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国境の砦にて
旅立
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私が案内された部屋に入ってゆくなり、ガタガタと音をたてて中にいた騎士達がみな立ち上がった。
「マルセル子爵殿、聖騎士殿も。こちらへどうぞ」
緊張した面持ちで、ロビン・メイン公爵は私を上席へと通した。
「皇太子殿下の御指示により、お二方と共に契約の鍵をとりに行くと、不肖の息子より伺いました」
はじめて会うはずのメイン公爵は、妙な緊張感でもって私の機嫌でも窺うようにしながら、話をはじめた。
「ええ、そのとおりです」
あまり私の声が聞こえていないのか、メイン公爵はふぁ、というような声を出し、息子であるロビンの顔をみた。
「父さん、落ち着いてくれよ。彼は同意したまでで、不機嫌になったわけじゃない」
ロビンは苦笑いしながら話す。公爵は私などより地位も実力も充分に備えているはずの人物なのに、どうしてこんなに気を遣わせてしまったのだろう?
ここに来てからメイン公爵に会うのははじめてだというのに。
「そうか、うん、では話をつづけようか。聖騎士どのは『訪いびと』だと伺ったのだが、此度の遠征に勝機があるとお考えか?」
メイン公爵の目がぎらっと光り、どうやらそれが本題らしいと気付いた。……だが、相変わらず私とは目もあわせてくれない。
「勝機?俺は勝てない戦はしたことがありません」
おおお、と騎士達がざわめいた。なんだ、ユーリのいた世界もやはり戦はしていたのか、と勝手に納得していると、
「ですが、この作戦がうまく行かなければ、ここは最前線になります。我々が発ったあとは、予定通り軍備を整えていてください」
ユーリは固い口調で話をおえた。メイン公爵は、それ以上何も言わず、ただ私達一人一人と握手した。
騎士達もそれにつづいたので、私たちは結局出口まで結構な時間を要した。
「なあんか、部活の壮行会おもいだしたなあ」
扉の外にでたところでユーリが手のひらを見つめて言った。相変わらず何を言っているのかさっぱりだ。首を傾げていると、
「とにかく、あの人達のためにも頑張れってことさ」
と、あまり深刻そうでない表情で言い、私の肩をバーンと叩いた。
出立は、その日の夜半だった。獣だのなにか謎の虫(魔物?)をなぎ払いながら、森のなかを半日歩けば、ロットリア・デルタのある川の岸にでる、はずだったのだが。
「すみません!会長、道に迷ったみたいです」
てへ、と頭をかいたのは誰あろうユーリだ。
日が昇るまでになんとか契約の鍵のある場所へでなくてはならないのに…私はぼんやりと明るくなってきたほうを見上げて、私は呆然と呟いた。
「これは、ひどい」
「マルセル子爵殿、聖騎士殿も。こちらへどうぞ」
緊張した面持ちで、ロビン・メイン公爵は私を上席へと通した。
「皇太子殿下の御指示により、お二方と共に契約の鍵をとりに行くと、不肖の息子より伺いました」
はじめて会うはずのメイン公爵は、妙な緊張感でもって私の機嫌でも窺うようにしながら、話をはじめた。
「ええ、そのとおりです」
あまり私の声が聞こえていないのか、メイン公爵はふぁ、というような声を出し、息子であるロビンの顔をみた。
「父さん、落ち着いてくれよ。彼は同意したまでで、不機嫌になったわけじゃない」
ロビンは苦笑いしながら話す。公爵は私などより地位も実力も充分に備えているはずの人物なのに、どうしてこんなに気を遣わせてしまったのだろう?
ここに来てからメイン公爵に会うのははじめてだというのに。
「そうか、うん、では話をつづけようか。聖騎士どのは『訪いびと』だと伺ったのだが、此度の遠征に勝機があるとお考えか?」
メイン公爵の目がぎらっと光り、どうやらそれが本題らしいと気付いた。……だが、相変わらず私とは目もあわせてくれない。
「勝機?俺は勝てない戦はしたことがありません」
おおお、と騎士達がざわめいた。なんだ、ユーリのいた世界もやはり戦はしていたのか、と勝手に納得していると、
「ですが、この作戦がうまく行かなければ、ここは最前線になります。我々が発ったあとは、予定通り軍備を整えていてください」
ユーリは固い口調で話をおえた。メイン公爵は、それ以上何も言わず、ただ私達一人一人と握手した。
騎士達もそれにつづいたので、私たちは結局出口まで結構な時間を要した。
「なあんか、部活の壮行会おもいだしたなあ」
扉の外にでたところでユーリが手のひらを見つめて言った。相変わらず何を言っているのかさっぱりだ。首を傾げていると、
「とにかく、あの人達のためにも頑張れってことさ」
と、あまり深刻そうでない表情で言い、私の肩をバーンと叩いた。
出立は、その日の夜半だった。獣だのなにか謎の虫(魔物?)をなぎ払いながら、森のなかを半日歩けば、ロットリア・デルタのある川の岸にでる、はずだったのだが。
「すみません!会長、道に迷ったみたいです」
てへ、と頭をかいたのは誰あろうユーリだ。
日が昇るまでになんとか契約の鍵のある場所へでなくてはならないのに…私はぼんやりと明るくなってきたほうを見上げて、私は呆然と呟いた。
「これは、ひどい」
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