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第2章
核心の片鱗
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夜半でも編集室には数人の記者がうろうろしており、俺たちは奥の編集長の部屋へ入っていった。
「単刀直入に言えば、あなたがこの王都にいるのは新聞社にとっては都合が悪いわ」
そこらにあった椅子を探り当てて、ようやく座ったところで編集長はデスクに肘をのせて手を顔の前に組み、険しい表情をした。
「ひどい怪我だったって聞いているし、まだ戻ってこれないと思っていたんだけど……実は、貴方が戻ってこれないと知らせをだしたことで、王妃殿下がひどく取り乱したの。
まるで自分の息子が行方不明になったような騒ぎかたで、いまも公務に戻れないほどよ。
それを聞いて貴方が前に言っていた話を思い出した……貴方の出生について詳しく調べさせてもらったの」
かた、と俺の座った椅子が音をたてた。俺が信じていたものが、全て崩れる気がした。
「貴方が子爵夫人や夫人の息子に似ているのは、貴方が彼女の息子だからではないわ」
それは、俺が何処かで恐れていた言葉であり、けれどいつでもあの子爵家でも、王宮殿でも常に感じていた違和感の正体でもあった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
かつて、この国を揺るがすような王太子妃の交代劇があった。但し、それは俺たちがした規模のものではなくて、各方面への影響ははかりしれないものだったけれど。
婚約者がありながら、別の令嬢を妃に望んだのは、ウィルの父親である今の王、フリードリヒ三世陛下。しかし、令嬢は王太子とは結婚せず、辺境に住む前王の義弟である、フェリクス大公の後妻として嫁いだ。
「それが今の王妃殿下の、姉君。シェーンレン男爵の娘で、あなたのお母様よ」
俺はぎょっとしてマグカップを取り落とした。がち、とマグカップは音をたててテーブルにぶつかり、僅かにテーブルには、コーヒーの雫が飛び散った。
「婚約破棄された元の婚約者はその場で自害してしまい、その責を負わされて婚約者の家は没落。それを苦にしたあなたのお母様は、フリードリヒ三世陛下と婚約しなかった。
王太子妃を担う女性が居なくなってしまったの。そこで王妃殿下が代わってその職務を担うことになった。
シェーンレン男爵には他に子供はいなかったから、事実上男爵家もまた断絶ね」
姉を愛したフリードリヒ三世と、愛の無い結婚をした王妃殿下。しかし、その姉は17年前に、夫であるフェリクス大公とともにこの世を去っていた。
「王都に向かう途中、山賊に襲われて崖から馬車が転落したの。生まれたばかりの大公の息子は行方不明でいまも、見つかっていない」
ひた、と編集長が俺を見た。
「大公の領地は全てゲノーム公爵が管理しているわ。でも、王妃殿下はけしてそれをゲノーム公爵に与えてはいない……まるで本当の持ち主が現れるのを知っているようにね」
亡くなったアルゼリア子爵は、多くの借金をしていた。フェリクス大公の母方の従妹にあたるアルゼリア子爵夫人は、その借金を全て一度に返済し、それと引き換えのように生まれたばかりの三男に聖霊の祝福を受けさせ、ダニエルと名付けた。
「奇妙だったのは、子爵が亡くなったのち子爵夫人が妊娠していると気づいたものはいなかったそうなのよ?出産の記録もないわ」
では、何処から俺は来た?風か聖霊が母のもとに俺を運んだとでもいうのか?あるいは……。
「貴方はフェリクス大公の嫡男、ダニエル・フェリクスその人であるとわが新聞社では記事にするつもりよ。もし本当にそうなら、王位継承権は王太子、王子についで第三位。若き大公の登場よ!素晴らしいスクープだわ!」
だん、とテーブルを叩いた。
「止してくれよ、今のは全部推論だろ?第一当事者の俺がいないうちに、そんな真似をして、もし違っていた時どうするつもりだったんだよ」
ふふん、と編集長は長い脚を組んだ。
「だからこそ貴方がいないうちがいいのよ、貴方は遠い港町で入院していて、その間に大衆紙のひとつが突拍子もない記事を出した。それなら貴方への影響は最小限でしょ?」
はぁ、と俺は頭を抱えた。
「裏付けはとれてるんだろ?本当のところ、一体何処までが……」
俺が困惑していると、編集長は自分の爪の先を眺めながら、
「もちろん、裏付けのない記事なんて書かせないわよ私」
と、幾つかの封書や書類を渡してきた。
「これは」
俺の出生証明や、フェリクス大公の親書の写し、さらには大公家の元侍従の証言などが書かれたもの。
「そこにあるのは、今話した内容を裏付けるものよ。さて、ご質問は?大公子殿下?」
これには言葉もなかった。だが、これが商売の新聞社だ。たかだか王妃の態度が少々奇妙だったがために、ここまで調べるなんて思ってもいなかったけれど。
「……なんで俺は隠されてたんだ?俺がいては不都合な人間が?」
編集長は首をふり、それはわからないわ、と答えた。
「もしかしたら、男爵家が断絶している以上、王位継承権のある男子は少ない方がいいと思ったとか?まあ、王妃の態度からはそうはおもえないのだけど」
と編集長は言う。埒のない話で、それではあの王妃の態度は全く説明がつかない。
「ともかく、貴方はしばらく行方不明になっていて頂戴?変なことに巻き込まれたくなければ、来た道を引き返してほしいくらい」
俺は頭を抱えた。全く納得いかない。
「今のところはそうしておくしかないか……ああ、でもゲノーム令嬢にだけは、直接話をしたい」
それが今更シャルロットに必要とも思えなかったけれど。一応彼女はまだ婚約者なのだから。
「いいわよ」
編集長は、すうっと目を細めて笑った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
聖霊祭が終われば、新年まではあと数日。その数日の間に、社交界では様々なパーティーが開かれる。
「シャルロットはバリー家の仮面舞踏会へ参加するそうよ?。ウィル殿下は出席しないみたいだから、宰相の子息がエスコートでしょうね」
こんなチャンスはないはずよ、と編集長は笑ったけれど、俺にしてみれば笑えはしなかった。
ロイスは俺にシャルロットを押しつけた本人で、もし彼が次の婚約者となればシャルロットはすぐにでも毒を飲むかもしれないのだ。
編集長が用意してくれた紺色の燕尾服のポケットには、あの髪飾りと毒薬の瓶をいれた。かちりと音がして、それを片手で押さえる。
「まだ痛む?」
先日と同じ濃い赤のイブニングドレス姿の編集長に尋ねられて、首を振った。
「めちゃくちゃ走れば多少は痛むかもな」
編集長は仮面の下からくぐもった笑いを漏らした。
「仮面舞踏会で、全力疾走はないと思うわ。安心して頂戴……それより、シャルロットは見つけられるんでしょうね?」
俺はちょっと首をひねった。格好つけて仮面をしたまま大事な話をして、人違いでした、では済まない。
「やだ!しっかりして頂戴よね、一大スクープをつまらない人違いで漏らしたりしたら、あんたクビにしてやるんだから!」
ガツガツとピンヒールで蹴られて、止めろよと体を捻った。こんな上品な貴族ばかりの場所で、こういう行動はとても目立つ。俺に目立つなと言うなら、ホントに止めてほしい。
辺りを見回せば、あたかも宮殿のように煌びやかな屋敷は、何千もの燭台やシャンデリアに彩られて目映いほどだ。
王陛下をも凌ぐと噂されるバリー宰相の富と栄光を表すかのようなその威容に少々気圧されて、俺は仮面をつけなおし、ゴホッ、とひとつ咳をした。
招待客が手にした招待状を入り口に立つ衛兵へ渡しては中へ進んでゆく。俺と編集長も、そこへむかって歩いてゆく。
「なんだ、報道か…聞いたことのない新聞社だな」
衛兵は口の端を少しあげて、俺たちが出した招待状をしげしげとながめた。
「ええ、新しい新聞社なの」
そういってもう一枚、編集長は招待状を渡した。ああ、とのけぞるようにして、衛兵は編集長から少し離れ、姿勢をただして敬礼した。
「どうぞ、お入りください!」
編集長は、大袈裟だわ、と苦笑いしてから俺の腕をとり、中へと進んでいった。
編集長、この人こそ、ホントに正体不明だ。
「単刀直入に言えば、あなたがこの王都にいるのは新聞社にとっては都合が悪いわ」
そこらにあった椅子を探り当てて、ようやく座ったところで編集長はデスクに肘をのせて手を顔の前に組み、険しい表情をした。
「ひどい怪我だったって聞いているし、まだ戻ってこれないと思っていたんだけど……実は、貴方が戻ってこれないと知らせをだしたことで、王妃殿下がひどく取り乱したの。
まるで自分の息子が行方不明になったような騒ぎかたで、いまも公務に戻れないほどよ。
それを聞いて貴方が前に言っていた話を思い出した……貴方の出生について詳しく調べさせてもらったの」
かた、と俺の座った椅子が音をたてた。俺が信じていたものが、全て崩れる気がした。
「貴方が子爵夫人や夫人の息子に似ているのは、貴方が彼女の息子だからではないわ」
それは、俺が何処かで恐れていた言葉であり、けれどいつでもあの子爵家でも、王宮殿でも常に感じていた違和感の正体でもあった。
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かつて、この国を揺るがすような王太子妃の交代劇があった。但し、それは俺たちがした規模のものではなくて、各方面への影響ははかりしれないものだったけれど。
婚約者がありながら、別の令嬢を妃に望んだのは、ウィルの父親である今の王、フリードリヒ三世陛下。しかし、令嬢は王太子とは結婚せず、辺境に住む前王の義弟である、フェリクス大公の後妻として嫁いだ。
「それが今の王妃殿下の、姉君。シェーンレン男爵の娘で、あなたのお母様よ」
俺はぎょっとしてマグカップを取り落とした。がち、とマグカップは音をたててテーブルにぶつかり、僅かにテーブルには、コーヒーの雫が飛び散った。
「婚約破棄された元の婚約者はその場で自害してしまい、その責を負わされて婚約者の家は没落。それを苦にしたあなたのお母様は、フリードリヒ三世陛下と婚約しなかった。
王太子妃を担う女性が居なくなってしまったの。そこで王妃殿下が代わってその職務を担うことになった。
シェーンレン男爵には他に子供はいなかったから、事実上男爵家もまた断絶ね」
姉を愛したフリードリヒ三世と、愛の無い結婚をした王妃殿下。しかし、その姉は17年前に、夫であるフェリクス大公とともにこの世を去っていた。
「王都に向かう途中、山賊に襲われて崖から馬車が転落したの。生まれたばかりの大公の息子は行方不明でいまも、見つかっていない」
ひた、と編集長が俺を見た。
「大公の領地は全てゲノーム公爵が管理しているわ。でも、王妃殿下はけしてそれをゲノーム公爵に与えてはいない……まるで本当の持ち主が現れるのを知っているようにね」
亡くなったアルゼリア子爵は、多くの借金をしていた。フェリクス大公の母方の従妹にあたるアルゼリア子爵夫人は、その借金を全て一度に返済し、それと引き換えのように生まれたばかりの三男に聖霊の祝福を受けさせ、ダニエルと名付けた。
「奇妙だったのは、子爵が亡くなったのち子爵夫人が妊娠していると気づいたものはいなかったそうなのよ?出産の記録もないわ」
では、何処から俺は来た?風か聖霊が母のもとに俺を運んだとでもいうのか?あるいは……。
「貴方はフェリクス大公の嫡男、ダニエル・フェリクスその人であるとわが新聞社では記事にするつもりよ。もし本当にそうなら、王位継承権は王太子、王子についで第三位。若き大公の登場よ!素晴らしいスクープだわ!」
だん、とテーブルを叩いた。
「止してくれよ、今のは全部推論だろ?第一当事者の俺がいないうちに、そんな真似をして、もし違っていた時どうするつもりだったんだよ」
ふふん、と編集長は長い脚を組んだ。
「だからこそ貴方がいないうちがいいのよ、貴方は遠い港町で入院していて、その間に大衆紙のひとつが突拍子もない記事を出した。それなら貴方への影響は最小限でしょ?」
はぁ、と俺は頭を抱えた。
「裏付けはとれてるんだろ?本当のところ、一体何処までが……」
俺が困惑していると、編集長は自分の爪の先を眺めながら、
「もちろん、裏付けのない記事なんて書かせないわよ私」
と、幾つかの封書や書類を渡してきた。
「これは」
俺の出生証明や、フェリクス大公の親書の写し、さらには大公家の元侍従の証言などが書かれたもの。
「そこにあるのは、今話した内容を裏付けるものよ。さて、ご質問は?大公子殿下?」
これには言葉もなかった。だが、これが商売の新聞社だ。たかだか王妃の態度が少々奇妙だったがために、ここまで調べるなんて思ってもいなかったけれど。
「……なんで俺は隠されてたんだ?俺がいては不都合な人間が?」
編集長は首をふり、それはわからないわ、と答えた。
「もしかしたら、男爵家が断絶している以上、王位継承権のある男子は少ない方がいいと思ったとか?まあ、王妃の態度からはそうはおもえないのだけど」
と編集長は言う。埒のない話で、それではあの王妃の態度は全く説明がつかない。
「ともかく、貴方はしばらく行方不明になっていて頂戴?変なことに巻き込まれたくなければ、来た道を引き返してほしいくらい」
俺は頭を抱えた。全く納得いかない。
「今のところはそうしておくしかないか……ああ、でもゲノーム令嬢にだけは、直接話をしたい」
それが今更シャルロットに必要とも思えなかったけれど。一応彼女はまだ婚約者なのだから。
「いいわよ」
編集長は、すうっと目を細めて笑った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
聖霊祭が終われば、新年まではあと数日。その数日の間に、社交界では様々なパーティーが開かれる。
「シャルロットはバリー家の仮面舞踏会へ参加するそうよ?。ウィル殿下は出席しないみたいだから、宰相の子息がエスコートでしょうね」
こんなチャンスはないはずよ、と編集長は笑ったけれど、俺にしてみれば笑えはしなかった。
ロイスは俺にシャルロットを押しつけた本人で、もし彼が次の婚約者となればシャルロットはすぐにでも毒を飲むかもしれないのだ。
編集長が用意してくれた紺色の燕尾服のポケットには、あの髪飾りと毒薬の瓶をいれた。かちりと音がして、それを片手で押さえる。
「まだ痛む?」
先日と同じ濃い赤のイブニングドレス姿の編集長に尋ねられて、首を振った。
「めちゃくちゃ走れば多少は痛むかもな」
編集長は仮面の下からくぐもった笑いを漏らした。
「仮面舞踏会で、全力疾走はないと思うわ。安心して頂戴……それより、シャルロットは見つけられるんでしょうね?」
俺はちょっと首をひねった。格好つけて仮面をしたまま大事な話をして、人違いでした、では済まない。
「やだ!しっかりして頂戴よね、一大スクープをつまらない人違いで漏らしたりしたら、あんたクビにしてやるんだから!」
ガツガツとピンヒールで蹴られて、止めろよと体を捻った。こんな上品な貴族ばかりの場所で、こういう行動はとても目立つ。俺に目立つなと言うなら、ホントに止めてほしい。
辺りを見回せば、あたかも宮殿のように煌びやかな屋敷は、何千もの燭台やシャンデリアに彩られて目映いほどだ。
王陛下をも凌ぐと噂されるバリー宰相の富と栄光を表すかのようなその威容に少々気圧されて、俺は仮面をつけなおし、ゴホッ、とひとつ咳をした。
招待客が手にした招待状を入り口に立つ衛兵へ渡しては中へ進んでゆく。俺と編集長も、そこへむかって歩いてゆく。
「なんだ、報道か…聞いたことのない新聞社だな」
衛兵は口の端を少しあげて、俺たちが出した招待状をしげしげとながめた。
「ええ、新しい新聞社なの」
そういってもう一枚、編集長は招待状を渡した。ああ、とのけぞるようにして、衛兵は編集長から少し離れ、姿勢をただして敬礼した。
「どうぞ、お入りください!」
編集長は、大袈裟だわ、と苦笑いしてから俺の腕をとり、中へと進んでいった。
編集長、この人こそ、ホントに正体不明だ。
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