MMK2(わくわく同窓会)

あらんすみし

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ずっと一緒に

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そして、大トリを飾るのは、僕が中学の頃に猛勉強して、こうして帝王大学に進学するまでの理由を作った、黒田とのデートだった。
こいつには散々な目に遭わされたが、こうして僕が今の人生を歩んでいられるのは、いろいろな意味でこいつのおかげ(せい)でもある。
果たして、僕はこいつとデートして、他の皆んなと同じく好意を抱くことなんてことができるのだろうか?
「ところで、怪我の具合はどうなの?」
そういえば、こいつ、怪我してリーグ戦から離脱しているんだったっけ。
「まぁ、ただの捻挫だ。心配するな。だって大好きなバスケが待っているからな。俺、天才だから」
・・・なんか、某バスケ漫画の主役のセリフみたい。
「ところで、今日はどこへ行くつもりなの?」
「まぁ、あの連中がやりそうなことは、だいたい見当がついている。だから、今日は俺にしか思いつかないデートをしてやる!」
ハードル上げすぎだろ・・・。
「て、ことで、ちょっと目隠しとヘッドフォンつけろ」
「えっ!?どういうつもりだよ!」
「行き先はサプライズだ。心配するな、乱暴なことはしないから」
本当か?いまいち信用ならん。しかし、ここで拒否すると逆上するやもしれない。ここは素直に従ってみるか。
黒田の運転する車に揺られて、僕はやがて目的地に辿り着いたようだ。もう、目隠しとヘッドホン取ってもいいだろうか?
そう考えていると、黒田がヘッドホンを外してくれた。
「よーし、まだ目隠しは外すなよ」
僕は黒田に手を引かれて摺り足で前に進んだ。
そして、エレベーターに乗せられ、あるフロアで降り、さらに手を引かれて止まった。
ドアの開く金属音が聞こえ、僕は黒田に導かれて部屋に入る。どこだここは?ヤバい、怖い、まさか監禁されるんじゃないだろうな?
「よし、着いたぞ。目隠し取ってもいいぞ」
僕は、恐る恐る目隠しに手をやり、そっと外してみた。
「サプラーイズ!!」
いくつものクラッカーが乾いた音を立てて僕を祝福した。
広いリビングには、黒田のような屈強な男たちがご馳走の並べられたテーブルを囲んでいて、盛大な拍手で迎えてくれた。
「え?これ、どういうこと?」
ポカンとしている僕に、黒田が言う。
「どういうことって、今日はお前の誕生日だろうが」
そうだった。言われてみれば、今日は僕の誕生日だった。ここ最近のゴタゴタで、すっかり忘れていた。
て言うか、何で黒田が僕の誕生日を知っているんだ?
「今日は、俺のいるチームのメンツが集まってくれたんだ。まぁ、立ち話もなんだから、早くお誕生日席に座ってお祝いしようぜ」
そうか、今まで僕は黒田のことをただの怖い極悪ヤンキー程度にしか思っていなかったけど、あの頃と違って黒田はいい仲間に囲まれているんだなぁ。
こうして見ず知らずの人間の誕生日を祝ってくれるなんて、なんていい人たちなんだろう。
たしかに、5人の中でこれは1番のサプライズかもしれない。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、黒田の仲間たちは帰り、広いリビングには、僕と黒田が残された。
「いいって、片付けなんて俺がやるから」
「ううん、僕にもやらせて。せっかくここまでしてくれたんだから、少しはお礼の意味で手伝わせて」
「じゃあ、一緒にチャチャっと片付けちゃいますか」
僕たちは、一緒に片付けをしながら昔話に花を咲かせた。
あの頃は、ただ辛かったはずなのに、こうして時間が経過して振り返ってみると、なぜか懐かしく感じるのは何故だろうか?
「今日は本当に楽しかったよ。今度、お礼させて」
「あのさ、大事な話しがあるんだけど」
黒田がかしこまってモジモジしている。
黒田みたいなデカい男が、モジモジするのはとても似合わなくて違和感がある。
「どうしたの?」
「ど、同窓会の時も言ったけど、お前は忘れているみたいだけど、あの話しをするわ」
そう言えば、同窓会の時に何か小っ恥ずかしい話しがあるとか何とか言ってたな。何の話しだろう?
「お、俺と・・・結婚して下さい!」
ハイ?
「結婚って、男同士じゃできないでしょ?」
「少し待ってくれ。あと5年・・・いや、3年でアメリカに行くから、それまで待っていてくれないか?」
「小っ恥ずかしい話しってこのこと?」
「どうか、2回目のプロポーズを受けてくれないか?」
いや、2回目って・・・1回目されてないけど。
「なんだよ、完全に忘れちゃったのかよ?卒業の時に言っただろ?『鼻毛出てるから、これからずっと俺が切ってやる』って」
わかるかー!何でそれがプロポーズの言葉なんだよ!?
本気なのか、狙っているのかわからないけど、こいつといたら、けっこう飽きないかも。



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