7 / 11
7
しおりを挟む
第7話 雨の夜に咲く花
昼の晴天が嘘のように、夕方から黒い雲が空を覆いはじめた。山の向こうで雷鳴が鳴り、風が湿った匂いを運んでくる。畑で作業していた村人たちは慌てて道具を片づけ、小屋へと駆けていった。私とライナルトも、リリアの花を守るために急いで布をかける。
「こっちは終わりました!」
「こっちはまだだ。杭を押さえろ」
雨粒がひとつ、肩に落ちた。冷たくて重い。次の瞬間、空からざあっと大粒の雨が降り注いだ。土の上で雨が跳ね、あっという間に花畑が灰色の霞に包まれる。
「もう無理です! 一旦戻りましょう!」
「あと少し!」
ライナルトの声は雷鳴にかき消された。それでも彼は、最後の布を風に飛ばされないように杭へ結びつける。私は手を伸ばしてそれを押さえ、風に負けないように体を支えた。
次の瞬間、突風が吹いた。布が大きくはためき、手が離れそうになる。ライナルトが私の腕を掴んだ。
「離すな!」
「わかってます!」
雨と風の中で、彼の声がすぐそばにある。息が荒くなり、冷たい雨が頬を打つ。ようやく最後の布を固定し終えると、二人同時に肩で息をついた。
「もう十分だ。戻るぞ!」
「はい!」
小屋まで走る。足元の泥が跳ねて、裾を濡らした。扉を閉めた瞬間、外の轟音が壁を震わせた。
息を整える間もなく、雷が空を裂く。光が一瞬、部屋を白く染めた。
「花……大丈夫でしょうか」
「風よけの布が守ってくれる。あとは祈るだけだ」
彼の声は落ち着いていた。けれど、その掌は冷えて濡れている。私はタオルを取り出して彼に渡した。
「手、拭いてください」
「お前こそ濡れてる」
「私は平気です。あなたの方が寒そうです」
彼は少しだけため息をついて、タオルを受け取った。
「……お前は本当に、他人のことばかりだな」
「そうでしょうか」
「俺が知る限り、誰よりもそうだ」
その言葉に、胸の奥が温かくなった。
「だって、放っておけないんです。誰かが困ってるのを見るの、昔から苦手で」
「優しすぎるのも、時には弱さになる」
「そうですね。でも、あなたがいるなら怖くありません」
彼の手が止まる。タオルを握ったまま、短く目を伏せた。
「……俺がいるだけでいいのか」
「はい。あなたがいると、風の音さえ優しく聞こえるから」
言葉がこぼれた瞬間、自分でも顔が熱くなるのが分かった。
雷鳴の合間、彼がゆっくりとこちらを見る。
「……そう言われるのは、初めてだ」
「ふふ、光栄です」
小さく笑うと、彼の口元も少し緩んだ。だがすぐに表情が真面目に戻る。
「もう一度、外を見てくる」
「こんな天気の中、危ないです!」
「花を守らないと」
彼が扉に手をかけた瞬間、私は思わずその腕を掴んだ。
「私も行きます!」
「駄目だ。風が強い」
「行かせてください。あの花たちは、あなたと私が一緒に育てたものです。守りたいんです」
ライナルトは一瞬、私の顔を見た。雷の光がその瞳を照らし、灰色が銀に変わる。
やがて、短く頷いた。
「分かった。離れるな」
「はい!」
扉を開ける。轟音とともに、冷たい風が吹きつけた。髪が舞い、視界が滲む。雨は痛いほど強かった。
二人で走る。畑の中、白い布が激しくはためいている。杭が一本、抜けかけていた。
「右側が外れてる!」
「抑えろ!」
彼が杭を押さえ、私が布を結ぶ。手が震える。だが、ライナルトが背中を支えてくれているのがわかる。体温が、雨の冷たさの中でも確かに感じられた。
やっと布を固定すると、私は深く息を吐いた。
「もう大丈夫です!」
「よし、戻るぞ!」
走りながら、ふと見上げると、雷雲の隙間から一筋の光が差していた。その瞬間、雨に濡れた花々が一斉に輝く。白い花弁が光を弾き、まるで夜の中に星が咲いたみたいだった。
「……きれい」
その言葉が雨に溶けた。ライナルトも立ち止まり、同じ方向を見ていた。
「嵐の中でも、花は咲く」
「はい。……強いですね」
「お前も同じだ」
風が弱まり、雨が少しずつやんでいく。雷鳴が遠くに小さく響き、世界がゆっくりと静けさを取り戻していった。
小屋に戻ると、二人ともびしょ濡れだった。服が肌に張りつき、息が白い。
ライナルトは暖炉に火をくべ、私は布を絞って床に広げた。
「火を強くする。近くに来い」
「はい」
焚き火の炎がぱちぱちと音を立てて燃える。赤い光が壁を照らし、二人の影が重なった。私は濡れた髪をまとめ、火の前に座る。
「……花、全部無事でしょうか」
「半分は守れた。残りは明日見てみよう」
「よかった」
ほっと息をつくと、疲れがどっと押し寄せる。肩が震え、指先まで冷えていた。ライナルトが無言で上着を外し、私の肩に掛けた。
「風邪を引く」
「あなたこそ」
「俺は平気だ」
その低い声に、心臓が静かに跳ねた。彼の外套はまだ温かい。体に触れるたび、雨の匂いと土の匂いが混ざって、涙が出そうになるほど懐かしい香りがした。
「……ありがとう」
「礼はいらん」
「でも、言いたいんです。守ってくれてありがとう」
彼はしばらく沈黙したまま、火を見つめていた。
やがて、静かに言う。
「俺は守りたいものをようやく見つけた。それだけだ」
炎の光が、彼の横顔を照らす。その瞳の奥に映るのは、燃える火ではなく、揺れる花の白だった。
「ライナルト」
「ん」
「あなたがいてくれてよかった」
言葉が零れた。彼は返事をしなかった。ただ、わずかに唇を動かし、目を伏せる。
外ではまだ雨の名残が屋根を叩いている。けれど、その音さえ穏やかだった。
花たちもきっと、同じ音を聞きながら眠っている。
そして、私の胸の中でも――ひとつの想いが静かに芽吹きはじめていた。
△
翌朝。
夜通し降った雨は、ようやく止んでいた。雲の切れ間から薄い光がこぼれ、空にはまだ灰色の影が残っている。地面には小さな水たまりがいくつもできていて、空の色を映していた。
私は裸足で小屋の外に出た。空気がひんやりしていて、吐く息が白い。昨日の嵐が嘘のように静かだった。耳を澄ますと、かすかに鳥の声が聞こえる。風の匂いは湿っていて、どこか甘い。
「ライナルト……」
花畑の方から、土を踏む音がした。彼はもう起きていて、畑の様子を見に行っているらしい。私は裾をたくし上げて、ぬかるんだ地面を踏みしめながら彼の背中を追った。
雨上がりの花畑は、まるで別の世界みたいだった。夜の雨を浴びた花々はしっとりと濡れ、朝日を受けて銀の粒をまとっている。折れてしまった茎もあったけれど、根はしっかりと大地を掴んでいた。
ライナルトはその一本一本を丁寧に見て回っていた。腰をかがめ、折れた枝を切り、泥を払う。その動作がまるで祈りのように静かで、見ているだけで胸が締めつけられた。
「……全部、無事じゃないけど、思ったより残ってますね」
「強い花だ」
「本当に。嵐の中でこれだけ咲き続けるなんて」
「お前が植えたからだ」
彼の言葉に、息が止まった。
「わたし……?」
「花は育てる人の心を映す。お前が諦めなかったから、花も諦めなかった」
その声が、朝の空気よりも静かであたたかかった。胸の奥に広がるものがありすぎて、私は何も言えなかった。
風が吹く。花びらがひとつ、私の頬に触れた。
その柔らかさに、涙がこみあげた。
「……なんだ、泣いてるのか」
「違います。これは……雨のしずくです」
「嘘が下手だな」
彼がそう言って、ほんの少し笑った。
その笑顔を見た瞬間、こらえていたものがあふれ出す。
「私、本当は昨日、怖かったんです。風の音も、雷も、全部。……でも、あなたがそばにいたから、怖くなかった」
声が震える。けれど、もう隠そうとは思わなかった。
「王都で何をしても、誰も信じてくれなくて。自分なんて要らないと思ってたのに……あなたが手を伸ばしてくれた。それだけで、世界が変わったんです」
ライナルトは沈黙したまま、ただ私を見つめていた。灰色の瞳に朝日が差し込み、金色の光が宿る。その瞳の奥に、確かに何かが揺れていた。
「……お前がここに来てくれて、俺も変わった」
「え?」
「俺はずっと、守ることしかできないと思っていた。けど今は……一緒に生きるのも悪くないと思える」
彼が少し近づく。
距離が狭まって、呼吸の音まで聞こえる。
「花が咲くのを見て、初めて心が動いた。お前と出会ってから、心が風を感じるようになった」
「……ライナルト」
名前を呼ぶ声が震えた。彼は手を伸ばし、私の髪についた花びらを指で払った。指先がこめかみに触れ、その温もりが体の奥まで届く。
「この村を出る気はあるか」
「え……?」
「いや、すぐにではない。ただ……もし、いつか外の世界を見たいと思ったら、その時は俺が一緒に行く」
その言葉に、胸の奥が強く跳ねた。
「わたし……まだこの村が好きです。でも、あなたと一緒なら、どこへでも行ける気がします」
「それでいい」
彼は微かに笑って頷いた。
風が吹き抜ける。花々が一斉に揺れ、朝の光の中で波のように広がった。
「ライナルト」
「ん」
「あなたは、嵐のあとに咲く花みたいですね」
「俺が?」
「はい。静かで、強くて、でも誰より優しい」
彼は少し戸惑ったように目を細め、それから短く息を吐いた。
「お前は風みたいだ。どんな嵐のあとも、また花を咲かせる」
互いの言葉が風に溶け、花の香りが間を満たす。
静かな時間だった。けれど、その沈黙の中に、確かな絆があった。
◇
日が高くなり、村の人たちが畑に集まってきた。皆、花が倒れていないかを心配していたが、光に包まれた花畑を見て歓声を上げた。
「すごい……昨日の嵐のあととは思えない!」
「見てみろ、根が折れてない!」
「やっぱり、隊長とセリーナさんの花だ!」
笑い声と拍手が響く。子どもたちは雨水の溜まったところを跳ねながら、咲き残った花を数えてははしゃいでいた。
私はその中で、そっと息を吐いた。
心が満ちていた。
もう、過去の痛みも、王都のざまぁも、すべて風に流れてしまったように思えた。
「セリーナ」
ライナルトが隣に立つ。
「花は嵐に耐えた。次は種を作る番だ」
「はい」
「新しい畝を作る。来年はもっと広く」
「ふふっ……どこまで広げるつもりですか?」
「村が花で覆われるまで」
その答えに、思わず笑ってしまう。
「じゃあ、私も手伝わないと」
「もちろんだ」
彼の低い声が、風のように柔らかく響いた。
村の人々が次々に種を運び、笑いながら新しい畝を作る。その光景を見て、私は心の中で静かに呟いた。
――きっとこの花畑は、誰かの希望になる。
そう思うと、目の前の景色が少し滲んだ。
空の色が鮮やかで、風がやさしくて、涙が勝手にあふれてきた。
「……ありがとう、ライナルト」
「また礼か」
「ええ。でも、これだけは言わせてください。あなたに出会えて、本当によかった」
彼が答える代わりに、そっと帽子を取って風に掲げた。
陽の光がその髪を照らし、灰色が金に変わる。
「これからも、ここに花を咲かせよう」
「はい」
風が吹いた。花びらが舞い上がり、空いっぱいに広がる。
その光景はまるで、世界そのものが祝福してくれているようだった。
私は目を閉じ、胸の奥でそっと祈った。
――どうか、この幸せが長く続きますように。
風がまた吹き抜け、花の香りが二人を包んだ。
◇
陽が沈み、再び夜が訪れた。だが今夜の空は穏やかだった。嵐を越えた風はしっとりと柔らかく、村の屋根を撫でるたびに木の葉が心地よい音を立てた。小屋の灯りは橙色に揺れ、暖炉の火が壁に二人の影を映している。
花畑を見回り終えたライナルトが戻ってきた。外套を脱ぎながら、濡れた髪を指で払い、いつものように短く言った。
「花は無事だ」
「よかった……」
胸の奥がふっと軽くなる。昨日までの不安が、まるで遠い記憶のように薄れていった。
「これで、また来年も咲けますね」
「ああ。根が強い。お前に似ている」
「ふふっ……それ、褒め言葉ですか?」
「当然だ」
静かな返事に、笑みがこぼれた。私は暖炉の前に座り、火を見つめた。ぱちぱちと薪がはぜる音が、まるで穏やかな子守歌のように聞こえる。
「……嵐の夜、思ったんです」
「何を」
「もう逃げなくていいんだな、って」
ライナルトが少しだけ眉を動かす。私は火の明かりの中で手を重ね、続けた。
「王都にいた頃、私はいつも誰かの期待に応えようとしてました。笑顔も言葉も、全部誰かのために使ってた。でも、この村では違う。私は、私でいられるんです」
「それが、本当の強さだ」
「そうでしょうか」
「戦場で剣を振るうより、花を育てて笑える方が難しい」
彼の言葉が、まるで遠い祈りのように胸に響いた。私はそっと顔を上げ、彼の横顔を見つめる。
――この人は、きっと誰よりも優しい。
「ライナルト」
「ん」
「あなたがこの村を守ってくれてるように、私もこの場所を守りたいです」
「お前の花が、もう守ってる」
「でも、もっと広げたいんです。村じゅうを花で包みたい」
「できる」
「……本当に?」
「お前が望むなら、俺が手を貸す」
言葉が少なくても、そこに込められた思いは十分に伝わった。私は胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じ、微笑んだ。
「……なら、約束です」
「ああ。約束だ」
外では、風がやさしく花を揺らしている。雨上がりの夜に咲いた白い花は、まるで星のように小さく光っていた。
◇
夜更け。
外の空は深い群青に染まり、雲ひとつない。雨で洗われた空気は澄んでいて、星々が驚くほど近くに見えた。私は寝台から抜け出し、そっと扉を開けた。
外の空気が冷たい。けれど、その冷たさが心地よかった。花畑は静かに波打ち、月の光を浴びて淡く輝いている。
「……きれい」
思わず呟く。
その声に応えるように、背後から足音がした。
「眠れないのか」
振り向くと、ライナルトがいた。彼も同じように夜空を見上げていた。外套の襟を少し立て、風に髪を揺らしながら。
「嵐のあとは、いつも空が綺麗なんですね」
「ああ。汚れたものが全部、洗い流されるからだ」
「人の心も、そうなれたらいいのに」
「なるさ。お前の中にはもう、花が咲いている」
そう言って、彼は私の頭に手を置いた。指先が髪を撫で、優しく風に溶けていく。
「ライナルト……」
「怖いことは、もう何もない」
「でも……この穏やかな日々が、ずっと続くとは限りません」
「限らなくてもいい。今がある。それで十分だ」
彼の声が低く、確かな温度を帯びていた。
私は目を閉じた。風の音、虫の声、遠くで鳴く鳥の声――そのすべてが、ひとつの旋律になって夜を包んでいる。
そっと目を開けると、花畑の中に淡い光が灯っていた。
雨粒を含んだ花びらが、月の光を反射して輝いている。まるで夜空の星が地上に降りてきたみたいだった。
「……ライナルト。あの光、見えますか?」
「ああ」
「雨のしずくが、まだ残ってるんですね」
「しずくが光るのは、月が照らしているからだ」
「月が照らさなくても、花は咲くと思いますか?」
「咲く。けれど、光があれば、より美しく咲く」
彼がこちらを見た。
その瞳に映るのは、花ではなく私だった。
心臓が、静かに鳴る。
「セリーナ」
「はい……」
「お前は、この村の光だ」
風が止んだ。夜が静まり返る。
胸の奥がじんと熱くなり、視界が滲む。
「そんな……私は、ただの追放された令嬢で……」
「もう違う。お前はこの村を救った。俺たちの心に花を咲かせた」
その言葉に、頬を伝うものがあった。
涙だった。
「……ありがとうございます」
「風に流すな。その涙は、お前の強さだ」
ライナルトの手が、そっと私の頬に触れた。
指先が涙を拭い、そのまま髪を撫でる。
「お前がここに来てくれたこと。それが俺の救いだ」
「わたしも……あなたに出会えて、救われました」
沈黙の中、二人の間に流れる空気が変わる。
言葉はいらなかった。互いの呼吸だけが、世界を満たしている。
やがて、彼が静かに言った。
「もう休め。明日も花が待っている」
「はい……おやすみなさい、ライナルト」
「おやすみ、セリーナ」
小屋に戻る前に、もう一度空を見上げた。
嵐のあとの星空は、どこまでも澄んでいた。
花も、風も、私の心も――すべてが新しい朝へ向かって咲こうとしていた。
昼の晴天が嘘のように、夕方から黒い雲が空を覆いはじめた。山の向こうで雷鳴が鳴り、風が湿った匂いを運んでくる。畑で作業していた村人たちは慌てて道具を片づけ、小屋へと駆けていった。私とライナルトも、リリアの花を守るために急いで布をかける。
「こっちは終わりました!」
「こっちはまだだ。杭を押さえろ」
雨粒がひとつ、肩に落ちた。冷たくて重い。次の瞬間、空からざあっと大粒の雨が降り注いだ。土の上で雨が跳ね、あっという間に花畑が灰色の霞に包まれる。
「もう無理です! 一旦戻りましょう!」
「あと少し!」
ライナルトの声は雷鳴にかき消された。それでも彼は、最後の布を風に飛ばされないように杭へ結びつける。私は手を伸ばしてそれを押さえ、風に負けないように体を支えた。
次の瞬間、突風が吹いた。布が大きくはためき、手が離れそうになる。ライナルトが私の腕を掴んだ。
「離すな!」
「わかってます!」
雨と風の中で、彼の声がすぐそばにある。息が荒くなり、冷たい雨が頬を打つ。ようやく最後の布を固定し終えると、二人同時に肩で息をついた。
「もう十分だ。戻るぞ!」
「はい!」
小屋まで走る。足元の泥が跳ねて、裾を濡らした。扉を閉めた瞬間、外の轟音が壁を震わせた。
息を整える間もなく、雷が空を裂く。光が一瞬、部屋を白く染めた。
「花……大丈夫でしょうか」
「風よけの布が守ってくれる。あとは祈るだけだ」
彼の声は落ち着いていた。けれど、その掌は冷えて濡れている。私はタオルを取り出して彼に渡した。
「手、拭いてください」
「お前こそ濡れてる」
「私は平気です。あなたの方が寒そうです」
彼は少しだけため息をついて、タオルを受け取った。
「……お前は本当に、他人のことばかりだな」
「そうでしょうか」
「俺が知る限り、誰よりもそうだ」
その言葉に、胸の奥が温かくなった。
「だって、放っておけないんです。誰かが困ってるのを見るの、昔から苦手で」
「優しすぎるのも、時には弱さになる」
「そうですね。でも、あなたがいるなら怖くありません」
彼の手が止まる。タオルを握ったまま、短く目を伏せた。
「……俺がいるだけでいいのか」
「はい。あなたがいると、風の音さえ優しく聞こえるから」
言葉がこぼれた瞬間、自分でも顔が熱くなるのが分かった。
雷鳴の合間、彼がゆっくりとこちらを見る。
「……そう言われるのは、初めてだ」
「ふふ、光栄です」
小さく笑うと、彼の口元も少し緩んだ。だがすぐに表情が真面目に戻る。
「もう一度、外を見てくる」
「こんな天気の中、危ないです!」
「花を守らないと」
彼が扉に手をかけた瞬間、私は思わずその腕を掴んだ。
「私も行きます!」
「駄目だ。風が強い」
「行かせてください。あの花たちは、あなたと私が一緒に育てたものです。守りたいんです」
ライナルトは一瞬、私の顔を見た。雷の光がその瞳を照らし、灰色が銀に変わる。
やがて、短く頷いた。
「分かった。離れるな」
「はい!」
扉を開ける。轟音とともに、冷たい風が吹きつけた。髪が舞い、視界が滲む。雨は痛いほど強かった。
二人で走る。畑の中、白い布が激しくはためいている。杭が一本、抜けかけていた。
「右側が外れてる!」
「抑えろ!」
彼が杭を押さえ、私が布を結ぶ。手が震える。だが、ライナルトが背中を支えてくれているのがわかる。体温が、雨の冷たさの中でも確かに感じられた。
やっと布を固定すると、私は深く息を吐いた。
「もう大丈夫です!」
「よし、戻るぞ!」
走りながら、ふと見上げると、雷雲の隙間から一筋の光が差していた。その瞬間、雨に濡れた花々が一斉に輝く。白い花弁が光を弾き、まるで夜の中に星が咲いたみたいだった。
「……きれい」
その言葉が雨に溶けた。ライナルトも立ち止まり、同じ方向を見ていた。
「嵐の中でも、花は咲く」
「はい。……強いですね」
「お前も同じだ」
風が弱まり、雨が少しずつやんでいく。雷鳴が遠くに小さく響き、世界がゆっくりと静けさを取り戻していった。
小屋に戻ると、二人ともびしょ濡れだった。服が肌に張りつき、息が白い。
ライナルトは暖炉に火をくべ、私は布を絞って床に広げた。
「火を強くする。近くに来い」
「はい」
焚き火の炎がぱちぱちと音を立てて燃える。赤い光が壁を照らし、二人の影が重なった。私は濡れた髪をまとめ、火の前に座る。
「……花、全部無事でしょうか」
「半分は守れた。残りは明日見てみよう」
「よかった」
ほっと息をつくと、疲れがどっと押し寄せる。肩が震え、指先まで冷えていた。ライナルトが無言で上着を外し、私の肩に掛けた。
「風邪を引く」
「あなたこそ」
「俺は平気だ」
その低い声に、心臓が静かに跳ねた。彼の外套はまだ温かい。体に触れるたび、雨の匂いと土の匂いが混ざって、涙が出そうになるほど懐かしい香りがした。
「……ありがとう」
「礼はいらん」
「でも、言いたいんです。守ってくれてありがとう」
彼はしばらく沈黙したまま、火を見つめていた。
やがて、静かに言う。
「俺は守りたいものをようやく見つけた。それだけだ」
炎の光が、彼の横顔を照らす。その瞳の奥に映るのは、燃える火ではなく、揺れる花の白だった。
「ライナルト」
「ん」
「あなたがいてくれてよかった」
言葉が零れた。彼は返事をしなかった。ただ、わずかに唇を動かし、目を伏せる。
外ではまだ雨の名残が屋根を叩いている。けれど、その音さえ穏やかだった。
花たちもきっと、同じ音を聞きながら眠っている。
そして、私の胸の中でも――ひとつの想いが静かに芽吹きはじめていた。
△
翌朝。
夜通し降った雨は、ようやく止んでいた。雲の切れ間から薄い光がこぼれ、空にはまだ灰色の影が残っている。地面には小さな水たまりがいくつもできていて、空の色を映していた。
私は裸足で小屋の外に出た。空気がひんやりしていて、吐く息が白い。昨日の嵐が嘘のように静かだった。耳を澄ますと、かすかに鳥の声が聞こえる。風の匂いは湿っていて、どこか甘い。
「ライナルト……」
花畑の方から、土を踏む音がした。彼はもう起きていて、畑の様子を見に行っているらしい。私は裾をたくし上げて、ぬかるんだ地面を踏みしめながら彼の背中を追った。
雨上がりの花畑は、まるで別の世界みたいだった。夜の雨を浴びた花々はしっとりと濡れ、朝日を受けて銀の粒をまとっている。折れてしまった茎もあったけれど、根はしっかりと大地を掴んでいた。
ライナルトはその一本一本を丁寧に見て回っていた。腰をかがめ、折れた枝を切り、泥を払う。その動作がまるで祈りのように静かで、見ているだけで胸が締めつけられた。
「……全部、無事じゃないけど、思ったより残ってますね」
「強い花だ」
「本当に。嵐の中でこれだけ咲き続けるなんて」
「お前が植えたからだ」
彼の言葉に、息が止まった。
「わたし……?」
「花は育てる人の心を映す。お前が諦めなかったから、花も諦めなかった」
その声が、朝の空気よりも静かであたたかかった。胸の奥に広がるものがありすぎて、私は何も言えなかった。
風が吹く。花びらがひとつ、私の頬に触れた。
その柔らかさに、涙がこみあげた。
「……なんだ、泣いてるのか」
「違います。これは……雨のしずくです」
「嘘が下手だな」
彼がそう言って、ほんの少し笑った。
その笑顔を見た瞬間、こらえていたものがあふれ出す。
「私、本当は昨日、怖かったんです。風の音も、雷も、全部。……でも、あなたがそばにいたから、怖くなかった」
声が震える。けれど、もう隠そうとは思わなかった。
「王都で何をしても、誰も信じてくれなくて。自分なんて要らないと思ってたのに……あなたが手を伸ばしてくれた。それだけで、世界が変わったんです」
ライナルトは沈黙したまま、ただ私を見つめていた。灰色の瞳に朝日が差し込み、金色の光が宿る。その瞳の奥に、確かに何かが揺れていた。
「……お前がここに来てくれて、俺も変わった」
「え?」
「俺はずっと、守ることしかできないと思っていた。けど今は……一緒に生きるのも悪くないと思える」
彼が少し近づく。
距離が狭まって、呼吸の音まで聞こえる。
「花が咲くのを見て、初めて心が動いた。お前と出会ってから、心が風を感じるようになった」
「……ライナルト」
名前を呼ぶ声が震えた。彼は手を伸ばし、私の髪についた花びらを指で払った。指先がこめかみに触れ、その温もりが体の奥まで届く。
「この村を出る気はあるか」
「え……?」
「いや、すぐにではない。ただ……もし、いつか外の世界を見たいと思ったら、その時は俺が一緒に行く」
その言葉に、胸の奥が強く跳ねた。
「わたし……まだこの村が好きです。でも、あなたと一緒なら、どこへでも行ける気がします」
「それでいい」
彼は微かに笑って頷いた。
風が吹き抜ける。花々が一斉に揺れ、朝の光の中で波のように広がった。
「ライナルト」
「ん」
「あなたは、嵐のあとに咲く花みたいですね」
「俺が?」
「はい。静かで、強くて、でも誰より優しい」
彼は少し戸惑ったように目を細め、それから短く息を吐いた。
「お前は風みたいだ。どんな嵐のあとも、また花を咲かせる」
互いの言葉が風に溶け、花の香りが間を満たす。
静かな時間だった。けれど、その沈黙の中に、確かな絆があった。
◇
日が高くなり、村の人たちが畑に集まってきた。皆、花が倒れていないかを心配していたが、光に包まれた花畑を見て歓声を上げた。
「すごい……昨日の嵐のあととは思えない!」
「見てみろ、根が折れてない!」
「やっぱり、隊長とセリーナさんの花だ!」
笑い声と拍手が響く。子どもたちは雨水の溜まったところを跳ねながら、咲き残った花を数えてははしゃいでいた。
私はその中で、そっと息を吐いた。
心が満ちていた。
もう、過去の痛みも、王都のざまぁも、すべて風に流れてしまったように思えた。
「セリーナ」
ライナルトが隣に立つ。
「花は嵐に耐えた。次は種を作る番だ」
「はい」
「新しい畝を作る。来年はもっと広く」
「ふふっ……どこまで広げるつもりですか?」
「村が花で覆われるまで」
その答えに、思わず笑ってしまう。
「じゃあ、私も手伝わないと」
「もちろんだ」
彼の低い声が、風のように柔らかく響いた。
村の人々が次々に種を運び、笑いながら新しい畝を作る。その光景を見て、私は心の中で静かに呟いた。
――きっとこの花畑は、誰かの希望になる。
そう思うと、目の前の景色が少し滲んだ。
空の色が鮮やかで、風がやさしくて、涙が勝手にあふれてきた。
「……ありがとう、ライナルト」
「また礼か」
「ええ。でも、これだけは言わせてください。あなたに出会えて、本当によかった」
彼が答える代わりに、そっと帽子を取って風に掲げた。
陽の光がその髪を照らし、灰色が金に変わる。
「これからも、ここに花を咲かせよう」
「はい」
風が吹いた。花びらが舞い上がり、空いっぱいに広がる。
その光景はまるで、世界そのものが祝福してくれているようだった。
私は目を閉じ、胸の奥でそっと祈った。
――どうか、この幸せが長く続きますように。
風がまた吹き抜け、花の香りが二人を包んだ。
◇
陽が沈み、再び夜が訪れた。だが今夜の空は穏やかだった。嵐を越えた風はしっとりと柔らかく、村の屋根を撫でるたびに木の葉が心地よい音を立てた。小屋の灯りは橙色に揺れ、暖炉の火が壁に二人の影を映している。
花畑を見回り終えたライナルトが戻ってきた。外套を脱ぎながら、濡れた髪を指で払い、いつものように短く言った。
「花は無事だ」
「よかった……」
胸の奥がふっと軽くなる。昨日までの不安が、まるで遠い記憶のように薄れていった。
「これで、また来年も咲けますね」
「ああ。根が強い。お前に似ている」
「ふふっ……それ、褒め言葉ですか?」
「当然だ」
静かな返事に、笑みがこぼれた。私は暖炉の前に座り、火を見つめた。ぱちぱちと薪がはぜる音が、まるで穏やかな子守歌のように聞こえる。
「……嵐の夜、思ったんです」
「何を」
「もう逃げなくていいんだな、って」
ライナルトが少しだけ眉を動かす。私は火の明かりの中で手を重ね、続けた。
「王都にいた頃、私はいつも誰かの期待に応えようとしてました。笑顔も言葉も、全部誰かのために使ってた。でも、この村では違う。私は、私でいられるんです」
「それが、本当の強さだ」
「そうでしょうか」
「戦場で剣を振るうより、花を育てて笑える方が難しい」
彼の言葉が、まるで遠い祈りのように胸に響いた。私はそっと顔を上げ、彼の横顔を見つめる。
――この人は、きっと誰よりも優しい。
「ライナルト」
「ん」
「あなたがこの村を守ってくれてるように、私もこの場所を守りたいです」
「お前の花が、もう守ってる」
「でも、もっと広げたいんです。村じゅうを花で包みたい」
「できる」
「……本当に?」
「お前が望むなら、俺が手を貸す」
言葉が少なくても、そこに込められた思いは十分に伝わった。私は胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じ、微笑んだ。
「……なら、約束です」
「ああ。約束だ」
外では、風がやさしく花を揺らしている。雨上がりの夜に咲いた白い花は、まるで星のように小さく光っていた。
◇
夜更け。
外の空は深い群青に染まり、雲ひとつない。雨で洗われた空気は澄んでいて、星々が驚くほど近くに見えた。私は寝台から抜け出し、そっと扉を開けた。
外の空気が冷たい。けれど、その冷たさが心地よかった。花畑は静かに波打ち、月の光を浴びて淡く輝いている。
「……きれい」
思わず呟く。
その声に応えるように、背後から足音がした。
「眠れないのか」
振り向くと、ライナルトがいた。彼も同じように夜空を見上げていた。外套の襟を少し立て、風に髪を揺らしながら。
「嵐のあとは、いつも空が綺麗なんですね」
「ああ。汚れたものが全部、洗い流されるからだ」
「人の心も、そうなれたらいいのに」
「なるさ。お前の中にはもう、花が咲いている」
そう言って、彼は私の頭に手を置いた。指先が髪を撫で、優しく風に溶けていく。
「ライナルト……」
「怖いことは、もう何もない」
「でも……この穏やかな日々が、ずっと続くとは限りません」
「限らなくてもいい。今がある。それで十分だ」
彼の声が低く、確かな温度を帯びていた。
私は目を閉じた。風の音、虫の声、遠くで鳴く鳥の声――そのすべてが、ひとつの旋律になって夜を包んでいる。
そっと目を開けると、花畑の中に淡い光が灯っていた。
雨粒を含んだ花びらが、月の光を反射して輝いている。まるで夜空の星が地上に降りてきたみたいだった。
「……ライナルト。あの光、見えますか?」
「ああ」
「雨のしずくが、まだ残ってるんですね」
「しずくが光るのは、月が照らしているからだ」
「月が照らさなくても、花は咲くと思いますか?」
「咲く。けれど、光があれば、より美しく咲く」
彼がこちらを見た。
その瞳に映るのは、花ではなく私だった。
心臓が、静かに鳴る。
「セリーナ」
「はい……」
「お前は、この村の光だ」
風が止んだ。夜が静まり返る。
胸の奥がじんと熱くなり、視界が滲む。
「そんな……私は、ただの追放された令嬢で……」
「もう違う。お前はこの村を救った。俺たちの心に花を咲かせた」
その言葉に、頬を伝うものがあった。
涙だった。
「……ありがとうございます」
「風に流すな。その涙は、お前の強さだ」
ライナルトの手が、そっと私の頬に触れた。
指先が涙を拭い、そのまま髪を撫でる。
「お前がここに来てくれたこと。それが俺の救いだ」
「わたしも……あなたに出会えて、救われました」
沈黙の中、二人の間に流れる空気が変わる。
言葉はいらなかった。互いの呼吸だけが、世界を満たしている。
やがて、彼が静かに言った。
「もう休め。明日も花が待っている」
「はい……おやすみなさい、ライナルト」
「おやすみ、セリーナ」
小屋に戻る前に、もう一度空を見上げた。
嵐のあとの星空は、どこまでも澄んでいた。
花も、風も、私の心も――すべてが新しい朝へ向かって咲こうとしていた。
3
あなたにおすすめの小説
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
周囲からはぐうたら聖女と呼ばれていますがなぜか専属護衛騎士が溺愛してきます
鳥花風星
恋愛
聖女の力を酷使しすぎるせいで会議に寝坊でいつも遅れてしまう聖女エリシアは、貴族たちの間から「ぐうたら聖女」と呼ばれていた。
そんなエリシアを毎朝護衛騎士のゼインは優しく、だが微妙な距離感で起こしてくれる。今までは護衛騎士として適切な距離を保ってくれていたのに、なぜか最近やたらと距離が近く、まるでエリシアをからかっているかのようなゼインに、エリシアの心は揺れ動いて仕方がない。
そんなある日、エリシアはゼインに縁談が来ていること、ゼインが頑なにそれを拒否していることを知る。貴族たちに、ゼインが縁談を断るのは聖女の護衛騎士をしているからだと言われ、ゼインを解放してやれと言われてしまう。
ゼインに幸せになってほしいと願うエリシアは、ゼインを護衛騎士から解任しようとするが……。
「俺を手放そうとするなんて二度と思わせませんよ」
聖女への思いが激重すぎる護衛騎士と、そんな護衛騎士を本当はずっと好きだった聖女の、じれじれ両片思いのラブストーリー。
妹の身代わりだった私に「本命は君だ」――王宮前で王子に抱き潰され、溺愛がバレました。~私が虐げられるきっかけになった少年が、私と王子を結び付
唯崎りいち
恋愛
妹の身代わりとして王子とデートすることになった私。でも王子の本命は最初から私で――。長年虐げられ、地味でみすぼらしい私が、王子の愛と溺愛に包まれ、ついに幸せを掴む甘々ラブファンタジー。妹や家族との誤解、影武者の存在も絡み、ハラハラと胸キュンが止まらない物語。
冤罪で追放された平民書記官が、僻地で出会ったゆるふわ最強魔導士。実は王弟でした
卯崎瑛珠
恋愛
冤罪で僻地送りにされた平民書記官ミリアル。
原因は、騎士団長の横領の揉み消しだった。
左遷先は『人喰い』の噂がある、怪しい王宮魔導士ユーグの屋敷。
だが彼はゆるく見えて、実は王国最強。
「ミリちゃんを泣かせたやつは、絶対許さないよ。ねえミリちゃん、選んで。絞首と斬首、どっち?」
ミリアルはなぜかユーグに溺愛されて、騎士団長にざまぁします。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
完結·異世界転生したらアザラシ? でした〜白いモフモフでイケメン騎士たちに拾われましたが、前世の知識で医療チートしています〜
禅
恋愛
ネットでアザラシを見ることが癒しだった主人公。
だが、気が付くと知らない場所で、自分がアザラシになっていた。
自分が誰か分からず、記憶が曖昧な中、個性的なイケメン騎士たちに拾われる。
しかし、騎士たちは冬の女神の愛おし子を探している最中で……
※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿しています
※完結まで毎日投稿します
転生したら没落寸前だったので、お弁当屋さんになろうと思います。
皐月めい
恋愛
「婚約を破棄してほしい」
そう言われた瞬間、前世の記憶を思い出した私。
前世社畜だった私は伯爵令嬢に生まれ変わったラッキーガール……と思いきや。
父が亡くなり、母は倒れて、我が伯爵家にはとんでもない借金が残され、一年後には爵位も取り消し、七年婚約していた婚約者から婚約まで破棄された。最悪だよ。
使用人は解雇し、平民になる準備を始めようとしたのだけれど。
え、塊肉を切るところから料理が始まるとか正気ですか……?
その上デリバリーとテイクアウトがない世界で生きていける自信がないんだけど……この国のズボラはどうしてるの……?
あ、お弁当屋さんを作ればいいんだ!
能天気な転生令嬢が、自分の騎士とお弁当屋さんを立ち上げて幸せになるまでの話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる