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4章 邪神のもとへ至る前に
4-3 別れ
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フォルン伯爵領から出て3日経った朝。
ノーシュは腰から剣を外した。
『……ご主人?』
困惑の声を上げるスーロに、ノーシュは微笑む。そして、剣を近くの木に立てかけた。
空は相変わらず、妙な色彩の雲に覆われている。
「このまま歩けば昼にでも、邪神のいる場所に着く。スーロは天界に帰れ」
『ご主人、馬鹿を言っちゃいけない。引き返すんだ。引き返して、他の遺跡で力を手に入れるんだ』
「……」
ノーシュは無言で剣を見つめる。それから、ゆっくり口を開いた。自分の思いを確かめるように。
「オレは絶対に先んじて邪神を倒して、あいつらにざまぁみろって言うんだ。きっと、凄く悔しがる。今までの苦労は何だったんだって嘆き悲しむかもしれない。それを思うと、楽しみで楽しみで……」
その言葉を聞いて、スーロは悟った。
覆せない。
あの洞窟で聞いた言葉と、ほとんど同じ。一度喰われても戻った、復讐の意志。
何を言っても止められないのだ。荒れ狂う大きな炎に水をかけても消えてくれないように。
『じゃあ、せめて……僕も、連れて行ってよ』
「駄目だ」
『……そんなの』
「剣が壊されたら、宿ってるスーロは消滅するんだろ? 相手は邪神だ。多分、剣くらい簡単に破壊する。そんな危ない所に連れて行けない」
『嫌だ。僕には、そんな風に気を遣われる資格は無い。僕はご主人の意志を……』
「喰ってたんだろ? 知ってる。知ってて一緒にいた」
『え……そんな、嘘だ……知ってたら、手放すはずだ……』
「そう思うだろうと思って、知らないフリしてたんだ」
ノーシュは苦笑する。
「だって、つまらないだろ? 喰う喰われるの関係として喋るのは」
『……ご主人の、大馬鹿者。今こうしている間に、また僕が意志を喰ったらどうするつもりだったんだい』
「え? もう天界に戻れるだけの力はあるんだろ?」
『うん、それは言ったけど』
「だったらもう、意志は喰わないんじゃないかと……え、まさか違う?」
ノーシュは顔を引きつらせて後退った。スーロと距離を取ろうと。
「このタイミングで喰われたら、マジで間に合わなくなりそう……勘弁してくれ」
『いや、間に合わなくなるとかって程度じゃ済まないんだけど……』
スーロは呆れたように言った。
『分かっているんじゃないかい? 占い師のおばあさんに、心が穴だらけとか言われていたじゃないか』
「ああ、あの時は焦った。妖精と一緒にいることがバレるんじゃないかと……後、スーロに、オレが意志を喰われてるの知ってるってバレるんじゃないかと不安で、それなのにしつこく言ってくるからカッとなったんだよなぁ」
『そんな話じゃ』
「そろそろ行くよ。運が良ければまた会えるだろ。強ければ死んだあと天界に行けるって聞いたことがある。それが本当なら、オレは確実に天界に行ける」
そう言って、ノーシュは笑った。剣に背を向け歩き出す。スーロは縋るように叫んだ。
『ご主人……!』
ノーシュは一度だけ振り返り、
「達者でな」
と言った。
ノーシュは腰から剣を外した。
『……ご主人?』
困惑の声を上げるスーロに、ノーシュは微笑む。そして、剣を近くの木に立てかけた。
空は相変わらず、妙な色彩の雲に覆われている。
「このまま歩けば昼にでも、邪神のいる場所に着く。スーロは天界に帰れ」
『ご主人、馬鹿を言っちゃいけない。引き返すんだ。引き返して、他の遺跡で力を手に入れるんだ』
「……」
ノーシュは無言で剣を見つめる。それから、ゆっくり口を開いた。自分の思いを確かめるように。
「オレは絶対に先んじて邪神を倒して、あいつらにざまぁみろって言うんだ。きっと、凄く悔しがる。今までの苦労は何だったんだって嘆き悲しむかもしれない。それを思うと、楽しみで楽しみで……」
その言葉を聞いて、スーロは悟った。
覆せない。
あの洞窟で聞いた言葉と、ほとんど同じ。一度喰われても戻った、復讐の意志。
何を言っても止められないのだ。荒れ狂う大きな炎に水をかけても消えてくれないように。
『じゃあ、せめて……僕も、連れて行ってよ』
「駄目だ」
『……そんなの』
「剣が壊されたら、宿ってるスーロは消滅するんだろ? 相手は邪神だ。多分、剣くらい簡単に破壊する。そんな危ない所に連れて行けない」
『嫌だ。僕には、そんな風に気を遣われる資格は無い。僕はご主人の意志を……』
「喰ってたんだろ? 知ってる。知ってて一緒にいた」
『え……そんな、嘘だ……知ってたら、手放すはずだ……』
「そう思うだろうと思って、知らないフリしてたんだ」
ノーシュは苦笑する。
「だって、つまらないだろ? 喰う喰われるの関係として喋るのは」
『……ご主人の、大馬鹿者。今こうしている間に、また僕が意志を喰ったらどうするつもりだったんだい』
「え? もう天界に戻れるだけの力はあるんだろ?」
『うん、それは言ったけど』
「だったらもう、意志は喰わないんじゃないかと……え、まさか違う?」
ノーシュは顔を引きつらせて後退った。スーロと距離を取ろうと。
「このタイミングで喰われたら、マジで間に合わなくなりそう……勘弁してくれ」
『いや、間に合わなくなるとかって程度じゃ済まないんだけど……』
スーロは呆れたように言った。
『分かっているんじゃないかい? 占い師のおばあさんに、心が穴だらけとか言われていたじゃないか』
「ああ、あの時は焦った。妖精と一緒にいることがバレるんじゃないかと……後、スーロに、オレが意志を喰われてるの知ってるってバレるんじゃないかと不安で、それなのにしつこく言ってくるからカッとなったんだよなぁ」
『そんな話じゃ』
「そろそろ行くよ。運が良ければまた会えるだろ。強ければ死んだあと天界に行けるって聞いたことがある。それが本当なら、オレは確実に天界に行ける」
そう言って、ノーシュは笑った。剣に背を向け歩き出す。スーロは縋るように叫んだ。
『ご主人……!』
ノーシュは一度だけ振り返り、
「達者でな」
と言った。
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