6 / 16
せんせい
しおりを挟む
「せんせーい!」
会場の入り口の方から、女子の黄色い声が聞こえて浩介がその方向を見ると、そこには元担任の道端先生がやってきたところだった。
「皆んな、元気だったか?」
何人かの女子が先生を囲んでキャーキャー騒いでいる。
僕が中学卒業の時、先生はたしか25才くらいだったはず。卒業から5年経つから、もう先生も立派なアラサーなんだなぁ。まぁ、25才でもアラサーって言われちゃうんだけど。なぜ、年齢を四捨五入するのか、僕には分からないよカヲル君!
でも、先生は全然30才には見えない。今でもあの時のまま、まるで時が止まってるみたいだ。
思えば先生にはとてもお世話になった。
故郷を離れて東京に行く決断をしたのも、先生のアドバイスが大きかった。
もし、先生のアドバイスが無かったら、今でも僕は故郷で燻っていたかもしれない。そうしたら、帝王大学に通うなんてこともなかっただろうし、あんなアホでも堀田にも出会わなかったかもしれないと思うと、先生との出会いも運命だったのだと思える。
と、その時、先生と僕は目が合った。先生は、群がる女子たちを宥めると、まっすぐ僕の方へ歩み寄ってきた。そして僕を力いっぱいハグしてきた。初めて堀田にハグされた時ぐらいの強さだった。
離れた所から女子たちが羨ましがっているのが聞こえる。
やーい、いいだろー、羨ましいだろー。
「久しぶりだね、森田君。どうだい、東京の生活は?大学も帝王大学なんだってね。やはり、君ならできると思っていたよ」
先生は嬉しそうに語りかけてきた。
「先生のおかげで頑張った甲斐がありました、本当にありがとうございます」
「とんでもない、全て森田君の頑張りの賜物だよ」
先生の笑顔が弾ける。こんなに本気で喜んでくれる人格者の先生なんて、そうそういないのではないだろうか?クラスメイトには恵まれなかった僕だけど、先生との出会いは、暗黒時代だった中学時代の唯一の光のようだった。
「それはそうと、森田君はいつまで帰省しているのかな?」
「学校とかバイトがあるので、明日の朝には帰ろうと思ってます」
「そうか・・・森田君とは積もる話もいっぱいあったんだけど、先生もこれから部活に行かないといけないし、ゆっくり話している時間が無いのが残念だよ」
先生は、本当に名残惜しそうな表情をして微笑んだ。
僕も、卒業してからのことや、中学の頃の御礼もしたいし、時間が許せば一対一で話せたら良かったのになぁ、と残念に思った。
「次に帰省する時には、必ず連絡します。その時はご馳走してください」
「ははっ、森田君もそんな冗談が言えるようになったんだね。それじゃあ、先生の連絡先を教えておくよ」
こうして僕と先生は連絡先を交換した。
「それじゃあ、先生はそろそろ行かないと」
「お忙しいんですね」
「まぁね、大会も近いから。そうだ、最後に一つだけ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「はい、何でしょうか?」
ドキドキ、何を聞かれるんだろうか?
「森田君は今、彼女いるの?」
え?はぁ?先生までそんなこと聞くの?それも今ですか?他に聞くこと無いの~?
「いえ・・・彼女はいないですけど」
「そうか、それならいいんだ。それじゃあ、あとで連絡するから。大学生活、頑張ってね」
そう言い残すと、先生は会場をあとにした。
まさか、あの先生までが皆んなと同じ質問をしてくるとは意外だった。
何で皆んな、僕の色恋沙汰なんかにそんなに興味あるんだろう?
それとも、僕らくらいの年代は、そう言う話題が最も関心があって、聞くこと自体が当たり前で自然なことなのだろうか?
会場の入り口の方から、女子の黄色い声が聞こえて浩介がその方向を見ると、そこには元担任の道端先生がやってきたところだった。
「皆んな、元気だったか?」
何人かの女子が先生を囲んでキャーキャー騒いでいる。
僕が中学卒業の時、先生はたしか25才くらいだったはず。卒業から5年経つから、もう先生も立派なアラサーなんだなぁ。まぁ、25才でもアラサーって言われちゃうんだけど。なぜ、年齢を四捨五入するのか、僕には分からないよカヲル君!
でも、先生は全然30才には見えない。今でもあの時のまま、まるで時が止まってるみたいだ。
思えば先生にはとてもお世話になった。
故郷を離れて東京に行く決断をしたのも、先生のアドバイスが大きかった。
もし、先生のアドバイスが無かったら、今でも僕は故郷で燻っていたかもしれない。そうしたら、帝王大学に通うなんてこともなかっただろうし、あんなアホでも堀田にも出会わなかったかもしれないと思うと、先生との出会いも運命だったのだと思える。
と、その時、先生と僕は目が合った。先生は、群がる女子たちを宥めると、まっすぐ僕の方へ歩み寄ってきた。そして僕を力いっぱいハグしてきた。初めて堀田にハグされた時ぐらいの強さだった。
離れた所から女子たちが羨ましがっているのが聞こえる。
やーい、いいだろー、羨ましいだろー。
「久しぶりだね、森田君。どうだい、東京の生活は?大学も帝王大学なんだってね。やはり、君ならできると思っていたよ」
先生は嬉しそうに語りかけてきた。
「先生のおかげで頑張った甲斐がありました、本当にありがとうございます」
「とんでもない、全て森田君の頑張りの賜物だよ」
先生の笑顔が弾ける。こんなに本気で喜んでくれる人格者の先生なんて、そうそういないのではないだろうか?クラスメイトには恵まれなかった僕だけど、先生との出会いは、暗黒時代だった中学時代の唯一の光のようだった。
「それはそうと、森田君はいつまで帰省しているのかな?」
「学校とかバイトがあるので、明日の朝には帰ろうと思ってます」
「そうか・・・森田君とは積もる話もいっぱいあったんだけど、先生もこれから部活に行かないといけないし、ゆっくり話している時間が無いのが残念だよ」
先生は、本当に名残惜しそうな表情をして微笑んだ。
僕も、卒業してからのことや、中学の頃の御礼もしたいし、時間が許せば一対一で話せたら良かったのになぁ、と残念に思った。
「次に帰省する時には、必ず連絡します。その時はご馳走してください」
「ははっ、森田君もそんな冗談が言えるようになったんだね。それじゃあ、先生の連絡先を教えておくよ」
こうして僕と先生は連絡先を交換した。
「それじゃあ、先生はそろそろ行かないと」
「お忙しいんですね」
「まぁね、大会も近いから。そうだ、最後に一つだけ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「はい、何でしょうか?」
ドキドキ、何を聞かれるんだろうか?
「森田君は今、彼女いるの?」
え?はぁ?先生までそんなこと聞くの?それも今ですか?他に聞くこと無いの~?
「いえ・・・彼女はいないですけど」
「そうか、それならいいんだ。それじゃあ、あとで連絡するから。大学生活、頑張ってね」
そう言い残すと、先生は会場をあとにした。
まさか、あの先生までが皆んなと同じ質問をしてくるとは意外だった。
何で皆んな、僕の色恋沙汰なんかにそんなに興味あるんだろう?
それとも、僕らくらいの年代は、そう言う話題が最も関心があって、聞くこと自体が当たり前で自然なことなのだろうか?
0
あなたにおすすめの小説
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。
キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、
ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。
国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚――
だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。
顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。
過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、
気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。
「それでも俺は、あなたがいいんです」
だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。
切なさとすれ違い、
それでも惹かれ合う二人の、
優しくて不器用な恋の物語。
全8話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる