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我の帰還を祝福せよ
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翌日、僕は真新しいスーツを羽織って、地元の市民会館で開催される成人式に出席した。
成人式については、全国共通でつまらないので割愛するとして、問題は成人式の後の同窓会だ。
中学生時代の僕の生活は、前作でも触れたが人生の中で最悪の暗黒時代だった。
でも、その屈辱がその後の高校受験に賭ける原動力にもなったし、今は少なからず意味があったのでは無いか?とも思えるようになった。
おかげで日本の頭脳と言われる帝王大学にも進学できたし、今ならあの頃の忌まわし記憶とも向き合える。
そんな気持ちで僕は胸を張って同窓会に出席することにした。
あの頃、僕を見下していた連中に、今の僕の姿を見せつけてやりたくて。
同窓会とは言っても、福岡から1時間半ちょいの田舎の中学の同窓会。一学年50人ちょっとしかいないので、地元の公民館でささやかに開催された。
会場は、晴れ着や羽織袴、スーツ、ドレス、思い思いに着飾った懐かしい顔が集まっていた。
すっかり垢抜けた奴もいれば、中学生の面影を残したまま時が止まってしまったような奴まで、顔触れは幅広かった。
会場に入ると、真っ先に接触してきた男がいた。
3年生の時に生徒会長をしていた、檜山雅人だった。
容姿端麗、頭脳明晰の彼は、今もそのカリスマを失ってはいなかった。
「森田君、久しぶり」
檜山は気さくに声をかけてきた。
「や、やぁ…久しぶり」
大丈夫、もう僕はあの頃の隠キャじゃない、もう立派な帝王大学生なんだ、堂々としていればいい。
そう思いながらも、僕の声は上擦っていた。
「森田君、帝王大学に通っているんだってね」
「え!知ってるの?」
「君は地元ではちょっとした有名人だよ。何しろ、この町で帝王大学に行ったのは、君が初めてだからね」
そうか、隠キャだった僕が今では町でちょっした誇りなんだ…少し自信がついたぞ、レベルアップ!
「そういう檜山君は、今はどうしてるの?」
「あぁ、僕は今、平凡な"令和"大学生だよ。"令和"大学に入学したのも、この町ではなかなかいないみたいだけどね」
令和大学とは、帝王大学としのぎを削る名門大学で、帝王大学がガリ勉イメージなのに対し、令和大学は生活レベルの高い学生が集まるハイブランド校のイメージが強い。
さり気なく令和大学を強調するところが、相変わらず嫌味ったらしくて、そこは中学生の時のままだ。
「へ…へぇ、檜山君のイメージにぴったりだね」
「ははは、よしてくれよ、恥ずかしいじゃないか」
そう謙遜しながら、檜山は満更でもなさそうだった。
「それにしても、森田君は随分変わったね。あの頃の森田君は、まだ子供みたいに可愛かったけど、今はすっかり東京の大学生だね。ところで…森田君は今、彼女はいるの?」
「いや、彼女はいないけど」
(彼氏はいる、とは口が裂けても言えないな)
「そうか。それじゃあさ、今度東京で一緒に食事でも行かないか?夜景の綺麗なホテルがあるから、そこに連れて行きたいんだ。積もる話もあるし、君とは是非、親交を深めたいな」
「うん、いいよ」
「ホントに!?じゃ、じゃあ連絡先を教えてくれないか!?」
(なんだ?そんな前のめりになって。檜山のクールなイメージと違うぞ。こんな一面もあるのか?)
こうして僕は檜山とRINEの交換をした。内心、ちょっと面倒くさいとも思ったけど、人脈を作っておくのも必要かと思うことにした。
「それじゃあ、僕はこれで失礼するよ。あとでRINEするから」
「うん。なんだか忙しそうだね」
「元生徒会長としては、こんな時でもないと同窓生全員に挨拶できないからね。それじゃ!」
(全員に挨拶って…元生徒会長だからって、そこまでするか?お前は政治家にでも立候補するつもりか?)
しかし、収穫もあった。どうやら僕は、この町でちょっとした有名人らしい。頑張って勉強して、東京の学校に進学した甲斐があった。少し自信が湧いてきたぞ。
そんなことに気を良くしていた僕に、新たな黒い影が近づいていた。
成人式については、全国共通でつまらないので割愛するとして、問題は成人式の後の同窓会だ。
中学生時代の僕の生活は、前作でも触れたが人生の中で最悪の暗黒時代だった。
でも、その屈辱がその後の高校受験に賭ける原動力にもなったし、今は少なからず意味があったのでは無いか?とも思えるようになった。
おかげで日本の頭脳と言われる帝王大学にも進学できたし、今ならあの頃の忌まわし記憶とも向き合える。
そんな気持ちで僕は胸を張って同窓会に出席することにした。
あの頃、僕を見下していた連中に、今の僕の姿を見せつけてやりたくて。
同窓会とは言っても、福岡から1時間半ちょいの田舎の中学の同窓会。一学年50人ちょっとしかいないので、地元の公民館でささやかに開催された。
会場は、晴れ着や羽織袴、スーツ、ドレス、思い思いに着飾った懐かしい顔が集まっていた。
すっかり垢抜けた奴もいれば、中学生の面影を残したまま時が止まってしまったような奴まで、顔触れは幅広かった。
会場に入ると、真っ先に接触してきた男がいた。
3年生の時に生徒会長をしていた、檜山雅人だった。
容姿端麗、頭脳明晰の彼は、今もそのカリスマを失ってはいなかった。
「森田君、久しぶり」
檜山は気さくに声をかけてきた。
「や、やぁ…久しぶり」
大丈夫、もう僕はあの頃の隠キャじゃない、もう立派な帝王大学生なんだ、堂々としていればいい。
そう思いながらも、僕の声は上擦っていた。
「森田君、帝王大学に通っているんだってね」
「え!知ってるの?」
「君は地元ではちょっとした有名人だよ。何しろ、この町で帝王大学に行ったのは、君が初めてだからね」
そうか、隠キャだった僕が今では町でちょっした誇りなんだ…少し自信がついたぞ、レベルアップ!
「そういう檜山君は、今はどうしてるの?」
「あぁ、僕は今、平凡な"令和"大学生だよ。"令和"大学に入学したのも、この町ではなかなかいないみたいだけどね」
令和大学とは、帝王大学としのぎを削る名門大学で、帝王大学がガリ勉イメージなのに対し、令和大学は生活レベルの高い学生が集まるハイブランド校のイメージが強い。
さり気なく令和大学を強調するところが、相変わらず嫌味ったらしくて、そこは中学生の時のままだ。
「へ…へぇ、檜山君のイメージにぴったりだね」
「ははは、よしてくれよ、恥ずかしいじゃないか」
そう謙遜しながら、檜山は満更でもなさそうだった。
「それにしても、森田君は随分変わったね。あの頃の森田君は、まだ子供みたいに可愛かったけど、今はすっかり東京の大学生だね。ところで…森田君は今、彼女はいるの?」
「いや、彼女はいないけど」
(彼氏はいる、とは口が裂けても言えないな)
「そうか。それじゃあさ、今度東京で一緒に食事でも行かないか?夜景の綺麗なホテルがあるから、そこに連れて行きたいんだ。積もる話もあるし、君とは是非、親交を深めたいな」
「うん、いいよ」
「ホントに!?じゃ、じゃあ連絡先を教えてくれないか!?」
(なんだ?そんな前のめりになって。檜山のクールなイメージと違うぞ。こんな一面もあるのか?)
こうして僕は檜山とRINEの交換をした。内心、ちょっと面倒くさいとも思ったけど、人脈を作っておくのも必要かと思うことにした。
「それじゃあ、僕はこれで失礼するよ。あとでRINEするから」
「うん。なんだか忙しそうだね」
「元生徒会長としては、こんな時でもないと同窓生全員に挨拶できないからね。それじゃ!」
(全員に挨拶って…元生徒会長だからって、そこまでするか?お前は政治家にでも立候補するつもりか?)
しかし、収穫もあった。どうやら僕は、この町でちょっとした有名人らしい。頑張って勉強して、東京の学校に進学した甲斐があった。少し自信が湧いてきたぞ。
そんなことに気を良くしていた僕に、新たな黒い影が近づいていた。
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