よかった。
緊張していたのが嘘のように、私はGG4への思いをぽつりぽつりと語り出した。
4人の掛け合いが、いつも私たちファンを楽しませてくれること。
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話は各メンバーのことまで広がり、気がついたら私は、羊さんの実況の合間に見せる何気ない一言がどれだけ素晴らしいか、話し方や言葉の選び方にどれだけ心を掴まれるのかを口にしていた。
話しすぎたかもしれない、と思ったころ、齊藤さんがふっと笑った。
「やっぱり、羊くんのこと、好きなんだね」
ドキリとした。思わず視線を逸らし、声が上擦ってしまう。
「え、あっ……その、好き……っていうか、尊敬、というか…」
「ふふ、いいよ。ファンってそういうものでしょ」
齊藤さんはそう言いながら、時々GG4の裏話や、彼らの結成秘話などをぽろっと教えてくれた。
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