MMK2(わくわく同窓会)

あらんすみし

文字の大きさ
5 / 16

忍び寄る影

しおりを挟む
「だーれだ?」
僕は突然後ろから目隠しされて視界を遮られた。
こんなことをする奴は1人しかいない。
菅野友好だ。
「菅野君でしょ?」
「なーんだ、わかっちゃったか。つまんないの」
なーんだ、じゃないよ。そんな小学生みたいな子供じみたことをするのは、お前以外にあり得ないんだよ。それにしてもだ、こいつは中学の時から何も変わってないみたいだ。
菅野は僕をいじめてたわけではないけど、しょっちゅう僕をいじってきて、そのたびに僕は恥ずかしい想いをさせられてきた。
「森田君が帝王学園に進学していなくなっちゃって、俺、寂しかったよぉ。すっかり見違えちゃったね」
「菅野君は、中学校の時から何も進歩して無いね」
僕は皮肉を込めて切り返した。
「うん、知ってる~。よく言われるんだよね、いつまでも少年みたいだって」
それはガキってことだよ。
「菅野君は、あれからどうしてたの?」
あまり興味は無いが、僕はとりあえず聞いてみた。
「高校卒業して、福岡で就職したよ。山際製菓。知ってるだろ?」
「あぁ、もちろん!福岡で知らない人はいないよね」
山際製菓というのは、福岡では誰でも知っている有名製菓メーカー。僕も子供の頃はお世話になったし、今では"博多ラーメン饅頭"で全国展開もしている。食べたいとは思わないけど。
「それで、東京の生活ってどうなの?楽しい?かわいい子、たくさんいる?」
「まだ東京に行ったことないの?」
「まだなんだよー。まだ福岡市内から出たこと無いんだよ」
そ、それはそれで凄いかも。せめて市内からは出ようよ。
「じゃあ、もし東京に来る時は言ってよ。あちこち案内するから」
僕はそんな社交辞令を言った。どうせこいつは死ぬまで福岡市内から出ることは無いだろう。本気で東京案内なんてする気はさらさら無かった。この日までは。
「お!サンキュー、楽しみにしてるよ。それじゃあ、RINE交換しようぜ」
僕たちはRINEを交換した。
「それじゃあ僕はそろそろ・・・」
用事は済んだし、そろそろ僕がその場を立ち去ろうとした時、なおも菅野は屈託の無い笑顔で話しかけてくる。
「ところでさぁ、森田君は東京で彼女とかできたの?」
またこの質問か・・・何で皆んな、僕に恋人ができたかって、そればっかり聞いてくるんだろう?
まるでハリウッドスターやトップアスリートに毎回同じ質問してくるマスコミみたいだ。
大坂なおみが毎回日本食で何が食べたいですか?と聞かれて歯に噛みながら「お寿司を食べたい」と何度も答えなきゃいけない気持ちがわかる気がする。何で日本人なのに外国人に聞くような質問ばかりする?とよく思うんだよね。
「んー?いないよ」
「あ~、いるんだね」
いないって言っただろ!言ったよね?
「俺、そういうのは勘が働くんだよね。そっか、いるんだ。ねぇねぇ、どんな人なの?」
「えーと。面白い人だよ」
「そうか~、俺みたいだね」
ある意味、共通しているかもしれないな、テンションも似ている気がするし。
「菅野君の方こそ彼女いないの?」
「俺?今のところいないねぇ」
「なんで?にモテそうなのに」
「中学の時から好きな子はいたんだけど、その子、遠くに行っちゃったから」
急にしんみりして大人しくなった菅野に、こんな奴でも恋に身を焦がすなんてことあったのか。これは意外だ。どんな恋をしていたんだろう?
「そうなんだ、どんな子だったの?」
俄然興味が湧いてきた僕は、興味津々で聞いてみた。
「可愛くて、とても頭が良くて、いじってると反応が面白くて、いじり甲斐があったよ」
なんじゃそりゃ?きっとその子、さぞ傍迷惑だっただろうなぁ。可哀想に、お気持ち察します。
「おーい、ともー!」
離れた場所から菅野を呼ぶ声が聞こえる。
「菅野君、呼んでるよ。早く行ってあげな」
「あぁ、そうだな。じゃあ、また連絡するから。無視するなよ!アディオス!」
そう言い残して菅野は立ち去った。









しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

可愛いがすぎる

たかさき
BL
会長×会計(平凡)。

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。

キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、 ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。 国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚―― だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。 顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。 過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、 気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。 「それでも俺は、あなたがいいんです」 だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。 切なさとすれ違い、 それでも惹かれ合う二人の、 優しくて不器用な恋の物語。 全8話。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

処理中です...