13 / 16
悪魔のような天使の笑顔
しおりを挟む
菅野と夢の国デートをした数日後。
今度は江崎君とデートをすることになった。
と、いうことで、僕は生まれて初めて新宿二丁目に足を踏み入れることとなった。
「森田君、おはよー」
もう夜の8時だよ、江崎君。
「僕、初めての新宿二丁目なんだけど緊張するなぁ。大丈夫かな?」
「大丈夫、全然怖くないよ、楽しいよ。今夜は僕に任せて。絶対に楽しいよ」
ここはもう、二丁目の住人みたいな江崎君に任せて、流れに身を任せよう。
「それで、二丁目デートってどこに行くの?」
「僕がよく行くゲイバーを案内してあげるよ。そこのママがいい人なんだ。上京してきてから、ずっとお世話になっているんだ」
ついに、初ゲイバーか。いよいよ新しい扉を開くことになってしまうのか?
「ここだよ」
江崎君について行って案内されたのは、カントリーロードという小綺麗なゲイバーだった。店内は、小さなカウンターと、その後ろにボックス席があって、照明はやや暗めで落ち着いた大人の雰囲気だった。僕のイメージでは、ゲイバーというのはもっと明るくて、ゲイの人達がお祭りみたいに騒いでいるイメージだったんどけど、こういう大人びたお店もあるんだなぁ。
店内に入ると、そこにいた全てのお客さんの視線が自分たちに集中し、まるで値踏みをされているようだ。ちょっと怖い。
僕たちはカウンターに案内され腰掛けた。
「いらっしゃい、初めてだよね。わたしはここのママをしています、晃と申します」
へぇ~、ママさん、全然ゲイらしさが無い。でも名前が聖子、おかしいの。
僕はカシスオレンジ、江崎君はハイボールを注文した。
「2人はどんな関係なの?」
晃ママは僕たちに尋ねてきた。
「僕たち、中学の同級生なんです」
「あら、そうなの?じゃあ、今23歳くらいなのね、若くて羨ましいわ」
え?ついこの間、成人したばかりですけど。
「いえ、ついこの間、成人・・・」
と、言いかけたところで、江崎君が慌てた様子で僕の口を塞いだ。
「シッ!23歳ってことにしておいて」
何で?どうして?どういうこと?
「僕、この店では23歳ってことになっているんだよ。だから話し合わせて」
何でそんな嘘を?
「僕、上京して初めてこの店に来たのが17歳の時だったんだよ。その時、酒を飲むために年齢詐称したの」
たかが酒飲みたいために逆サバ読みするんかい!?
「お名前、聞いてもいいかしら?」
「はい、森田浩介です」
僕が名乗ると、晃ママが声を立てて笑った。隣に座っている他のお客さんも笑っている。
「さっとん、面白いお友だちだね」
え?さっとん?
「森田君、こういう場所では本名を名乗らなくていいんだよ。しかもフルネームとは。ちなみに僕は二丁目では、敏志だから、さっとんって呼ばれてるんだ」
え~、知らないよ~、そんな二丁目事情なんて~。
「それじゃあ、これからは君のことを、こうたんって呼ばせてもらうかな」
晃ママが提案する。
こうたん・・・なんか、小学生低学年みたいな名前だな。
「こうたん君。君、かわいいね」
そう言って、隣に座っていた20代後半くらいのお兄さんが声をかけてきた。
「あっ、どうも。僕、ゲイバーって初めてで」
「そうなんだ。じゃあ、俺がいろいろ教えてあげようか?」
そう言うと、その隣のお兄さんは僕の太腿に手を置いて撫でてきた。
こ、これはもしかして誘惑されてる!?
「ダメですよ~、僕の友だちに手を出しちゃ」
江崎君がたしなめる。
「いいじゃないか、少しくらい。それに、2人は付き合っているわけじゃないんだろ?」
「うるせーよ、おじさんは引っ込んでな」
えー!?江崎君の口から、そんな強気な言葉が出てくるなんて!!
「あぁん?テメェ、ちょっと若くてかわいいからって調子こいてるんじゃねえぞ!」
おじさんは・・・いや、お兄さんの態度が明らかに変わった。
「表でろ!」
さすがに店内で喧嘩はまずいので、お兄さんと江崎君は店を出て行った。
やばい!このままでは江崎君がボコボコにされてしまう。
心配になって僕も店を出て2人を追いかけた。
「子供だからって、大人をバカにすると痛い目に遭うと教えてやる」
言うが早いか、お兄さんは江崎君に殴りかかった。
危ない、江崎君!!
すると、江崎君はお兄さんのパンチを華麗に避けて、その腕を掴みお兄さんを背負い投げした。お兄さんの大きい体が宙を舞い、アスファルトの地面に叩きつけられた。
江崎君、凄い・・・。
「僕はもう、あの頃のいつも泣いていた僕じゃない。あの頃、僕と森田君は一緒に泣いていることしか出来なかったけど、今の僕なら森田君を守ることができる。だから、少し考えてほしいな、僕とのこと」
江崎君、しばらく会わないうちに、君は随分と強くなったんだね。僕なんかより、ずっと先を歩いているんだね。僕は、そんな江崎君に不覚にもギャップ萌えしてしまった。
今度は江崎君とデートをすることになった。
と、いうことで、僕は生まれて初めて新宿二丁目に足を踏み入れることとなった。
「森田君、おはよー」
もう夜の8時だよ、江崎君。
「僕、初めての新宿二丁目なんだけど緊張するなぁ。大丈夫かな?」
「大丈夫、全然怖くないよ、楽しいよ。今夜は僕に任せて。絶対に楽しいよ」
ここはもう、二丁目の住人みたいな江崎君に任せて、流れに身を任せよう。
「それで、二丁目デートってどこに行くの?」
「僕がよく行くゲイバーを案内してあげるよ。そこのママがいい人なんだ。上京してきてから、ずっとお世話になっているんだ」
ついに、初ゲイバーか。いよいよ新しい扉を開くことになってしまうのか?
「ここだよ」
江崎君について行って案内されたのは、カントリーロードという小綺麗なゲイバーだった。店内は、小さなカウンターと、その後ろにボックス席があって、照明はやや暗めで落ち着いた大人の雰囲気だった。僕のイメージでは、ゲイバーというのはもっと明るくて、ゲイの人達がお祭りみたいに騒いでいるイメージだったんどけど、こういう大人びたお店もあるんだなぁ。
店内に入ると、そこにいた全てのお客さんの視線が自分たちに集中し、まるで値踏みをされているようだ。ちょっと怖い。
僕たちはカウンターに案内され腰掛けた。
「いらっしゃい、初めてだよね。わたしはここのママをしています、晃と申します」
へぇ~、ママさん、全然ゲイらしさが無い。でも名前が聖子、おかしいの。
僕はカシスオレンジ、江崎君はハイボールを注文した。
「2人はどんな関係なの?」
晃ママは僕たちに尋ねてきた。
「僕たち、中学の同級生なんです」
「あら、そうなの?じゃあ、今23歳くらいなのね、若くて羨ましいわ」
え?ついこの間、成人したばかりですけど。
「いえ、ついこの間、成人・・・」
と、言いかけたところで、江崎君が慌てた様子で僕の口を塞いだ。
「シッ!23歳ってことにしておいて」
何で?どうして?どういうこと?
「僕、この店では23歳ってことになっているんだよ。だから話し合わせて」
何でそんな嘘を?
「僕、上京して初めてこの店に来たのが17歳の時だったんだよ。その時、酒を飲むために年齢詐称したの」
たかが酒飲みたいために逆サバ読みするんかい!?
「お名前、聞いてもいいかしら?」
「はい、森田浩介です」
僕が名乗ると、晃ママが声を立てて笑った。隣に座っている他のお客さんも笑っている。
「さっとん、面白いお友だちだね」
え?さっとん?
「森田君、こういう場所では本名を名乗らなくていいんだよ。しかもフルネームとは。ちなみに僕は二丁目では、敏志だから、さっとんって呼ばれてるんだ」
え~、知らないよ~、そんな二丁目事情なんて~。
「それじゃあ、これからは君のことを、こうたんって呼ばせてもらうかな」
晃ママが提案する。
こうたん・・・なんか、小学生低学年みたいな名前だな。
「こうたん君。君、かわいいね」
そう言って、隣に座っていた20代後半くらいのお兄さんが声をかけてきた。
「あっ、どうも。僕、ゲイバーって初めてで」
「そうなんだ。じゃあ、俺がいろいろ教えてあげようか?」
そう言うと、その隣のお兄さんは僕の太腿に手を置いて撫でてきた。
こ、これはもしかして誘惑されてる!?
「ダメですよ~、僕の友だちに手を出しちゃ」
江崎君がたしなめる。
「いいじゃないか、少しくらい。それに、2人は付き合っているわけじゃないんだろ?」
「うるせーよ、おじさんは引っ込んでな」
えー!?江崎君の口から、そんな強気な言葉が出てくるなんて!!
「あぁん?テメェ、ちょっと若くてかわいいからって調子こいてるんじゃねえぞ!」
おじさんは・・・いや、お兄さんの態度が明らかに変わった。
「表でろ!」
さすがに店内で喧嘩はまずいので、お兄さんと江崎君は店を出て行った。
やばい!このままでは江崎君がボコボコにされてしまう。
心配になって僕も店を出て2人を追いかけた。
「子供だからって、大人をバカにすると痛い目に遭うと教えてやる」
言うが早いか、お兄さんは江崎君に殴りかかった。
危ない、江崎君!!
すると、江崎君はお兄さんのパンチを華麗に避けて、その腕を掴みお兄さんを背負い投げした。お兄さんの大きい体が宙を舞い、アスファルトの地面に叩きつけられた。
江崎君、凄い・・・。
「僕はもう、あの頃のいつも泣いていた僕じゃない。あの頃、僕と森田君は一緒に泣いていることしか出来なかったけど、今の僕なら森田君を守ることができる。だから、少し考えてほしいな、僕とのこと」
江崎君、しばらく会わないうちに、君は随分と強くなったんだね。僕なんかより、ずっと先を歩いているんだね。僕は、そんな江崎君に不覚にもギャップ萌えしてしまった。
0
あなたにおすすめの小説
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。
キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、
ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。
国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚――
だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。
顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。
過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、
気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。
「それでも俺は、あなたがいいんです」
だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。
切なさとすれ違い、
それでも惹かれ合う二人の、
優しくて不器用な恋の物語。
全8話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる