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第2話 無口な騎士団長と辺境の小屋
春の風が、まだ冷たい。朝日が低く差し込み、窓辺の花瓶に射し込む光が、水面をきらめかせた。私はベッドの上で身を起こし、昨夜の出来事をひとつずつ確かめるように指先で触れた。粗末な木の壁、手縫いの毛布、焼きたてのパンの香り――すべてが王都とはまるで違う。けれど、それが不思議と心地よかった。
扉の外からは、遠くで鍬の音が聞こえる。規則正しく土を打つ音が、朝の静けさを刻むように続いていた。ライナルトが、もう外で働いているのだろう。あの大きな背中が、土を耕している姿を思い浮かべると、胸の奥がくすぐったくなる。私は毛布を整え、小さく深呼吸をした。
身を起こして足を床につけると、木の床は少しひんやりしていた。足元の感触が現実を伝え、私はようやく「生きている」と実感する。マルタが用意してくれた服が、椅子の上にたたまれていた。厚手の麻布のワンピースに、柔らかな布のエプロン。手に取ると、洗いたての草の香りがする。
「似合うと思うわよ、それ」
振り向くと、マルタがドアの隙間から顔を覗かせていた。栗色の髪を後ろでまとめ、明るい笑みを浮かべている。
「おはようございます」
「おはよう、セリーナ。よく眠れた?」
「ええ……とても」
そう答えると、マルタは満足げにうなずき、手に持った木の盆を掲げた。
「朝食を持ってきたの。スープとパン、それから蜂蜜」
「蜂蜜……!」
思わず声が弾んだ。王都でも高価なものだった。マルタはいたずらっぽく笑い、パンの上に金色の蜜を垂らした。光がそれを透かし、淡い琥珀のように輝く。
「村の養蜂場で採れるの。辺境って言っても、けっこう恵まれてるのよ」
「すごく……きれい」
私は小さく呟き、ひと口かじった。ふわりと広がる甘さが、喉の奥を溶かしていく。まるで冬の間に閉ざされていた心まで解けていくようだった。マルタはそんな私を見て、少し目を細める。
「ねえ、セリーナ。王都で何があったの?」
その問いに、スプーンを持つ手が止まる。空気がほんの少しだけ、重くなった。けれど、マルタの声には詮索の棘がなかった。むしろ、ただ寄り添いたいという温度があった。私は少しだけ息を吸い、静かに答える。
「婚約を……破棄されました」
「……そう」
「もう、王城にも……居場所がなくて。国外追放という形に」
マルタは驚きもせず、ただ黙って聞いていた。湯気の向こうで、彼女の目がやさしく揺れる。
「ひどいことをするわね。でも、あなたがこうしてここに来られたのも、何かの導きかもよ」
「導き……」
「そう。だって、うちの隊長に拾われるなんて、なかなかないことだもの」
私はスプーンを止めて顔を上げる。
「……隊長?」
「ライナルトのこと。グレイス辺境騎士団の団長なのよ」
その言葉に、胸がどくんと鳴った。確かに、彼の立ち居振る舞いにはただ者でない静けさがあった。マルタは肩をすくめるように笑う。
「みんなあの人のこと、無口な鉄の隊長って呼んでるわ。怖い人だと思ってる子も多いけど、本当は誰よりも優しいのよ」
「……そんな気がします」
昨夜の光景が脳裏に蘇る。外套の温もり、言葉の少ない優しさ。私は胸の奥をそっと押さえた。マルタは私の様子を見て、ふっと笑う。
「気になるのね?」
「ち、違います。ただ……助けてもらっただけで」
「ふふ、そういうことにしておきましょう」
マルタがからかうように言って、立ち上がる。
「元気になったら、庭の方を見てごらんなさい。隊長、いつも朝は畑を見に行くから」
「……畑?」
「そう、花畑。あの人、ああ見えて花を育てるのが好きなのよ」
思わず息を呑む。あの無骨な男が、花を――?
マルタは私の表情を見て満足そうにうなずき、扉を開けて出ていった。
残された私は、胸の鼓動を確かめるように手を当て、ゆっくりと立ち上がる。窓から見える外は、まだ朝の光が柔らかい。遠くで鳥が鳴き、空気が清らかに澄んでいる。
扉を開けて外に出ると、冷たい風が頬を撫でた。小屋の前には細い道が延び、その先に小さな畑が広がっている。ライナルトの姿はすぐに見つかった。背の高い体を少し屈め、土を掘り返している。
手にした鍬が日差しを受けて光り、動きに無駄がない。無口で寡黙なその姿は、戦場よりも、むしろこの静かな土地に似合っていた。私は足を進め、彼の背中に近づいた。
「あの……おはようございます」
声をかけると、彼はゆっくりと動きを止め、振り返った。朝の光がその顔にかかる。灰色の瞳が一瞬だけ細められ、視線が私を確かめるように動いた。
「起きたか」
「はい。マルタさんが朝食を持ってきてくださって……おいしかったです」
「そうか」
それだけ言って、また土を掘り返す。会話はそれで終わり――そう思ったが、彼は続けた。
「体の具合は」
「もう平気です。……あの、本当にありがとうございます」
「礼はいらない」
またその言葉。私は苦笑し、土の上に咲きかけた小さな白い花を見た。
「この花……何という名前なんですか?」
「風花草。冬を越えて最初に咲く」
「強い花なんですね」
「そうだ」
短く答えたあと、彼は鍬を置いて立ち上がる。陽光の中で、鎧の金具がわずかに光った。
「この辺りは寒い。だが、春になれば花畑が見事になる」
「花畑……」
「手が足りない。マルタや村の者も手伝うが、広い」
少しの沈黙のあと、私は意を決して口を開いた。
「もし、私でよければ……手伝わせてください」
ライナルトの瞳が、わずかに動いた。
「できるのか」
「ええ。王都では花を飾ることはあっても、育てることはありませんでした。でも……やってみたいんです」
言葉に、自分でも驚くほどの力がこもっていた。彼はしばし無言で私を見つめ、やがて小さく頷いた。
「なら、明日から」
「はい」
短いやり取り。それでも、心の中に小さな灯りがともった気がした。風が吹き、白い風花草の花びらがひとつ、私の足元に舞い落ちる。
私はそれを拾い上げ、胸に当てた。
――この場所で、もう一度、咲けるかもしれない。
△
翌朝は霧が深かった。夜明けとともに、小屋の窓の外は白い靄で包まれていた。空気はひんやりとして、吐く息が淡く白くなる。私は麻のワンピースを羽織り、髪を後ろでまとめた。鏡などないから、指先の感覚で編み込みを整え、深呼吸をする。今日から花畑づくりを手伝うのだ。胸の奥が少しだけ高鳴っていた。
扉を開けると、湿った空気が肌を包む。空はまだ曇っているが、東の端がわずかに光り始めている。足元の小道を進むと、畑のほうから金属の音が響いた。鍬が石を打つ乾いた音――ライナルトのものだ。私は泥の上を慎重に歩きながら近づき、声をかける。
「おはようございます」
彼は振り向かずに小さく頷き、鍬を止めた。霧の中でも背筋がまっすぐで、肩の線がはっきりと見える。外套の袖をまくり、腕には土の筋がついていた。その手が、意外にも繊細に動いているのを見て、少しだけ胸が熱くなる。
「霧が濃いですね」
「すぐ晴れる」
短く答えた声は低く落ち着いていて、霧の中でもはっきり届いた。私は小さく頷き、用意してもらった小さな鍬を持つ。
「どこを掘ればいいですか?」
「そこ。石を避けて、柔らかくしておく」
彼が指し示した場所は、まだ荒れている区画だった。踏み固められた土をほぐすのはなかなか大変だ。けれど、体を動かすうちに指先が温まり、冷えた体が次第に軽くなっていく。
霧の中で二人の鍬の音だけが響いた。鳥の声も遠くでぼんやりしている。私は土を掘り返しながら、時折ライナルトの動きを盗み見た。無駄のない所作。力任せではなく、呼吸のように自然だ。
「……慣れてるんですね」
思わず漏らした声に、彼は手を止めずに答える。
「昔からだ」
「花畑を作るのも?」
「剣より長く続けている」
剣よりも――その言葉に意外さと温かさが混ざる。彼の灰色の瞳の奥には、静かな情熱が宿っているように見えた。
「花が、好きなんですね」
「戦が終われば、土が残る。土を耕せば、花が咲く」
まるで詩のようなその言葉に、胸の奥がふわりと揺れた。王城では聞いたことのない種類の言葉だった。
「素敵です……」
小さく呟くと、ライナルトの肩がわずかに動く。照れているのだろうか。けれど、彼は何も言わずに鍬を振り続けた。
しばらくして霧が晴れ始める。空の色が淡い青に変わり、木々の葉が光を受けてきらめく。空気が少し温かくなり、鼻先に花の香りが届いた。
「……あれ」
視線の先、畑の隅に黄色い花がひとつ咲いていた。小さく、けれど鮮やかに。私は駆け寄り、膝をついて覗き込む。
「きれい……」
「冬を越えた強い花だ。踏まれても、起き上がる」
ライナルトの声が、背後から静かに落ちる。私は振り向き、その言葉を胸の中で繰り返した。踏まれても起き上がる――まるで自分のことのようだった。
「私も……そうなれるでしょうか」
「なれる」
即答だった。彼の瞳に迷いはない。その短い一言が、どんな長い励ましよりも力強かった。
そのとき、遠くでマルタの呼ぶ声がした。
「セリーナー! お昼のスープ、できたわよー!」
私は顔を上げて手を振る。ライナルトも鍬を置き、軽く息を整えた。額に汗が光る。
「休憩にしましょうか」
「ああ」
二人並んで小屋へ戻る。歩幅が違うから、私は少し急ぎ足になるが、彼はさりげなく歩調を合わせてくれた。そのことに気づいた瞬間、胸がまた熱くなる。
小屋の前では、マルタが木のテーブルにスープを並べていた。湯気が風に流れ、スープの香りが漂う。野菜とハーブの優しい匂い。
「さ、食べて。今日は人参がよく煮えたわよ」
「ありがとうございます」
椅子に腰を下ろし、スプーンを手に取る。口に含むと、甘みが広がり、冷えた体に染みわたる。隣でライナルトも静かにスプーンを運んでいる。黙っていても、不思議と居心地がよかった。
「セリーナ、王都の料理はもっと華やかだったでしょう?」
「ええ……でも、私はこっちのほうが好きです」
「本当に?」
「はい。温かくて、優しい味がします」
そう言うと、マルタは満足そうに笑い、ライナルトは少しだけ視線を上げた。その灰色の瞳が一瞬だけ柔らかくなり、すぐにスープに戻る。私はその変化に気づかないふりをした。
昼食を終えると、マルタが鍋を片づけに戻り、畑にはまた二人だけになった。空は晴れ渡り、風が軽く吹き抜けていく。私は鍬を手に取り、再び土を掘る。ライナルトは少し離れた場所で花の種を選っていた。
「それは、どんな花の種なんですか?」
「リリア。春の終わりに咲く」
「リリア……聞いたことがあります。白い花ですよね」
「そうだ。陽の光で香りが変わる」
そう言って、彼は小さな袋から種をひと粒取り出し、掌の上で見せた。指の間で転がすその手の動きが、不思議なほど丁寧だった。まるで命を扱うように。
「セリーナも、植えてみるか」
「いいんですか?」
「好きな場所を選べ」
私は少し考えてから、畑の中央の空いた場所を選んだ。膝をついて、指先で小さな穴を掘り、種を置く。その上に土をそっとかぶせる。
「……こんな感じで?」
「悪くない」
短い評価に思わず笑ってしまう。ライナルトもわずかに口元をゆるめたように見えた。
「咲くといいですね」
「ああ。咲く」
彼の声には確信があった。その確信が、まるで魔法のように聞こえる。私は胸の中でその言葉を大事にしまい込んだ。
空には白い雲が流れ、風が花畑を撫でていく。遠くの山々が霞んで見えた。世界がゆっくりと動いている。
「……ねえ、ライナルト」
「なんだ」
「あなたの夢は、何ですか?」
彼は鍬を止め、少しだけ考えるように視線を落とした。
「夢、か」
「はい」
「昔は、戦を終わらせることだった」
「今は?」
「今は……花を咲かせることだ」
それはあまりにも静かで、あまりにも美しい答えだった。私は息を呑み、胸の奥がじんと温かくなる。
「……素敵です」
彼は返事をせず、ただ遠くを見つめていた。その横顔を見ながら、私はそっとリリアの芽吹く土を撫でた。
いつかこの花が咲くとき、私の心もまた新しい色で満たされる気がした。
◇
午後の陽が傾きはじめると、土の色がゆっくりと金色に変わった。掘り返した畑の列が夕光を反射し、空気にはほのかな草と土の匂いが漂っている。鳥の鳴き声が山の方からこだまのように返ってきて、村全体が柔らかく息をしているようだった。私はスカートの裾をつまみ上げ、土で汚れた手を膝の上で拭った。
「ここまでで、今日は終わりだ」
ライナルトの低い声が風の中に混じる。肩で息をして振り返ると、彼は鍬を背に立っていた。額には汗が光り、袖をまくった腕に筋が浮いている。夕日を背に受けると、灰色の瞳がわずかに琥珀のように染まって見えた。
「ずいぶん広がりましたね」
「お前の手が早い」
「……そんな、たいしたことしてません」
そう言いながら、私は足元のリリアの種を埋めた列を見た。まだ何の芽も出ていないけれど、この土の下には確かに命が眠っている。それを思うと、胸の奥が温かくなった。
「最初の芽が出るまで、一週間ほどだ」
「そうなんですね。……待ち遠しいです」
風が吹き抜け、彼の外套の裾を揺らす。髪が頬にかかり、私は慌てて押さえた。その仕草を見て、彼はほんの少しだけ目を細めた。笑ったのかもしれない。けれど、何も言わずに視線を空に向けた。
「この季節は風が強い。苗が折れないよう、柵を立てておく」
「わたしも手伝います」
「明日でいい」
彼はそう言いながら、土の上に落ちた木の杭を拾い上げた。手の甲には古い傷跡が一本走っている。戦いの名残なのだろう。けれど、その手が今は花を守るために動いていることに、不思議な安堵を覚える。
沈黙の中で、遠くの鐘が三度鳴った。村の夕刻を告げる音だ。ライナルトが肩の鍬を下ろし、小屋の方を振り返る。
「戻るぞ」
「はい」
二人で並んで歩く道は、ほんのわずかに下り坂になっていた。小さな石を蹴るたびに、乾いた音がする。村の家々の煙突からは、細い煙が立ち上っていた。あの中に、確かな生活の匂いがある。
「セリーナ」
名前を呼ばれ、私は顔を上げた。彼は前を向いたまま、少しだけ口を開く。
「無理はするな」
「はい」
「……あの花畑は、誰かが笑う場所であってほしい」
思わず立ち止まった。彼の言葉は、柔らかいのに深く胸に残る。
「誰か、ですか」
「お前でも、子どもでも、旅人でもいい。花を見て笑えるなら、それで十分だ」
その静かな願いに、胸の奥がじんわりと熱くなる。彼の横顔は夕日に染まり、影が長く伸びていた。私は小さく微笑み、言葉を返した。
「じゃあ、私もその『誰か』になりますね」
彼は少しだけ驚いたように目を瞬かせ、やがて頷いた。
「……そうしてくれるといい」
それだけで十分だった。私の中で、何かが確かにほどけていく。追放された令嬢ではなく、ひとりの人間としてここにいるという実感。王都では決して得られなかった、静かな幸福の形。
小屋に戻ると、マルタが暖炉の火を整えていた。
「おかえり。夕飯、もう少しでできるわよ」
「ただいま戻りました」
「まぁ、泥だらけ。洗ってらっしゃい」
私は笑いながらうなずき、桶に汲まれた水で手を洗う。冷たい水が指先を撫で、泥が流れていく。その感触が、まるで過去の痛みまで洗い流してくれるように思えた。
マルタが差し出したタオルで手を拭くと、ふと窓の外に目がいく。西の空が朱に染まり、畑の方が金色に輝いていた。
「きれい……」
思わずこぼれた声に、ライナルトが窓辺へ視線を向ける。夕陽を受けて、彼の髪が淡く光った。
「明日も晴れる」
「ええ」
私は頷き、心の中で静かに祈る。――どうか、この日々が長く続きますように。
暖炉の火がパチパチと鳴り、夜の始まりを告げるように影が揺れた。マルタの作るスープの香りが部屋を満たし、私の胸の奥に小さな幸福が灯る。追放も、失意も、もう遠い過去の出来事のようだった。
ライナルトが無言で木の椅子を差し出す。
「座れ」
「ありがとうございます」
私は腰を下ろし、火の明かりに包まれながら手を温めた。炎のゆらぎが、彼の瞳に反射して淡く揺れる。沈黙の中でも、心は穏やかだった。
「……ライナルト」
「ん」
「この村に来て、本当によかったです」
「そう思えるなら、それでいい」
短いやり取りなのに、胸の奥が満たされていく。彼の言葉には、余計な飾りがないからこそ、まっすぐに届く。
その夜、私は初めて安らかに眠った。夢の中で、風花草が咲き誇る花畑の光景を見た。陽光の中、笑っている自分の姿を見つけた気がする。
目を覚ますころ、夜明けの空は薄い桃色に染まり始めていた。鳥が一斉に鳴き、窓辺の花瓶に差したリリアの蕾が、ほんのわずかに開いていた。
私はそっと息をのむ。胸の中で小さくつぶやいた。
「――おはよう、春」
その声は誰に聞かれるでもなく、けれど確かにこの世界に溶けていった。
そして、今日もまた、花畑を作る日が始まる。
春の風が、まだ冷たい。朝日が低く差し込み、窓辺の花瓶に射し込む光が、水面をきらめかせた。私はベッドの上で身を起こし、昨夜の出来事をひとつずつ確かめるように指先で触れた。粗末な木の壁、手縫いの毛布、焼きたてのパンの香り――すべてが王都とはまるで違う。けれど、それが不思議と心地よかった。
扉の外からは、遠くで鍬の音が聞こえる。規則正しく土を打つ音が、朝の静けさを刻むように続いていた。ライナルトが、もう外で働いているのだろう。あの大きな背中が、土を耕している姿を思い浮かべると、胸の奥がくすぐったくなる。私は毛布を整え、小さく深呼吸をした。
身を起こして足を床につけると、木の床は少しひんやりしていた。足元の感触が現実を伝え、私はようやく「生きている」と実感する。マルタが用意してくれた服が、椅子の上にたたまれていた。厚手の麻布のワンピースに、柔らかな布のエプロン。手に取ると、洗いたての草の香りがする。
「似合うと思うわよ、それ」
振り向くと、マルタがドアの隙間から顔を覗かせていた。栗色の髪を後ろでまとめ、明るい笑みを浮かべている。
「おはようございます」
「おはよう、セリーナ。よく眠れた?」
「ええ……とても」
そう答えると、マルタは満足げにうなずき、手に持った木の盆を掲げた。
「朝食を持ってきたの。スープとパン、それから蜂蜜」
「蜂蜜……!」
思わず声が弾んだ。王都でも高価なものだった。マルタはいたずらっぽく笑い、パンの上に金色の蜜を垂らした。光がそれを透かし、淡い琥珀のように輝く。
「村の養蜂場で採れるの。辺境って言っても、けっこう恵まれてるのよ」
「すごく……きれい」
私は小さく呟き、ひと口かじった。ふわりと広がる甘さが、喉の奥を溶かしていく。まるで冬の間に閉ざされていた心まで解けていくようだった。マルタはそんな私を見て、少し目を細める。
「ねえ、セリーナ。王都で何があったの?」
その問いに、スプーンを持つ手が止まる。空気がほんの少しだけ、重くなった。けれど、マルタの声には詮索の棘がなかった。むしろ、ただ寄り添いたいという温度があった。私は少しだけ息を吸い、静かに答える。
「婚約を……破棄されました」
「……そう」
「もう、王城にも……居場所がなくて。国外追放という形に」
マルタは驚きもせず、ただ黙って聞いていた。湯気の向こうで、彼女の目がやさしく揺れる。
「ひどいことをするわね。でも、あなたがこうしてここに来られたのも、何かの導きかもよ」
「導き……」
「そう。だって、うちの隊長に拾われるなんて、なかなかないことだもの」
私はスプーンを止めて顔を上げる。
「……隊長?」
「ライナルトのこと。グレイス辺境騎士団の団長なのよ」
その言葉に、胸がどくんと鳴った。確かに、彼の立ち居振る舞いにはただ者でない静けさがあった。マルタは肩をすくめるように笑う。
「みんなあの人のこと、無口な鉄の隊長って呼んでるわ。怖い人だと思ってる子も多いけど、本当は誰よりも優しいのよ」
「……そんな気がします」
昨夜の光景が脳裏に蘇る。外套の温もり、言葉の少ない優しさ。私は胸の奥をそっと押さえた。マルタは私の様子を見て、ふっと笑う。
「気になるのね?」
「ち、違います。ただ……助けてもらっただけで」
「ふふ、そういうことにしておきましょう」
マルタがからかうように言って、立ち上がる。
「元気になったら、庭の方を見てごらんなさい。隊長、いつも朝は畑を見に行くから」
「……畑?」
「そう、花畑。あの人、ああ見えて花を育てるのが好きなのよ」
思わず息を呑む。あの無骨な男が、花を――?
マルタは私の表情を見て満足そうにうなずき、扉を開けて出ていった。
残された私は、胸の鼓動を確かめるように手を当て、ゆっくりと立ち上がる。窓から見える外は、まだ朝の光が柔らかい。遠くで鳥が鳴き、空気が清らかに澄んでいる。
扉を開けて外に出ると、冷たい風が頬を撫でた。小屋の前には細い道が延び、その先に小さな畑が広がっている。ライナルトの姿はすぐに見つかった。背の高い体を少し屈め、土を掘り返している。
手にした鍬が日差しを受けて光り、動きに無駄がない。無口で寡黙なその姿は、戦場よりも、むしろこの静かな土地に似合っていた。私は足を進め、彼の背中に近づいた。
「あの……おはようございます」
声をかけると、彼はゆっくりと動きを止め、振り返った。朝の光がその顔にかかる。灰色の瞳が一瞬だけ細められ、視線が私を確かめるように動いた。
「起きたか」
「はい。マルタさんが朝食を持ってきてくださって……おいしかったです」
「そうか」
それだけ言って、また土を掘り返す。会話はそれで終わり――そう思ったが、彼は続けた。
「体の具合は」
「もう平気です。……あの、本当にありがとうございます」
「礼はいらない」
またその言葉。私は苦笑し、土の上に咲きかけた小さな白い花を見た。
「この花……何という名前なんですか?」
「風花草。冬を越えて最初に咲く」
「強い花なんですね」
「そうだ」
短く答えたあと、彼は鍬を置いて立ち上がる。陽光の中で、鎧の金具がわずかに光った。
「この辺りは寒い。だが、春になれば花畑が見事になる」
「花畑……」
「手が足りない。マルタや村の者も手伝うが、広い」
少しの沈黙のあと、私は意を決して口を開いた。
「もし、私でよければ……手伝わせてください」
ライナルトの瞳が、わずかに動いた。
「できるのか」
「ええ。王都では花を飾ることはあっても、育てることはありませんでした。でも……やってみたいんです」
言葉に、自分でも驚くほどの力がこもっていた。彼はしばし無言で私を見つめ、やがて小さく頷いた。
「なら、明日から」
「はい」
短いやり取り。それでも、心の中に小さな灯りがともった気がした。風が吹き、白い風花草の花びらがひとつ、私の足元に舞い落ちる。
私はそれを拾い上げ、胸に当てた。
――この場所で、もう一度、咲けるかもしれない。
△
翌朝は霧が深かった。夜明けとともに、小屋の窓の外は白い靄で包まれていた。空気はひんやりとして、吐く息が淡く白くなる。私は麻のワンピースを羽織り、髪を後ろでまとめた。鏡などないから、指先の感覚で編み込みを整え、深呼吸をする。今日から花畑づくりを手伝うのだ。胸の奥が少しだけ高鳴っていた。
扉を開けると、湿った空気が肌を包む。空はまだ曇っているが、東の端がわずかに光り始めている。足元の小道を進むと、畑のほうから金属の音が響いた。鍬が石を打つ乾いた音――ライナルトのものだ。私は泥の上を慎重に歩きながら近づき、声をかける。
「おはようございます」
彼は振り向かずに小さく頷き、鍬を止めた。霧の中でも背筋がまっすぐで、肩の線がはっきりと見える。外套の袖をまくり、腕には土の筋がついていた。その手が、意外にも繊細に動いているのを見て、少しだけ胸が熱くなる。
「霧が濃いですね」
「すぐ晴れる」
短く答えた声は低く落ち着いていて、霧の中でもはっきり届いた。私は小さく頷き、用意してもらった小さな鍬を持つ。
「どこを掘ればいいですか?」
「そこ。石を避けて、柔らかくしておく」
彼が指し示した場所は、まだ荒れている区画だった。踏み固められた土をほぐすのはなかなか大変だ。けれど、体を動かすうちに指先が温まり、冷えた体が次第に軽くなっていく。
霧の中で二人の鍬の音だけが響いた。鳥の声も遠くでぼんやりしている。私は土を掘り返しながら、時折ライナルトの動きを盗み見た。無駄のない所作。力任せではなく、呼吸のように自然だ。
「……慣れてるんですね」
思わず漏らした声に、彼は手を止めずに答える。
「昔からだ」
「花畑を作るのも?」
「剣より長く続けている」
剣よりも――その言葉に意外さと温かさが混ざる。彼の灰色の瞳の奥には、静かな情熱が宿っているように見えた。
「花が、好きなんですね」
「戦が終われば、土が残る。土を耕せば、花が咲く」
まるで詩のようなその言葉に、胸の奥がふわりと揺れた。王城では聞いたことのない種類の言葉だった。
「素敵です……」
小さく呟くと、ライナルトの肩がわずかに動く。照れているのだろうか。けれど、彼は何も言わずに鍬を振り続けた。
しばらくして霧が晴れ始める。空の色が淡い青に変わり、木々の葉が光を受けてきらめく。空気が少し温かくなり、鼻先に花の香りが届いた。
「……あれ」
視線の先、畑の隅に黄色い花がひとつ咲いていた。小さく、けれど鮮やかに。私は駆け寄り、膝をついて覗き込む。
「きれい……」
「冬を越えた強い花だ。踏まれても、起き上がる」
ライナルトの声が、背後から静かに落ちる。私は振り向き、その言葉を胸の中で繰り返した。踏まれても起き上がる――まるで自分のことのようだった。
「私も……そうなれるでしょうか」
「なれる」
即答だった。彼の瞳に迷いはない。その短い一言が、どんな長い励ましよりも力強かった。
そのとき、遠くでマルタの呼ぶ声がした。
「セリーナー! お昼のスープ、できたわよー!」
私は顔を上げて手を振る。ライナルトも鍬を置き、軽く息を整えた。額に汗が光る。
「休憩にしましょうか」
「ああ」
二人並んで小屋へ戻る。歩幅が違うから、私は少し急ぎ足になるが、彼はさりげなく歩調を合わせてくれた。そのことに気づいた瞬間、胸がまた熱くなる。
小屋の前では、マルタが木のテーブルにスープを並べていた。湯気が風に流れ、スープの香りが漂う。野菜とハーブの優しい匂い。
「さ、食べて。今日は人参がよく煮えたわよ」
「ありがとうございます」
椅子に腰を下ろし、スプーンを手に取る。口に含むと、甘みが広がり、冷えた体に染みわたる。隣でライナルトも静かにスプーンを運んでいる。黙っていても、不思議と居心地がよかった。
「セリーナ、王都の料理はもっと華やかだったでしょう?」
「ええ……でも、私はこっちのほうが好きです」
「本当に?」
「はい。温かくて、優しい味がします」
そう言うと、マルタは満足そうに笑い、ライナルトは少しだけ視線を上げた。その灰色の瞳が一瞬だけ柔らかくなり、すぐにスープに戻る。私はその変化に気づかないふりをした。
昼食を終えると、マルタが鍋を片づけに戻り、畑にはまた二人だけになった。空は晴れ渡り、風が軽く吹き抜けていく。私は鍬を手に取り、再び土を掘る。ライナルトは少し離れた場所で花の種を選っていた。
「それは、どんな花の種なんですか?」
「リリア。春の終わりに咲く」
「リリア……聞いたことがあります。白い花ですよね」
「そうだ。陽の光で香りが変わる」
そう言って、彼は小さな袋から種をひと粒取り出し、掌の上で見せた。指の間で転がすその手の動きが、不思議なほど丁寧だった。まるで命を扱うように。
「セリーナも、植えてみるか」
「いいんですか?」
「好きな場所を選べ」
私は少し考えてから、畑の中央の空いた場所を選んだ。膝をついて、指先で小さな穴を掘り、種を置く。その上に土をそっとかぶせる。
「……こんな感じで?」
「悪くない」
短い評価に思わず笑ってしまう。ライナルトもわずかに口元をゆるめたように見えた。
「咲くといいですね」
「ああ。咲く」
彼の声には確信があった。その確信が、まるで魔法のように聞こえる。私は胸の中でその言葉を大事にしまい込んだ。
空には白い雲が流れ、風が花畑を撫でていく。遠くの山々が霞んで見えた。世界がゆっくりと動いている。
「……ねえ、ライナルト」
「なんだ」
「あなたの夢は、何ですか?」
彼は鍬を止め、少しだけ考えるように視線を落とした。
「夢、か」
「はい」
「昔は、戦を終わらせることだった」
「今は?」
「今は……花を咲かせることだ」
それはあまりにも静かで、あまりにも美しい答えだった。私は息を呑み、胸の奥がじんと温かくなる。
「……素敵です」
彼は返事をせず、ただ遠くを見つめていた。その横顔を見ながら、私はそっとリリアの芽吹く土を撫でた。
いつかこの花が咲くとき、私の心もまた新しい色で満たされる気がした。
◇
午後の陽が傾きはじめると、土の色がゆっくりと金色に変わった。掘り返した畑の列が夕光を反射し、空気にはほのかな草と土の匂いが漂っている。鳥の鳴き声が山の方からこだまのように返ってきて、村全体が柔らかく息をしているようだった。私はスカートの裾をつまみ上げ、土で汚れた手を膝の上で拭った。
「ここまでで、今日は終わりだ」
ライナルトの低い声が風の中に混じる。肩で息をして振り返ると、彼は鍬を背に立っていた。額には汗が光り、袖をまくった腕に筋が浮いている。夕日を背に受けると、灰色の瞳がわずかに琥珀のように染まって見えた。
「ずいぶん広がりましたね」
「お前の手が早い」
「……そんな、たいしたことしてません」
そう言いながら、私は足元のリリアの種を埋めた列を見た。まだ何の芽も出ていないけれど、この土の下には確かに命が眠っている。それを思うと、胸の奥が温かくなった。
「最初の芽が出るまで、一週間ほどだ」
「そうなんですね。……待ち遠しいです」
風が吹き抜け、彼の外套の裾を揺らす。髪が頬にかかり、私は慌てて押さえた。その仕草を見て、彼はほんの少しだけ目を細めた。笑ったのかもしれない。けれど、何も言わずに視線を空に向けた。
「この季節は風が強い。苗が折れないよう、柵を立てておく」
「わたしも手伝います」
「明日でいい」
彼はそう言いながら、土の上に落ちた木の杭を拾い上げた。手の甲には古い傷跡が一本走っている。戦いの名残なのだろう。けれど、その手が今は花を守るために動いていることに、不思議な安堵を覚える。
沈黙の中で、遠くの鐘が三度鳴った。村の夕刻を告げる音だ。ライナルトが肩の鍬を下ろし、小屋の方を振り返る。
「戻るぞ」
「はい」
二人で並んで歩く道は、ほんのわずかに下り坂になっていた。小さな石を蹴るたびに、乾いた音がする。村の家々の煙突からは、細い煙が立ち上っていた。あの中に、確かな生活の匂いがある。
「セリーナ」
名前を呼ばれ、私は顔を上げた。彼は前を向いたまま、少しだけ口を開く。
「無理はするな」
「はい」
「……あの花畑は、誰かが笑う場所であってほしい」
思わず立ち止まった。彼の言葉は、柔らかいのに深く胸に残る。
「誰か、ですか」
「お前でも、子どもでも、旅人でもいい。花を見て笑えるなら、それで十分だ」
その静かな願いに、胸の奥がじんわりと熱くなる。彼の横顔は夕日に染まり、影が長く伸びていた。私は小さく微笑み、言葉を返した。
「じゃあ、私もその『誰か』になりますね」
彼は少しだけ驚いたように目を瞬かせ、やがて頷いた。
「……そうしてくれるといい」
それだけで十分だった。私の中で、何かが確かにほどけていく。追放された令嬢ではなく、ひとりの人間としてここにいるという実感。王都では決して得られなかった、静かな幸福の形。
小屋に戻ると、マルタが暖炉の火を整えていた。
「おかえり。夕飯、もう少しでできるわよ」
「ただいま戻りました」
「まぁ、泥だらけ。洗ってらっしゃい」
私は笑いながらうなずき、桶に汲まれた水で手を洗う。冷たい水が指先を撫で、泥が流れていく。その感触が、まるで過去の痛みまで洗い流してくれるように思えた。
マルタが差し出したタオルで手を拭くと、ふと窓の外に目がいく。西の空が朱に染まり、畑の方が金色に輝いていた。
「きれい……」
思わずこぼれた声に、ライナルトが窓辺へ視線を向ける。夕陽を受けて、彼の髪が淡く光った。
「明日も晴れる」
「ええ」
私は頷き、心の中で静かに祈る。――どうか、この日々が長く続きますように。
暖炉の火がパチパチと鳴り、夜の始まりを告げるように影が揺れた。マルタの作るスープの香りが部屋を満たし、私の胸の奥に小さな幸福が灯る。追放も、失意も、もう遠い過去の出来事のようだった。
ライナルトが無言で木の椅子を差し出す。
「座れ」
「ありがとうございます」
私は腰を下ろし、火の明かりに包まれながら手を温めた。炎のゆらぎが、彼の瞳に反射して淡く揺れる。沈黙の中でも、心は穏やかだった。
「……ライナルト」
「ん」
「この村に来て、本当によかったです」
「そう思えるなら、それでいい」
短いやり取りなのに、胸の奥が満たされていく。彼の言葉には、余計な飾りがないからこそ、まっすぐに届く。
その夜、私は初めて安らかに眠った。夢の中で、風花草が咲き誇る花畑の光景を見た。陽光の中、笑っている自分の姿を見つけた気がする。
目を覚ますころ、夜明けの空は薄い桃色に染まり始めていた。鳥が一斉に鳴き、窓辺の花瓶に差したリリアの蕾が、ほんのわずかに開いていた。
私はそっと息をのむ。胸の中で小さくつぶやいた。
「――おはよう、春」
その声は誰に聞かれるでもなく、けれど確かにこの世界に溶けていった。
そして、今日もまた、花畑を作る日が始まる。
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