MMK2(わくわく同窓会)

あらんすみし

文字の大きさ
7 / 16

帰郷から帰京

しおりを挟む
翌日の朝、僕は福岡発の飛行機に乗って東京へと戻った。
いろいろと収穫の多い有意義な帰郷だった。
あれだけ僕を見下してきていた連中が、僕が今では立派な帝大生だと知った途端に態度をコロッと変えたのには、胸がスッとした。
これから先、僕の未来は輝いている。
大学を卒業したら、次は超一流企業に就職して、そしたらまた皆んなを驚かせてやるんだ。
それから先は、政治家に転身して総理大臣にでもなってやろうか。
ふっふっふっ、今から楽しみだ。
「おーい!浩介、おかえりー!」
ゲートを出た途端、空港中に響き渡るかのような大声で堀田が出迎えた。
えー!?何で堀田がいるの?なぜ、乗ってる便がわかったの?これから帰ります、としか教えなかったのに!?
とりあえずここは他人のふりをしよう。
「何、無視してんだよ!会いたかったー、浩介も俺に会いたかっただろ?」
堀田は人目も憚らず、大勢の公衆の面前で僕に駆け寄り力一杯抱きしめた。
「な、何で乗ってる便がわかったの?」
おろおろする僕に堀田が教えてくれる。
「たいしたことないよ、浩介が福岡に行く前日に、GPSのアプリをインストールさせてもらっただけだから」
おい!聞いてないぞ、そんなこと。大したことあるわ!それよりも、早く離れてくれ。
「それにしても、浩介、酒臭いぞ」
堀田が僕を抱きしめたまま、鼻をくんくんさせてくる。
「うん、同窓会でも飲んで、その後に親戚の集まりでも飲まされて、今も二日酔いが酷いんだ」
「そうか、じゃあ俺たちもこれから乾杯しようか!」
こいつ、人の話しを聞いているのか?これ以上飲ませて僕を殺す気か!?
二日酔いでおぼつかない足どりの僕は、ただ堀田のなすがままに引き摺られて一緒に帰った。

「浩介、成人おめでとー!」
堀田がクラッカーを鳴らし、僕はケーキに立てられた20本の蝋燭の火を吹き消した。
う~ん、ここまで祝ってくれるのは嬉しいんだけど、よく考えたら先月に20歳になった誕生日をお祝いしてもらったばかりだし、よくよく考えたら堀田も同い年なんだから、堀田の成人祝いもしないとおかしいよね?
「堀田も同い年なんだから、堀田も成人おめでとうだね」
「そう言われてみれば、それもそうだな。じゃあ、お互いに成人おめでとう!」
僕たちはシャンパンで乾杯した。
「森田さん、成人の抱負は?」
堀田がチキンをマイク代わりにインタビューしてきた。
「えーと、そうだなー・・・堀田を幸せにしたい」
いつも僕をこんなに楽しませてくれている堀田に、これくらいのことは言ってあげないとダメだよね。ありがとう、堀田。
「う~。何てかわいい奴なんだ、浩介は~。浩介、これからも愛してる」
堀田が僕を抱きしめる。ふと、2人の視線が交差して、堀田が顔を近づけてくる。キスだ。僕もそっと目を閉じる。とんでもない奴でもあるけど、こんなにも愛されるなんて、僕は堀田と付き合えて良かったよ。
と、その時、僕達の唇が交わる寸前、テーブルの上の僕のスマホが激しく震えた。
「も、もぅ~いいところだったのに」
僕は平静を装いながらスマホを手に取った。
RINEは檜山からだった。
『東京の夜景を一望できるホテルを予約したいんだけど、いつがいい?』
・・・。
「誰?こいつ?」
堀田がわかりやすく不機嫌になる。
「あっ、こいつは中学の時の同級生で・・・」
再び着信。
『今度、東京で試合あるからメシでも食いに行こうぜ』
今度は黒田からだった。
「えっと・・・中学の時の同級生で、今はプロバスケの」
再び着信。
『浩介君、今度二丁目デートしようよ』
今度は江崎君から。
「これも中学の同級生で・・・」
再び着信。
『昨日は会えて楽しかったよ!おやすみ~♡』
今度は菅野から。
堀田の顔に、あからさまに苛立ちの感情が浮かび上がる。
再び着信。
『昨日はゆっくり話せなくてごめん。次は2で積もる話しをしよう』
今度は道端先生からまで。
僕と堀田の間に沈黙が流れる。堀田、けっこう嫉妬深いからなぁ~、大丈夫かなぁ?疑われないかなぁ?いや、大丈夫、きっと僕たちの愛はこの程度のことで揺らぐなんてことはないはず!
「何、この人たち。もしかして浮気?」
だいじょばなかった~!!
「そ、そんなことあるわけないじゃないか!僕には堀田だけだよ!」
「ふ~ん。まぁ、いいや。とりあえず寝るわ、おやすみ」
すっかり機嫌を損ねた堀田は、テーブルの上もそのままに自分の部屋へ引き篭もってしまった。
嗚呼、どうしよう。何でよりにもよって5連続でRINEが来るんだよ。しかも紛らわしい内容ばかり。
堀田、傷ついちゃったかなぁ?明日、ちゃんと謝らないと。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

可愛いがすぎる

たかさき
BL
会長×会計(平凡)。

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。

キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、 ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。 国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚―― だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。 顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。 過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、 気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。 「それでも俺は、あなたがいいんです」 だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。 切なさとすれ違い、 それでも惹かれ合う二人の、 優しくて不器用な恋の物語。 全8話。

処理中です...