MMK2(わくわく同窓会)

あらんすみし

文字の大きさ
14 / 16

エレクトリカル東京

しおりを挟む
ここまで菅野と江崎君の2人とデートをしてみたが、これまで見ることのできなかった2人の意外な面を知ることができた。
菅野はいつもおちゃらけているけど、一途で真面目な面を見ることが新鮮だったし、江崎君は中学生の頃の泣いてばかりの江崎君とは違って、すっかり強くなっていた。
僕はどうなんだろう?2人の目から見た僕は、あの頃から成長しているのだろうか?あまり自信が無いな。

江崎君との二丁目デートの数日後、今度は3人目となる檜山とのデートに臨むことになった。
以前、同窓会の時に檜山は、夜景の綺麗なホテルのレストランで食事をしようとか言っていたけど、やっぱりそういうデートなのかな?
檜山のことだから、きっと相手が喜びそうな完璧なデートプランを用意しているのだろうな。
僕は、そんなことを考えながら檜山が迎えに来るのを、マンションの前で待っていた。
するとそこへ、黒のポルシェパナメーラが横付けされ、ドアが開くと黒一色のファッションで決めた檜山が降りてきた。
「おはよう、森田君」
今まで僕は、檜山のことを2枚め気取りのいけすかない奴だと思ってきたけど、ここまで完璧に決めてくると、さすがに感嘆のため息を吐くしかできない。
「お・・・おはよう。何か、凄いね」
「そんなことないよ。せっかくの森田君とのデートなんだから、このくらいは普通だよ」
そうか?そうなのか?それに引き換え僕の格好はといえば、グレーのパーカーに裏起毛の暖かチノパンにスニーカーときている。もうちょっと考えて服装を選ぶべきだったか?
「それで、今日はどこに行くの?」
「今日は、いちご狩りに行ってから、ホテルのレストランで夜景を見ながら食事をしようと思うんだ」
へぇ~、いちご狩りかぁ。檜山のイメージとは違った意外なチョイスだなぁ。楽しそう。
「じゃあ、早速行こうか」
僕は檜山の車に乗り込み、高速に乗って栃木へと向かった。
「ねぇ、檜山君」
「な、何だい?」
「ずいぶんゆっくりと走っているけど、高速道路って最低制限速度って無かったっけ?」
檜山は無言になってしまった。あれ?聞こえてないのかな?ていうか、何だか顔色が悪いような。
「ご、ごめん」
「?何が?」
「実は、上京してから高速道路に乗るの初めてなんだ・・・」
・・・えー!?
「だから、怖くて怖くて吐きそうなくらいなんだ」
マジか。
「だからもし、途中で吐いたらごめん」
そ、それは猛烈に困る。
「わ、わかったから、もう帰ろう!」
「いや、一度立てたプランは何としても完遂しなければ。見ててくれ、僕は今、生まれて初めて死に物狂いで運転するから」
いや、そこまで悲壮な覚悟を持って運転しなくていいから。
そう言うと、檜山はアクセルを思い切り踏んだ。僕たちを乗せたポルシェは、急加速して体に猛烈なGがかかる。
ひぇー!誰か助けてー!

「いや~、意外に高速道路も楽勝だったなぁ。あれ?森田君、どうしたの?顔色が良く無いみたいだけど」
檜山の運転が激しすぎたから恐怖でこうなったんだよ。
「では、早速楽しいいちご狩りといこう」
檜山は意気揚々と、僕の手を引っ張ってビニールハウスの中へ入って行く。
と、こ、ろ、が。ハウスの中に全然苺が無い!どういうことだ!?
「あ~、すんません。さっき中国人の団体客が来て、根こそぎ獲って行ってしまったみたいですわ」
こうして、僕たちのいちご狩り体験は、到着して5分で終了した。
「ま、まぁこんなこともあるさ。そうしたら、ちょっと早いけど東京へ戻って食事をしよう。最高の夜景が見られるレストランを予約しておいたから、期待していてよ」
東京の夜景が一望できるレストランかぁ。そんなところ行ったことないなぁ。どんな所なんだろう。こんな服装で入れるのかな?
と、僕の心配は稀有だった。
何と!檜山はレストランの予約日を間違えていて、昨日の日付けで予約していたのだった。
「ごめん、こんなことになって。もう一度チャンスを貰えないか?とにかく、森田君に最高の夜景をプレゼントするから!」
そう言うと、檜山はスカイツリーへと車を走らせた。
ところが!
スカイツリーは、臨時休業となっていた。
え?スカイツリーって休業ってあるの?
意気消沈した檜山と僕は、スカイツリーの近くのマックで遅めのディナーをすることになった。
檜山はすっかりしょげかえっている。なんか、せっかくいろいろ頑張ってくれたのに、僕も何故か申し訳なく思ってしまった。
「今日はごめん。せっかく付き合ってくれたのに、こんな散々な結果になって」
「いいんだよ、こんなこともあるよ」
檜山は、こんなことになって責任を感じているのかもしれないけど、僕にはかえって、あのいつも完璧で自信満々の檜山も失敗したり、情けない姿を見せることもあるんだと、親近感が湧いて好感度が上がったくらいだった。
かえって僕のために頑張ってくた檜山に感謝したいくらいだった。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

可愛いがすぎる

たかさき
BL
会長×会計(平凡)。

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。

キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、 ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。 国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚―― だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。 顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。 過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、 気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。 「それでも俺は、あなたがいいんです」 だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。 切なさとすれ違い、 それでも惹かれ合う二人の、 優しくて不器用な恋の物語。 全8話。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

処理中です...