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婚約者による強制的ななにかについて
噂の転入生
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ようやく、といった感じで荷物をすべて侍従が運び終えるのを待って、最上階へむかう階段のホールでエリーゼと別れた。
最上階には女子生徒、しかも貴族令嬢しかおらず、出入りにもかなり厳重な警備がされている。私のような男子生徒は、このホールまでしか許されていない。
同じ学校とはいえ、馬で一時間ゆけばいつでも会える宰相邸より、もしかしたら好き勝手に会えないここのほうが、私をエリーゼから引き離しておけるという宰相の策略では、と私はふと思う。
「珍しい、最上階にお前がくるとはな」
ホールで女子生徒と話をしていたロビンが、こちらへ歩いてきた。
「今日から私の婚約者が転入してきてね」
エリーゼが去った方を指すと、へえ、とロビンが声をあげた。
「ねえ、さっきの小さい女の子、君の階の転入生らしいよ!」
すると、あら、とつれの女子生徒が顔をだした。
「歓迎するわ!」
女子生徒は同じフロアに部屋をもつ、コルネリア・クインタと名乗った。
クインタ家は爵位こそ持たないが、王家の行事や催事の多くを引き受ける、巨大な商家だ。その力は既に貴族を凌ぐとも言われており、彼女の兄、ルスティカーノ・クインタは生徒会の会長職にあった人物であり、私の先輩にあたる。
「存じ上げず失礼をしました、クローディアス・マルセルといいます。婚約者はエリーゼ・コーデリア。あらためてご挨拶させます。どうぞ、よくしてやって下さい」
そう言って手をとり、額のところまで持ち上げた。
淑女に対する儀礼的な敬礼だ。エリーゼのために、出来る限りのことはしておかなくては。
あら、と頬を染めたコルネリアは
「成る程、皆が夢中になるのもうなづけますわね」
とひとり納得して、ロビンを追いやる仕草をして階段を登って行ってしまった。
ロビンは名残惜しそうにそれを見送ったが、そのあと私の背中をいやに強くたたいた。
「噂の転入生は、お前の婚約者だったか!」
この時期に転入してくる生徒はあまりいない。どうやらすでにエリーゼたちは、かなり生徒達の噂になっているようだった。
エリーゼはとても美しいし、賢いから、まあ致し方ないだろう。だが例の噴水男はなぜ、この学園へ来たのかすらわからない。
本当に王位を狙うつもりだろうか?命知らずめ。エリーゼには絶対に近づけるものか…
「お前、今、物凄く悪い顔してるぞ」
ロビンに指摘されて、自室の前で立ち止まった。
「悪い顔?私が?」
おもわず尋ねると、ロビンがそう、とうなづいた。
自慢ではないが、いつでもおなじような笑みをはりつけている自信がある。
「俺くらい一緒にいると、会長が機嫌いいかどうかくらいはわかるようになる」
そう言われてロビンを振り返った。
それは困る。エリーゼに対するアレコレがバレれば、格好悪いではすまない。下手するとエリーゼに嫌われて婚約破棄、北の領地でひとり、羊を飼って生きることになってしまう。
部屋へ戻ってもまだ思案していた私に、ロビンは
「気にするな、分かるのは生徒会でも俺くらいだ」
と言いながら勝手にソファへ座ってくつろぎはじめた。
「それで?会長は一体何にそんなに焦っているわけ?」
見透かされるとはこういうことか、と私はロビンをふりかえった。
最上階には女子生徒、しかも貴族令嬢しかおらず、出入りにもかなり厳重な警備がされている。私のような男子生徒は、このホールまでしか許されていない。
同じ学校とはいえ、馬で一時間ゆけばいつでも会える宰相邸より、もしかしたら好き勝手に会えないここのほうが、私をエリーゼから引き離しておけるという宰相の策略では、と私はふと思う。
「珍しい、最上階にお前がくるとはな」
ホールで女子生徒と話をしていたロビンが、こちらへ歩いてきた。
「今日から私の婚約者が転入してきてね」
エリーゼが去った方を指すと、へえ、とロビンが声をあげた。
「ねえ、さっきの小さい女の子、君の階の転入生らしいよ!」
すると、あら、とつれの女子生徒が顔をだした。
「歓迎するわ!」
女子生徒は同じフロアに部屋をもつ、コルネリア・クインタと名乗った。
クインタ家は爵位こそ持たないが、王家の行事や催事の多くを引き受ける、巨大な商家だ。その力は既に貴族を凌ぐとも言われており、彼女の兄、ルスティカーノ・クインタは生徒会の会長職にあった人物であり、私の先輩にあたる。
「存じ上げず失礼をしました、クローディアス・マルセルといいます。婚約者はエリーゼ・コーデリア。あらためてご挨拶させます。どうぞ、よくしてやって下さい」
そう言って手をとり、額のところまで持ち上げた。
淑女に対する儀礼的な敬礼だ。エリーゼのために、出来る限りのことはしておかなくては。
あら、と頬を染めたコルネリアは
「成る程、皆が夢中になるのもうなづけますわね」
とひとり納得して、ロビンを追いやる仕草をして階段を登って行ってしまった。
ロビンは名残惜しそうにそれを見送ったが、そのあと私の背中をいやに強くたたいた。
「噂の転入生は、お前の婚約者だったか!」
この時期に転入してくる生徒はあまりいない。どうやらすでにエリーゼたちは、かなり生徒達の噂になっているようだった。
エリーゼはとても美しいし、賢いから、まあ致し方ないだろう。だが例の噴水男はなぜ、この学園へ来たのかすらわからない。
本当に王位を狙うつもりだろうか?命知らずめ。エリーゼには絶対に近づけるものか…
「お前、今、物凄く悪い顔してるぞ」
ロビンに指摘されて、自室の前で立ち止まった。
「悪い顔?私が?」
おもわず尋ねると、ロビンがそう、とうなづいた。
自慢ではないが、いつでもおなじような笑みをはりつけている自信がある。
「俺くらい一緒にいると、会長が機嫌いいかどうかくらいはわかるようになる」
そう言われてロビンを振り返った。
それは困る。エリーゼに対するアレコレがバレれば、格好悪いではすまない。下手するとエリーゼに嫌われて婚約破棄、北の領地でひとり、羊を飼って生きることになってしまう。
部屋へ戻ってもまだ思案していた私に、ロビンは
「気にするな、分かるのは生徒会でも俺くらいだ」
と言いながら勝手にソファへ座ってくつろぎはじめた。
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見透かされるとはこういうことか、と私はロビンをふりかえった。
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