6 / 7
第一章 忘れられた青年
第五話
しおりを挟む
いつもの8時間の訓練の後、事前に頼んであった鑑定の結果を受け取り、鑑定料金を支払う。一つのアイテムで5万円とずいぶんと高い鑑定料だ。だが、俺は鑑定のスキルを持っていないのだから、依頼をするしかない。
異世界モノでは初期装備みたいなものだが、実際には鑑定って結構珍しいスキルだからな。確か、数万人に1人とかだったっけ?
まぁそんな事はいい。今優先すべきは、鑑定結果を確認することだ。渡された紙の束の表紙をめくり、内容を確認する。一枚目は、あの丸い玉の鑑定結果だ。
―――――――――――――――――――――――――――
スキルオーブ『鑑定:F』
スキル『鑑定:F』を入手することができるスキルオーブ。使用するには、このオーブを砕くだけでよい。
レア度:D
査定額:1000万円
―――――――――――――――――――――――――――
……えぇ?嘘でしょう?貴重なスキルだったはずだけど……何で低いランクとはいえピンポイントで来るんですか?
とりあえず、これを使うのは確定として、次の鑑定結果を確認しよう。あの銀の腕輪だ。呪いの品だったら速攻で売る。
―――――――――――――――――――――――――――
変装の腕輪
装備をすれば、自身の服装を3つまで登録・収納し、瞬時に切り替えることができる腕輪。収納された服は洗浄されるため、汚れの心配は不要である。
レア度:D
査定額:500万
―――――――――――――――――――――――――――
使える……のか?いや、よく考えたらこれ、洗濯いらずの優れものじゃん。しかも、服装を瞬時に変更できるおかげで更衣室もあまりいらないし。やったな
さて、早速装備して、今着ている訓練用の服を……収納はやめたほうがいいな。登録だけして帰ろう。
それじゃあ、家に帰ってご飯を作るか。最近は筋トレもやっているし、頑張ってメニューを考えないと―――
―――翌日。今日はダンジョン探索をする日だ。第0階層で適当に準備をし、ワープを使って第11階層に転移する。
ワープした地点から少し歩くと、これまた有名なゴブリンが出てきた。最弱ではないが、運動神経の良い子供ならぎりぎり勝てるというラインだ。
……まぁ、大人だったら、普通に組み伏せられるんだけどね?あくまでも、子供なら勝つことが難しいだけだ。俺?俺の場合、手を伸ばしてきたところを石突で上に弾いて、そのままの流れで脳天をかち割るだけだよ?
しかし、そうはいかない状況というものもある。それは、ゴブリンを統率しているモンスターがいる場合だ。
こうなると、ゴブリンの連携力は高くなり、一気に厄介な敵へと化ける。ランクで表せば、単体でFランク、団体のゴブリンがEランクで、統率者がいる団体のゴブリンがDだな。一段階ずつ上がっていく感じだ。
けれど、そんな状況なんてめったに起こることはない。ゴブリンの上位種が発見された例は、この世界にダンジョンが出現してから100件ほど。それも、日本に限って言えば、5件だけ。それがこんなところで起こるわけがない。
よっしゃ、さっと5階層分の探索を終わらせて、家に帰って、ゆっくりしますか!―――
「―――お、もう15階層か。早いもんだな」
ゴブリンとかなり遭遇したはずなのに、なぜかいつも以上に早く行けてしまったような気がする。時間を確認してみると、入ってから約3時間が経過している。いつもとあまり変わらないし、集中してただけだな。
それにしても、本当に寂しい。最後、まともに人と話したのっていつだっけか?少なくともここ2、3週間は事務的な会話しかしていない気がする。
今までは、昼に学校があったし、家でも向こうの家の夜ご飯の時間までは紫苑が家にいたからな……両親がいなくても、そこまで寂しくはなかったんだが。
……久々に、誰かと話したいな。そういえば、しばらく人と話さなかったら、鬱とかの精神病になることがあるんだっけか?
うーん……まだ全然そんな兆候はないけど、本当なのかな?本当なら、俺はおそらく精神病になるな。まぁ、手遅れになる前に、なんとかすればいいか。
そんな事はいいんだ。先に夕飯の準備でもしよう。今日は昼からダンジョンに潜ってたから、ダンジョンから出る頃には17時くらいか。今から準備すればちょうどだな。
……あー、でも冷蔵庫に何かあったっけ?3日前に買い物行ったから、もうなにもない気がするな……仕方ない、買いに行くか―――
「―――えーっと、欲しいのは、各種野菜と、鶏肉と……果物もいくつか買っておくか。他は特になかったよな?」
スーパーまで自転車で行き、小声でつぶやきながら、頭の中に欲しいものをメモしていく。腹を満たすだけなら、インスタント麺で済ませても良いところだが……いくら一人とはいえ、栄養バランスは気をつけないといけないだろう。
でなければ、最悪な体調でダンジョンに潜らないといけなくなる。そんな理由で死ぬのは流石に嫌だ。
それにしても、今日はいつもより人が多いな。普段はこんなに多くはないと思うんだけど。今日って平日だよね?
家から少し遠めのスーパーに来ているし、知り合いがいることは少ないだろうから、そこんところは安心なんだけど……え?会ってもどうせ相手は気づかないだろって?俺は気まずいんだよ。話せたらいいけど、それすらできないしな。
そんなくだらないことを考えつつ店の中を歩くと、不意にお菓子のコーナーが目に入った。そういえば、ここ最近はずっとお菓子を食べていない……久々に食べるか。
そう思い、俺が好きなグミとチョコを手に取り、かごの中へ放り込む。ついでにポテチを手に取り、かごに入れようとしたところで……手を止めた。
「……そっか、もう買う必要ねぇじゃん。何してんだ?俺」
俺は、基本ポテチを食べない。食べるのは、俺の家に来る友人たちだけだ。特に紫苑がよく来ていたため、今も紫苑が好きなものを買おうとしていた。
今これを買っても、食べる人がおらずに腐るだけだ。少なくとも、俺の家にあるものがなくなるまでは買わないでいい。まぁ、消費する予定がないし、いずれ捨てるんだろうけど。
持っていたポテチを棚に戻し、レジに向かい、会計を済ませて外に出る。時間は既に18時。夏なら良い夕焼けが見えているような時間だが……現在は冬であるため、真っ暗な道に街頭が等間隔に点々と灯っている。
……なんで、俺はこんな目にあっているんだろう。はっきり言って、一人はものすごく寂しい。誰でもいいから、一緒にいてほしい。誰か、話し相手になってほしい。たった一人で訓練をして、たった一人でダンジョンに潜って、たった一人でご飯を食べて……
……下手な一人暮らしより厳しいんじゃないのか?これ。まぁ、事務的な会話が出来たり、食料を買ったりできる点を考えれば、無人島よりかは遥かにマシか。
そう考えると、少し気が楽になってきたな。まぁ、少し位寂しさを紛らわすためのものは欲しかったけどね……システム許すまじ。
よし、明日からも、また頑張りますか!
異世界モノでは初期装備みたいなものだが、実際には鑑定って結構珍しいスキルだからな。確か、数万人に1人とかだったっけ?
まぁそんな事はいい。今優先すべきは、鑑定結果を確認することだ。渡された紙の束の表紙をめくり、内容を確認する。一枚目は、あの丸い玉の鑑定結果だ。
―――――――――――――――――――――――――――
スキルオーブ『鑑定:F』
スキル『鑑定:F』を入手することができるスキルオーブ。使用するには、このオーブを砕くだけでよい。
レア度:D
査定額:1000万円
―――――――――――――――――――――――――――
……えぇ?嘘でしょう?貴重なスキルだったはずだけど……何で低いランクとはいえピンポイントで来るんですか?
とりあえず、これを使うのは確定として、次の鑑定結果を確認しよう。あの銀の腕輪だ。呪いの品だったら速攻で売る。
―――――――――――――――――――――――――――
変装の腕輪
装備をすれば、自身の服装を3つまで登録・収納し、瞬時に切り替えることができる腕輪。収納された服は洗浄されるため、汚れの心配は不要である。
レア度:D
査定額:500万
―――――――――――――――――――――――――――
使える……のか?いや、よく考えたらこれ、洗濯いらずの優れものじゃん。しかも、服装を瞬時に変更できるおかげで更衣室もあまりいらないし。やったな
さて、早速装備して、今着ている訓練用の服を……収納はやめたほうがいいな。登録だけして帰ろう。
それじゃあ、家に帰ってご飯を作るか。最近は筋トレもやっているし、頑張ってメニューを考えないと―――
―――翌日。今日はダンジョン探索をする日だ。第0階層で適当に準備をし、ワープを使って第11階層に転移する。
ワープした地点から少し歩くと、これまた有名なゴブリンが出てきた。最弱ではないが、運動神経の良い子供ならぎりぎり勝てるというラインだ。
……まぁ、大人だったら、普通に組み伏せられるんだけどね?あくまでも、子供なら勝つことが難しいだけだ。俺?俺の場合、手を伸ばしてきたところを石突で上に弾いて、そのままの流れで脳天をかち割るだけだよ?
しかし、そうはいかない状況というものもある。それは、ゴブリンを統率しているモンスターがいる場合だ。
こうなると、ゴブリンの連携力は高くなり、一気に厄介な敵へと化ける。ランクで表せば、単体でFランク、団体のゴブリンがEランクで、統率者がいる団体のゴブリンがDだな。一段階ずつ上がっていく感じだ。
けれど、そんな状況なんてめったに起こることはない。ゴブリンの上位種が発見された例は、この世界にダンジョンが出現してから100件ほど。それも、日本に限って言えば、5件だけ。それがこんなところで起こるわけがない。
よっしゃ、さっと5階層分の探索を終わらせて、家に帰って、ゆっくりしますか!―――
「―――お、もう15階層か。早いもんだな」
ゴブリンとかなり遭遇したはずなのに、なぜかいつも以上に早く行けてしまったような気がする。時間を確認してみると、入ってから約3時間が経過している。いつもとあまり変わらないし、集中してただけだな。
それにしても、本当に寂しい。最後、まともに人と話したのっていつだっけか?少なくともここ2、3週間は事務的な会話しかしていない気がする。
今までは、昼に学校があったし、家でも向こうの家の夜ご飯の時間までは紫苑が家にいたからな……両親がいなくても、そこまで寂しくはなかったんだが。
……久々に、誰かと話したいな。そういえば、しばらく人と話さなかったら、鬱とかの精神病になることがあるんだっけか?
うーん……まだ全然そんな兆候はないけど、本当なのかな?本当なら、俺はおそらく精神病になるな。まぁ、手遅れになる前に、なんとかすればいいか。
そんな事はいいんだ。先に夕飯の準備でもしよう。今日は昼からダンジョンに潜ってたから、ダンジョンから出る頃には17時くらいか。今から準備すればちょうどだな。
……あー、でも冷蔵庫に何かあったっけ?3日前に買い物行ったから、もうなにもない気がするな……仕方ない、買いに行くか―――
「―――えーっと、欲しいのは、各種野菜と、鶏肉と……果物もいくつか買っておくか。他は特になかったよな?」
スーパーまで自転車で行き、小声でつぶやきながら、頭の中に欲しいものをメモしていく。腹を満たすだけなら、インスタント麺で済ませても良いところだが……いくら一人とはいえ、栄養バランスは気をつけないといけないだろう。
でなければ、最悪な体調でダンジョンに潜らないといけなくなる。そんな理由で死ぬのは流石に嫌だ。
それにしても、今日はいつもより人が多いな。普段はこんなに多くはないと思うんだけど。今日って平日だよね?
家から少し遠めのスーパーに来ているし、知り合いがいることは少ないだろうから、そこんところは安心なんだけど……え?会ってもどうせ相手は気づかないだろって?俺は気まずいんだよ。話せたらいいけど、それすらできないしな。
そんなくだらないことを考えつつ店の中を歩くと、不意にお菓子のコーナーが目に入った。そういえば、ここ最近はずっとお菓子を食べていない……久々に食べるか。
そう思い、俺が好きなグミとチョコを手に取り、かごの中へ放り込む。ついでにポテチを手に取り、かごに入れようとしたところで……手を止めた。
「……そっか、もう買う必要ねぇじゃん。何してんだ?俺」
俺は、基本ポテチを食べない。食べるのは、俺の家に来る友人たちだけだ。特に紫苑がよく来ていたため、今も紫苑が好きなものを買おうとしていた。
今これを買っても、食べる人がおらずに腐るだけだ。少なくとも、俺の家にあるものがなくなるまでは買わないでいい。まぁ、消費する予定がないし、いずれ捨てるんだろうけど。
持っていたポテチを棚に戻し、レジに向かい、会計を済ませて外に出る。時間は既に18時。夏なら良い夕焼けが見えているような時間だが……現在は冬であるため、真っ暗な道に街頭が等間隔に点々と灯っている。
……なんで、俺はこんな目にあっているんだろう。はっきり言って、一人はものすごく寂しい。誰でもいいから、一緒にいてほしい。誰か、話し相手になってほしい。たった一人で訓練をして、たった一人でダンジョンに潜って、たった一人でご飯を食べて……
……下手な一人暮らしより厳しいんじゃないのか?これ。まぁ、事務的な会話が出来たり、食料を買ったりできる点を考えれば、無人島よりかは遥かにマシか。
そう考えると、少し気が楽になってきたな。まぁ、少し位寂しさを紛らわすためのものは欲しかったけどね……システム許すまじ。
よし、明日からも、また頑張りますか!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる