MMK2(わくわく同窓会)

あらんすみし

文字の大きさ
3 / 16

忘れらんねぇよ

しおりを挟む
「よぉ~、元気だったか?」
不意に僕は髪をわしゃわしゃされて後ろを振り返ると、そこには山のようにデカい、顎髭を生やした金髪パーマの男が立っていた。
そう、こいつこそが、僕の中学時代の黒歴史の元凶、黒田源治だ。
中学の時から180近い身長だったけど、今はそれよりも遥かにデカい、2メートル近くはあるのではないか。いったい何を食べたらこんなにデカくなれるんだ?
「俺のこと、覚えてるか?」
(忘れられるわけないだろ、お前のせいで僕がどれだけ辛い想いをしたことか)
「あの頃は、よく一緒に遊んでたよなぁ。プロレスごっこしたり、お前の持ってた漫画やゲームを貸してもらったり。そういえば、いつだったかお前をマットでぐるぐる巻きにして、そのまま忘れて体育倉庫に置き去りにしたこともあったな。」
「あぁ、よ~く覚えてるよ。卍固めかけられて失神したり、バックドロップされたり、漫画もゲームもまだ貸しっぱなしだよね。あの季節の体育倉庫はとても寒かったよ」
僕は精一杯嫌味ったらしく返事をした。
お前にとっては、ただの遊びだっただろうが、こっちは死活問題だったんだぞ。
「この間、スポーツニュース観たよ。今、プロのバスケ選手なんだね。」
「あ、観てくれたか?まぁな、高校から全日本に入ってたからな、すごいだろ。」
はいはい、ごいす~。
「そういうお前も、今じゃ立派な帝大生なんだってな。さっき聞いて驚いたよ。ま、昔からガリ勉だったからな」
そういうお前は、脳みそまで筋トレしてたみたいなものだけどな。
「ところでお前、彼女とかいんの?」
「いや、ならいないけど、でも」
「でも?」
「ううん、何でもない」
危ない・・・少しでも気を緩めると、危うく彼氏ならいる、と言ってしまいそうだ。
「そっか、それなら良かった」
良くねぇよ。
「ところで、あの話し覚えてるか?」
「え?何の話し?」
なんだよ、藪から棒に。
「何だよ、覚えてねぇのかよ。まぁ、ここじゃ小っ恥ずかしくて言いづらいから、今度東京で会わないか?その時に話すから」
う~ん。特に興味は無いのだが、こいつにも羞恥心というものがあったのは意外だった。そう思うと、その恥ずかしい話というものに興味が湧いてきた。聞いてやってもいいか。
「うん、まぁ、いいけど」
「やった!それじゃあRINE交換しようぜ。スルーするなよ」
こうして僕は、かつて僕をいじめていた黒田と連絡先を交換することとなった。
まさか黒田と連絡先を交換する日が来るとは、あの頃は夢にも思わなかったな。
「そう言えばさ~、あそこで女子達に囲まれてる、綺麗な顔した奴、誰だかわかるか?」
黒田が指差した方を見ると、茶髪の綺麗な顔をした色白の美青年が、女子達に囲まれていた。
「誰?あんな子いたっけ?」
「お前、いつも一緒につるんでただろ?江崎だよ、江崎敏志!」
「えー!あれが江崎君!?だって江崎君って、あの頃は黒縁メガネで毎日寝癖つけてたじゃないか!」
「なあー、眼鏡取ったら実は美少年でした、なんて少女マンガだけのことかと思ったけど、現実にもあるんだな」
驚いた。今年一番の衝撃だ。とは言っても、まだ今日は1月10日なんだけど。
「ちょっ、ちょっと行ってきていい?挨拶してくる」
「あぁ、楽しんで来いよ。あと、ちゃんと返事してくれよ」
僕は黒田を置いて江崎君のもとへ駆け寄った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

可愛いがすぎる

たかさき
BL
会長×会計(平凡)。

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。

キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、 ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。 国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚―― だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。 顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。 過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、 気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。 「それでも俺は、あなたがいいんです」 だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。 切なさとすれ違い、 それでも惹かれ合う二人の、 優しくて不器用な恋の物語。 全8話。

処理中です...